1個a円の品物を5個買ったとき、代金を文字式で表すと5aですが、この5aに単位の円をつけるときは5a円です。

しかし、1個a円の品物を5個とb円の別の品物を1つ買ったとき、代金の合計を表す式5a+bに単位の円をつけるのに、5a+b円としたら間違いになります。

数学では、「積」や、分数で表された「商」は、1つのかたまりとして扱います(単項式)。
だから、5aに単位の円をつけたとき、かたまりの5a全体に単位の円がついたことになって、何の問題もありません。

ところが、項と項の間に+や−が入ったとき、それぞれの項は独立です(多項式)。
だから、5a+b円としたとき、5aとbは別々のものと考えないといけないので、単位の円はbにはついていますが前の5aには単位がついていないことになり、「文字式には単位をつけないといけない」という規則に反して答えの書き方としては誤りだということになります。

正しい答えにしようと思えば、(5a+b)と( )を使って式を1つのかたまりにして、そのかたまり全体に単位をつけないといけません。
(5a+b)円と書いて正解です(5a円+b円でも理論上は正解のはずですが、面倒くさい書き方のせいか見かけません)。

以上をまとめると、文字式に単位をつけるときの決まりは、
(1)+やーが間にないときは直接単位をつける
(2)項と項の間に+や−があるときは全体を( )に入れてそれに単位をつける
ということになります。


ところが、もう一つの単位のつけ方として、5a(円)5a+b(円)と、単位のほうを( )に入れる方法があります。

今度は文字式全体に、付属として単位の(円)をつけたことになり、5a(円)も5a+b(円)もどちらも正解です。


つまり、文字式に単位をつける方法として2つの正しい書き方があり、どちらかを選べばよいということです。

1、単位を( )に入れない書き方

・項が1つの式にはそのまま単位をつける。例:100a円

・項が2つ以上の式(間に+や−が入っている式)には文字式を( )で包んでその( )に単位をつける。例:(100a+50b)円

2、単位を( )に入れる書き方

・どんな文字式でも単位のほうを( )に入れておけば絶対に正解です。例:100a(円)も100a+50b(円)も正解


私は、まだ項や単項式・多項式を学習していない中1生にとっては、いちいち悩まなくてすむ後者、つまり2の方法のほうが簡便なのでよいと思ってずっとそちらを勧めてきましたが、最近は前者の1の方法で書くように言っています。

その理由は、中学校の先生に2の書き方は認めないという人がいるからです。先生が認めない理由は、「教科書が1の書き方だから」だそうです。いやはや・・・。
『泣く子と地頭には勝てない』ので、子どもたちが学校のテストで減点されないように、ま、1の書き方にしとき、と言うようにしています。


今日、単位のつけ方について書こうと思ったのは、今日の授業の終了後、中3のN君が質問にきたことがきっかけです。
演習の授業で1・2年の復習をしているのですが、そのテキストの解答がa(b+0.3c)(円)となっており、この単位の書き方はどうなのかという質問でした。

「中1のときに言った理屈から、この場合、a(b+0.3c)円でもa(b+0.3c)(円)でもどちらでもいいよ。」と答えたのですが、解答のこんな些細なところまで目を配っている学習態度に改めて感心しました。

賢い人というのは、細部をないがしろにしない人のことなんですね。