塩は、人が生きていく上でなくてはならない食品です。

人の体重のうち、その3分の2は水分です。その水は海水の3分の1の濃度の塩分をふくんでいます。
人は、塩なしでは生きていけません。

塩は古来、貴重品でした。

古代ローマの兵士の給料が塩(ラテン語のsal)で支払われ、それが英語の「給料」にあたる語salary(サラリー)の語源であることは有名です。

また、中国では紀元前のの時代から塩は政府が独占して売る商品でした(これを「専売(せんばい)」といいます)。

インドでは、独立運動の指導者であるガンジーが、本国のイギリスによる塩専売に反対する行進をおこなったことがインド独立の一つの契機になりました。

日本の歴史でも、塩はいろいろなエピソードを残しています。武田信玄のライバル、越後(今の新潟県)の上杉謙信が、塩のとれない甲斐(今の山梨県)の信玄に塩を送ったといわれる伝説もその一つです。

わが国では、1905年から1997年まで、塩は政府が専売していました。
現在では、塩の製造、輸入、販売は自由化されています。


塩の製造法

塩は、いろいろな方法で生産されますが、もとはすべて海水です。

わが国では、6〜7世紀頃から、干した海草に海水をかけて濃い塩水を作り、それを煮詰める「藻(も)塩焼き」といわれる方法で塩を作るようになりました。

9世紀、平安時代には、海岸の浜を整備して「塩浜」と呼ばれる平地に海水を流し込み、そこで海水を乾燥させた後、塩水を煮詰める方法が始まりました。

17世紀、江戸時代初期に、「入浜式塩田」が播磨の国(今の兵庫県)の赤穂(あこう)で始まり、1959年まで、瀬戸内海沿岸の中国・四国地方ではこの方法による塩の生産が続きました。

その後、「流下式塩田」を経て、1965年、「イオン交換膜法」が開発され、1971年以降、全国の塩の生産方法はこの方式に転換しました。
イオン交換膜で海水をナトリウムイオンと塩化物イオンに分けてできた濃い塩水を、真空式蒸発装置で塩の結晶にする方式です。

外国では、岩塩(太古の海の底に蓄積した塩が地層になったもので、世界の塩の8割を占める)、湖塩(海が陸地にとじこめられてできた、塩分の多い湖の湖水から塩をとる)、海塩(海水を1〜2年塩田で乾燥させて塩をとる)から塩を作っています。


塩の自給率と用途

国内の塩の生産量は消費量の15%です。
85%は外国からの輸入です。

塩の生産額の多い国は、アメリカ、中国、ドイツ、インド、カナダで、日本は世界一の輸入国であり、オーストラリアやメキシコから輸入しています。

また、わが国の塩の流通量の15%食用で、85%工業用に消費されています。

塩を原料とする工業をソーダ工業(ソーダ=ナトリウム化合物)といいます。
塩をナトリウムと塩素に分解したものを原料に、紙、アルミニウム、ガラス、CD、水道の消毒薬、薬品などの生産がおこなわれています。



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