数学の約束事として、「分母に√(ルート)を残してはいけない」というきまりがあります。
分母にルートがあるときはルートのない形にしないといけないのです(分母を、無理数の√から有理数の整数にかえるので、『有理化』といいます)。


なぜ有理化をしないといけないのか?

わかりやすい説明は、次のようなものです。

「1/√2という分数があるとき、小数になおしたらおよそどれくらいの値になるのかを調べようと思ったとき、このままだと計算がややこしい。
√2=1.414として、1÷√2=1÷1.414の筆算はわずらわしい。
有理化して√2/2にしておくと、√2/2=√2÷2=1.414÷2=0.707と簡単に求めることができる。」


なぜ有理化ができるのか

分母に根号がない形にするときは、自明の数学の原理2つをもちいます。

1つは、「√aに√aをかけるとaになる」(√a×√a=a、√aとは2乗するとaになる数という意味だから、2乗するとaになる)という平方根の性質を使います。

もう1つは、2/3=(2×2)/(3×2)=4/6であるように、「分数は、分母と分子に同じ数をかけても大きさがかわらない」という性質を使います。


有理化の仕方

分母に根号がない形にする(有理化をする)ときは、(1)「√aに√aをかけるとaになる」と、(2)「分数は、分母と分子に同じ数をかけても大きさがかわらない」の、2つを使います。

例題1:
1/√3を有理化せよ。

(1)分母の√3に√3をかけたら3になる、(2)分母と分子に同じ√3をかけても分数の大きさは変わらない、この2つを利用して、分母と分子に、分母の√3と同じ数の√3をかけます。

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例題2:
3/√8を有理化せよ。


分母の√と同じ数を、分数の上と下にかけるのが有理化だと思って、すぐに分母と分子に√8をかけてはいけません。

間違いではありません(後で修正できるから)が、してはいけないことです。

数学の大事なルール、「できるだけ小さい数字にしてから計算しないといけない」の原則に反するからです(分数を約分しないとペケになるのも、比を簡単な整数の比にしておかないとバツになるのも、すべてこの原則に違反するからです)。

先に、√8を2√2にしておきます。

その後、分母にも分子にも、分母にある√2と同じ数の√2をかけます。
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例題3:
5√27/3√80を有理化せよ。

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・・・・まず、√27を3√3、√80を4√5にしておく


・・・・分母の√5と同じ√5を分母にも分子にもかける




・・・・約分をする


わかりやすいように上のような解き方をしましたが、「できるだけ小さい数字にしてから計算しないといけない」の原則に忠実に従うと、次のように解いたほうがよいかもしれません。

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・・・・先に分母と分子の3を約分しておく




・・・・分母で4×5をする前に、分母の5と分子の5を約分する





中学校では習わない有理化(私立高校の入試では出題されることがある)

例題4:
1/(√5+1)を有理化せよ。


この問題の場合、分母に√5があるからといって、分母と分子に√5をかけても分母からルートをなくせません。
分母の1に√5をかけたものが√5として残ってしまうからです。

では、どうするか?

ルートは、同じものを2乗したら、ルートでなくなるわけです。
かけ算をして、2乗だけが出てくるような式がないかを考えます。

習ったばかりの乗法公式、(x+y)(x−y)=x^2−y^2を思いうかべられたら大成功。
この公式を使えば、2乗だけの式をつくることができます。

(√5+1)に、(√5−1)をかければ、(√5+1)(√5−1)=5−1=4となって、ルートが消えてくれます。

つまり、この問題では、分母の(√5+1)と真ん中の符号だけが違う(√5−1)を、分母と分子にかけます。
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例題5:
4/(√5−√3)を有理化せよ。


例題4と同じ考え方で解きます。

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