超一流のスポーツ選手がすこぶる頭も良いことは、周知の事実です。

イチローや松井の言動を見ているとよくわかりますし、旬(しゅん)の人としてはサッカーの本田圭佑選手の言葉にも頭の良さを感じます。

その理由も漠然とは想像できますが、一流のスポーツマンが分析してくれたら一番説得力がある。

五輪に7度出場した、アルベールビル冬期オリンピックの銅メダリスト、現在参議院議員で日本スケート連盟会長でもある橋本聖子さんの言葉です。

同世代の親御さんと話していて、時々非常に残念なのは、『ウチの子は勉強ができないから、せめてスポーツだけでも……』と言われるんですよ。

でも本当は、頭がよくないと一流のスポーツ選手には絶対になれないんです。

頭のいい選手は、何のために練習しているのか、このトレーニングによって何が鍛えられ、競技にどう役立つのかということがはっきりとわかっている。だから脳から筋肉に的確な命令が出せるんです。

それができない選手は、ただ漫然と練習時間を過ごしてしまう。

優れた選手とそうでない選手との差は、そこでつくんですよ。


勉強にも、そのまま100パーセント、あてはまりますな。

文章的にも、満点の構成です。
まず、オヤ?と思わせた後、先に結論をスパーッと述べて、続く理由の叙述が明快、最後の結論まで間欠がない。

いや、素晴らしい「お言葉」です。


前記の部分は、本当は前置きでして、橋本さんの言いたいことの真意は、これに続く次の言葉にあります。

だから、選手自らがスポーツを通して人間力が高まっていく姿を社会に見せていかないといけない。

そうしないと『自分の子どもは勉強ができないからスポーツを』なんていう親御さんは減らないし、この国のスポーツ文化のレベルも上がっていかないと思うんですよね。

橋本さんは1964年生まれ、言葉の端々から、人の何倍もの充実した人生を送ってこられたことがびんびんと伝わってきます。


週刊文春2010年6月24日号『阿川佐和子のこの人に会いたい(第831回)』より。


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