中学入試の計算問題で、必ず出題されるのが式の中の未知数を求める問題(中学生以上だと文字のxで表しますが、小学生の場合、四角のカッコが多い)です。
還元算と呼ぶこともあります。

(この稿でも、実際の問題と同じように未知数を四角のカッコを使って書き表していますが、小さく表示されたり、機種依存文字で「?」に文字化けしてしまうかもしれません。)

普通の計算問題と違って、やっているうちに解けるということはありえません。
解く前にしっかりと方針を立てないと解けません。

例題1:
(4×□−12)÷3=4


入試問題としてはもっともやさしいレベルの問題を使って、解き方の基本を考えてみましょう。

還元算は、出てきた答えから逆にたどっていって、もとの数を求める問題ですから、どういう順番でその答えが出てきたのかを最初に見つけておかないといけません。

1、どういう順序で答えの4が出てきたかを考えて、それを逆にもどって解く

この問題の場合、4に□をかけて、その答えから12をひき、それを3でわって答えの4が求められたわけです。

それを逆にたどればよいので、4に3をかけて、その答えに12をたして、最後に4でわったら□を求めることができるということになります。

2、目に見える形にできないか

計算の順序を目に見える形にして、誰でも簡単に解けるようにできないかとずっと考えてきました。
ただ、そうそう画期的なアイディアは出てきません。
誰が考えても、次のような解き方になってしまうと思います。

まず、普通の計算だったらどういう順に解くか、解く順番に下線を引きます。
1−1




先に計算するはずの場所に短い下線を、次に計算するはずの場所に長い線をひきます。番号の1や2は目印につけただけで、実際に書く必要はありません。

1を計算して、次に2を計算して、それを3でわって答えの4が出てきたはずなので、これを逆にたどって四角の未知数を求めていきます。
1−2






逆算ですから、わり算をもとにもどすにはかけ算、ひき算をもとにもどすにはたし算、かけ算をもとにもどすにはわり算をすればよい。
1−3
4に3をかけて12、この12を下線の上に書いておきます。

次に12をたして24、この24を短い下線の上に書きます。

最後に、4×□が24なので、24÷4=6。

このやり方で何年か教えてみたのですが、どうも上手くいきません。
できる人はできるし、できない人はやっぱりできません。
それに、ちょっと複雑な問題になると、線がごちゃごちゃしてさらにわかりにくくなってしまいます。

1−4左図のように、先に計算するべき場所から囲んでいき、外から逆算で求めていくほうが、まだわかりやすい。

箱を外からあけていく感じで、イメージ的にも線より理解しやすくなります。
慣れるまでは、このやり方がベストかもしれません。

しかし、そろばんの上級者が慣れてきたら頭の中のそろばんで暗算ができるように、わかってきたら、何も書かないで解いたほうがいいのではないかと最近は思っています。


例題2:
(4.63−□)÷0.4+1.5×4.2=17.8


1、普通の計算だったらどういう順序で計算するかを考える


4.63−□をして、その答えを0.4でわって、それに1.5×4.2の答えをたして17.8です。

2、未知数に関係なく計算できるものは先にしておく

1.5×4.2の部分は、□の場所とは関係なく計算できるところです。当然、先に計算しておかないといけません。
・・1.5
×4.2
・・30
60
6.30

3、逆算の順番を考えて計算をする

17.8から1.5×4.2の答えの6.3をひいて、それに0.4をかけて、最後に4.63からひいたらよいとわかります。

17.8−6.3は11.5。

11.5
×0.4
4.60

最後に4.63−4.6で0.03。

4.ひき算とわり算の逆算は単純ではない。

普通、もとにもどす計算は、たし算→ひき算、ひき算→たし算、かけ算→わり算、わり算→かけ算の、いわゆる「反対の計算」をしたらよい。

ところが、いつもそうだとはいえないのが、ひき算とわり算です。

□−2=5のときは□は5+2の7です。ひき算の反対のたし算で求められます。
ところが、7−□=5であれば、□は7+5の12ではありません。7−5の2です。
つまり、未知数□の前がひくであれば、もとにもどす計算もひき算です。

同様に、□÷2=5のときは□=5×2=10ですが、10÷□=5であれば□=10÷5=2です。

未知数□の前が−のときと、未知数□の前が÷のとき、この2つの場合は、もとにもどす計算は前−後ろ、前÷後ろとなります。

以上、還元算の要点をまとめると、

(1)未知数□のない普通の計算だとどういう順番で計算するか、計算の順序を最初に確認する(慣れるまでは、計算するはずの部分を順序にそって鉛筆で囲んでいけばよい)。

(2)確認した順序の逆から
、逆算してもとにもどしていく

(3)未知数□の部分に関係なく計算できる部分は先に計算しておく。

(4)a−□=bのときは□=ab、a÷□=bのときは□=a÷bであり、「反対の計算」ではないので注意が必要。


となります。


例題3:
3−1



一見難しそうにみえますが、もう、たいしたことはありません。

1、普通の計算問題だったらどう解くはずか、計算の順序を確認する

5/8×4/25の計算をして、1/12÷□の計算の答えをたして、4/3からひいたら73/120になった、という順番です。

2、普通の計算の順番とは逆に、もとにもどしていく

4/3から( )の部分をひいたら73/120になったはずだから、まず4/3から73/120をひきます。
4/3−73/120=160/120−73/120=87/120=29/40。

次に、□の部分に関係なく計算できる部分、5/8×4/25を求めておきます。
1/10です。

次に、その1/10に1/12÷□の答えをたしたものが29/40だったので、29/40から1/10をひきます。
29/40−1/10=29/40−4/40=25/40=5/8。

最後に1/12÷□=5/8とわかったので、□=1/12÷5/8。
1/12÷5/8=1/12×8/5=2/15。


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