小学校では(中1の正の数・負の数でも)、カッコ( )は、「その部分を先に計算する」という意味でした。
(例)3×(8−2)=3×6=18
ところが、文字式からあとは、カッコの意味が違ってきます。
文字式以降は、カッコ( )で囲まれた部分を、『1つのまとまりとしてあつかう』という意味になります。
1、単位とカッコ
1個a円の品物を5個買ったときの代金を表す式は5a円です。
1個a円の品物を5個買って1000円を出したときのおつりを表す式は(1000−5a)円です。
5a円のときはカッコがいらないのに、(1000−5a)円のときは式をカッコにいれて単位の円をつけないといけません。
なぜでしょうか?
1000−5a円と書いてしまうと、5aと円だけがくっついているから、円は5aについているだけで、1000には円という単位がついていないことになり、誤りだからです。
1000−5aの全体がおつりを表す式ですかから、それを『1つのまとまりとして』あつかい、1000−5a全体に単位の円をつけないといけません。
そのことを示すために、(1000−5a)とカッコに入れる必要があるのです。
(単位のつけ方としては1000−5a(円)という書き方も正解ですが、ここでは多くの教科書で採用されている書き方について説明しました。)
2、文字式のきまりとカッコ
(a+b)×6を、文字式のきまりにしたがって書くと6(a+b)です。カッコをとったら間違いです。
ところが、(a+b)÷6を、文字式のきまりにしたがって書くと、カッコがとれてしまいます。

かけ算とは逆で、カッコをつけたら間違いです。
その理由も、カッコの意味が、カッコで囲まれたものを『1つのまとまりとしてあつかう』こと、だからです。
(a+b)×6の場合、a+bの全体に6をかけないといけないので、(a+b)のカッコは、つけたままにしておかないといけません。

の場合、分数の横棒ですでにa+bが1つのまとまりとしてあつかわれているので、もうカッコは不要、カッコを使ってはいけないのです。
3、文字式の計算とカッコ
(3a+5)+(4a−9)の計算の仕方を考えてみましょう。
最初、3a+5=8aと間違える人がいます。
3aは3×aで、aが3個あることであり、5はただの数字の5ですから、aが3個と数字の5をたせるわけがありません。
カッコに、「先に計算する」という意味はありません。
1つのまとまりとしてカッコを使っていただけで、この問題だと、計算できる3aと4a、5と−9を計算しないといけないので、まず1つのまとまりであった3a+5と4a−9の、まとまりとしての性質を解除しないといけない。
だから、最初にカッコをはずして、まとまりではない形にします。
(3a+5)+(4a−9)
=3a+5+4a−9
=3a+4a+5−9
=7a−4
となります。
まず、1つのまとまりとしての性質を解除しないといけないので、先にカッコをはずしてから、計算できるものを計算するわけです。
次に、特に重要なのが、カッコの前が−のときの計算の仕方です。
例えば、(7a−3)−(2a−5)を計算する場合。
−(2a−5)は、2a−5という1つのまとまりに−がついていたわけです。
言い換えれば、2aと−5のまとまり全体に、−がついていると考えないといけません。
だから、カッコをはずすときは、カッコの前の−が、2aにも−5にもついていたと考えて、−(2a)=−2a、−(−5)=+5とします。
(7a−3)−(2a−5)
=7a−3−2a+5
=7a−2a−3+5
=5a+2
と解くのは、上に書いたような理由があるからです。
−(2a−5)=−2a+5となるのは、カッコの前に−があるときは後ろの項の符号が反対に変わるから、と覚える人がありますが、それは誤りです。
カッコの前の−が、カッコの中の2aにも−5にもかかっていくから、−2a+5になるのです。
また、面倒くさがって、(7a−3)−(2a−5)の問題の上に鉛筆で(7a−3)−(2a+5)と書き加えて問題を解こうとする人がいますが、こういう人は、カッコの意味と役割を理解していないわけで、あとで必ずミスを連発してしまいます。
4、分配法則とカッコ
2(3a+1)=2×3a+2×1=6a+2です。
この問題は、ほとんどの人が間違えません。
しかし、普段は意識しませんが、2(3a+1)=2×3a+2×1と解いていいのは、やはり、カッコが1つのまとまりを表す記号だからです。
カッコの前の2が、1つのかたまりとしての3a+1についているから、カッコをとるときは、それぞれに2がかかっていって、2×3a、2×1となるのです。
(6a+15)÷3=6a÷3+15÷3=2a+5になるのも同じ理屈です。
まとめ
このように考えると、小学校のときや正の数・負の数で、カッコの部分を「先に計算する」という意味だと覚えていたのが、実は不正確であったことがわかってきます。
カッコの本当の意味は、『1つのまとまりとしてあつかう』だったのです。
たまたま、今までは、『1つのまとまりとしてあつかう』結果として、その部分が先に計算できるので、先に計算していただけです。
誤解していたカッコの意味を、ここで修正しておかないといけません。
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(例)3×(8−2)=3×6=18
ところが、文字式からあとは、カッコの意味が違ってきます。
文字式以降は、カッコ( )で囲まれた部分を、『1つのまとまりとしてあつかう』という意味になります。
1、単位とカッコ
1個a円の品物を5個買ったときの代金を表す式は5a円です。
1個a円の品物を5個買って1000円を出したときのおつりを表す式は(1000−5a)円です。
5a円のときはカッコがいらないのに、(1000−5a)円のときは式をカッコにいれて単位の円をつけないといけません。
なぜでしょうか?
1000−5a円と書いてしまうと、5aと円だけがくっついているから、円は5aについているだけで、1000には円という単位がついていないことになり、誤りだからです。
1000−5aの全体がおつりを表す式ですかから、それを『1つのまとまりとして』あつかい、1000−5a全体に単位の円をつけないといけません。
そのことを示すために、(1000−5a)とカッコに入れる必要があるのです。
(単位のつけ方としては1000−5a(円)という書き方も正解ですが、ここでは多くの教科書で採用されている書き方について説明しました。)
2、文字式のきまりとカッコ
(a+b)×6を、文字式のきまりにしたがって書くと6(a+b)です。カッコをとったら間違いです。
ところが、(a+b)÷6を、文字式のきまりにしたがって書くと、カッコがとれてしまいます。

かけ算とは逆で、カッコをつけたら間違いです。
その理由も、カッコの意味が、カッコで囲まれたものを『1つのまとまりとしてあつかう』こと、だからです。
(a+b)×6の場合、a+bの全体に6をかけないといけないので、(a+b)のカッコは、つけたままにしておかないといけません。

の場合、分数の横棒ですでにa+bが1つのまとまりとしてあつかわれているので、もうカッコは不要、カッコを使ってはいけないのです。
3、文字式の計算とカッコ
(3a+5)+(4a−9)の計算の仕方を考えてみましょう。
最初、3a+5=8aと間違える人がいます。
3aは3×aで、aが3個あることであり、5はただの数字の5ですから、aが3個と数字の5をたせるわけがありません。
カッコに、「先に計算する」という意味はありません。
1つのまとまりとしてカッコを使っていただけで、この問題だと、計算できる3aと4a、5と−9を計算しないといけないので、まず1つのまとまりであった3a+5と4a−9の、まとまりとしての性質を解除しないといけない。
だから、最初にカッコをはずして、まとまりではない形にします。
(3a+5)+(4a−9)
=3a+5+4a−9
=3a+4a+5−9
=7a−4
となります。
まず、1つのまとまりとしての性質を解除しないといけないので、先にカッコをはずしてから、計算できるものを計算するわけです。
次に、特に重要なのが、カッコの前が−のときの計算の仕方です。
例えば、(7a−3)−(2a−5)を計算する場合。
−(2a−5)は、2a−5という1つのまとまりに−がついていたわけです。
言い換えれば、2aと−5のまとまり全体に、−がついていると考えないといけません。
だから、カッコをはずすときは、カッコの前の−が、2aにも−5にもついていたと考えて、−(2a)=−2a、−(−5)=+5とします。
(7a−3)−(2a−5)
=7a−3−2a+5
=7a−2a−3+5
=5a+2
と解くのは、上に書いたような理由があるからです。
−(2a−5)=−2a+5となるのは、カッコの前に−があるときは後ろの項の符号が反対に変わるから、と覚える人がありますが、それは誤りです。
カッコの前の−が、カッコの中の2aにも−5にもかかっていくから、−2a+5になるのです。
また、面倒くさがって、(7a−3)−(2a−5)の問題の上に鉛筆で(7a−3)−(2a+5)と書き加えて問題を解こうとする人がいますが、こういう人は、カッコの意味と役割を理解していないわけで、あとで必ずミスを連発してしまいます。
4、分配法則とカッコ
2(3a+1)=2×3a+2×1=6a+2です。
この問題は、ほとんどの人が間違えません。
しかし、普段は意識しませんが、2(3a+1)=2×3a+2×1と解いていいのは、やはり、カッコが1つのまとまりを表す記号だからです。
カッコの前の2が、1つのかたまりとしての3a+1についているから、カッコをとるときは、それぞれに2がかかっていって、2×3a、2×1となるのです。
(6a+15)÷3=6a÷3+15÷3=2a+5になるのも同じ理屈です。
まとめ
このように考えると、小学校のときや正の数・負の数で、カッコの部分を「先に計算する」という意味だと覚えていたのが、実は不正確であったことがわかってきます。
カッコの本当の意味は、『1つのまとまりとしてあつかう』だったのです。
たまたま、今までは、『1つのまとまりとしてあつかう』結果として、その部分が先に計算できるので、先に計算していただけです。
誤解していたカッコの意味を、ここで修正しておかないといけません。
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なんで文字式の分数の時に( )を外すのか
(1000−5a)円と( )をつけるのか
不思議に思っていたのが解決出来ました。
ありがとうございます