中1の文字式の単元で、1次式の計算はそんなに難しくありません。

子どもたちが少しだけ苦労するのは、分数の式の加法・減法です。

例題1:
1
を計算せよ。



この計算問題の解き方として、通常、テキストには次の2つの方法が載っています。

(解き方1)

分数の加法だから、通分しないといけないということから出発します。

分母の3と4の最小公倍数は12ですから、分母を12にします。

手元の教科書では、そのあとの途中式の書き方は次のように記載されています。

1−2
全然問題はないし、私も以前はこの方法で解くように指導していました。

しかし、どうも子どもたちの「覚えがわるい」。

やり方を思い出せなくて、じいっと手が止まってしまう子が続出でした。

このやり方の長所は、カッコを使うので符号間違いが減ることです。

逆に欠点は、文字式でないとき、つまり数字だけの分数の加法のときには、こんなやり方をしないということです。
1−3










上に書いたような解き方は、誰もしません。

だから、(解き方1)が、すっと自然には子どもたちの頭には浮かんできません。
言い換えれば、1次式である分数の加法に限った、特殊なやり方を覚えないといけないのが欠点だということです。


(解き方2)

2つ目の解き方は、式を変形して分配法則を使う解き方です。

1−4
この解き方も理屈には合っていますが、おそらくほとんどの子はこの解き方を採用しません。

分母の3を分数の1/3にして前に出したあと、分子をカッコに入れるなどということは、(解き方1)以上に技巧的です。
自然に頭に浮かぶようなものではない。
この問題のためだけに特別に覚えないといけないという意味では、(解き方1)と同じ欠点があります。

さらに、もう1つの欠点として、最後まで分数を分数として計算しないといけないから、途中の計算が煩雑になることがあげられます。
(解き方1)だと、式全体は分数の形ですが、実際にしている分子の計算は整数の計算だけです。
計算がわずらわしいという点では、(解き方1)にも劣ります。


(解き方3)

私は、次のようにして解くように指導しています。

1−5
(解き方1)と同じと言えないこともありませんが、子どもたちの過去の知識を活用する方法です。

「分数の加法だから通分したらよい」から出発して、分母を最小公倍数の12にします。

次に、前の分数は、分母を4倍したから分子も4倍し、後ろの分数は分母を3倍したから分子も3倍します。

最後に計算をして、終わりです。

子どもたちは、小学生のときに、分数の加法を、
1−6







と、解いているわけです。

この解き方と、そっくり同じ解き方で解かせたらよい。

(解き方3)が、子どもたちの頭に一番無理なくすっと浮かんでくる解き方です。
1次式の分数の加法の解き方として、何も特別なことを教える必要がありません。

さらに、途中式は簡単ですむし、計算も楽です。

(解き方1)と(解き方2)の、両方の欠点からのがれることができます。


子どもたちから教えられる

私が(解き方3)がすぐれているとわかったのは、(解き方1)で教えていて、苦労したからです。
いくら教えても、実際の子どもたちは(解き方3)で解こうとする。

初めは矯正しようと試みたのですが、ある時点で「待てよ、これは子どもたちの方が正しいのかもしれない。」と思うようになりました。

その一番の理由は、(解き方3)で解こうとする子が多いということは、この解き方が実際の子どもたちの頭の使い方に一番合致していることを証明していると思ったからです。

さらに、(解き方3)で解いても、何の不都合もない。
かえって、(解き方1)や(解き方2)よりも簡便だし、計算間違いも少ない。

子どもたちから教わりました。


符号間違いに注意する

(解き方1)と(解き方2)は、結局、カッコを使って、そのカッコをあけて解いていくので、カッコの存在が符号に注意するきっかけにはなります。

(解き方3)はカッコを使わないので、符号間違いをしないようにするには別の原理を持ち出さないといけません。

例題2:
2
を計算せよ。



(解き方3)で解いていきます。

2−2
通分をして、すぐに計算して、終わりです。

注意しないといけないのは、後ろの分数の分子の符号です。





2−3
分数は、カッコで囲まれたものと同じで、1つのまとまり、かたまりです。

そのまとまりの前に−がついているので、カッコと同様、−は3aと−1のそれぞれにかかっていきます。
だから、後ろの分数の分子の−1は、計算をするときは−(−1)=+1です。

「分数は、カッコと同じで1つのかたまりと考えないといけないから、前がマイナスだと符号が変わる。」と注意しておけば、符号間違いはなくなります。



*****数学の全目次はこちら、ワンクリックで探している記事を開くことができます*****