国語の入試問題でよく出題されるものに、文中にある「の」の識別の問題があります。
語の識別の問題を解くときは、次の順で試みるのが有効です。
(1)他の語に言い換えてみる(同じ語で言い換えられるときは同じ意味、用法である)。
(2)その語が文法的に単独の1語なのか、ある語の1部なのかを考える(2語以上であることもある)。
(3)品詞を確定して、品詞を手がかりに識別する。
自立語か付属語か。・・・付属語であれば助詞か助動詞
活用があるかないか。・・・活用するのは動詞・形容詞・形容動詞・助動詞の4つ
主語か述語か修飾語か。・・・主語になるのは名詞か代名詞
連体修飾語か連用修飾語か。
例題1:
次の傍線を引いた語のうち、一つだけ他と異なるものがある。それを選びなさい。
ア 海の見える公園。
イ 私の書いた文章。
ウ 雪の残る山道。
エ 小鳥のさえずりが聞こえる。
この問題だと、他の語で言い換えてみると、すぐに正解が見つかります。
ア 海の見える公園→海が見える公園
イ 私の書いた文章→私が書いた文章
ウ 雪の残る山道→雪が残る山道
エ 小鳥のさえずりが聞こえる→小鳥がさえずりが聞こえる(×)
以上より、1つだけ他と異なるのはエです。
この問題は、「他の語の言い換え」で容易に答えがわかる代表的な問題です。
そして、「の」は、「が」で言い換えられるかどうかで識別できる場合が多いのです。
「が」は主語を表す格助詞ですから、「が」で言い換えられる「の」は、主語であることを示す格助詞の「の」です。
ちなみに、選択肢エの「の」は、「小鳥の」が名詞の「さえずり」を修飾しているので、連体修飾であることを示す格助詞です。
例題2:
「人類も自然に生まれてきた生物の一つですから、その活動が環境に影響を与えるのは必然です。」の、「の」と同じ用法のものを選べなさい。
ア 院長の高橋先生はやさしい。
イ 木村さんのようになりたい。
ウ 父の学んだ高校に進みたい。
エ 家族と旅行するのが楽しい。
この問題の、「影響に与えるのは必然です」の「の」は、「影響に与えることは必然です」と、「こと」に言い換えることができる「の」です。
「こと」や「もの」は体言ですから、「こと」や「もの」に言い換えられる「の」は体言をつくる「の」です。
この「の」を、体言の代わりをする格助詞なので、準体言といいます。
例文の「の」が「こと」に言い換えられる「の」だとわかれば、同じ用法の「の」を見つけるのは容易です。
エの「家族と旅行するのが正しい」が、「家族と旅行することが正しい」と言い換えられますから、正解はエです。
参考までに、他の選択肢の「の」の文法的な性質は次のようになります。
ア 院長の高橋先生はやさしい。・・・「高橋先生」を修飾する連体修飾の格助詞「の」
イ 木村さんのようになりたい。・・・「ように」を修飾する連体修飾の格助詞「の」
ウ 父の学んだ高校に進みたい。・・・「が」で言い換えられる、主語を示す格助詞「の」
例題1や例題2のように、「の」の識別の問題は、「が」で言い換えられるかどうか、「こと」「もの」で言い換えられるかどうか、のどちらかで解決できるものがほとんどです。
仕上げに、「の」にはどのような文法的性質をもつものがあるのか、おもなものを列挙しておきます。
(1)連体修飾を示す格助詞の「の」・・・もっとも一般的に使われる「の」
(2)主語を示す格助詞の「の」・・・「が」と言い換えられる「の」
(3)体言の代わりに用いられる格助詞の「の」・・・「こと」「もの」と言い換えられる、準体言の「の」
(4)同格を表す格助詞の「の」・・・(例)男の私でもこわかった(男である私)。
(5)質問を表す終助詞の「の」・・・(例)まだ来ないの?
(6)接続助詞「ので」「のに」の一部
(7)連体詞「この」「その」「あの」の一部
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語の識別の問題を解くときは、次の順で試みるのが有効です。
(1)他の語に言い換えてみる(同じ語で言い換えられるときは同じ意味、用法である)。
(2)その語が文法的に単独の1語なのか、ある語の1部なのかを考える(2語以上であることもある)。
(3)品詞を確定して、品詞を手がかりに識別する。
自立語か付属語か。・・・付属語であれば助詞か助動詞
活用があるかないか。・・・活用するのは動詞・形容詞・形容動詞・助動詞の4つ
主語か述語か修飾語か。・・・主語になるのは名詞か代名詞
連体修飾語か連用修飾語か。
例題1:
次の傍線を引いた語のうち、一つだけ他と異なるものがある。それを選びなさい。
ア 海の見える公園。
イ 私の書いた文章。
ウ 雪の残る山道。
エ 小鳥のさえずりが聞こえる。
この問題だと、他の語で言い換えてみると、すぐに正解が見つかります。
ア 海の見える公園→海が見える公園
イ 私の書いた文章→私が書いた文章
ウ 雪の残る山道→雪が残る山道
エ 小鳥のさえずりが聞こえる→小鳥がさえずりが聞こえる(×)
以上より、1つだけ他と異なるのはエです。
この問題は、「他の語の言い換え」で容易に答えがわかる代表的な問題です。
そして、「の」は、「が」で言い換えられるかどうかで識別できる場合が多いのです。
「が」は主語を表す格助詞ですから、「が」で言い換えられる「の」は、主語であることを示す格助詞の「の」です。
ちなみに、選択肢エの「の」は、「小鳥の」が名詞の「さえずり」を修飾しているので、連体修飾であることを示す格助詞です。
例題2:
「人類も自然に生まれてきた生物の一つですから、その活動が環境に影響を与えるのは必然です。」の、「の」と同じ用法のものを選べなさい。
ア 院長の高橋先生はやさしい。
イ 木村さんのようになりたい。
ウ 父の学んだ高校に進みたい。
エ 家族と旅行するのが楽しい。
この問題の、「影響に与えるのは必然です」の「の」は、「影響に与えることは必然です」と、「こと」に言い換えることができる「の」です。
「こと」や「もの」は体言ですから、「こと」や「もの」に言い換えられる「の」は体言をつくる「の」です。
この「の」を、体言の代わりをする格助詞なので、準体言といいます。
例文の「の」が「こと」に言い換えられる「の」だとわかれば、同じ用法の「の」を見つけるのは容易です。
エの「家族と旅行するのが正しい」が、「家族と旅行することが正しい」と言い換えられますから、正解はエです。
参考までに、他の選択肢の「の」の文法的な性質は次のようになります。
ア 院長の高橋先生はやさしい。・・・「高橋先生」を修飾する連体修飾の格助詞「の」
イ 木村さんのようになりたい。・・・「ように」を修飾する連体修飾の格助詞「の」
ウ 父の学んだ高校に進みたい。・・・「が」で言い換えられる、主語を示す格助詞「の」
例題1や例題2のように、「の」の識別の問題は、「が」で言い換えられるかどうか、「こと」「もの」で言い換えられるかどうか、のどちらかで解決できるものがほとんどです。
仕上げに、「の」にはどのような文法的性質をもつものがあるのか、おもなものを列挙しておきます。
(1)連体修飾を示す格助詞の「の」・・・もっとも一般的に使われる「の」
(2)主語を示す格助詞の「の」・・・「が」と言い換えられる「の」
(3)体言の代わりに用いられる格助詞の「の」・・・「こと」「もの」と言い換えられる、準体言の「の」
(4)同格を表す格助詞の「の」・・・(例)男の私でもこわかった(男である私)。
(5)質問を表す終助詞の「の」・・・(例)まだ来ないの?
(6)接続助詞「ので」「のに」の一部
(7)連体詞「この」「その」「あの」の一部
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AのBが、話者の意図がA=Bであれば同格、A>B(Aの中のB)であれば連体修飾ではないでしょうか。
例文の「男の私でもこわかった」は、「私は男だが、それでもこわかった」だから同格だと私は判断しました。