この稿で取り上げるのは、文中の「ない」の識別の問題です。
「の」の識別で列挙した見分け方が、「ない」の識別でも有効です。
(1)他の語に言い換えてみる(同じ語で言い換えられると きは同じ意味、用法である)。
(2)その語が文法的に単独の1語なのか、ある語の1部なのかを考える (2語以上であることもある)。
(3)品詞を確定して、品詞を手がかりに識別する。
自立語か付属語か。・・・付属語であれば助詞か助動詞
活用があるかないか。・・・活用するのは動詞・形容詞・形容動詞・助動詞の4つ
主語か述語か修飾語か。・・・主語になるのは名詞か代名詞
連体修飾語か連用修飾語か。
例題1:
「私たちは何も知らない。」の「ない」と同じ意味・用法のものを、次のア〜エの中から一つ選び、記号で答えなさい。
ア 彼女には欠点がほとんどない。
イ 彼は怒ってばかりいておとなげない。
ウ 人の悪口は言わないほうがよい。
エ 故郷を思うとせつない気持ちになる。
「ない」の識別の問題は、「ぬ」で言い換えられるかどうかの観点から眺めると、簡単に識別できます。
なぜなら、「ない」には助動詞の「ない」と形容詞の「ない」とがありますが、助動詞の「ない」であれば同じ意味の助動詞「ぬ」で言い換えられるからです。
例文の「知らない」は「知らぬ」と言い換えることができます。
「知らない」の「ない」は、「ぬ」と同じで、動詞「知る」についた打ち消しの助動詞です。
ア〜エから、「ぬ」で言い換えられる打ち消しの助動詞「ない」を探すと、ウの「言わない」だけが「言わぬ」と言い換えられますから、正解はウということになります。
アの「ほとんどない」の「ない」は、形容詞の「ない」です(動詞「ある」の対義語にあたる、形容詞の「ない」です)。
イの「おとなげない」の「ない」は、「ない」とは別の形容詞「おとなげない」の一部です。
エの「せつない」の「ない」も、別の形容詞「せつない」の一部です。
あと、「ない」には、補助形容詞といわれるものもあります。
例えば、「多くない」の「ない」が補助形容詞です。
「多く『ぬ』」とは言い換えられないので、「多くない」の「ない」は打ち消しの助動詞ではありません。
また、「ある」の対義語にあたる、単独の形容詞の「ない」とも違います。
形容詞の連用形について補助の文節をつくる、また別の形容詞の「ない」です。
まとめると、「ない」には、
(1)打ち消しの助動詞の「ない」・・・「ぬ」で言い換えられる。
(2)「ある」の対義語にあたる形容詞の「ない」。
(3)形容詞の連用形について補助の文節をつくる形容詞の「ない」(補助形容詞)。「若くない」=「若く『は』ない」のように、「は」を入れても意味が変わらないときが、この「ない」です。
(4)他の形容詞(「はかない」や「なさけない」)の一部。
この4つがあることになります。
例題2:
(1)〜(4)までの文の傍線部の「ない」と同じ意味・用法のものを、あとのア〜エの中から選び、記号で答えなさい。
(1)この部屋には窓がない。
(2)このケーキは甘くない。
(3)この空模様だと雨は降らない。
(4)明日の天気はおぼつかない。
ア セミの一生ははかない。
イ 机の上にあった本がない。
ウ 彼は少しも本を読まない。
エ この商品は品質がよくない。
(解答)
(1)の「窓がない」の「ない」は、「ある」の対義語の形容詞「ない」です。イの「本がない」の「ない」が同じ意味・用法です。
(2)の「甘くない」の「ない」は、「甘く『は』ない」と言い換えられる補助形容詞の「ない」です。エの「よくない」が「よく『は』ない」と言い換えられます。
(3)の「降らない」の「ない」は、「降らぬ」と言い換えられるので、打ち消しの助動詞である「ない」です。ウの「読まない」が「読まぬ」といえるので、同じ用法の「ない」です。
(4)の「おぼつかない」は一語の形容詞であり、「ない」はその一部です。アの「はかない」が一語の形容詞なので、(4)とアが共通の「ない」です。
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「の」の識別で列挙した見分け方が、「ない」の識別でも有効です。
(1)他の語に言い換えてみる(同じ語で言い換えられると きは同じ意味、用法である)。
(2)その語が文法的に単独の1語なのか、ある語の1部なのかを考える (2語以上であることもある)。
(3)品詞を確定して、品詞を手がかりに識別する。
自立語か付属語か。・・・付属語であれば助詞か助動詞
活用があるかないか。・・・活用するのは動詞・形容詞・形容動詞・助動詞の4つ
主語か述語か修飾語か。・・・主語になるのは名詞か代名詞
連体修飾語か連用修飾語か。
例題1:
「私たちは何も知らない。」の「ない」と同じ意味・用法のものを、次のア〜エの中から一つ選び、記号で答えなさい。
ア 彼女には欠点がほとんどない。
イ 彼は怒ってばかりいておとなげない。
ウ 人の悪口は言わないほうがよい。
エ 故郷を思うとせつない気持ちになる。
「ない」の識別の問題は、「ぬ」で言い換えられるかどうかの観点から眺めると、簡単に識別できます。
なぜなら、「ない」には助動詞の「ない」と形容詞の「ない」とがありますが、助動詞の「ない」であれば同じ意味の助動詞「ぬ」で言い換えられるからです。
例文の「知らない」は「知らぬ」と言い換えることができます。
「知らない」の「ない」は、「ぬ」と同じで、動詞「知る」についた打ち消しの助動詞です。
ア〜エから、「ぬ」で言い換えられる打ち消しの助動詞「ない」を探すと、ウの「言わない」だけが「言わぬ」と言い換えられますから、正解はウということになります。
アの「ほとんどない」の「ない」は、形容詞の「ない」です(動詞「ある」の対義語にあたる、形容詞の「ない」です)。
イの「おとなげない」の「ない」は、「ない」とは別の形容詞「おとなげない」の一部です。
エの「せつない」の「ない」も、別の形容詞「せつない」の一部です。
あと、「ない」には、補助形容詞といわれるものもあります。
例えば、「多くない」の「ない」が補助形容詞です。
「多く『ぬ』」とは言い換えられないので、「多くない」の「ない」は打ち消しの助動詞ではありません。
また、「ある」の対義語にあたる、単独の形容詞の「ない」とも違います。
形容詞の連用形について補助の文節をつくる、また別の形容詞の「ない」です。
まとめると、「ない」には、
(1)打ち消しの助動詞の「ない」・・・「ぬ」で言い換えられる。
(2)「ある」の対義語にあたる形容詞の「ない」。
(3)形容詞の連用形について補助の文節をつくる形容詞の「ない」(補助形容詞)。「若くない」=「若く『は』ない」のように、「は」を入れても意味が変わらないときが、この「ない」です。
(4)他の形容詞(「はかない」や「なさけない」)の一部。
この4つがあることになります。
例題2:
(1)〜(4)までの文の傍線部の「ない」と同じ意味・用法のものを、あとのア〜エの中から選び、記号で答えなさい。
(1)この部屋には窓がない。
(2)このケーキは甘くない。
(3)この空模様だと雨は降らない。
(4)明日の天気はおぼつかない。
ア セミの一生ははかない。
イ 机の上にあった本がない。
ウ 彼は少しも本を読まない。
エ この商品は品質がよくない。
(解答)
(1)の「窓がない」の「ない」は、「ある」の対義語の形容詞「ない」です。イの「本がない」の「ない」が同じ意味・用法です。
(2)の「甘くない」の「ない」は、「甘く『は』ない」と言い換えられる補助形容詞の「ない」です。エの「よくない」が「よく『は』ない」と言い換えられます。
(3)の「降らない」の「ない」は、「降らぬ」と言い換えられるので、打ち消しの助動詞である「ない」です。ウの「読まない」が「読まぬ」といえるので、同じ用法の「ない」です。
(4)の「おぼつかない」は一語の形容詞であり、「ない」はその一部です。アの「はかない」が一語の形容詞なので、(4)とアが共通の「ない」です。
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やっと理解できました。