これも、今日の授業中の質問から。

例題:
次の傍線の語句の品詞名と活用形を答えなさい。
(1)
本当に美しい夕日だった。
(2)
とても簡単な問題だ。


(解答)
(1)「本当に」は形容動詞「本当だ」の連用形。
(2)「簡単な」は形容動詞「簡単だ」の連体形。


M君の質問「先生は以前、形容動詞の見つけ方として、『だ』と『な』の両方がつけば形容動詞だと言ってましたよね?」

「そうだよ。「大きな」は「大きだ」とはならないから連体詞、だけど、「見事な」だと、「見事だ」と活用するから形容動詞。形容動詞は「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」と活用するから、終止形の『だ』と連体形の『な』の両方がついたら形容動詞である証拠だ。」

M君「でも、問題の「本当に」ですが、「本当だ」となるから形容動詞だと思って答えを書いて一応正解だったんですが、「本当な」って言い方ありますか?」

「え?「本当な」?そういえば、「本当な」って・・・、ないよなあ・・・(と、ちょっとあせる)。」

M君「・・・・(この人、嘘を教えていたのかという疑いの目)。」

「ううんと・・・(汗)。あのね、「本当な」っていう形、ないって言ったけど、本当はあるんだよ。『彼の話は本当なので、皆が信じた』っていう言い方、おかしくないだろう?このときの「本当な」は、形容動詞「本当だ」の連体形なんだ。これをわかってもらうには、『連体形』についてちょっと知っておいてもらう必要があるなあ。」

ということで、次のような説明を加えました。

活用形のうちの連体形ですが、連体形とは、「連」「体」形、つまり、「体言」に「連続」する形です。
すぐ後に体言(名詞・代名詞)が続いて、その体言にかかる、体言を修飾する形なので連体形といいます。

だから、連体形かどうかを見分けるときや連体形であることを確認するとき、体言にあたる代表的な語である『とき』や『こと』をつけてみて、『とき』や『こと』がつけば、その形は連体形だと言えるわけです。

ところが、連体形のあとにくるのは、実は、体言だけではありません。
助動詞の「ようだ」、格助詞の「」、接続助詞の「ので」や「のに」に続くときも、活用形は連体形なのです。

つまり、正確に言うと、連体形とは、(1)原則として体言に続く形であり、それがほとんどですが、まれに、(2)助動詞の「ようだ」に続くときと、(3)助詞の「」、「ので」、「のに」に続くとき(あと、副助詞の「ぐらい」、「ばかり」、「だけ」に続くとき)も、活用形としては連体形です。

(なぜ、「ようだ」や、「の」に続くときも連体形なのかというと、おそらく、「ようだ」の場合は、かつては名詞であった「よう」に、「だ」がついてできたのが助動詞の「ようだ」だからでしょうし、「の」の場合は、「こと(=名詞)」に言い換えられる助詞の「の」に続くからでしょう。)


まとめると、
(1)体言に続く活用形、体言を修飾する活用形が連体形である。
(2)助動詞の「ようだ」に続くときは、体言を修飾しているわけではないが連体形である。
(3)助詞の「」、「ので」、「のに」、「ぐらい」、「ばかり」、「だけ」に続くときも、体言には続かないが連体形である。


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