これも、今日の授業中の質問から。

例題:
次の名詞・代名詞の種類をあとのア〜オから選び、記号で答えなさい。
(1)日本
(2)教科書
(3)あなた
(4)十人

代名詞 イ固有名詞 ウ数詞 エ形式名詞 オ普通名詞



(解答)
(1)「日本」は国名。地名・人名・国名は固有名詞。だから、イ。
(2)「教科書」はなんら特殊でなく、普通の名詞だからオ。
(3)「あなた」は人称代名詞なのでア。
(4)「十人」は「十」という数字を含んでいるので数詞。答えはウ。
形式名詞は、「こと」や「もの」などの、本来の意味をほとんど失って連体修飾語とともに用いられる名詞なので、(1)〜(4)の中にはない。


T君の質問「先生、なぜ「あなた」が代名詞なんですか?代名詞と名詞と、どこが違うんですか?」

「確かに、名詞と代名詞の2つを体言といって、自立語で活用がなくて主語になる点では共通だから区別しにくいよね。テキストによっては代名詞を独立に扱わずに名詞の中に含めているものもあるよ。」

T君「僕も、そのほうが面倒じゃなくていいと思います。」

「2つを別のものとして分ける場合も多いんで、代名詞とは何かくらいは知っておいたほうがいい。ところでT君、英語の代名詞にはどんなものがあるか、知ってるよね。」

T君「Iとか、youとか、heとか、sheとか。」

「そう、それにthisやthatやitも代名詞だ。だから、英語の文法を参考にして、日本語の代名詞も、I、you、he、sheにあたる「私」、「あなた」、「彼」、「彼女」など(人称代名詞)と、this、that、itにあたる「これ」、「あれ」、「それ」の仲間(指示代名詞)だと、覚えたらいいんだよ。」

T君「日本語の文法を覚えるのに、英語の文法を参考にするなんておかしくないですか?」

「もともと日本語には文法なんてなかったらしいよ。明治になって外国の学問を取り入れたときに文法というものがあることを知って、大急ぎで日本語の文法をつくったらしい。そうだとすると、日本語の文法を理解するのに外国語の文法を参考にするのは全然おかしくないし、理にかなってると、私は思うな。」

ということで、次のような説明をつけ加えました。


英語文法と日本語文法の違い

英語だと、Iは「私」と訳しては不正確です。「私は」と訳さないといけません。英語には助詞がないので、文の構造上、そうなります。

myも、英語では「私の」と訳す代名詞ですが、日本語の「私の」は、「私」という代名詞+「の」という助詞です。

また、英語文法には、形容動詞と連体詞はありません。


代名詞の分類

日本語の代名詞は、前述のように、人称代名詞と指示代名詞に分かれます。

人称代名詞は、自称(英語の1人称にあたる)の「」、「ぼく」など、対称(英語の2人称にあたる)の「」、「あなた」など、他称(英語の3人称にあたる)の「」、「彼女」、「だれ」などに分かれます。

指示代名詞は、事物・場所・方向の順に、近称の「これ」、「ここ」、「こっち」など、中称の「それ」、「そこ」、「そっち」など、遠称の「あれ」、「あそこ」、「あっち」など、不定称の「どれ」、「どこ」、「どっち」などに分類されます。

代名詞には、上に例としてあげたものとかけ離れた、まったく異質のものは存在しません。
上の太字のものをしっかりと覚え、あとはそれに近いものを代名詞と判断すればよいだけです。


こそあど言葉と代名詞

小学生のときに、「れ」、「の」、「っち」、「れ」などの指示語(ものを指し示す言葉)のことを、その頭文字をとって「こそあど言葉」と習いました。

中学校以降の国語文法では、こそあど言葉のうち、一部は代名詞に、一部は連体詞に、一部は副詞に、一部は形容動詞に分類されます。

こそあど言葉のうち、代名詞に分類されるもの・・・「これ」、「そこ」、「あちら」、「どっち」などの、「が」や「は」をつけたら主語になるものは、体言であり、代名詞です。

こそあど言葉のうち、連体詞に分類されるもの・・・「この」、「あの」、「その」、「どの」と、「こんな」、「あんな」、「そんな」、「どんな」は、そのあとに名詞をともなって使われるので、連体修飾語になる連体詞です。

こそあど言葉のうち、副詞に分類されるもの・・・「こう」、「そう」、「ああ」、「どう」は、「こう書く」、「そう読む」とそのあとに用言をともなうので、連用修飾語になる副詞です。

こそあど言葉のうち、形容動詞に分類されるもの・・・「こんな」、「そんな」、「あんな」、「どんな」は、「こんなだ」、「そんなに」という使い方をされるときに限って、形容動詞です。ただし、「こんなな」、「そんなな」の形がない、特殊な形容動詞です。


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