おもにヨーロッパが戦場となり、900万人以上の多数の犠牲者を出した第一次世界大戦を反省してつくられた国際組織が国際連盟です。

おもにヨーロッパとアジアが戦場となり、原子爆弾などが使用されてさらに被害が広がった第二次世界大戦を反省してつくられた国際組織が国際連合です。

この稿では、国際連盟と国際連合の違いを、まず、どんなテキストにも記載されている基本的な表を示し、その後に、詳しい説明を加えます。


国際連盟と国際連合の違い(基本)

国際連盟と国際連合(基本)














国際連盟と国際連合の違いを詳しく

成立過程と、設立の基礎になった文書

国際連盟

第一次世界大戦のときのアメリカ合衆国大統領ウィルソンが大戦末期「十四か条の平和原則」を発表しました。
その14条がパリ講和会議でヴェルサイユ条約の第1章「国際連盟規約」として条文に盛り込まれ、国際連盟が設立されました。

国際連合

第二次世界大戦中の1944年、アメリカ、イギリス、中国、ソビエト連邦の代表がワシントンでダンバートン・オークス会議を開き、国際連合憲章の原案を作成しました。
1945年4〜6月、ドイツ・日本に宣戦している連合国50か国の代表がサンフランシスコで国際連合設立のためのサンフランシスコ会議を開き、国際連合憲章を採択しました。
国際連合との間に法的継続性はありませんが、国際司法裁判所国際労働機関などは連盟から引き継ぎました。

成立過程














参加国数と大国の地位

国際連盟

アメリカの大統領ウィルソンが提案したのに、アメリカは参加しませんでした。アメリカでは当時、モンロー主義(アメリカはヨーロッパに口出しをせず、逆にアメリカ大陸に関してはヨーロッパの干渉を排除するという主義)を主張する共和党が上院で多数を占めていたためです(ウィルソン大統領は民主党)。

ドイツは第一次世界大戦の敗戦国であったので、1926年まで加盟を認められませんでした。
ソビエト連邦は、ロシア革命で社会主義国になったのを他の国に警戒され、1934年まで加盟できませんでした。

日本は、1933年、満州事変のあと満州国を建国したことを国際連盟の派遣したリットン調査団に認められなかったことがきっかけで、国際連盟を脱退しました。同年にはドイツ、1937年にはイタリアが脱退し、また、1939年にはフィンランド侵略を理由にソビエト連邦除名されました。

こうして、紛争当事国である大国が国際連盟を抜けることが多く、国際連盟は国際紛争解決の能力を失っていきました。


国際連合

国際連合は、第2次世界大戦で日本やドイツに宣戦した連合国51か国)を設立母体として結成されました。そのため、発足時より、戦勝国のアメリカソビエト連邦イギリスフランス中国のすべてが参加していました。

また、強国が自国に不利益な決議があったことを理由に脱退しないように、安全保障理事会常任理事国である5つの強国に国際連合の決定を拒否する権利(拒否権)を与えました。

さらに、第二次世界大戦後、アジアやアフリカを中心に多くの植民地が独立し国際連合に加盟したため、今では世界のほとんどすべての国192か国が加盟しています(現在加盟していないのは、台湾(中華民国)、バチカン市国パレスチナ暫定自治政府)。

連合国の敵国であった日本とドイツは、日本1956年に、ドイツが1973年に(当時は西ドイツと東ドイツに分かれていましたが)国際連盟に加盟しました。

参加国




機関と議決方法


国際連盟

おもな機関は、総会理事会・事務局・常設国際司法裁判所・国際労働機関で、総会の権限が強かったことが特徴です。

理事会の常任理事国は、日本・イギリス・フランス・イタリアの4か国でした。

総会の決議は、1国1票で、多数決ではなくて全会一致を原則としました。
そのため、なかなか有効な決議ができないという欠点がありました。

国際連合

おもな機関は、総会安全保障理事会経済社会理事会・国際司法裁判所・事務局で、国際連合の最大の設立目的である「国際の平和と安全」に関しては安全保障理事会が強い権限を持ちます。

安全保障理事会の常任理事国は、アメリカロシアイギリスフランス中国の5か国です。

総会の決議は、1国1票で、重要問題については3分の2、一般問題については過半数多数決制です。
安全保障理事会の議決は、常任理事国すべてをふくむ9か国以上の賛成で決まる多数決制です。つまり、常任理事国の1国でも反対すると決議できないことになります(これを拒否権という)。
国際連合は実際に効果のあがる決議ができるように、多数決制と大国中心主義を採用したわけです。

機関と議決方法
















決議に従わない国に対する制裁

国際連盟(勧告・決議+経済制裁)

国際連盟では、総会の勧告や理事会の決議に従わない国に対して、経済制裁を行う権限しかありませんでした。

勧告や制裁の例としては、満州事変後の日本への勧告、エチオピア侵攻のときのイタリアへの経済制裁などがありますが、日本、イタリアの脱退を招きました。


国際連合(勧告・決議+経済制裁+軍事制裁)

国際連合の決議に従わない国に対しては、経済制裁の他、安全保障理事会の決定で軍事制裁(軍事的措置)を含む強制力を用いることができます(実際に国際連合憲章の規定にそった国連軍が結成された例はありません)。

国連軍による軍事制裁の例はありませんが、国際連合平和維持活動PKO)や平和維持軍PKF)が紛争の際に活用されています。

国際連合の平和維持活動PKO)とは、国際紛争の際、間接的に平和的解決につながる基盤を整備するための活動です。
平和維持活動にもとづいて、紛争地域に派遣される各国の部隊を平和維持軍(PKF)といいます。

制裁













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