還元

中学理科の範囲では、酸化物酸素をうばわれることを還元といいます(高校範囲では還元の意味が広がりますが、この稿ではふれません)。

自然にある鉱石から金属を取り出す過程で還元を利用します。

鉄は鉄鉱石から取り出します。
赤鉄鉱や磁鉄鉱などの鉄鉱石は酸化鉄のかたまりです。
製鉄所は、酸化鉄である鉄鉱石を炭素のかたまりであるコークス(石炭を蒸し焼きにしたもの)で還元して鉄を取り出す工場です(理科と社会に関係する興味深い記事『鉄鋼製造について』がこちらにあります)。

銅は銅鉱石(黄銅鉱や赤銅鉱)から取り出しますが、鉄より複雑な工程を経てつくられます(黄銅鉱の場合、溶錬炉で硫化銅を取り出し、硫化銅の硫黄分を酸素で取り除き、最後に電解精錬で純度の高い銅になります)。


中学範囲の理科では、化学反応式の簡単な銅を中心に還元を学びます。

酸化銅の還元

酸化銅の炭素による還元

酸化物酸素をうばわれるのが還元です。

酸化銅から酸素をうばうには、銅より酸素と結びつきやすい物質をもちいます。

炭素は、銅より酸素と結びつきやすい物質です。

酸化銅炭素の混合物を試験管に入れて加熱します。

還元の実験
同じ量の酸化銅と木炭(炭素)を乳鉢(にゅうばち)でよく混ぜたものの試験管に入れて加熱します。

試験管の口のほうを下げて(混合物のあるほうを上げて)加熱します。
発生した水で試験管が割れるのを防ぐためです。(この実験の場合、木炭に含まれていた水分が出てくるおそれがあるからと説明されますが、試験管が割れるほどの水が発生するのか、疑問が残ります。)

気体の発生がとまると、ガスバーナーの火を止めますが、必ず石灰水の入っている試験管をガラス管からはずした後、火を止めないといけません。
そうしないと、石灰水がガラス管を逆流して加熱していたほうの試験管内に入ってしまい、試験管が割れるおそれがあるからです。

また、火を消したら、ガラス管をつないでいたゴム管をピンチコックで閉じます。
還元された銅が、空気中の酸素と結びついて再び酸化銅になるのを防ぐためです。

黒色酸化銅は、赤かっ色に変わります。

発生する気体を石灰水に通すと石灰水が白くにごるので、二酸化炭素ができたことがわかります。

酸化銅+炭素→銅+二酸化炭素

酸化銅は酸素をうばわれてに変わります(還元)。

炭素は酸素と結びついて二酸化炭素になります(酸化)。

酸化銅の還元
酸化と還元は逆の反応(酸素と結びつくか、酸素をうばわれるか)ですが、還元がおこなわれているときには必ず同時に酸化がおこっています(酸化還元反応といわれる)。



化学反応式とモデル

酸化銅+炭素→銅+二酸化炭素を化学反応式で書くと次のようになります。

化学反応式炭素原子1個と酸素原子2個が結びついて二酸化炭素ができるので、1個の炭素原子に対して2個の酸化銅が必要です。

原子のモデルをもちいて書くと次のようになります。

モデル化学反応式2CuOの、前の2は酸化銅CuOが2個あることを表しているので、モデル図を書くときは酸化銅2個を上下に離して書きます。
銅原子が2個あることを表している2Cuも、モデル図では銅2個を上下に離して書きます。


酸化銅の水素による還元

水素も銅より酸素と結びつきやすい物質なので、水素をもちいて酸化銅を還元することもできます。

酸化銅を太いガラス管に入れて、ガラス管の左側から乾燥剤(塩化カルシウムなど)を通した水素を送り込みながら加熱すると、黒色の酸化銅が赤かっ色のに変わることを確かめることができます。
このとき、ガラス管内に液体がつき、塩化コバルト紙をあてると青色から赤色に変わるのでができたこともわかります。

酸化銅+水素→銅+水

酸化銅は酸素をうばわれてに変わります(還元)。

水素は酸素と結びついてになります(酸化)。
水素による還元








化学反応式2水素分子は2個の水素原子が結びついており、水素原子2個と酸素原子1個で水ができるので、酸化銅1個と水素分子1個で銅原子1個と水分子1個ができることになります。

モデル2科学反応式のH2の後ろの2は、水素原子2個が結びついて1個の水素分子ができていることを表しているので、モデル図では2個の水素原子をくっつけて書かないといけません。


炭素水素のように、酸素と結びつきやすく、酸化物から酸素をうばうのに使われる物質を還元剤といいます。


酸化鉄の炭素による還元

製鉄所では、高炉酸化鉄(赤鉄鉱、磁鉄鉱)をコークス(石炭を蒸し焼きにしたもの、おもな成分は炭素)と混ぜたものに熱風を送り込んで加熱し、鉄(銑鉄せんてつ)を取り出します。
不純物を取り除くために石灰岩も加えて加熱します。
その後、転炉でさらに不純物を取り除いて鉄鋼にします。

酸化鉄+炭素→鉄+二酸化炭素

酸化鉄の還元








酸化鉄には何種類かあり、このときの化学反応式も複雑なので、中学理科の範囲では酸化鉄の還元の化学反応式やモデル図は出題されません。


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