消費者

企業が生産した商品を購入して使用する人、企業の提供するサービスを受ける人のことを消費者といいます。
資本主義社会が成立した19世紀末に「消費者」という概念が生まれました。

消費者の立場

消費者はさまざまな商品を購入し使用することで日常の生活を営んでいます。
反面、消費者は企業の不誠実な行為や商品の欠陥で被害をこうむることがあります。

(例)
米騒動・・・1918年に富山県から全国に波及した米騒動はシベリア出兵を前にした米価の高騰、米の売り惜しみに対する消費者の抗議活動でもありました。
森永ヒ素ミルク中毒事件・・・1955年、森永乳業の発売した缶入り粉ミルクに不純物としてヒ素が含まれていたため、1万3千名の乳幼児がヒ素中毒になり、130名以上が死亡しました。
ねずみ講・マルチ商法・・・連鎖的に新会員を募集、勧誘して加入させることで利益を得る会員制の販売方法のこと。無限の会員増を前提にしているので必ず行きづまり、被害をこうむる多数の会員を生みます。

消費者運動

消費者の保護と消費者の権利の確立をめざす運動のことを消費者運動といいます。

太平洋戦争後に大阪で始まった物資獲得運動や、主婦連合会の不良マッチ追放運動などがわが国の消費者運動の始まりとされています。
高度経済成長の始まった1960年代には、商品テストをおこなって告発型の運動をする日本消費者連盟が生まれ、良質の商品を共同購入する生活協同組合が各地に広がりました。

最近の消費者運動は、活動の対象を環境問題、税制、情報公開にまで広げています。


消費者の権利


1962年にアメリカ大統領ケネディが発表した「消費者保護に関する特別教書」の掲げる「消費者の4つの権利」が国際的にも消費者の権利として認められています。
消費者の4つの権利
1、安全を求める権利
2、知らさせる権利
3、選ぶ権利
4、意見を聞いてもらう権利
1975年(昭和50年)、アメリカのフォード大統領が消費者の5番目の権利として、
5、消費者教育を受ける権利
を追加しました。

現在では、消費者は単に保護される対象ではなくて、権利の主体としてその権利を自分たちで守るために自立的に学び、調べ、意見を述べるなどの積極的な活動を求められています。

消費者基本法

わが国で、消費者の基本的な権利を保障するための法律として制定されたのが消費者基本法です(1968年「消費者保護基本法」として制定、2004年「消費者基本法」として改正)。

消費者基本法は、消費者と企業との情報の格差を認め、
1、消費者が安全の確保や商品及び役務について自主的かつ合理的な選択の機会を確保すること(選ぶ権利)
2、必要な情報及び教育の機会が提供されること(知らされる権利・消費者教育を受ける権利)
3、消費者の意見が政策に反映されること(意見を聞いてもらう権利)
4、被害が適切かつ迅速に救済されること(安全を求める権利)
が消費者の権利であることを明記しています。


消費者の権利を守る法律

消費者契約法

消費者契約法(2000年)は、不適切な勧誘方法(企業が事実とちがうことを消費者に告知したり、不確定な要素について断定的な判断を示したり、消費者にとって不利益となる事実を告げないなどの方法)によって、消費者が困惑または誤認して締結した契約については、消費者がその契約の意思表示を取り消すことができると定めています。
また、消費者の利益を不当に害することとなる契約内容については、その全部または一部を無効とすることによって、消費者の利益の保護を図っています。

2006年の改正で、広範囲の被害に対しては消費者団体が代表して企業に差し止め請求などを行使できるようになりました(消費者団体訴訟制度)。
大学の学納金返還や賃貸住宅の敷金返還などの集団訴訟で、この法律を根拠に受験生や借り手の訴えが認められました。


製造物責任法(PL法)

製造物責任法(PL法)(1994年)は、製造物の欠陥により、生命、身体または財産に被害が生じた場合、その製造業者が損害賠償の責任を負うと定めています。

通常、損害賠償の責任を負わせるためには損害を与えたものに「故意」か「過失」があったことを被害者が裁判で証明する必要がありますが、製造物責任法によれば、被害者を広く救済するために、製品に欠陥があることだけを証明できれば製造者に故意や過失がなくても責任を追及することができます。


クーリング・オフ

契約書を受け取ってから一定期間内なら消費者が契約を取り消すことができる制度のことをクーリング・オフといいます。
よく考えないで安易に契約を結んでしまったり、しつこい勧誘に負けて意に反する契約を結んでしまったりした消費者を守るための制度です。

特定商取引に関する法、割賦(かっぷ)販売法、宅地建物取引業法、保険業法などで認められています。

クーリング・オフが認められるのはすべての契約ではありません。訪問販売や通信販売、電話勧誘など、上記法律の定めた業種の、特定の契約締結方法のときに限ります。

クーリング・オフで契約を解除するには、原則として、一定の期間内に(8日間であることが多い)、口頭ではなくて書面で、契約を取り消す必要があります。



***** 社会の全目次はこちら、ワンクリックで探している記事を開くことができます *****