倍数算には、和が一定のとき、差が一定のとき、和も差も変化するときの3種類があって、それぞれ解き方が違うと説明されることが多いのですが、私はすべてを1つの方法で解くほうがよいと思っています。
似た問題をまったく別の方法で解くのは、受験生にとって負担が大きいと思うからです。
算数・数学のコツとして、「2種類以上の数値が出てきたときは1つをそろえてやって残ったもので解けばよい」があります(小学生だと消去算、中学生だと連立方程式がその代表的なものです)。
公倍数を使えば簡単に1つのものをそろえることができるので、3種類ある倍数算をその方法1つだけで解くことができます。
例題1(和が一定のとき)
兄と妹の所持金の比は5:3でしたが、兄が妹に500円あげたので、2人の比は5:4になりました。はじめ、兄は何円もっていましたか。
(解説と解答)
解き始める前に丁寧に線分図をかかないといけないのはすべての問題に共通です。
線分図を見て解く自分自身のために、ふだんから、できるだけ問題の数字に忠実な図をかくべきです。
最初の比は丸で囲む、後の比は四角で囲むなどの区別をしておくと、自分自身が後ですごく楽になります。
線分図がかけたら、次にどちらかの比を公倍数を使ってそろえてやります。
どちらをそろえてもかまいません。
今日は、丸で囲んだほうの比を、5と3の公倍数15にそろえて解いてみましょう。
丸で囲んだ5と3を15にそろえた図を右にかきます。
線分図をかくときに注意するのは同じものを表わす15をきちんとそろえること。
そこさえ正確であれば、あとは適当にかいても大丈夫です。
兄のほうは、5が3倍の15になるので、四角の5も金額の500円も3倍の15と1500円になります。
同じように妹は、3が5倍の15になるので、四角も金額も5倍して四角は20、金額は2500円になります。
最後に右にかき直したほうの線分図をながめると、兄の四角は15、妹の四角は20であり、そのちがいは1500+2500=4000だと一目でわかります。
この4000円を、四角の20と15のちがいの5でわると4000÷(20−15)=800ですから、四角1つ分は800円です。
これで解けました。
問いは、「はじめ、兄は何円もっていましたか」でした。線分図をながめると、はじめの兄は四角の5に500円をたしたものです。
四角の1は800円ですから、はじめの兄は800×5+500=4500円です。
例題2(差が一定のとき)
兄と妹の所持金の比は8:5でしたが、300円ずつ使ったので残金の比が5:3になりました。はじめ、兄は何円もっていましたか。
(解説と解答)
最初の線分図を丁寧にかきます。
どちらをそろえてもかまいませんが、丸で囲んだ比をそろえるとすると8と5の公倍数である40にしたらよいということになります。
兄のほうは8を5倍の40にしたので、四角の5も300も5倍します。
妹のほうは5を8倍の40にしたので、四角の3も300も8倍です。
丸の比を40にした図をかいてみましょう。
丸の40さえそろっていれば、後は適当にかいても大丈夫です。
線分図を見たら、2400−1500=900円が四角の25−24=1であることが一目でわかります。
(2400−1500)÷(25−24)=900
四角の1が900円であり、問いは「はじめ、兄は何円もっていましたか」でしたから、もう一度もとの線分図を見て、はじめの兄は四角の5+300円より900×5+300=4800円。
例題3(和も差も変化するとき)
兄と妹の所持金の比は3:2でしたが、兄は350円使い、妹は150円もらったので、兄と妹の持っているお金の比は2:9になりました。はじめ、兄はいくらもっていましたか。
やはり最初に、問題文にできるだけ忠実に線分図をかきます。
次に、丸か四角の比を公倍数にそろえた図をかきます。
丸の3と2を公倍数の6にそろえてかいてみましょう。
兄は3を6にするので、すべてを2倍します。
妹は2を6にするので、すべてを2倍します。
次の図のようになります。
丸を6にそろえてかいた線分図で、700+450が四角の27−4だとわかります。
(700+450)÷(27−4)=1150÷23=50円。
四角の1にあたる量は50円だとわかりました。
「はじめ、兄はいくらもっていましたか」という問いで、最初の兄は四角の2+350円ですから50×2+350=450円。
このように、公倍数を利用して同じ比を作ることによって、いろいろあるように見える倍数算を統一した1つの方法で解くことができます。
消去算と類似の発想で倍数算と意識しないで解くことができるので、私は和が一定であること見つけたり差が一定であることを見つけてとく方法より数段すぐれたやり方ではないかと思っています(やや、自画自賛です)。
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似た問題をまったく別の方法で解くのは、受験生にとって負担が大きいと思うからです。
算数・数学のコツとして、「2種類以上の数値が出てきたときは1つをそろえてやって残ったもので解けばよい」があります(小学生だと消去算、中学生だと連立方程式がその代表的なものです)。
公倍数を使えば簡単に1つのものをそろえることができるので、3種類ある倍数算をその方法1つだけで解くことができます。
例題1(和が一定のとき)
兄と妹の所持金の比は5:3でしたが、兄が妹に500円あげたので、2人の比は5:4になりました。はじめ、兄は何円もっていましたか。
(解説と解答)
解き始める前に丁寧に線分図をかかないといけないのはすべての問題に共通です。
線分図を見て解く自分自身のために、ふだんから、できるだけ問題の数字に忠実な図をかくべきです。
最初の比は丸で囲む、後の比は四角で囲むなどの区別をしておくと、自分自身が後ですごく楽になります。
線分図がかけたら、次にどちらかの比を公倍数を使ってそろえてやります。
どちらをそろえてもかまいません。
今日は、丸で囲んだほうの比を、5と3の公倍数15にそろえて解いてみましょう。
丸で囲んだ5と3を15にそろえた図を右にかきます。
線分図をかくときに注意するのは同じものを表わす15をきちんとそろえること。
そこさえ正確であれば、あとは適当にかいても大丈夫です。
兄のほうは、5が3倍の15になるので、四角の5も金額の500円も3倍の15と1500円になります。
同じように妹は、3が5倍の15になるので、四角も金額も5倍して四角は20、金額は2500円になります。
最後に右にかき直したほうの線分図をながめると、兄の四角は15、妹の四角は20であり、そのちがいは1500+2500=4000だと一目でわかります。
この4000円を、四角の20と15のちがいの5でわると4000÷(20−15)=800ですから、四角1つ分は800円です。
これで解けました。
問いは、「はじめ、兄は何円もっていましたか」でした。線分図をながめると、はじめの兄は四角の5に500円をたしたものです。
四角の1は800円ですから、はじめの兄は800×5+500=4500円です。
例題2(差が一定のとき)
兄と妹の所持金の比は8:5でしたが、300円ずつ使ったので残金の比が5:3になりました。はじめ、兄は何円もっていましたか。
(解説と解答)
最初の線分図を丁寧にかきます。
どちらをそろえてもかまいませんが、丸で囲んだ比をそろえるとすると8と5の公倍数である40にしたらよいということになります。
兄のほうは8を5倍の40にしたので、四角の5も300も5倍します。
妹のほうは5を8倍の40にしたので、四角の3も300も8倍です。
丸の比を40にした図をかいてみましょう。
丸の40さえそろっていれば、後は適当にかいても大丈夫です。
線分図を見たら、2400−1500=900円が四角の25−24=1であることが一目でわかります。
(2400−1500)÷(25−24)=900
四角の1が900円であり、問いは「はじめ、兄は何円もっていましたか」でしたから、もう一度もとの線分図を見て、はじめの兄は四角の5+300円より900×5+300=4800円。
例題3(和も差も変化するとき)
兄と妹の所持金の比は3:2でしたが、兄は350円使い、妹は150円もらったので、兄と妹の持っているお金の比は2:9になりました。はじめ、兄はいくらもっていましたか。
やはり最初に、問題文にできるだけ忠実に線分図をかきます。
次に、丸か四角の比を公倍数にそろえた図をかきます。
丸の3と2を公倍数の6にそろえてかいてみましょう。
兄は3を6にするので、すべてを2倍します。
妹は2を6にするので、すべてを2倍します。
次の図のようになります。
丸を6にそろえてかいた線分図で、700+450が四角の27−4だとわかります。
(700+450)÷(27−4)=1150÷23=50円。
四角の1にあたる量は50円だとわかりました。
「はじめ、兄はいくらもっていましたか」という問いで、最初の兄は四角の2+350円ですから50×2+350=450円。
このように、公倍数を利用して同じ比を作ることによって、いろいろあるように見える倍数算を統一した1つの方法で解くことができます。
消去算と類似の発想で倍数算と意識しないで解くことができるので、私は和が一定であること見つけたり差が一定であることを見つけてとく方法より数段すぐれたやり方ではないかと思っています(やや、自画自賛です)。
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でも、倍数算が分かれて、よかったです。