清水宏保さんの話の続きです。

遠征費用を支援してくれた企業のおかげで、清水選手は長野五輪出場の道がひらけ、見事金メダルを獲得します。

「だから、その企業のワッペンをつけて試合に出たかった。でも、アマチュア規定で出来ないという。だから、恩返しにするにはプロとして独立するしかないと考えたんです。」

決心した清水選手はプロ選手になる道を選びます。

前例がなかったために、世間は「金メダルをとって勘違いしている」とバッシングをあびせます。

ここで登場するのが、われらが橋本聖子参議院議員です。

「清水の背中を押してくれたのは、橋本聖子参議院議員だった。スポンサーも橋本が頭を下げて見つけてくれた。」

「清水が言う。」

「聖子さんにはいつも支えていただいた。絶対に表には出ない人ですけど、僕がピンチになるとどこからともなく現われる。いつも見ていただいているという安心感があったし、聖子さんのアドバイスは常に的確だった。」

「その橋本は、清水を支援し続けてきたのは「スポーツ界の宝だから」と言った。」

「それこそ“神の領域”まで自分を高めたのは清水くらいじゃないですか。清水一人といわないけど数少ない。彼を見ていると、
7回五輪に出場した私も、自分に何が足りなかったか分かる。それに、清水が貧乏な選手を集めて面倒を見ているのも、何かを感じ取ってくれているからだと思うんですよ。そういうことがスポーツ界の循環として根付けば、日本の底上げにもなるんです。」


『頭がよくないと一流のスポーツ選手には絶対なれない』でも書いたんですが、橋本聖子さん、とてつもない本物、大物かもしれない、いや、そうに違いないと私は思い始めています。

バンクーバー五輪の国母問題のときも、橋本さんが国母選手に懇々と道理を説き、態度を改めさせ、国母選手が帰国後何か常識に外れたことをしたとき、あるいは国民が国母選手を許さずに非難したときは、自分が責任をとろうと腹をくくって帰国したという記事を読んだ覚えもあります。

彼女の場合、清水選手も言っているように、「絶対に表には出ない」のです。

そして、常に「腹をくくっている」。

さらに、いつも「日本のスポーツ界」のことを最優先して考えている。

まさに「男の中の男」(女の中の女か)、政治家の鑑(かがみ)です。

橋本さんを誉めるのに他の人の悪口を言って対比する必要はないけれども、国会議事堂の中でファッションショーをして恥じない仕分け女史や、小沢氏の出陣式で先頭に出しゃばってエイエイオーと叫ぶ元柔道女史とは人としての格が違うのではなかろうか。


「ピンチになるとどこからともなく現われる」
「いつもちゃんと見ている」
「アドバイスは常に的確」

本当に頭がよい人なのでしょう。


「7回五輪に出場した私も、(清水選手を見ていると)自分に何が足りなかったか分かる」

こういう言葉をさらっと言える人間性は敬服に値します。


「日本の底上げ」のためにも、ぜひもっともっと出世していただきたいものです。



オール読物2010年11月号、『最速アスリートの決断・清水宏保』(吉井妙子)より。


***** 5教科以外の全目次はこちら、ワンクリックで探している記事を開くことができます *****