仕事算を解くには2つの方法があります。

1つ目の解き方は、仕事全体を1として解く方法です。
2つ目の解き方は、公倍数を利用して仕事全体を仮定して解く方法です。


例題1:Aだけですると12日、Bだけですると20日かかる仕事があります。この仕事を、はじめにA、B2人で5日間やり、残りをAだけでやりました。始めてから終わるまでに何日かかりますか。

(全体を1として解く方法)
仕事全体を1とすると、Aは12日で終わるのでAが1日にする仕事の量は全体の12分の1です。Bだと20日で終わるのでBが1日にする仕事の量は20分の1です。
Aの1日分・・・1/12
Bの1日分・・・1/20

仕事算








このように、1日にする仕事の量を分数で表わしてから、あとは問題文の通りに素直に解いていきます。

はじめにA、B2人で5日間」でしたとあります。
2人で協力してすると1日分は1/12+1/20=5/60+3/60=8/60=2/15。
2人で5日間したので、した仕事の量は(2/15)×5=2/3。

次に「残りをAだけで」したと書いてあります。
「残り」は、全体が1で、2人で2/3したから1−2/3=1/3。
この1/3を、1日に1/12をするAだけがおこなうので1/3÷1/12=1/3×12/1=4日。

2人で5日間、Aが4日間したので、始めてから終わるまでは5+4=9日。


(公倍数を利用して仕事全体を仮定して解く方法)
12日と20日の公倍数は60ということから、仕事全体の量を60と自分で勝手に決めてしまいます。
仕事全体の量が60だとすると、Aは12日かかるので1日の仕事の量は60÷12=5。
Bは20日でするので1日にする仕事の量は60÷20=3。

はじめにA、B2人で5日間」でしたとあるので、(5+3)×5=40。
残り」の仕事の量は60−40=20。

最後に、残った仕事20を、Aだけで1日に5ずつしていくので20÷5=4日。

始めてから終わるまでは5+4=9日。


どちらの方法で解いてもよいのですが、一方の方法を選択したほうがぐんと解きやすくなる問題もあるので問題文を読んで決断する必要があります。


例題2:水そうにA、B2本の管を使用して水を入れ、C管で排水します。A管だけでは3時間、B管だけでは4時間で満水になり、この満水の水をC管は6時間で空(から)にします。いま、A、B両管を使用し、水そうの3分の1まで水が入ったとき、C管も開くと、あと何時間何分で満水になりますか。

(公倍数を利用して仕事全体を仮定して解く方法)
この問題だと、公倍数を利用して仕事全体を勝手に決めたほうが簡単なように思えます。

3時間と4時間の6時間の公倍数は12なので、水そう全体に入る水の量を12と決めてしまいます。

A管を使うと3時間で満水になるから、Aから1時間に入る水の量は12÷3=4。
B管を使うと4時間で満水になるから、Bから1時間に入る水の量は12÷4=3。
C管は水そうを6時間で空にするから、Cから1時間に出る水の量は12÷6=2。

A、B両管を使用し、C管も開く」と、1時間に増える水の量は、Aの4+Bの3−Cの2の、4+3−2=5。

水そうの3分の1まで水が入った」とあるので、水そうに入っている水の量は12×1/3=4。
そのあと、入れないといけない水の量は12−4=8。

8の量の水を、1時間に5の量ずつ入れていくことになるので、8÷5=1.6時間。
0.6時間は、60分×0.6=36分だから、答えは1時間36分。


例題3:ある水そうに水を入れるのに、A管だけでは3時間半、B管だけでは4時間40分、C管だけでは5時間15分かかります。いま、A、B、Cの3管を同時に使って水を入れ始めましたが、途中で224リットルくみ出したため、2時間で満水になりました。この水そうの容積は何リットルですか。

(全体を1として解く方法)
この問題だと、どう見ても全体の量を仮定するよりは全体を1として解いたほうがはやく解けそうです。

水そう全体に入る水を1としたとき、
A管1時間で入る水の割合は、
2











B管1時間で入る水の量は、
3











C管1時間で入る水の量は、
4











A、B、Cの3管を同時に使って水を入れ、2時間で満水に」なったので、
入れた水の総量の割合は、
(2/7+3/14+4/21)×2
=(12/42+9/42+8/42)×2
=(29/42)×2
=29/21

このうち、全体の1をこえた部分が、途中でくみ出した224リットルです。
全体の1をこえた部分は、29/21−1=29/21−21/21=8/21。
224÷8/21=224×21/8=588リットル。

水そうの容積は588リットルです。


このように、
「仕事全体を1として解く」
「仕事全体を公倍数だと仮定して解く」
の両方を、問題に応じて上手に使い分けることができたら、仕事算は決してむずかしくありません。


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