出藍の誉れ(しゅつらんのほまれ)の意味

弟子が師よりもすぐれていること。

先生の指導を受けていた生徒が先生をしのぐようになったとき、それを誉める場合に使います。

なぜ「藍(らん、訓読みは「あい」)」の字が使われているのかを理解するには、この言葉のもとになった文である『青は藍(あい)より取りて藍より出でて藍(あい)より青し』を知る必要があります。


故事成語のもとになった出来事・出典

紀元前4~3世紀、中国の戦国時代の思想家である荀子(じゅんし)の言説を唐の時代の人がまとめた書物である『荀子』が出典です。

荀子は、先輩の儒学者である孟子(もうし)の性善説に対し、人間の本性は悪であるとする性悪説を唱えた人です。

人間は生来愚かであるから、学問をしてよい人間にならないといけないと主張する『荀子・勧学編』の中に、「出藍の誉れ」のもとになった一節があります。

君子曰、學不可以已(君子いわく、学はもって已(や)むべからず)
青取之於藍、而青於藍(青はこれを藍(あい)より取りて、藍よりも青く)
冰水爲之、而寒於水(氷は水これをなして、水よりも寒し)

「偉い人がおっしゃっている、学問は途中でやめないで継続しないといけないと。
青(布を青色に染める染料)は、(植物の)藍(という草)から取ってできるものだが、藍よりも青く、
氷は、水からできたものだが、水よりも冷たい
(このように、学問を継続して本来の自分よりもすぐれた人にならないといけない)。」

この『青は藍より取りて藍より青し』を、簡潔な言い方に言い換えたのが「出藍の誉れ」です。


意味の変遷

荀子が述べた「
青は藍より取りて藍より青し」は、学問を継続して高い人格を涵養しないといけないという意味でした。

それが後代、「藍=師・先生」、「青=師をしのぐ弟子・先生よりすぐれた生徒」の意味に解釈されて、
青は藍より取りて藍より青し」が、先生に学びながら先生をこえたすぐれた生徒の意味に転化しました。


「出藍の誉れ」を使う例


・A先生は多くの弟子を教育したが、特に2人の門弟が学問にすぐれ出藍の誉れをうたわれた。

・高校時代の恩師が、最後の授業で「「青は之を藍より取りて、藍よりも青し」「出藍の誉れ」の言葉を君たちに贈る。」と、私たちを激励してくださいました。


用例の混乱

誤用例とまではいえないかもしれませんが、「出藍の誉れ」を「鳶が鷹を産む(たいしたことのない親からとびぬけてすぐれた子が生まれること)」と同じ意味で使っている例が多く見られます。

青は藍より取りて藍より青し」を、青=すぐれた子、藍=平凡な親と解釈しているわけです。

親も師の一人だといえないこともないので誤用だとまではいえませんが、本来の言葉の意味は「
弟子が師よりもすぐれていること」です。


似た意味を表す言葉

同じ意味の慣用句はほとんどありません(英語にも、似た意味のことわざはないようです)。

「鳶が鷹を産む」と同じ意味で使うことが許されるとすると、英語ではBlack hens(めんどり) lay(産む) white eggs.といいます。


対義語は「不肖(ふしょう)の弟子」です。

「鳶が鷹を産む」と同じ意味で使うことが許されるとすると、対義語に「蛙の子は蛙」、「瓜(うり)の蔓(つる)に茄子(なすび)はならぬ」があります。



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