朝三暮四(ちょうさんぼし)の意味

おろかな人が目先のちがいに気をとられて実際は同じであるのに気がつかないこと。
または、ずるがしこい人がうまい言葉や方法でおろかな人をだますこと。

暮四朝三(ぼしちょうさん)ともいいます。


故事成語のもとになった出来事・出典

中国春秋時代(紀元前400年頃)の人、列子(れっし)の著書『列子』の「黄帝(こうてい)」、中国戦国時代(紀元前300年頃)の人、荘子(そうし)の著書『荘子(そうじ)』の「斉物論(せいぶつろん)」にある話が出典です。


「宋の国に狙公という人がいました。猿を可愛がって多くの猿を飼っていました。急に貧しくなったので、猿に与えるえさである茅(しょ・とち=どんぐり)を減らすことにしました。」

先誑之曰、與若茅、朝三而暮四、足乎。
先ず之(これ)を誑(たぶら)かして曰(い)はく、「若(なんじ)に茅(しょ・とち)を与えんに、朝に三にして暮に四にせん。足らんか」と。
衆狙皆起而怒。
衆狙(しゅうそ)皆起って怒る。
俄而曰、與若茅、朝四而暮三、足乎。
俄(にわか)にして曰(い)はく、「若(なんじ)に茅(しょ・とち)を与えんに、朝に四にして暮に三にせん。足らんか」と。
衆狙皆伏而喜。
衆狙(しゅうそ)皆伏して喜ぶ。

(まず猿たちをたぶらかして言いました。「お前たちにどんぐりを与えるのに、朝は三つで暮(夕方)は四つにしようと思う。足りるかな?」猿たちは皆立ち上がって怒りました。狙公はあわてて、「朝は四つで暮は三つにしようと思う。足りるかな?」と言いかえました。猿たちは皆おじぎをして喜びました。)

おろかな猿たちは、朝にもらえるえさが3個だと聞くと少ないと思って怒り、実際には1日のえさの量は変わらないのに、朝が4個だと言いかえられると多いと判断して喜んだのです。


「朝三暮四」を使う例

・扶養手当の廃止で捻出した予算で子ども手当てを支給するなんて朝三暮四そのものだ。

・政治家は、国民を朝三暮四の猿とでも思っているのだろうか。


用例の混乱

2010年1月22日、時の首相である鳩山由紀夫さんは、国会で野党の議員に「朝三暮四の意味を知っているか」と尋ねられ、「朝決めたことと夜決めたことがくるくる変わるという意味だ」と自信満々で答えて、「言うことがくるくる変わる」の意味の「朝令暮改(ちょうれいぼかい)」と混同している、四字熟語の意味も知らないと批判されました。

鳩山元首相を擁護すると、現代の中国では「言うことがくるくる変わる」の意味で「朝三暮四」を使うことがあるのだそうです。

しかし通例では、実際は同じなのにうまく言いくるめられてだまされること、上手に言いくるめてだますことの意味で「朝三暮四」を使います。


似た意味を表す言葉

「小人(しょうじん)は養いがたし」…目先の利益にしか興味がない人はあつかいにくいものだ。



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