救急車が通過するとき、近づいてくるときは高いピーポーピーポーで、通過した瞬間に低いピーポーピーポーに音が変わって聞こえます。

「音源か観測者が動いているとき、音の振動数が変化し、音が高くなったり低く聞こえたりする現象」をドップラー効果といいます(ドップラーは式を発見した物理学者の名前)。

私は今まで、このドップラー効果の説明を、いくら読んでも理解できませんでした。

受験勉強をしている中3生が、入試過去問について質問をしてきました。私の塾でも上位の塾生が受験する、近畿大学附属高校の平成18年度理科の大問4です。

問題文中のどこにもドップラー効果とは書いてありませんが、私はこの問題の解説をしてみて初めて、「ああ、ドップラー効果とはこういうことだったのか」とわかった気がしました。
すこぶる良い問題だと思ったので、ご紹介します。


問い4:図のような一直線上で、音波に関する実験をおこなった。音1の速さを340(m/秒)として、以下の問いに答えよ。



(実験1)
図の点Aにスピーカーを置き、時刻t=0(秒)から時刻t=2(秒)まで音を鳴らした。この音を点Oにあるマイクにつないだオシロスコープで観測すると、時刻t=4(秒)からt=6(秒)まで音波の波形を観測することができた。

(1)点Aから点Oまでの距離は何mか。

(2)観測された音波の振動は760回であった。スピーカーから出た音の振動は、1秒あたり何回であったか。

オシロスコープで観測された音の波形の一部がグラフ1である。グラ2フの横軸は時間、縦軸は振動の幅を示している。











(3)スピーカーから出る音の高さだけを高い音に変えたとき、観測される波形は(ア)~(エ)のうちのどれか。記号で答えよ。
3







(4)スピーカーから出る音の大きさだけを大きな音に変えたとき、観測される波形は(3)の(ア)~(エ)のうちのどれか、記号で答えよ。

(実験2)
次に、スピーカーを台車に乗せ、点Aの左から速さ17(m/秒)で点Oに向かって動かした。スピーカーが点Aを通過した瞬間を時刻t=0(秒)とし、この瞬間からt=2(秒)まで音を鳴らした。この音を実験1と同じように点Oで観測すると、時刻t=4(秒)からt=tx(秒)までの音波の波形を観測することができた。

音波が最初に点Oに届いた時刻が実験1のときと同じt=4(秒)であったことから、スピーカーが動いていても、音が伝わる速さには影響しないことがわかる。

(5)スピーカーが音を鳴らし終えた瞬間の位置を点Bとすると、AB間の距離はいくらか。

(6)BO間の距離をtxを用いて表わせ。

(7)(1)、(5)、(6)の結果からtxを求めよ。

(8)この間に観測された音波の振動は、やはり760回であった。点Oで観測された音の1秒あたりの振動回数はいくらか。



(解答と解説)

(実験1)
図の点Aにスピーカーを置き、時刻t=0(秒)から時刻t=2(秒)まで音を鳴らした。この音を点Oにあるマイクにつないだオシロスコープで観測すると、時刻t=4(秒)からt=6(秒)まで音波の波形を観測することができた。

(1)点Aから点Oまでの距離は何mか。

音の速さが340m/秒。
t=0で発信した音が点Oではt=4で観測できたので、音が届くまでの時間は4秒。
距離=速さ×時間より、340×4=1360m。
点Aから点Oまでの距離は1360mです。

(2)観測された音波の振動は760回であった。スピーカーから出た音の振動は、1秒あたり何回であったか。


点Oで、t=4秒からt=6秒まで音波を観測できたので、観測していた時間は6-4=2秒間。
2秒間で振動の回数が760回だから、1秒あたりの振動回数は760÷2=380回。

オシロスコープで観測された音の波形の一部がグラフ1である。グラ2フの横軸は時間、縦軸は振動の幅を示している。











(3)スピーカーから出る音の高さだけを高い音に変えたとき、観測される波形は(ア)~(エ)のうちのどれか。記号で答えよ。
3






音の高低は振動数で決まり、音の大小は振動の幅の大きさで決まります。
音を高い音に変えたときは振動数が増えるはずであり、音の大きさは変わっていないので振動の幅の大きさは変わらないはずです。

グラフ1と比較して、振動数は増え、振動の幅は変わっていないものが答えです。
正解は、(ウ)。

(4)スピーカーから出る音の大きさだけを大きな音に変えたとき、観測される波形は(3)の(ア)~(エ)のうちのどれか、記号で答えよ。

今度は、振動数は変わらないで、振動の幅だけが大きくなっているものが正解です。

よって、答えは、(ア)。

(実験2)
次に、スピーカーを台車に乗せ、点Aの左から速さ17(m/秒)で点Oに向かって動かした。スピーカーが点Aを通過した瞬間を時刻t=0(秒)とし、この瞬間からt=2(秒)まで音を鳴らした。この音を実験1と同じように点Oで観測すると、時刻t=4(秒)からt=tx(秒)までの音波の波形を観測することができた。

音波が最初に点Oに届いた時刻が実験1のときと同じt=4(秒)であったことから、スピーカーが動いていても、音が伝わる速さには影響しないことがわかる。

(5)スピーカーが音を鳴らし終えた瞬間の位置を点Bとすると、AB間の距離はいくらか。


スピーカーを乗せた台車の速さが17m/秒で、t=0からt=2秒まで音を鳴らしたのでかかった時間は2秒です。
距離=速さ×時間より、AB間の距離は17×2=34m。
答えは34mです。

(6)BO間の距離をtxを用いて表わせ。

点Bでスピーカーが音を出したのはt=2秒のときです。
音の速さは340m/秒。
点Bでスピーカーの発した音が、点Oに到達したのはtx秒のとき。

秒速340mの音が、(tx-2)秒かかって到達した距離がBO間の距離ですから、距離=速さ×時間より、BO間の距離=340×(tx-2)=340(tx-2)m。

答えは、340(tx-2)mです。

(7)(1)、(5)、(6)の結果からtxを求めよ。

(1)より、点Aから点Oまでの距離は1360m、(5)より、AB間の距離は34m、(6)よりBO間の距離を表す式は340(tx-2)。

以上より、BO間の距離を2通りの方法で表すことができます。
このことを等式(=方程式)にすると、
340(tx-2)=1360-34
340tx-680=1326
340tx=2006
tx=5.9

(8)この間に観測された音波の振動は、やはり760回であった。点Oで観測された音の1秒あたりの振動回数はいくらか。

観測された音の振動数が760回であり、振動数を観測した時刻はt=4秒からt=tx秒までで、(7)より、tx=5.9秒でした。

よって、1秒あたりの振動回数は、760÷(5.9-4)=760÷1.9=400回。
答えは400回です。


ドップラー効果で音源が近づくときは高い音が聞こえるわけ

問題は、(8)で終わりです。
ドップラー効果については何もふれていません。

しかし、(2)で音源のスピーカーが移動していないとき、点Oで観測された音の振動数は1秒間に380回でした。
ところが、音源が毎秒17mで点Oに近づいてくるとき、点Oで観測された音の振動数は毎秒400回に変化しています。

音は、振動数が多いほど高い音です。
振動数が毎秒380回から400回に変わったということは、本来の音源の音よりは高い音として観測者には聞こえるということです。

ああ、そういうことだったのかと、私はドップラー効果が初めて理解できたような気分になりました。

入試問題を解くことで、ドップラー効果の原理をわかりやすく教えてくれる『よい問題』です。




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