平成23年度より始まった文理学科入試、どのような問題が出題されるのか興味津々だったのですが、今までの問題を少し難しくした感じで、出題傾向は以前と変わりませんでした。

平成23年度国語の問い2です。まず、入試問題だと気負わずに、(1)声に出して読む、(2)「何がおもしろいのか」、「何を言いたいのか」を読み取る、の2点に留意して、気楽に読んでみましょう。


二 梅をたづね、花を見るなどは、たれもたれもいふなるに、かしこの松のめづらしきを見ばや、ここの竹に、日をくらしてなどいふ人の、たまさかにもなきが、うらめしきなり。

さるはとこしなへにみどりふかく、所をわかで多かるものゆゑ、よしと見つつ、めづらしげなければなるべし。

たれがしが庭のおもしろうなどきこゆるに、松竹のなしときけば、そのあるじかたらまほしとも覚えぬよし、いふ人もあり。



実際の問題は、中学生が理解しにくい語については、本文の横に次のような訳がついていました。

梅をたづね、花(桜)を見るなどは、たれもたれもいふなるに(だれもがみな言うようだが)、かしこの松のめづらしきを見ばや(見たい)、ここの竹に、日をくらしてなどいふ人の、たまさかにもなき(めったにない) が、うらめしきなり。

さるは
(それというのは)とこしなへに(常にいつまでも)みどりふかく、所をわかで(どんな所にも)多かるものゆゑ、よしと見つつ、めづらしげなければなるべし。

たれがしが庭のおもしろう
(だれそれの庭が趣深い)などきこゆるに、松竹のなしときけば、そのあるじかたらまほしとも覚えぬよし、いふ人もあり(というようなことを言う人もいる)

注釈の現代語訳を参考にすれば、およその意味と作者の主張を読み取ることは容易なはずです。


注釈が書かれていない語で、知っていたらよい語としては次のようなものがあります。

ワンポイント・レッスン

かしこ」・・・「あそこ、あちら」

うらめしき」・・・「残念だ、悔しい」
形容詞「うらめし」の連用形。

かたらまほし」・・・「かたる(親しくする)」+「まほし(〜したい」=「親しくしたい」

覚ゆ」・・・「思われる」


文の主題(テーマ)を読み取ろう

梅や桜を誉める人は多いのに、松や竹を愛する人が少ないことを作者は残念に思っているのです。
いつも緑で、どこにでもあるのがその原因ではないかと言っています。
しかし、松や竹がない庭の持ち主とは趣味が合わないと述べています。


せっかく読んだので、ついでに出題された問題も解いておきましょう

次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

梅をたづね、花(桜)を見るなどは、たれもたれもいふなるに(だれもがみな言うようだが)、かしこの松のめづらしきを見ばや(見たい)、(1)ここの竹に、日をくらしてなどいふ人の、たまさかにもなき(めったにない) が、うらめしきなり。

さるは
(それというのは)(2)とこしなへに(常にいつまでも)みどりふかく、所をわかで(どんな所にも)多かるものゆゑ、よしと見つつ、( (3) )なければなるべし。

たれがしが庭のおもしろう
(だれそれの庭が趣深い)などきこゆるに、松竹のなしときけば、(4)そのあるじかたらまほしとも覚えぬよし、いふ人もあり(というようなことを言う人もいる)


問い一
(1)ここの竹に、日をくらしての意味として次のうち最も適しているものを一つ選び、記号を書きなさい。
ア 毎日ここの竹を見ていたい
イ ここの竹で日の光が暗くなる
ウ 一日中ここの竹を見ていよう
エ ここの竹の売って暮らそう



(解答)ウ

吉田兼好『徒然草』の冒頭、「つれづれなるまゝに、日暮らし(=一日中)、硯(すずり)に向ひて」を知っていたら、簡単です。


問い二
(2)とこしなへにみどりふかく、所をわかで多かるものとあるが、これは何のことをこのように述べているのか。本文中のことばを使って書きなさい。



(解答)松と竹のこと
(教育委員会発表の模範解答)松竹

問い三
次のうち、( (3) )に入れるのに最も適していることばはどれか。一つ選び、記号を書きなさい。
ア あぶなげ
イ かなしげ
ウ うらめしげ
エ めづらしげ


(解答)エ


問い四
(4)そのあるじかたらまほしとも覚えぬは、ここでは「その家の主人とは語り合いたいとも思われない」という意味であるが、このように言う人の庭に対する考えを次のようにまとめた。(   )に入る内容を、本文中から読み取って現代のことばで15字程度で書きなさい。
だれもがみな梅や桜を見たがるが、庭は(   )という考え。



(解答)松と竹があってこそ趣深い(12字)
(教育委員会発表の模範解答)松竹がないと趣深いとは言えない(15字)

この問いだと、本文中の注釈にのっていた「趣深い」を活用するのがコツです。



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