角度が30°60°90°の直角三角形の辺の比は1:2:√3になります。
そのことを利用する問題は、高校入試で最も取り上げられるものの一つです。

逆に、辺の1:2:√3であれば、その三角形は角度が30°60°90°直角三角形です。
こちらを利用する問題は、難問であることが多い。


角度がわかっているときに1:2:√3を利用する問題

例題1:1辺が6cmの立方体ABCD-EFGHがある。辺六角形AD,AE,EF,FG,CG,CDの中点を点P,Q,R,S,T,Uとするとき、六角形PQRSTUの面積を求めよ。










(解き方と正解)
六角形PQRSTUのそれぞれの辺は、立方体の面である正方形の中点を結んだ線分だから、すべて同じ長さとなります。
1辺
つまり、六角形PQRSTUは正六角形です。

また、正六角形PQRSTUの各辺の長さは、2辺の長さが3cmの直角二等辺三角形の斜辺だから、1:1:√2の比が成り立ち、3√2cmです。




ここまでの考察で、この問題は、1辺が3√2cmの正六角形PQRSTUの面積を求めたらよいことがわかります。
正六角形の2
さらに、正六角形は、1つの内角が120°であり、3本の対角線で6つの合同な正三角形に分けられます。

正三角形ところが、正三角形の1つの角は60°であり、頂角の二等分線を引くことで2つの直角三角形に分けることができ、1:2:√3の比を使うことができます。

6個で正六角形をつくっている正三角形の底辺の長さは3√2cm、高さは3√2÷2×√3=3√6/2だから、正三角形の面積は3√2×(3√6/2)×(1/2)=9×2√3/4=9√3/2です。

以上より、正六角形PQRSTUの面積は、正三角形6個分であり、9√3/2×6=27√3です。

このように、正三角形(そして正三角形に分けることができる正六角形)の問題は、1つの角が60°であることに着目して1:2:√3を利用して解くことができます。


この問題は、角度が60°であることに着目して辺の比1:2:√3を利用する問題であり、入試問題としてはそう難しいものではありません。

ところが、次のような問題だと難問になってしまいます。


1:2:√3を見つけて角度に気づく問題

例題2:図で、点Dは△ABCの辺BC上の点で、∠ADC=90°である。点例題2E、Fはそれぞれ線分ADを直径とする円と、辺AB、ACとの交点である。AB=5cm、BC=8cm、AC=7cmのとき、次の問いに答えよ。
(1)線分ADを直径とする円の面積を求めよ。
(2)線分EFの長さを求めよ。



(解き方と正解)
(1)線分ADを直径とする円の面積を求めよ。
直径ADの長さを求め、半径を求めて、それから面積を求めようと方針を立てます。

この問題の場合、ADを直接求めようとすると遠回りになります。
例題2の2BD=x、DC=8-xとして、直角三角形の△ABDと△ADCで、三平方の定理を使ってADの2乗を2通りの式で表して等式(方程式)をつくります。
例題2の3









この方程式を解きます。
例題2の4










BD=5/2とわかったので、直角三角形△ABDで再び三平方の定理をもちいてADの長さを求めることができます。
しかし、ここでAB:BD=5:5/2=2:1であることに気づくと、BD:AB:AD=1:2:√3が使えることがわかり、ずっと楽になります。

BD=5/2だからAD=5√3/2。
直径ADが5√3/2だから、半径は半分の5√3/4です。

以上より、ADを直径とする円の面積は、
(5√3/4)×(5√3/4)×π=75π/16平方cmです。


(2)線分EFの長さを求めよ。
どうやったらEFの長さを求めることができるか、なかなか気づきにくい問題です。
例題2の4の2こういうときは、最後の手段、「習っていないことは出題されない」から解き方をしぼっていきます。

中学生が図形の問題を解くときに使えるもので習っているのは、「相似」か「三平方の定理」だけです。

ところが、求めるEFをふくむ三角形は△AEFですが、直角三角形ではないので(△ABCの3辺、5,7,8では直角三角形にはなりません(三平方の定理の逆))、三平方の定理ではなく相似で解けないか、と考えます。

例題2の5また、△ABDの3辺の長さに1:2:√3の関係が成り立っているから、∠ABD=60°であることを使えないかも頭に入れておきます。

△AEFと相似な三角形を見つけたいのですが、このままではまだ手がかりがありません。

ADが直径であること、∠AFEが弧AEの円周角であることから、線分EDを引いてみます(この決断を、一番思いつきにくいかもしれません)。

そうすると、ADが直径だから∠AED=90°であること、∠BAD=30°だから∠ADE=60°であることもわかります。

それがわかると、∠ABC=∠AFE=60°、∠BAC=∠FAEだから(2組の角がそれぞれ等しいから)、△ABC∽△AFEであることがわかります。

あとは、△AFEのAEかAFかどちらかの長さがわかれば、相似を利用してEFの長さを求められます。

例題2の5ここで、また、∠ADE=60°が生きてきます。

△AEDが∠ADE=60°の直角三角形だから、ED:AD:AE=1:2:√3。

ゆえに、AE:AD
=AE:5√3/2
=√3:2

AE:5√3/2=√3:2
AE×2=5√3/2×√3
AE×2=15/2
AE=15/4

△ABC∽△AFEより、AE:AC=EF:CB
15/4:7=EF:8
7×EF=15/4×8
7×EF=30
EF=30/7

やっと求めることができました。


この稿のポイント

30°60°90°の直角三角形の辺の比は1:2:√3だが、逆に辺の1:2:√3であればその三角形は角度が30°60°90°直角三角形である。

わかった角度を書き込まないと解けない問題がある。



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