コメント欄に寄せられた質問:「平成19年度都立入試数学の3番目の問3で悩んでいます。」
確かに、関数の分野では一番難しい問題であり、Hさんが悩むのもうなずけます。
ところが、関数のすべての難問は、たった一つの解き方で解くことができます。
その方法とは…
1、式と座標を書き込む
2、x座標をtとし、y座標をtの式で表す
3、問題文から、tを使って方程式をつくり、解く
この3段階で、ほぼすべての関数の難問を解くことができます。
東京都の問題も
19年度都立高校入試、3番の問い3(一部表現をかえています)
図で、点Aの座標は(-4,-3)であり、直線Lはy=-x+5のグラフである。直線Lとy軸との交点をB、直線L上にありx座標が8より小さい正の数である点をPとする。
2点A、Pを通る直線をMとし、直線Mとy軸との交点をQとする。
2点A、Bを結び、点Pを通りx軸に平行な直線をひき、線分ABとの交点をRとする。
△BRPの面積が27のとき、△APRの面積はいくらか。
手順1、式と座標を書き込む
まず、問題文に書いてあった、Lの式y=-x+5と、点Aの座標(-4,-3)を記入します。
点Bの座標(0,5)も忘れずに記入しておきます。
次に、点Aと点Bを通る直線の式を求めます。
点Aと点Bの座標から、xが-4から0まで4増加し、yが-3から5まで8増加しているので、傾きが8/4、すなわち2であることがわかります。
また、切片は5です。
すなわち、点A、Bを通る直線の式はy=2x+5です。
これを書き込みます。
手順2、x座標をtとし、y座標をtの式で表す
さらに、点Pと点Rの座標を書き込みます。
点P、Rの座標を書き込まないといけない理由は、この問題を解くかぎである△BRPと△APRの面積を考えるのに、点P、点Rの座標が不可欠だからです。
そして、この問題のように問題文の中に点P、点Rの座標について何も書かれていないときは、点Pのx座標をtと決めてしまいます。
そうすると、点Pがグラフy=-x+5上の点なので、xにtを代入して、y=-t+5だとわかります。
すなわち、点Pの座標は(t,-t+5)です。
次に、点Rの座標ですが、直線PRがx軸に平行であることから、点Rのy座標は点Pと同じ-t+5です。
このyの値を、点Rを通る直線の式、y=2x+5に代入します。
-t+5=2x+5
-2x=t+5-5
-2x=t
x=-t/2
つまり、点Rの座標は(-t/2,-t+5)です。
手順3、問題文から、tを使って方程式をつくり、解く
問題文の、「△BRPの面積が27」から、tを使って方程式をつくります。

このとき、特に気をつけないといけないのは、点Rの座標(-t/2,-t+5)のx座標、y座標ともに負の数だということです。
座標が負の数のとき、距離に負の数はありませんから、距離は正の数になります。
つまり、符号を逆にしないといけません。
以上より、図のように、△BRPの底辺の長さはt/2+t、高さは5+(t-5)となります。
△BRPの面積が27であることから方程式をつくると、
(t/2+t)×(5+t-5)×1/2=27
この方程式を解いて、
3/2t×t×1/2=27
t2=36
t>0より、t=6
以上より、点Rの座標は、(-t/2,-t+5)にt=6を代入して、R(-3,1)です。
これで、△APRの面積を求めることができます。
△BRPと△APRはとなり合った三角形なので、2つの三角形の面積の比は、底辺であるBPとRAの比と一致します。
また、点A(-4.-3)、点R(-3,-1)、点B(0,5)から、左図のようにx座標の比は1:3です。
ARとRBの比もこれと同じ比になり、1:3です。
そして、△BRPと△APR、2つの三角形の面積の比は、底辺であるBPとRAの比と一致します。
△APRの面積をxとすると、
27:x=3:1
3x=27
x=9
△APRの面積は9です。

(AR:RB=1:3になることの補足説明)
Aを通るx軸に平行な直線とy軸との交点をS、Rを通るy軸に平行な直線と直線ASとの交点をTとすると、
△RAT∽△BASだから、AT:TS=1:3のとき、AR:RB=1:3になります。
大阪府の問題も
24年度府立高校入試、後期B問題1(6)(一部表現をかえています)
図においてmはy=2/3x2のグラフを、nはy=a/xのグラフを表す。aは0<a<18の定数である。
A、Bはm上の点であり、Aのx座標は-2であり、Bのx座標は3である。
C、D、Eはn上の点であり、Cのx座標はAのx座標と等しく、Dのy座標はBのy座標と等しく、Eのx座標はBのx座標と等しい。
AC=BEであるとき、線分BDの長さを求めよ。
手順1、式と座標を書き込む
まず、問題文に書いてあった、mの式y=2/3x2とnの式y=a/x、点Aの座標(-2,*)と点Bの座標(3,*)を記入します(*印のところは空けておきます)。
点Eと点Bのx座標が等しく、点Cと点Aのx座標が等しいので、点Eの座標(3,*)、点Cの座標(-2,*)も忘れずに記入しておきます。
2、x座標をtとし、y座標をtの式で表す
この問題は、東京都の問題より一つだけ易しい問題です。
すでにx座標がわかっているので、x座標をtとする必要はありません。
それぞれの点を通っているグラフの式にx座標を代入して、点A、B、C、Eのy座標を書き込んでいきます。
点A、Bは放物線y=2/3x2上の点なので、式y=2/3x2にx座標の数を代入して、点Aの座標は(-2,8/3)、点Bの座標は(3,6)となります。
点C、Eは双曲線y=a/x上の点なので、式y=a/xにx座標の数を代入して、点Cの座標は(-2,-a/2)、点Eの座標は(3,a/3)となります。
手順3、問題文から、方程式をつくり、解く
問題文の、「AC=BEである」から、方程式をつくります。
BEの長さは、点Bのy座標から点Eのy座標をひいた6-a/3です。
次にACの長さです。ACの長さは点Aのy座標に、x軸から点Cまでの距離をたしたものです。
気をつけないといけないのは点Cのy座標が負の数であることです。座標が負の数のとき、距離は正の数だから符号をかえないといけません。
ACの長さは、8/3+a/2です。
以上より、AC=BEから、方程式、6-a/3=8/3+a/2ができます。
この式の両辺に6をかけて、36-2a=16+3a
-5a=-20
a=4
こうして、放物線の式が、y=4/xであることがわかりました。
これで、線分BDの長さを求めることができます。
まず、点Dのy座標は点Bのy座標と等しいから6
点Dは双曲線y=4/x上の点だから、y=4/xの式にy=6を代入して6=4/x
6x=4だから、x=2/3
点Dの座標は(2/3,6)です。
線分BDの長さは、点Bのx座標から点Dのx座標をひいた、3-2/3=7/3です。
(数学の、さらに詳しい説明は『中学校・数学・学年別・目次』からたどってご覧ください。)
確かに、関数の分野では一番難しい問題であり、Hさんが悩むのもうなずけます。
ところが、関数のすべての難問は、たった一つの解き方で解くことができます。
その方法とは…
1、式と座標を書き込む
2、x座標をtとし、y座標をtの式で表す
3、問題文から、tを使って方程式をつくり、解く
この3段階で、ほぼすべての関数の難問を解くことができます。
東京都の問題も
19年度都立高校入試、3番の問い3(一部表現をかえています)

2点A、Pを通る直線をMとし、直線Mとy軸との交点をQとする。
2点A、Bを結び、点Pを通りx軸に平行な直線をひき、線分ABとの交点をRとする。
△BRPの面積が27のとき、△APRの面積はいくらか。
手順1、式と座標を書き込む

点Bの座標(0,5)も忘れずに記入しておきます。
次に、点Aと点Bを通る直線の式を求めます。
点Aと点Bの座標から、xが-4から0まで4増加し、yが-3から5まで8増加しているので、傾きが8/4、すなわち2であることがわかります。
また、切片は5です。
すなわち、点A、Bを通る直線の式はy=2x+5です。
これを書き込みます。
手順2、x座標をtとし、y座標をtの式で表す
さらに、点Pと点Rの座標を書き込みます。
点P、Rの座標を書き込まないといけない理由は、この問題を解くかぎである△BRPと△APRの面積を考えるのに、点P、点Rの座標が不可欠だからです。
そして、この問題のように問題文の中に点P、点Rの座標について何も書かれていないときは、点Pのx座標をtと決めてしまいます。
そうすると、点Pがグラフy=-x+5上の点なので、xにtを代入して、y=-t+5だとわかります。
すなわち、点Pの座標は(t,-t+5)です。
次に、点Rの座標ですが、直線PRがx軸に平行であることから、点Rのy座標は点Pと同じ-t+5です。
このyの値を、点Rを通る直線の式、y=2x+5に代入します。
-t+5=2x+5
-2x=t+5-5
-2x=t
x=-t/2
つまり、点Rの座標は(-t/2,-t+5)です。
手順3、問題文から、tを使って方程式をつくり、解く
問題文の、「△BRPの面積が27」から、tを使って方程式をつくります。

このとき、特に気をつけないといけないのは、点Rの座標(-t/2,-t+5)のx座標、y座標ともに負の数だということです。
座標が負の数のとき、距離に負の数はありませんから、距離は正の数になります。
つまり、符号を逆にしないといけません。
以上より、図のように、△BRPの底辺の長さはt/2+t、高さは5+(t-5)となります。
△BRPの面積が27であることから方程式をつくると、
(t/2+t)×(5+t-5)×1/2=27
この方程式を解いて、
3/2t×t×1/2=27
t2=36
t>0より、t=6
以上より、点Rの座標は、(-t/2,-t+5)にt=6を代入して、R(-3,1)です。
これで、△APRの面積を求めることができます。

また、点A(-4.-3)、点R(-3,-1)、点B(0,5)から、左図のようにx座標の比は1:3です。
ARとRBの比もこれと同じ比になり、1:3です。
そして、△BRPと△APR、2つの三角形の面積の比は、底辺であるBPとRAの比と一致します。
△APRの面積をxとすると、
27:x=3:1
3x=27
x=9
△APRの面積は9です。

(AR:RB=1:3になることの補足説明)
Aを通るx軸に平行な直線とy軸との交点をS、Rを通るy軸に平行な直線と直線ASとの交点をTとすると、
△RAT∽△BASだから、AT:TS=1:3のとき、AR:RB=1:3になります。
大阪府の問題も
24年度府立高校入試、後期B問題1(6)(一部表現をかえています)

A、Bはm上の点であり、Aのx座標は-2であり、Bのx座標は3である。
C、D、Eはn上の点であり、Cのx座標はAのx座標と等しく、Dのy座標はBのy座標と等しく、Eのx座標はBのx座標と等しい。
AC=BEであるとき、線分BDの長さを求めよ。
手順1、式と座標を書き込む

点Eと点Bのx座標が等しく、点Cと点Aのx座標が等しいので、点Eの座標(3,*)、点Cの座標(-2,*)も忘れずに記入しておきます。
2、x座標をtとし、y座標をtの式で表す
この問題は、東京都の問題より一つだけ易しい問題です。
すでにx座標がわかっているので、x座標をtとする必要はありません。
それぞれの点を通っているグラフの式にx座標を代入して、点A、B、C、Eのy座標を書き込んでいきます。

点C、Eは双曲線y=a/x上の点なので、式y=a/xにx座標の数を代入して、点Cの座標は(-2,-a/2)、点Eの座標は(3,a/3)となります。
手順3、問題文から、方程式をつくり、解く
問題文の、「AC=BEである」から、方程式をつくります。
BEの長さは、点Bのy座標から点Eのy座標をひいた6-a/3です。
次にACの長さです。ACの長さは点Aのy座標に、x軸から点Cまでの距離をたしたものです。
気をつけないといけないのは点Cのy座標が負の数であることです。座標が負の数のとき、距離は正の数だから符号をかえないといけません。
ACの長さは、8/3+a/2です。
以上より、AC=BEから、方程式、6-a/3=8/3+a/2ができます。
この式の両辺に6をかけて、36-2a=16+3a
-5a=-20
a=4
こうして、放物線の式が、y=4/xであることがわかりました。
これで、線分BDの長さを求めることができます。
まず、点Dのy座標は点Bのy座標と等しいから6
点Dは双曲線y=4/x上の点だから、y=4/xの式にy=6を代入して6=4/x
6x=4だから、x=2/3
点Dの座標は(2/3,6)です。
線分BDの長さは、点Bのx座標から点Dのx座標をひいた、3-2/3=7/3です。
(数学の、さらに詳しい説明は『中学校・数学・学年別・目次』からたどってご覧ください。)