テスト勉強中に、わりとよくできる中学3年生の子が、『運動とエネルギー』の単元でわからないことがあると質問してきました。
手元を見なくても、その単元だと何を聞きたいのか、ほぼ予想できます。十中八九、運動する物体の速さを求める問題です。
質問した子の席に近づいて手元を見ると、予想通り、やはり速さを求める計算問題でした。

「5秒間に30cm移動する物体の速さは何km/時か」という問題でした。実は小学校6年生の領域の問題なのですが、中学3年生でこの問題をすらすら解ける子のほうが少ないのです。

私の説明の仕方は
(1)理科では、速さの問題が出たら、速さ=距離÷時間の公式しか使いません。その公式にそって式を立てることに徹底しなさい。この問題だと、距離は30cm、かかった時間は5秒だから、他のことは考えないで距離÷時間、すなわち30÷5=6をまず求めなさい。

(2)理科では、使う公式は1本にしぼる、その公式通りの式を立てる、さらに重要なことですが、単位も公式通りだから、この場合はcm÷秒だったので、答えの単位は6cm/秒です。

(3)ところが、問題で指定されている答えの単位はkm/時なので、cm/秒をkm/時に変換しないといけません。

小学校でやったように、秒速に60をかけると分速、さらに分速に60をかけて時速だから、6×60×60=21600、6の単位がcmだから、まだこの段階では21600cmです。1m=100cmより、216m。最後に1km=1000mより0.216km。
以上より、答えは0.216km/時です。


小学生範囲の問題を中3生ができない理由

小学校6年生の算数で『速さ』を習います。このときは3つの公式、速さ=距離÷時間、距離=速さ×時間、時間=距離÷速さを臨機応変に使い分けないといけません。これが子どもたちには大変な難問です。ほとんどの子が、結局、速さの問題は「難しい」、「わからない」、と理解不足なままで中学生になり、問いを見て、速さの問題だとわかった段階で拒否反応を起こします。

また、算数レベルだと、状況に応じて柔軟に式を使い分けることのほうが正しい、賢いやりかたです。
それに対して、理科では、公式を使い分けるのは邪道です。速さ=距離÷時間の式だけにしぼらないといけません。このことをほとんどの子が知りません。

さらに、秒速×60=分速、分速×60=時速も小6の算数で一緒に習う必須事項ですが、ほとんどの中学生が、この式を忘れているか、または理科の単元でも使うことに考えが及びません。

中学3年生でのつまずきは、実は小学校6年生の時にきちんと「わかっていない」ところに原因があるのです。