問題の意味や解き方は、どんな問題集・参考書でも本に書いてあるわけで、ちょっと賢い子なら読めばわかります。塾で威張って教えるようなことではない。
こうやったら絶対に間違えない、こうしたらどんな難問も解ける、そういう方法を、その場しのぎのインチキな方法ではなくて、学問の体系にそった、その子の将来に役立つやり方で身につけさせなければなりません。

一次方程式の正規の解き方がよい例です。どんな教科書であろうと、同じ解き方、式の書き方を指示しているし、それに忠実に従ってさえいれば、間違えることはないし、絶対に解ける。

私にとって難問だった四則混合計算

中学1年生は今、正の数・負の数の四則混合計算を習っています。
長年教えてきたことで、加法はこう、減法はこれ、乗法・除法だったらこうすれば、誰でも簡単に、間違えないで解けるという方法を見つけたつもりですし、自信をもって指導することもできるようになってきました。ところが、四則混合計算だけは、毎年苦労し試行錯誤してきましたが、これだ!という方法を見つけることができないまま、今に至っていました。

20−12÷(−4)という簡単な問題を例にとりあげます。

去年までの教え方

まず、先に計算する部分に下線をひけと言います(まったく数学ができない子はそのレベルにも達していませんが、普通の子はよく、20−12は8、8÷(−4)で−2とやってしまうので、それを防ぐため)。計算の順序が大切だから、先に計算するところに下線を引くことに、大きなウェートを置いて指導していました。
次に、いきなり答えを書かないで、途中の式を絶対に書け、それが解けるかどうかの分れ道だと強調していました。

20−12÷(−4)
=20−(−3)
=20+3
=23
となります。

ところが、この書き方を厳守しなさいといくら口を酸っぱくして言っても、それを守ってくれる子のほうが圧倒的に少数で、他のことならよく言うことを聞いてくれる優等生の子ですら、ちょっと目放しすると、すぐに型を崩してしまっていました。その結果、答えは合ったり合わなかったり。運がよければ合うものの、なかなか正解率100%とはなりませんでした。
甘やかされた今の子に、これが正しいから従えは土台無理なのかもしれないと、子どもの責任に転嫁して、半分あきらめかけていました。

今年の教え方

先に計算する部分にアンダーラインは昨年までと同様です。ただし、どこが先かわかっている人は、引きたくなかったら引かないでもよいというニュアンスで伝えるのが今年流です(去年までは、下線を引くこと、そっちが重要で、慣れるまでは絶対に引けと指導していました)。
次に、実は下線はどうでもいいんだよ。実は、大事なのは、下線を引かなかった部分、この問題の場合20−のところ。2行目でこっちを絶対そのまま下におろして書け。そうすれば必ず正解に到達する。こういう言い方に変えました。

20−12÷(−4)
20−(−3)
=20+3
=23
で、表面上は去年までとまったく一緒です。違うのは赤字の20−の部分を書いていなかったらうるさく注意するだけです。他はあえて目をつぶり、うるさく言わないようにします。

その結果、正答率が飛躍的に向上しました。
それ以上に「うふふ」なのは、途中式をきちんと書けとうるさく言っていたときには書かなかった子どもたちが、私が20−以外の部分を気にしなくなったら、逆に、うるさく言わなくても書くようになってきたことです。
実は、私は、途中式を書け、書けと言うだけで、何を書いたらよいのかを、ちゃんと指示しているようで指示していなかったのです。20−が絶対必要と具体的に指示したことで、それを書いた子は、そのうしろも書けるようになったわけです。

これで、正の数・負の数に関しては、全ての教えるべき型がやっと完成しました(多分、来年になったら、またどこか問題点が出てきて、一から悩まないといけないだろうと覚悟はしていますが・・・。実は、生身の子ども相手のこの仕事に、完成型はありません)。

追記:
今回見つけた新方式の、もう一つのメリットを偶然発見しました。次の単元『文字式』の「文字式の表し方のきまり」でも活用できることです。

2×a−(−3)÷bを文字式のきまりに従って表せ。

中学1年生にとってこの問題は、最初、なかなか正解できません。教え方にも苦労していました。
ところが、今年は、「四則混合計算とまったく同じ方法でいける」で、何の苦労もしなくて済むようになりました。
先に計算する部分に下線、下線を引かなかった部分が重要だから、真ん中の−を絶対に書き落とすな、これだけで、くどくど言わなくてもほとんどの子が正解にたどりつくようになりました。