夏休みの恒例行事(子どもたちにとっては避けて通れない責め苦)に、読書感想文を書くことがあります。

私は、10年近く、社団法人全国学習塾協会が主催する読書作文コンクールの審査員をしていました。今日掲載するのは、何年か前、協会の会報に載せた文章です。一般の作文にも通じる話だと思っています。

『読書作文コンクール必勝法』
9月に入ってすぐの支部審査から始まって最終審査まで、読書作文コンクールの応募作品を相当数読みます。
最近は、最初の数行を読んだだけで、「これは受賞候補として最後まで残るな」「この作品は大賞をとるだろう」くらいの勘は働くようになってきました。

審査員は読み巧者ばかりです。
きれい事ばかり羅列した作品は、かえって印象を悪くします。特に、ありきたりの常套句を無反省に使っている文章は、点数が伸びません。
自分の言葉で深く考えるということをさぼってしまった作品は、いくら字が美しく内容がまとまっていても、早々と脱落してしまいます。

よい作品の共通点は、子ども自身が、自分の言葉で、本当に深くまで考え抜いた結果を文章にしたものであるということです。
大の大人である私が、作文を読み終わると、思わず涙ぐんでいることさえあります。
読書に触発されて、自分のこと、家族のこと、友人のこと、社会のことを、ぎりぎりまで深く考え抜いている作文を読むと、子どもたちの真剣さ、一生懸命さに、思わず読む私も襟を正されてしまうのです。

そんな作品に遭いますと、原稿用紙も、手書きの字も消えて、読む私は直接書き手の思考と知らぬ間に対峙しています。作文を書いた人の思いをたどっている私は、その思いの深さ、真剣さにぐいぐい引き込まれていくのです。そういう作品が必ず最後まで残り、賞をとります。

言葉は、文章は、人間の思考や感情をのせる器に過ぎないのだということを、あらためて確認させられます。

賞を獲得した作品は、実は「作品」を評価されたのではなくて、作品に表出した作者の「ものの考え方」、「思考の深さ」を審査員全員が高く評価しているのです。
読書作文で賞をとる秘訣は、読書をきっかけに深く深く考え抜くことにあり、ということです。




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