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イオン

science 化学変化 中和点を電流で見つける

酸とアルカリを混ぜたとき、にふくまれている水素イオンアルカリにふくまれている水酸化物イオンが結びついてになります。

水素イオンと水酸化物イオンが過不足なく反応して水になったとき(溶液中に水素イオンも水酸化物イオンも存在しないとき)を中和点といいます。

中和点は、BTB溶液の色の変化をみたらわかります。

酸性の塩酸に、少しずつアルカリ性の水酸化ナトリウムを加えていきます。
最初は塩酸のほうが多いのでBTB溶液は黄色です。
水酸化ナトリウムを加えていくと、あるところで中性になり、BTB溶液は緑色になります。
さらに水酸化ナトリウムを加え続けると、BTB溶液は青色になります。

しかし、BTB溶液では色の変化を観察するだけなので、どこが中和点なのかを正確に見つけることは困難です(どこまでが黄色でどこで緑色に変わったのか判別が難しい)。

そこで、正確に中和点を見つける方法として、溶液中を流れる電流を測定する方法が使われます。


硫酸と水酸化バリウムで中和点を見つける

ビーカーに硫酸をいれたものを用意します。
ステンレス板を電極として直流電流を流し、水酸化バリウム水溶液を加えていきながら、溶液中を流れる電流を測定します。

最初は、硫酸だけがビーカーに入っています。
1
ビーカーの中では硫酸が電離して、+の水素イオンと-の硫酸イオンが存在しています。
硫酸

このとき、モデルの図のビーカーの中に存在しているイオンの個数は6個です。












水酸化バリウムを加えます。
2
水酸化バリウムは、+のバリウムイオンと-の水酸化物イオンに電離しています。
水酸化バリウム












加えた水酸化バリウムにふくまれる水酸化物イオンは、硫酸にふくまれていた水素イオンと結びついて水になります。
水

3
加えた水酸化バリウムにふくまれるバリウムイオンは、硫酸にふくまれていた硫酸イオンと結びついて硫酸バリウムになります。
硫酸バリウム


硫酸バリウムは非電解質なので、水には溶けないで、ビーカーの底に沈殿します。

このとき、モデルの図のビーカーの中に存在しているイオンの個数は、イオンが水と硫酸バリウムになったために、3個に減少しています。



さらに、水酸化バリウムを加えます。
4水素イオンと水酸化物イオンは完全に反応して水になりました。
硫酸イオンとバリウムイオンも完全に反応して硫酸バリウムになって沈殿しました。

この段階が中和点です。

溶液中に存在するイオンの数は0個です。









さらに、水酸化バリウムを加えます。
5
加えた水酸化バリウム中の、バリウムイオンは反応する陰イオンが溶液中に存在しないのでバリウムイオンのままです。
水酸化物イオンも、結びつく陽イオンが存在しないので水酸化物イオンのままです。

モデルの図では、この段階で存在するイオンの数は3個です。

以上のモデルでは、溶液中に存在するイオンの個数は、6個→3個→0個→3個→と変化しました。

このとき、溶液中を流れる電流の大きさはどのように変化するでしょうか。



電流の変化

溶液中に存在するイオンの数が多いほど、溶液中を大きい電流が流れます。
モデルの図で、溶液中のイオンの個数は、6個→3個→0個→3個→と変化しました。

横軸に加えた水酸化バリウムの量、縦軸に溶液中を流れる電流の大きさをとってグラフをかくと、次の図のようになります。
6
このように、溶液中にイオンの数が多いほど溶液中を流れる電流が大きいことを利用して、中和点を正確に求めることができます。









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science 化学変化 酸・アルカリ・中和とイオン (中2の学習事項)

中1の『物質』水溶液の性質で学んだ酸性・アルカリ性・中性ですが、中2の『化学変化』では、酸・アルカリ・中和をイオンの見地から学習します。

この稿では、中2の学習事項である酸・アルカリ・中和とイオンについてまとめます。




水に溶けると、電離して水素イオンを生じる物質を酸といいます。

酸性の水溶液が示すいろいろな性質は、水溶液中の水素イオンが原因で生じます(青色リトマス紙を赤色にし、BTB溶液を黄色にするのは水素イオンです)。

酸の電離を表わす式

酸は、水溶液中で以下のように電離しています。

酸










酸は、水に溶けると、プラスの電気を帯びた陽イオンである水素イオンと、マイナスの電気を帯びた陰イオンに分かれます。


アルカリ

水に溶けると、電離して水酸化物イオンを生じる物質をアルカリといいます。

アルカリ性の水溶液が示すいろいろな性質は、水溶液中の水酸化物イオンが原因で生じます(赤色リトマス紙を青色にし、BTB溶液を青色にし、フェノールフタレイン溶液を赤色にするのは水酸化物イオンです)。

アルカリの電離を表わす式

アルカリは、水溶液中で以下のように電離しています。

アルカリ








アルカリは、水に溶けると、プラスの電気を帯びた陽イオンと、マイナスの電気を帯びた陰イオン水酸化物イオンに分かれます。


強酸と弱酸、強アルカリと弱アルカリ

塩酸硫酸硝酸は、水溶液中でほとんどが水素イオンと陰イオンに電離しており、強い酸性の水溶液となっています。これらの酸を強酸といいます。
酢酸炭酸は、水溶液中でわずかな分子しか電離しません。弱い酸なので弱酸といいます。

水酸化ナトリウム水酸化バリウムは、ほとんどが電離して陽イオンと水酸化物イオンに分かれている強アルカリです。
アンモニア水は、水溶液中であまり電離していない弱アルカリです。


中和とイオン

酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜたとき、酸性の水溶液にふくまれていた水素イオンとアルカリの水溶液にふくまれていた水酸化物イオンが結びついてができます。

このことを中和といいます。

中和がおこなわれるとき、酸の陰イオン(水素イオンでないほう)とアルカリの陽イオン(水酸化物イオンでないほう)とで、塩(えん)ができます。

塩酸水酸化ナトリウムを混ぜたときを考えてみましょう。
中和










塩酸に少しずつ水酸化ナトリウムを加えていきます。
中和2
プラスの電気を帯びた水素イオンと、マイナスの電気を帯びた水酸化物イオンは、結びついて水になります。

塩酸にふくまれていた塩化物イオンと、加えた水酸化ナトリウムにふくまれていたナトリウムイオンとでできる塩化ナトリウムは電解質なので、イオンのまま水に溶けています。




中和3以上のことを、変化したイオンだけに着目すると次の式になります。
中和の式

これが中和を表わす式です。







中和点

酸の水溶液とアルカリの水溶液を混ぜたとき、酸にふくまれていた水素イオンとアルカリにふくまれていた水酸化物イオンが過不足なく反応したときを中和点といいます。

中和点は、水溶液中を流れる電流を測定することで見つけることができます。
中和点で電流は最小になります。




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science 化学電池

塩酸や硫酸など、電解質の水溶液に2種類金属を入れると、電圧が生じ電流が流れます。この原理を利用して電気エネルギーを取り出す装置が化学電池です。

2種類の金属が必要です。同じ種類の金属を電解質に入れても電流は流れません。


化学電池で電流が流れる原理

(1)金属は、種類によって陽イオンなりやすいものとなりにくいものがあります。
マグネシウムは陽イオンになりやすく、次に、アルミニウム、亜鉛という順に陽イオンになりやすい順に並びます。

(2)2種類の金属を電解質に入れたとき、陽イオンになりやすいほうの金属が−極陽イオンになりにくい金属のほうが+極になります。

例えば、電解質であるうすい塩酸に亜鉛を入れたとき、陽イオンになりやすい亜鉛−極に、亜鉛に比べて陽イオンになりにくい+極になります。

(3)例えば、うすい塩酸に亜鉛と銅を入れたとき、亜鉛は2個電子を手離して陽イオンである亜鉛イオンになります。

亜鉛の電離




もともと電気的に中性であった亜鉛がイオンになるということは、亜鉛が−の電気を帯びている電子を手離して、電気的に+の電気を帯びるということです。
また、陽イオンになるということは、原子であった亜鉛であることをやめて、亜鉛のイオンになって水溶液に溶け出してしまうということです。

(4)亜鉛が手離した、−の電気を帯びた電子は、導線を通って陽極の銅の極へと移動します。この、電子の流れが電流となります。

亜鉛と銅の化学電池

(5)電子が移動してきたの極板には、電解質中の陽イオンが引き寄せられます。
水溶液が塩酸のとき、塩酸は+の電気を帯びた水素イオンと、−の電気を帯びた塩化物イオンとに分離していますから、銅の極板に陽イオンである水素イオンが近づいてきます。

そして、水素イオンは銅極にある電子を受け取り、電気的に中性になって、イオンであることをやめ水素の原子になります。そして2個の水素原子が結びつき、水素分子、水素の気体となって発生します。


(イオン化傾向による電池の詳しい説明はこちらを参照。)



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