私たちが物を買うときの値段を価格といいます。

価格には3段階のものがあります。
通常、商品は生産者が生産し、生産者から卸売商(問屋ともいいます)が購入し、卸売商から商品を購入した小売商(デパートやスーパーや商店)が私たちに販売します。
生産者価格・・・生産者が卸売商に販売するときの価格
卸売価格・・・卸売商が小売商に販売するときの価格
小売価格・・・小売商が消費者に販売するときの価格
購入価格に利益を加えた価格で販売するはずなので、値段は生産者価格<卸売価格<小売価格となります。


価格の決定

新聞やテレビで、気候の影響で野菜などの生鮮食料品が品不足となり価格が上昇しているといったニュースを見聞きしたことがあると思います。

今年は猛暑で海水の温度が変わり、サンマが極端な不漁でした。当然、サンマの水揚げ量(供給・・・企業などが商品を提供できる量の全体)に比べてサンマをほしがる人(需要・・・消費者が商品をほしがる量の全体)のほうが多く、サンマがどうしてもほしい人は少々値段が高くても買おうとしますから、サンマの価格は上昇します。

逆に、野菜ができすぎたり魚がとれすぎたりしたときは、商品の量のほうが人がほしがる量より多すぎるので値段を下げないと売れません。

以上の状況を、価格によって需要と供給がどのように変化するかの見地からながめるグラフが需要曲線供給曲線です。

需要曲線(需要にあたる英語がdemandなのでDで表示することがある)

需要曲線
価格が高いと買いたい人(需要)が少ない、価格が低いと買いたい人(需要)が多いことを示す曲線です。

グラフを読み取るとき、縦軸の価格を先に見て、「価格が高いと需要が少ない」、「価格が低いと需要が多い」と見ないと誤解します。
(先に需要のほうから見ると、需要が多いほど価格は下がると勘違いしてしまいます。)


供給曲線(供給にあたる英語がsupplyなのでSで表示することがある)

供給曲線
価格が低いと売りたい人(供給)が少ない、価格が高いと売りたい人(供給)が多いことを示す曲線です。

グラフを読み取るとき、やはり、縦軸の価格を先に見ることが大切です。
「価格が高いと供給が多い」、「価格が低いと供給が少ない」と読み取ります。





2つの曲線のうち、どちらが需要曲線でどちらが供給曲線かをたずねる問題が出ます。
縦軸が価格を表すこと、価格のほうを先に見て需要と供給がどうなるかを考えることの2点に留意すればわかりますが、次のような覚え方もあります。

覚え方需要の最初のひらがな「じ」と同じ流れなのが需要曲線、供給の最初のひらがな「き」の書き出しの一画と同じ向きなのが供給曲線。






均衡価格・市場価格・独占価格・公共料金

均衡価格

理論的には、価格は、需要曲線と供給曲線の交わった点で決まるはずです(その点が需要にも供給にも適合する価格を示しているので、価格はそこで安定して変動しなくなるはずだから)。

均衡価格こうして、需要と供給のバランスで決定される理論上の価格のことを均衡価格といいます。

均衡価格が成立する市場(しじょう・マーケット、商品が流通している実際の社会のこと)を完全競争市場といいますが、実際の市場では、ものの価格は需要と供給以外のさまざまな要素で決定されるので、均衡価格は「理論上の」価格です。



市場価格

実際の市場で商品が現実に売り買いされている価格のことを市場価格といいます。

実際の価格である点が、理論上の価格である均衡価格とちがいます。

また、需要と供給の影響を受けて決まる価格である点が、企業が一方的に決定する独占価格とちがいます。

経済学では、需要が供給より多いときは市場価格は均衡価格まで上昇し、供給が需要より多いときは市場価格は均衡価格まで下落し、いずれにしても、市場価格は均衡価格に近づいていくと説明されます。


独占価格

その商品を生産または販売している企業が1社だけであった場合、その企業は高い利益をあげるために自由に価格を決定することができます。
また、有力な企業が一方的に価格を設定し、同業の他の企業がその価格に追随する例もあります。
さらに、複数の企業が利益の確保をめざして、話し合いで協定を結んで商品の価格を決めてしまうことがあるかもしれません。

上の例のような、需要や供給に関係なく、経済的に強い立場にある企業が一方的に決定した価格のことを独占価格といいます。

行き過ぎた独占価格は消費者に不利益をもたらし経済の停滞をもたらすおそれがあるので、国は独占禁止法で不当な価格の操作を禁止し、公正取引委員会が監視をしています。


公共料金

郵便料金、鉄道やバスの運賃、電話料金、水道やガスや電気の料金、公立学校の授業料など、国民の生活に関係が深く公益性の強いものの料金のことを公共料金といいます。

公共料金は、公益性や住民サービスを考慮しながら国や地方公共団体が料金の決定に関与します。
(1)国会や政府が決定するもの・・・診療報酬、介護報酬
(2)政府の認可や政府への届出が必要なもの・・・郵便料金、電気料金、鉄道やバスの運賃など
(3)地方公共団体が決定するもの・・・水道料金、公立高校の授業料など
の3種類があります。


物価

個々の商品の値段ではなくて、多くの価格をまとめて平均化したものを物価といい、基準の年の物価を100として、基準の年と比較した、ある年の物価を表す数値のことを物価指数といいます。

物価指数には、消費者物価指数(日常生活に使用される小売商品の物価指数)と、企業物価指数(企業間で売買される卸売商品の物価指数、卸売物価指数)とがあります。


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