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勉強をしている子どもたちが、悩み、知りたい、理解したいと思いながら、今までは調べる方法がなかった事柄を、必要かつ十分な説明でわかりやすく記述したサイトです

公民

social studies 裁判所 民事裁判・行政裁判・刑事裁判

裁判は、民事裁判・行政裁判・刑事裁判の3つの種類に分かれます。


民事裁判

私人間の争いを解決する裁判が民事裁判です。
財産(金銭貸借や土地の帰属など)に関する紛争と、身分(婚姻や相続など)に関する紛争をおもな対象とします。

訴えた人を原告、訴えられた人を被告といいます。

民事事件の手続きは民事訴訟法に規定されています。

訴訟の目的の価額(争いになっている金額)が140万円以下のときは簡易裁判所、140万円を超えるときは地方裁判所が第一審の裁判所となります。

弁護士に委任することは絶対の条件ではありません(「本人訴訟」が認められます)。

また、訴訟や弁護士費用を払う余裕がない人に裁判のための費用などを援助するものとして、日本司法支援センター(法テラス)による「法律扶助制度」があります。


行政裁判

私人が、地方自治体を訴える裁判が行政裁判です。

民事裁判の一種ですが、行政事件訴訟法の適用も受け、特別な手続きが必要です。
裁判を起こす前に「不服審査」の申し立てが必要であり、裁判を起こすことができる人(原告適格)の範囲も限られています。


刑事裁判

犯罪の疑いがあるとき、犯罪の有無や量刑を決める裁判が刑事裁判です。

犯罪を犯したおそれがある人を被疑者と呼びます。
犯罪の捜査や被疑者の逮捕などは、裁判所の令状のもとに検察官と警察がおこないます。

検察官が裁判所に訴えを起こす(起訴)と、被疑者は被告人と呼ばれます。

刑事事件の手続きは刑事訴訟法に定められています。
検察官が「合理的な疑いをいれない」程度に被告人が犯罪を犯したことを証明すると有罪、証明できないときは無罪となります。

検察官は、原則として、刑罰が罰金以下の刑にあたる軽い犯罪のときは簡易裁判所に、禁固・懲役以上の刑にあたる犯罪のときは地方裁判所に公訴を提起します。

刑事訴訟法は、すべての被疑者・被告人に弁護人を選任する権利を保障しており、弁護士が弁護人となります。
被告人が経済的理由などで弁護人を依頼できないときは国が弁護人を選任します(国選弁護人)。

2010年5月から、刑事裁判に限り裁判員制度が始まりました。
裁判員制度の対象となるのは、殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪、現住建造物等放火罪、身代金目的誘拐罪などの重大な事件です。
国民から選ばれた裁判員6名が、裁判官と一緒に裁判に関与し、有罪か無罪か、有罪のときは刑罰を決定します。

また、2008年12月より、被害者参加制度も始まっています。
殺人罪、傷害致死罪、強姦罪、強制わいせつ罪、業務上過失致死傷罪、逮捕・監禁罪、誘拐罪などの裁判で、犯罪被害者や遺族は、被告人質問をしたり、量刑などについて意見を述べることができます。



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social studies 内閣 国の行政組織・省庁

ニュースなどでよく見聞きしますが、正確な知識を問われると案外答えられないのが国の行政組織(省や庁など)です。


一府十一省

内閣のもとに、1つの「府」と11の「省」があります。

一府

内閣府

十一省

総務省
法務省
外務省
財務省
文部科学省
厚生労働省
農林水産省
経済産業省
国土交通省
環境省
防衛省


一府十一省の仕事

一府

内閣府…内閣の重要政策について、行政機関の政策の統一と調整をおこなう役所です。
皇室に関する事務、消費者保護、物価対策も内閣府の仕事です。

十一省

総務省…地方自治、電気通信、放送などに関する事務を担当します。
以前の総務庁・自治省・郵政省を統合した省です。

法務省…検察、戸籍、出入国管理などの事務をおこないます。

外務省…外交政策、条約締結、外交使節などに関する事務を担当します。

財務省…財政、税、通貨、外国為替、造幣事業に関係する事務をおこないます。
元の大蔵省です。

文部科学省…教育、スポーツ、科学技術、宗教に関する事務を担当します。

厚生労働省…社会福祉、社会保障、公衆衛生、労働者、職業斡旋などに関する事務をおこないます。
以前の厚生省と労働省を統合した省です。

農林水産省…農業、林業、水産業に関する事務を担当します。

経済産業省…産業政策、通商政策、資源とエネルギーなどに関する事務をおこないます。

国土交通省…国土の開発、交通政策などに関する事務を担当します。
元の建設省、運輸省などを統合した省です。

環境省…公害防止、環境の保全などに関する事務をおこないます。

防衛省…自衛隊の管理と運営をおこないます。


一府十一省以外の、内閣に付属する国の行政組織

内閣のもとにある国の行政組織の中には、一府十一省以外に次のような官庁があります。

内閣官房…閣議で決定する事項の整理と情報収集などを行います。  

内閣法制局…法律案の立案、国内法と国際法の調査などをおこないます。

人事院…国家公務員の人事、試験などの事務を担当します。


会計検査院…国の歳入、歳出が適正におこなわれたかどうかを検査します。
会計検査院だけは、事務の性質上、内閣から独立した組織です。


一府十一省にふくまれる外局

内閣府や省にふくまれますが、独立性をもって特殊な事務を取り扱う行政機関を外局といいます。
庁と委員会の二種類があります。

内閣府に属する行政機関
・宮内庁
・公正取引委員会
・国家公安委員会・警察庁
・金融庁
・消費者庁

総務省
・公害等調査委員会
・消防庁

法務省
・公安調査庁

財務省
・国税庁

文部科学省
・文化庁

厚生労働省
・中央労働委員会

・厚生労働省の外局だった社会保険庁は2009年に廃止され、健康保険事業は全国健康保険協会、年金事業は日本年金機構に移行しました。

農林水産省
・林野庁
・水産庁

経済産業省
・資源エネルギー庁
・特許庁
・中小企業庁

国土交通省
・気象庁
・海上保安庁
・観光庁
・運輸安全委員会


内閣との関係

行政機関を統轄するのは、内閣総理大臣と14人以内(特別の必要があるときは17人以内)の国務大臣で構成される内閣です。

内閣府の長は内閣総理大臣、各省の長は総務大臣、法務大臣、外務大臣・・・などの国務大臣です。




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social studies 遺産相続

人が財産を残して亡くなったとき、その財産はどうなるのでしょうか。


遺産相続

人が亡くなったとき残された財産を「遺産」、その処分の手続きを「相続」といいます。
わが国では、民法「第5編相続(第882条〜第1044条)」が遺産相続について細かく定めています。


遺産相続の原則

人はいつでも「遺言」(ゆいごん・法律家は「いごん」と読むことが多い)を残すことができます。
遺言があるときは、原則として遺言に従います。

最近は遺言を残す人も増えていますが、ほとんどの人は遺言を残さないまま亡くなります。

遺言がないとき、遺産は法律の定めにしたがって相続されます。これを「法定相続」といいます。


法定相続人と法定相続分

法律で相続の権利を認められている人を法定相続人といいます。

民法の規定する法定相続人は、配偶者(夫が亡くなったときは妻、妻が亡くなったときは夫)父・母兄弟姉妹だけです。

配偶者、子、父・母、兄弟姉妹は法律上のものに限り、婚姻届を出していない配偶者(いわゆる内縁)などはふくまれません。


(1)被相続人(亡くなった人)にがあるときは、配偶者だけが相続します。
子には胎児(生まれる前の子)、養子、非嫡出子をふくみます。

民法が定めた遺産を相続する割合のことを法定相続分といいます。

配偶者と子が相続人のとき、法定相続分は配偶者2分の12分の1です。
複数の子があるとき、子は2分の1の遺産をさらに平等な割合で相続します(均分相続)。

(例)1,000万円の遺産を残して被相続人が亡くなり、子どもが2人いるとき、配偶者は2分の1の500万円、子1人は子の相続分2分の1を平等に2でわった4分の1ずつ250万円を相続します。

子がいたが、親の被相続人より先に亡くなっていたとき、亡くなった子に子があれば(つまり、亡くなった被相続人に孫がいれば)、子が受け取るはずであった遺産を孫が相続します(代襲(だいしゅう)相続)。

(例)1,000万円の遺産を残して被相続人が亡くなり、子どもが2人いて、そのうちの1人が既に亡くなっていてその子が2人いるとき、配偶者は2分の1の500万円、生きている子1人は子の相続分2分の1を2でわった4分の1の250万円を相続し、亡くなった子が受け取ったはずの250万円を孫の2人が125万円ずつ相続します。

配偶者が既に亡くなっているときは、遺産の全額を子が相続します。


(2)被相続人にがないときは、配偶者と亡くなった人の父・母が相続します。

このときの法定相続分は、配偶者3分の2、父・母が3分の1です。

(例)被相続人が900万円の遺産を残して死亡し、子がないとき、配偶者が3分の2の600万円を相続し、残りの3分の1の300万円を父・母が半分ずつ150万円相続します。

配偶者が既に亡くなっているときは、遺産の全額を父・母が相続します。


(3)被相続人に子がなく、父・母も既に死亡しているときは、配偶者と亡くなった人の兄弟姉妹が相続人となります。

このときの法定相続分は、配偶者4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。


このように、配偶者は常に相続人となり、父・母は子がいないときのみ、兄弟姉妹は子も父・母もいないときのみ、相続人となります。


相続するもの

相続の対象になるのは、土地・家屋などの不動産や銀行預金、現金などのプラスの財産だけではありません。
亡くなった人が銀行から借りていたローンの返済義務、人からの借金などのマイナスの財産も相続します。

(例)1,000万円の現金と800万円の借金を残して被相続人が亡くなったとき、配偶者と子2人があれば、配偶者は2分の1ずつ、つまり現金の500万円と400万円の借金の返済義務を相続し、子の1人は現金の250万円と借金の200万円を相続することになります。


相続放棄

遺産を相続したくない人は、被相続人の死後3ヶ月以内であれば、家庭裁判所の手続きで相続する権利を放棄することができます(相続放棄)。


家庭裁判所

相続に関することがらを扱う(管轄(かんかつ)する)裁判所は家庭裁判所です。

相続に関して争いなどがあるときは、家庭裁判所の調停や審判で解決します。


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    ・2013.10.29.ヤマトさんのご指摘で、「超速まとめ 一次関数」の誤記2つを訂正することができました。
    ・2013.11.08.chappyさんにご教示いただき、「地球と宇宙(3)(太陽系・銀河系)」の光年の誤りを訂正しました。
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    ・2013.12.23.龍空さん、Mさん、名無しさんに教えていただき、「数量を文字式で表す」、「方程式の解き方」、「文学史」の間違いを訂正しました。
    ・2014.1.23.龍空さんに見つけていただき、「中学英語のまとめ(14) 疑問詞」の間違いを訂正しました。
    ・2014.1.28.龍空さんに教えていただき、「中学英語のまとめ(18) 現在完了」の記述ミスを修正しました。
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