働きアリ

勉強をしている子どもたちが、悩み、知りたい、理解したいと思いながら、今までは調べる方法がなかった事柄を、必要かつ十分な説明でわかりやすく記述したサイトです

science 摩擦力(まさつりょく)

ある物体を真上に持ち上げるときは、その物体にはたらく重力重さ)と同じ大きさの力で持ち上げることができます。
摩擦力
ある物体を持ち上げないで横に引いたり押したりして動かそうとするときは、ある物体と床の面との間に「横に動くのをさまたげる力」=「摩擦力まさつりょく)」がはたらいており、その摩擦力と同じ大きさの力で押したり引いたりすると物体を横に動かすことができます。


摩擦力の特徴

知っておかないといけない摩擦力の特徴には次のようなものがあります。

(1)摩擦力の大きさは、物体を横に引いたり押したりする力と等しい(引いたり押したりしないときの摩擦力は0である)。

(2)摩擦力は、種類状態物体重さによって決まる。

(3)摩擦力は、接触している面積の大小とは関係しない。

(4)物体を引いても押しても動かないときの摩擦力を静止摩擦力、引いたり押したりしているときにはたらいている摩擦力を動摩擦力という。


摩擦力の図示

摩擦力は、物体と面との接触部にはたらく力であり、物体を引いたり押し摩擦力の図示たりする力とつり合う力なので、接触面の中心から、引いたり押したりする力と反対の向きに図示します。





(疑問点)
2つの力がつり合っているときの3条件は、2つの力が(1)同一直線上にあり、(2)向きが逆で、(3)大きさが等しい、ことです。
ところが、どのテキストでも、物体を引く力と摩擦力は「つり合っている」と記述されています。しかし、この2力は、向きは逆で、大きさは等しいのですが、同一直線上ではありません。
大いに疑問を感じるところですが、この点を説明しているテキストは見たことがありません。


摩擦力の大きさ

摩擦力は、物体を横に押したり引いたりする力と等しい大きさの力です。

摩擦力の大きさ引く力が0のとき、摩擦力の大きさも0です。

引く力がAで物体が静止したままのとき、摩擦力の大きさはAです。

引く力がBで物体が横に移動しているとき、摩擦力の大きさはBです。









摩擦力を決定するもの

摩擦力は、摩擦力=摩擦係数×抗力の式で求めることができます。


摩擦係数は、ふれあう種類状態によって決まります。

例えば、接触している物質が銅と鉄のときの摩擦係数は0.53、銅とガラスのときは0.68です。

一般に、すべりやすい物質の摩擦係数は小さく、すべりにくい物質の摩擦係数は大きいとイメージすることができます。


また、摩擦力=摩擦係数×抗力の式のうち、抗力は、重力に比例し(特に水平な面に置いた物体の場合、抗力=重力)、重力は質量に比例します。

つまり、同じ物質であれば「重いものほど摩擦力は大きい」といえます。


(参考)
摩擦係数摩擦係数は、左図のように斜面に物体を置き、ACの長さをかえて測定したときの、物体がすべりだしたときのAC/BCの大きさで求めます。

例えば、AC=5cm、BC=10cmのとき、摩擦係数は5/10=0.5です。

AC/BCの値は、(すべり落ちる力)/(斜面をおす力)の値と一致します。

また、図でわかるように、斜面をすべり落ちる力=摩擦力です。


摩擦力と接触する面積

ふれあう面積が大きくても小さくても摩擦力は変わりません。

つまり、同じ物体の置き方を変えて接触する面積が変わっても、摩擦力の大きさは変わりません。同じ力で、横に動かすことができます。


静止摩擦力と動摩擦力

中学生範囲の問題ではあまり見かけませんが、実は摩擦力は静止摩擦力動摩擦力に分かれます。

物体にひもをつけて横に引くとき、 途中まで物体は動きません。
引く力を大きくしていき、引く力がある大きさに達すると物体は横に移動を始めます。

物体が動かないときの摩擦力を静止摩擦力、物体が動き始めてからの摩擦力を動摩擦力といいます。

物体が動き出す前は、静止摩擦力と動摩擦力摩擦力=物体を引く力より、引く力を大きくすると摩擦力も比例して大きくなり、物体が動き始める直前に摩擦力は最大になります(このときの摩擦力を最大静止摩擦力といいます)。

物体が動き始めると、最大静止摩擦力>動摩擦力となり、動き始める直前の物体を引く力より小さい力で物体を移動し続けることができます。




摩擦力と仕事

仕事の大きさを求める一般的な公式は、仕事(J)=力の大きさ(N)×力の向きに動いた距離(m)です。

物体を持ち上げるときは、仕事(J)=重力の大きさ(N)×持ち上げた高さ(m)と言い換えることができます。

物体を面にそって動かすときは、仕事(J)=摩擦力の大きさ(N)×力の向きに動いた距離(m)となります。
仕事の大きさを求めるときは摩擦力だけを考慮すればよく、物体の重さは仕事を求める式には表れません(摩擦力が重さに比例することと混同しないようにする必要があります)。


例題:水平な面の上に置いた質量400gの物体をばねはかりで水平に引いた。次の問いに答えなさい。
例題1(1)引いているとき、ばねはかりは1Nを示したが物体は動かなかった。このとき物体がされた仕事は何Jか。

(2)物体が動き始めると、ばねはかりは3Nを示していた。物体と面との間にはたらいている摩擦力の大きさは何Nか。また、物体が50cm動いたとき、物体がされた仕事は何Jか。

(解き方と解答)
(1)引いているとき、ばねはかりは1Nを示したが物体は動かなかった。このとき物体がされた仕事は何Jか。

摩擦力=引く力より、摩擦力は1Nですが、「動かなかった」ので、移動した距離は0です。
仕事(J)=摩擦力の大きさ(N)×力の向きに動いた距離(m)の式にあてはめると、仕事=1N×0m=0
答えは0Jです。


(2)物体が動き始めると、ばねはかりは3Nを示していた。物体と面との間にはたらいている摩擦力の大きさは何Nか。また、物体が50cm動いたとき、物体がされた仕事は何Jか。

まず、摩擦力=引く力より、摩擦力の大きさは3Nです。

次に、仕事(J)=摩擦力の大きさ(N)×力の向きに動いた距離(m)の式にあてはめて、仕事=3N×0.5m=1.5J
物体がされた仕事は1.5Jです。

この問題では、物体の質量400gを考慮する必要はありません。




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science 輪軸(りんじく)

半径の異なる2つの輪を組み合わせ、同じ軸(中心)のまわりを回転するようにした道具を輪軸(りんじく)といいます。
輪軸
滑車てこのはたらきの両方を備えた道具です。

(1)滑車と同じはたらき
大きい輪に下向きに力を加えると、小さい輪につるされたものを逆の向きに持ち上げることができます。

(2)てこと同じはたらき
半径(中心からの距離)の小さい輪につりさげたおもりを、大きい輪を小さい力で引くことで持ち上げることができます。

輪軸は、滑車とてこの両方の性質をもった道具なので、滑車の原理てこの原理のどちらかを使って問題を解くことができます(滑車の原理についてはこちら、てこの原理についてはこちらを参照)。


例題1:図1でひもをひく力Aの大きさ、図2で輪軸の半径Bの長さはそれぞれいくらですか。
輪軸例題1(図1の解き方)
軸(中心)が支点ですから、てこの原理の、おもり×支点までの距離=おもり×支点までの距離を使って解きます。
輪軸を反時計まわりにまわそうとする60×10と、輪軸を時計まわりにまわそうとするA×30が同じになればよいわけです。
60×10÷30=20
答えは20gの力です。

おもり×半径(支点までの距離)=おもり×半径(支点までの距離)で、積が一定だから、反比例と考えて解くこともできます。
半径が10:30=1:3で、おもりの比は逆の3:1になるから、3:1=60:A
A=20gです。

(図2の解き方)
同じように考えて、25×20=10×Bだから、25×20÷10=50、答えは50cmです。
または、25:10=5:2の逆の比になるから、2:5=20:Bより、B=50cmでもかまいません。




輪軸と仕事の原理

輪軸でも、仕事の原理力×動いた距離は一定で変わらないが成り立ちます。

例題2:図1、図2で、おもりを10cm引き上げるには、ひもを何cm引かないといけませんか。
輪軸例題2(図1の解き方)
小さい輪で、60gのおもりが10cm動いたので、仕事の量は60×10=600。
仕事の原理より、大きい輪で20×ひもを引いた距離が600になればよい。
60×10=20×□
60×10÷20=30cmが答えです。

おもりの大きさが60:20=3:1だから、ひもの動く距離は逆比の1:3と考えて、30cmと考えてもかまいません。

別の考え方として、回転する角度が同じだから、おもりが移動する距離は半径に比例すると考えることもできます。
半径が1:3だから、おもりが移動する距離(=糸を引く距離)も1:3。
10:□=1:3だから、30cm。


(図2の解き方)
25×10=10×ひもを引く距離だから、25×10÷10より、答えは25cm。
または、おもりの大きさ25:10=5:2の逆の比になるから、10:□=2:5より、25cm。
または、同じ角度で回転するから半径の比=ひもを引く距離。10:□=2:5より、25cm。


複雑な問題の解き方

例題3:半径が5cmの小さい輪、半径が10cmの中くらいの輪、半径が輪軸例題320cmの大きい輪の、3つの輪をもった輪軸があります。図のように、小さい輪に18gのおもり、中くらいの輪に29gのおもりをつけて、大きい輪をAの力で引いたところ、輪軸はつり合いました。
(1)大きい輪を引く力Aの大きさはいくらですか。
(2)大きい輪のひもを40cm上に引いたとき、18gのおもり、29gのおもりはそれぞれどちらの向きに何cm動きますか。

(3)輪軸を支えている支柱がてんじょうを引く力はいくらですか。ただし、輪軸の重さは考えないものとします。


(解き方)
(1)大きい輪を引く力Aの大きさはいくらですか。
やや複雑な問題では、てこの問題と同じで、どちらにまわそうとする力なのかを確認しておく必要があります。
18gのおもりは、反時計まわりに輪軸をまわそうとする力です。
29gのおもりは、時計まわりにまわそうとする力です。
大きい輪に加えた力Aは、反時計まわりにまわそうとする力です。
この3つの力の間に、おもり×支点までの距離=おもり×支点までの距離
の関係が成り立ちます。

だから、18×5+A×20=29×10。
90+A×20=290
A×20=200
A=10gです。


(2)大きい輪のひもを40cm上に引いたとき、18gのおもり、29gのおもりはそれぞれどちらの向きに何cm動きますか。
大きい輪を上に引くと、輪軸は反時計まわりに回転します。すると、18gのおもりは下に、29gのおもりは上に、動きます。

次に、おもりが動く距離ですが、この問題の場合、「回転する角度が同じだから移動する距離は半径に比例する」を使うのが一番簡単でしょう。
輪の半径は、5:10:20=1:2:4でした。

18gのおもりの動く距離は、□:40=1:4より10cm。

29gのおもりの動く距離は、□:40=2:4より20cm。


(3)輪軸を支えている支柱がてんじょうを引く力はいくらですか。ただし、輪軸の重さは考えないものとします。
滑車の問題と同じで、上へ引く力と下に引く力がつりあえばよいと考えます。

この問題では、輪軸全体を下に引く力は18gと29gです。
輪軸全体を上に引く力は10gでした。

10+□=18+29より、輪軸を支えている支柱がてんじょうを引く力は37gです。



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science 浮力(ふりょく)のよく出る問題 (中学理科)

浮力とは何か、浮力が生まれる理由、アルキメデスの原理については、こちらでまとめました。

理解しておかないといけないポイントは次の4つでした。

1、浮力=空気中での重さ-水中での重さ
2、浮力が生まれるわけ=上の面にはたらく水圧下の面にはたらく水圧
3、水中にある体積100立方cmの物体にはたらく浮力は1N
4、浮力は水中にある物体の体積比例するだけで、深さや物体の形は関係しない。

この稿では、上の4つのポイントをおさえた上で、いろいろな浮力の問題を解くときに必要になってくる大切なことがらをまとめます。


浮力の意味がわかっているかどうかを問う問題

例題1:ある物体の重さをばねはかりではかったら1.2Nでした。そのま浮力例題1ま、物体を水に入れると、物体全部が水に入り、ばねはかりの目盛りは0.8Nをさしました。
(1)物体にはたらいている浮力は何Nですか。
(2)物体の体積は何立方cmですか。
ただし、質量100gの物体にはたらく重力を1Nとします。





(解き方)

(1)「浮力=空気中での重さ-水中での重さ」より、空気中で測った物体の重さと、物体を水中に入れて測ったときの重さが、そのものにはたらいている浮力の大きさです。

だから、物体にはたらいている浮力は、
1.2N-0.8N=0.4N
です。

(2)「水中にある体積100立方cmの物体にはたらく浮力は1N」より、水中の物体にはたらいている浮力が0.4Nであれば、その物体の、水中に入っている部分の体積は40立方cmです。
この問題では物体全体が水に入っているので、この物体の体積は40立方cmです。


ものが水に浮いているとき

例題2:質量60g、体積80立方cmの木片を水に入れたところ、木片は水浮力例題2に浮かびました。
(1)
木片にはたらいている浮力の大きさは何Nですか。
(2)
木片の、水中に沈んでいる部分の体積は何立方cmですか。
(3)木片の上に何N以上のおもりをのせると、木片は完全に水に沈みますか。
ただし、質量100gの物体にはたらく重力を1Nとします。

(解き方)

(1)物体が水に浮いているとき、なぜ物体が浮くかというと、下向き浮力例題2の2物体を引っぱる重力重さ)の大きさと、上向きに物体を支えている浮力の大きさが等しいから、物体は浮いているのです。

大切なこと:物体が浮いているときは、重さ=浮力

だから、質量60gの物体が浮いているとき、その物体にはたらいている重力は0.6Nであり、浮力も0.6Nです。



(2)「水中にある体積100立方cmの物体にはたらく浮力は1N」より、浮力が0.6Nだったので、木片の、水に沈んだ部分の体積は60立方cmです。

(3)体積が80立方cmの木片を完全に水中に沈めると、「水中にある体積100立方cmの物体にはたらく浮力は1N」より0.8Nの浮力が生まれます。

だから、この0.8Nの浮力にさからって木片を完全に水に沈めるには、0.8N以上の重さが必要です。

今、木片自体の重さが0.6Nだから、重さを0.8Nにするには、0.8-0.6=0.2N、あと0.2N以上の重さが必要です。


浮力と全体の重さ

例題3:ビーカーに水を入れて台はかりで重さをはかったところ、台はかりの目盛りは3Nを示しました。
(1)水に重さが0.5Nで体積が10立方cmのおもりを沈めたら、台はかり浮力例題3の目盛りは何Nをさしますか。









(2)おもりをばねはかりにつるして、ゆっくりばねはかりを上にあげて例題3の2いくと、ばねはかりの目盛りが何Nのとき、おもりはビーカーの底を離れますか。

(3)おもりがビーカーの底を離れたとき、ビーカーの下の台はかりの目盛りは何Nをさしていますか。










(解き方)
(1)水に重さが0.5Nで体積が10立方cmのおもりを沈めたら、台はかり浮力例題3の目盛りは何Nをさしますか。

ビーカーと水を合わせた重さはが3Nで、おもりの重さが0.5Nです。

3Nと0.5Nを合わせた重さが下の台はかりにかかるので、台はかりの目盛りは3+0.5=3.5Nをさします。

このとき、おもりには「水中にある体積100立方cmの物体にはたらく浮力は1N」より、0.1Nの浮力がはたらいていますが、この浮力は、おもりを持ち上げようとすると浮力の分だけ軽くなるという意味しかありません(台はかりの、のせる台を上に持ち上げる力ではありません)。

だから、浮力がはたらいていても、浮力に関係なく、台はかりには水とビーカーとおもりの重さを合わせた重さがかかります。


(2)おもりをばねはかりにつりして、ゆっくりばねはかりを上にあげて例題3の2いくと、ばねはかりの目盛りが何Nのとき、おもりはビーカーの底を離れますか。

(3)おもりがビーカーの底を離れたとき、ビーカーの下の台はかりの目盛りは何Nをさしていますか。


(2)おもりの重さは0.5Nです。
そして、「水中にある体積100立方cmの物体にはたらく浮力は1N」より、体積10立方cmのおもりには0.1Nの浮力がはたらいています。

だから、ばねはかりでおもりを持ち上げるとき、0.5-0.1=0.4Nの力で持ち上げることができます。

(3)ばねはかりで持ち上げる前は、水とビーカー、そしておもりの重さを合わせた3.5Nの重さが下の台はかりにかかっていました。

ところが、その3.5Nの重さのうち、ばねはかりが上向きに0.4Nの力でおもりを引っ張ってくれることで、台はかりの台を押す力は0.4Nだけ減少します。
だから、下の台はかりの目盛りは3.5-0.4=3.1Nになります。

つまり、台はかりには、水とビーカーの重さの3Nに、浮力の0.1Nを加えた重さがかかっていることになります。

大切なこと:ビーカーおもりの3つの重さが下の台はかりにかかる。

大切なこと:おもりをばねはかりで上に持ち上げるとき、ばねはかりの目盛りの分だけ、台はかりの目盛りは小さくなる。

台はかりにかかる力
=ビーカー+(おもりの重さばねはかりで上に引く力)
ビーカー浮力



氷を水に浮かべたときの台はかりの目盛りと水面の高さ

例題4:重さ0.3N、体積33立方cmの氷をビーカーに入れた水の中に入れ例題4ると、氷は一部を水面の上に出して水に浮かびました。このとき、台はかりの目盛りは1.5Nでした。
(1)水面より上に出ている氷の体積はいくらですか。
(2)氷がすべてとけたあとの台はかりの目盛りは何Nを示しますか。
(3)氷がすべてとけたあと、
氷がとける前に比べて水面の高さはどうなっていますか。


(解き方)

(1)水面より上に出ている氷の体積はいくらですか。

氷が水に浮いているとき、氷の重さ=氷にはたらく浮力です。
氷の重さが0.3Nだから、氷にはたらいている浮力も0.3N、そして、「水中にある体積100立方cmの物体にはたらく浮力は1N」より、氷の水中に沈んでいる部分の体積は30立方cmです。

だから、水面より上に出ている氷の体積は33-30=3立方cmです。

(2)氷がすべてとけたあとの台はかりの目盛りは何gを示しますか。

ビーカー・水・氷の重さが下の台はかりにかかっています。
ビーカー+水+氷=1.5N
氷がとけてもこの関係に変化はありませんから、氷がすべてとけたあとの台はかりの目盛りは1.5Nのままです。

重さ0.3Nの氷が水に浮いているとき、氷にはたらいている浮力も0.3Nです。
この浮力は、氷にはたらく上向きの力であり、氷を水にうかべている力ですが、下の台はかりの台を上に持ち上げる力ではありません。
つまり、台はかりの目盛りには関係しません。

(3)氷がすべてとけたあと、氷がとける前に比べて水面の高さはどうなっていますか。

水は1gが1立方cmです。

だから、氷の重さが0.3Nのとき、「水中にある体積100立方cmの物体にはたらく浮力は1N」より、氷がとけて水になってしまうとその体積は30立方cmになります。

ところが、(1)で、氷の水中に沈んだ部分の体積は30立方cmでした。

つまり、氷のときも、とけて水になったあとも、氷によって増える体積は30立方cmのままで、かわりません。

水面の高さはずっと変化しません。

大切なこと:氷が水に浮かんでいるとき、氷がとけても水面の高さ変化しない


水以外の液体と浮力

ものを水に入れると、ものがおしのけた体積重さと同じだけ軽くなる」がアルキメデスの原理です。

水以外の液体にものを入れると、「ものがおしのけた体積液体重さと同じだけ軽くなる」ことになります。

例題5:体積40立方cmのおもりの重さをばねはかりではかったら1.2Nでした。おもりを密度0.8g/立方cmの液体に入れました。
(1)おもりにはたらいている浮力は何Nですか。
(2)おもりを液体に入れたあと、ばねはかりの目盛りは何Nを示しますか。


(解き方)

(1)水中におもりを入れたとき、おしのけた液体の体積は40立方cmであり密度は0.8g/立方cmなので、おしのけた液体の質量は0.8×40=32gです。

ものがおしのけた体積液体重さと同じだけ軽くなる」ので、「水中にある体積100立方cmの物体にはたらく浮力は1N」より、おもりにはたらいている浮力は0.32Nです。

(2)「浮力=空気中での重さ-水中での重さ」より、水中では、空気中より浮力の分だけ軽くなります。
1.2-0.32=0.88Nだから、ばねはかりの目盛りは0.88Nを示します。




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science 浮力(ふりょく)の基礎・基本(中学理科)

浮力とは何か?

ばねはかりにものをつるし、目盛りを読むとA(N:ニュートン)であったとします。
次にものを水中に入れて、ばねはかりの目盛りを読むとAより小さいB(N)になります。

必ずA>Bとなります。浮力1
つまり、ものを水中に入れると、入れる前よりばねはかりの目盛りは小さくなる、つまり、軽くなったようにみえます

また、空気中だと手を離すと下に落ちる木が、水には浮きます。





地球上にあるすべてのも浮力2のには、地球がものを真下(地球の中心)に向かって引く力(重力)がはたらいています。
重力の大きさは、物体が空気中にあっても水中にあっても変わりません。

だから、物体を水中に置くと、ばねはかりの目盛りが変わるのは、水中にある物体に、重力とは反対向きの力がはたらいていると考えないと理屈に合いません。

この、物体が水中にあるとき、物体にはたらく上向きの力が、浮力です。

重力や浮力を図で表すときは、重力は物体の中心から鉛直下向き(地球の中心に向かう真下の方向)の矢印で表します。
浮力は、物体の中心から鉛直上向き(真上の方向)の矢印で表します。


(まとめ)浮力=空気中での重さ-水中での重さ


浮力が生まれる理由

水中にある物体には、水による圧力がはたらきます。
水の圧力水圧です(水の圧力(水圧)についてはこちらこちらをご覧ください)。

深いほど物体の上にある水の量も増えるので、水圧も大きくなります。
つまり、水圧深さ比例します。

浮力3左の図で、水の圧力は深さに比例するので、水圧C<D<E<Fとなります。

ところが、水圧のうち、DやEは、D1=D2、E1=E2だから、左から押す力と右から押す力がお互いに打ち消しあって、力としては0になります。

結局、上から下にものを押す圧力Cと、下から上にものを押す圧力Fだけが残ります。

この、下に押す圧力Cと、上に押す圧力Fとの差によって生まれるのが浮力です。

水の圧力は深さに比例するので、C<Fとなり、水中にあるものには常に上向きの力である浮力がはたらいていることになります。


(まとめ)浮力が生まれるわけ=上の面にはたらく水圧下の面にはたらく水圧


アルキメデスの原理

浮力次に、浮力の大きさを計算で求める方法を考えてみましょう。

上で述べたように、物体の上の面より上にある水の重さと、物体の下の面より上にある水の重さとの差によって生まれる力が浮力です。

浮力=物体の下の面より上にある水の重さ-物体の上の面より上にある水の重さ

ところが、体積1立方cm水の質量1gです。
だから、体積100立方cmの水の質量は100g。
さらに、質量100gの物体にはたらく重力重さ)が約1Nです。

体積100立方cm=質量100g=重力(重さ)1N

以上より、体積の差を求めることで重力の差(=浮力)を求めることができることがわかります。

さらに、図からわかるように、体積の差は水中にある物体の体積と一致します。

この関係はアルキメデスが発見したのでアルキメデスの原理といわれます。
アルキメデスは、「ものを水に入れると、ものがおしのけた体積の水の重さと同じだけ軽くなる」と記述しました。


物体体積=の体積の
水の体積の数値=水の質量の数値(単位は違うが数値は一致)
質量100gにはたらく重力(重さ)は1N

以上の関係より、
水中にある物体の体積がわかれば物体にはたらく浮力がわかり、
体積100立方cmの物体にはたらく浮力1Nである、
ということになります。

また、浮力は水中にある物体の体積比例するだけで、深さや物体の形は関係しません。


(まとめ)水中にある体積100立方cmの物体にはたらく浮力は1N


この稿のまとめ

1、浮力=空気中での重さ-水中での重さ

2、浮力が生まれるわけ=上の面にはたらく水圧下の面にはたらく水圧

3、水中にある体積100立方cmの物体にはたらく浮力は1N

4、浮力は水中にある物体の体積比例するだけで、深さや物体の形は関係しない。



(浮力のよく出る問題はこちらをご覧ください。)





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science 力の単位ニュートンと、質量・重力・重さ・加速度

力と圧力の単位の変遷

わが国は1951年の計量法で、計量の単位としてメートル法を採用しました。
さらに1954年の国際度量衡総会でメートル法を拡張した国際単位系(SI:The International System of Units)が採択され、日本は1991年の日本工業規格(JIS)より、国際単位系を採用することになりました。

その結果、2002年の学習指導要領に準拠した現行の教科書から、理科の単位も国際単位系にそったものにかわりました。

それまでの教科書では力の単位としてg重(グラム重)、kg重(キログラム重)をもちい、圧力の単位としてはg重/cm2(グラム重毎平方センチメートル)が使われていましたが、現行の教科書から力の単位はN(ニュートン)、圧力の単位はN/m2(ニュートン毎平方メートル)になっています。
単位









N(ニュートン)

国際単位系によるの単位がN(ニュートン)です。

1kg(キログラム)質量をもつ物体に1m/秒2(メートル毎秒毎秒)加速度を生じさせる1N(ニュートン)と決めて、それを力の単位としました。


ニュートンを定義するのに「質量」と「加速度」の語が出てきますので、「質量」と「加速度」について理解しておく必要があります。


質量

国際単位系では、「プラチナ90%、イリジウム10%の合金でできた直径39mm、高さ39mmの円柱形の国際キログラム原器」の質量を1kgとします。

その国際キログラム原器の2個分の質量のものが2kg、3個分の質量が3kg、…であり、また、1000分の1個分が1gです。

質量は、その物体に固有の量であり、地球上であろうが月面上であろうが宇宙空間であろうが、どこにいっても質量は変わりません。

質量が大きいとその物体にはたらく重力も質量に比例して大きくなり、また質量の大きいものを動かすには大きな力を加えないといけませんが、質量と重力(重さ)・力とは、比例はするものの、まったく別のものです。


重さ

ふだんの生活では重さの単位としてkgやgを使っていますが、理科ではkgやgは質量の単位であり、重さの単位ではありません。

理科でいう重さとはその物体にはたらく重力のことであり、地球上だと、その物体と地球が引き合うのことを重さといいます。

つまり、「重さ」は「重力」と「」と同じものであり、質量とは別のものです。

重力は、引き合うものの質量比例し、引き合うものの中心間の距離反比例するので、地球より小さい質量の月面上だと、重力は地球の6分の1になります。つまり、月では物体の重さは地球上の重さの6分の1になります。

地球上で、質量1kgの物体にはたらく重力の大きさを1kg重(または1kgf)ということがあります(以前の理科の教科書は力の単位としてこちらを採用していました)。
1g重、1kg重のほうが生活感覚からはわかりやすいのですが、現行の教科書は重力重さの単位として1Nを採用したので1g重、1kg重は使いません。


加速度

1秒間に変わる速さの量、式にすると「速さの変化÷秒」が加速度です。

運動している物体があり、aという時間のその物体の速さがxm/秒、bという時間のその物体の速さがym/秒のとき、「(y-x)m/秒÷(b-a)秒」が加速度です。

速さを変えるには(加速度を生じさせるには)、物体に力を加える必要があります。

例えば、ずっと100m/秒で運動し続けている物体は、速さが変化していないので(等速運動なので)加速度は0ですから、その物体にはまったく力がはたらいていません。

また、地球上で手に持った物体をはなすと、手をはなした瞬間の速さは0ですが、1秒後には9.8m/秒、2秒後には19.6m/秒と速さが変わります。1秒で9.8mずつ速くなっているので、加速度は9.8m/秒2です。

このとき(自由落下運動といいます)速さが変わるのは、重力という力が加わっているからです。


「100gの物体にはたらく重力を1Nとする」と書いてある理由

1kg(キログラム)質量をもつ物体に1m/秒2(メートル毎秒毎秒)加速度を生じさせる1ニュートンです。

ところで、力の分野の問題ではよく、「100gの物体にはたらく重力を1Nとする」と書いてあります。
なぜでしょうか?

実験によって、地球上にある物体を落下させると、すべての物体は9.8m/秒2の加速度で加速することがわかっています。
(正確には、9.8m/秒2は平均値であり、場所によって加速度は違います。一般に高緯度の地点のほうが低緯度の地点より加速度は大きくなります。例えば、札幌の加速度は9.80m/秒2、那覇の加速度は9.79m/秒2です。)

そうすると、
「質量1kgの物体に1m/秒2の加速度を生じさせる力が1N」であり、地球上にある質量1kgの物体に加わる加速度は9.8m/秒2であるということから、地球上の質量1kgの物体にはたらく重力は、1Nの9.8倍の、9.8Nだということになります。

1kg・・・1m/秒2・・・1Nだから、
1kg・・・9.8m/秒2・・・9.8N

また、1kgにはたらく重力=9.8Nだから、(その10分の1の)100gにはたらく重力=0.98Nです。

このように、正確には「100gの物体にはたらく重力は0.98N」なのですが、0.98だと計算がややこしくなるし、0.98は1に非常に近いので、それで中学生の問題だと「
100gの物体にはたらく重力を1Nとする」と、近い数値で書いてあるのです。



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science 力のつりあいと作用・反作用

2力のつりあい

机の上に本が置いてあるとき、本は動きません(本は静止しています)。

本が「動かない」とき、別の言い方をすると、本が「静止している」とき、なぜ動かないか、静止しているかというと、本にはたらいている2つの力がつりあっているからです。
重力と抗力
本には重力(地球が鉛直下向きに本を引く力)がはたらいています。

また、本には抗力(机の面が本を上向きにおす力)がはたらいています。

このとき、重力と抗力は、地球と机の2つのものから、本という1つの物体にはたらく、2つの別の力です。

また、このとき、つりあっている2つの力、重力と抗力は、同一直線上にあって、力の向きが逆で、力の大きさは等しい(力のつりあいの3条件)。


作用・反作用

ニュートンが発見した、運動の3法則といわれるものがあります。

第1法則・・・物体は力が加わらないとき、静止している物体は静止を続け、運動している物体は等速直線運動を続ける(慣性の法則)。

第2法則・・・物体に力が加わると、物体には力に比例し、質量に反比例した加速度が生じる(運動方程式)。

第3法則・・・物体に力を加えると、その物体は同じ大きさの力でかえしてくる(作用・反作用の法則)。


壁を強く手でおすと、壁も手をおしかえしてきます(その証拠に、壁を強く突くと突いた体がはね返されます)。

手と壁このとき、手が壁をおしたので(こちらが作用)、壁が手をおしかえした(こちらが反作用)のです。

手が壁をおす力と、壁が手をおしかえす力とは、同一直線上にあって、力の向きが逆で、力の大きさは等しくなっています。
この点は、2力のつりあいと同様です。

2力のつりあいのとの違いは、作用・反作用は、手は壁に力を及ぼし、壁は手に力を及ぼしていることです。
手と壁、2つの別の物体にはたらいている力である点が、1つのものに2つの力がはたらいている力のつりあいとちがいます。


力のつりあいと作用・反作用とのちがい

力のつりあいは、物体が静止しているとき、1つの物体にはたらいている2つのつりあった力の関係をいいます。

作用・反作用は、一方が他方に力を加えたら、他方が一方に同じ大きさの力を加えかえしてくる関係をいいます。

力のつりあいと作用・反作用を区別するときの要点は、2つの力加わっている対象が、1つの物体であるのか(こちらが力のつりあい)、2つの別の物体であるのか(こちらが作用・反作用)です。

あるいは、作用・反作用とは、2つの物体がお互いおしたらおしかえされ、または、ひっぱったらひっぱりかえされている関係だと理解すれば、力のつりあいとのちがいがはっきりしてきます。


机の上にある本の場合

重力と抗力と作用・反作用上で述べたように、机の上の本が静止しているのは、本という1つの物体にはたらく2つの力、重力と抗力がつりあっているからです(力のつりあい)。

重力がはたらいている本は、重力で下に引っぱられる結果として、重力と同じ大きさで机をおします。
本が机をおすと、机も本をおしかえします(これが抗力)。
本が机をおし、机は本をおしかえす、これが作用・反作用です。

つまり、この場合、つりあっているのは重力と抗力であり、作用・反作用の関係にあるのは本が机を押す力と抗力です。


糸でつりさげられた物体の場合

糸でつりさげた物体天じょうから糸でつりさげられた物体にはたらいている力を考えてみます。

力の問題を考えるときの出発点は重力です。

物体に重力(A)がはたらき、物体は鉛直下向きに地球から引っぱられています。
その結果、物体は糸を引っぱり(B)、さらにその結果として天じょうを引っぱります(D)。

糸は、力Bで物体から引っぱられるので、その反作用として物体を引っぱりかえします(力C)。
また、天じょうは力Dで糸に引っぱられるので、その反作用として糸を引っぱりかえしています(力E)。

力Bと力C、力Dと力Eが作用・反作用の関係にある2つの力です。

では、つりあっている力はどの力とどの力かというと、1つの物体にはたらく2つの力がつりあっている2力ですから、まず、糸につりさげられた物体にはたらいている2つの力であるAの重力と、物体を上に引っぱっている力Cの2力が、つりあっている2つの力だということになります。

また、糸という1つの物体にはたらいている2つの力も、やはりつりあった2力です。糸に下に引っぱっている力Bと、糸を上に引っぱっている力Eの2力も、つりあっています。


重力と作用・反作用の関係にある力

重力は、地球が物体を引っぱる力です。
作用・反作用の法則はすべての場合に成り立つ法則ですから、作用としての重力にも反作用としての力が存在します。
そして、作用・反作用とは、引っぱられたら引っぱりかえす関係ですから、重力と作用・反作用の関係にあるのは、物体が地球を引っぱりかえす力です。

物体にはたらく重力と、物体が地球を引っぱりかえす力とは同じ大きさの力ですが、地球はあまりにも質量が大きいので動くことはありません。
質量の小さい物体のほうが鉛直下向きに地球に向かって落ちていきます。



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