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勉強をしている子どもたちが、悩み、知りたい、理解したいと思いながら、今までは調べる方法がなかった事柄を、必要かつ十分な説明でわかりやすく記述したサイトです

合同

math 平行と合同 直角三角形は、直角でない角に○と×をつける

ほんのちょっとした工夫をするだけで、難問をやさしい問題に変えることができる技があります。

「直角三角形が出てきたら、直角でない角に○と×をつけておく」も、そんな技の一つです。

例題1:図のように、直角二等辺三角形ABCの頂点Aを通る直線mに頂点B、1Cから垂線BD、CEをひく。このとき、△ABD≡△CAEを証明せよ。







(解き方)

直角三角形△ABDと△CAEで、仮定より∠ADB=∠CEA=90°であること、△ABCが直角二等辺三角形だからAB=CAであることはすぐにわかります。
あと1つ、等しいものを見つけないといけませんがどこでしょうか?

AD=CE、DB=EAは、どちらも言えそうにないので、∠ABD=∠CAEか、∠DAB=∠ECAのどちらかを言わないといけないのですが、なぜ等しいと言えるのかわかりますか。

何も準備をしないで解き始めると、ほとんどの人が途中でどう書いたらよいかわからなくなる問題です。

ところが、「直角三角形が出てきたら、直角でない角に○と×をつけておく」と、逆にほとんどの人がすらすら解けるやさしい問題に変わります。

2△ABDの直角でない角に○と×をつけます。
そうすると、○+×=90°であること、×+∠CAE=90°であることを簡単に気づくことができます。

詳しく説明します。

左の△ABDで、三角形の内角の和は180度です。
そして、∠ADB=90°ですから、○=180°−90°−×です。
つまり、∠ABD(○)=180°−90°−∠DAB(×)。

また、直線ですから∠DAE=180°です。
そして、∠BAC=90°ですから、∠CAE=180°−90°−×です。
∠CAE(○)=180°−90°−∠DAB(×)。

このように、
∠ABD=三角形の180°−90°−∠DAB、
∠CAE=直線の180°−90°−∠DAB
となって、∠ABD=∠CAEであることが簡単にわかります。


(解答)

△ABDと△CAEにおいて、
点B、Cから垂線BD、CEをひいたので、仮定より∠ADB=∠CEA=90°…(1)
△ABCが直角二等辺三角形だから、仮定よりAB=CA…(2)
2三角形の内角の和は180°だから、∠ABD=180°−90°−∠DAB
D、A、Eは1直線にあるから、∠CAE=180°−90°−∠DAB
ともに、180°−90−∠DABだから、∠ABD=∠CAE…(3)
(1)(2)(3)より、直角三角形で斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しいから、
△ABD≡△CAE



例題2:△ABCは、∠A=90°の直角二等辺三角形である。頂点A3を通り、△ABCの内部を通る直線に、頂点B、Cから垂線BD、CEをひく。このとき、BD−CE=DEであることを証明せよ。







(解答)
△ABDと△CAEにおいて、
B、Cから垂線BD、CEをひいたので、仮定より∠BDA=∠AEC=90°…(1)
△ABCは、∠A=90°の直角二等辺三角形だから、仮定よりAB=CA…(2)
4三角形の内角の和は180°だから、∠ABD
=180°−∠ADB−∠BAD
=180°−90°−∠BAD
=90°−∠BAD
また、∠BAC=90°だから、
∠CAE=90°−∠BAD
ともに90°−∠BADだから、
∠ABD=∠CAE…(3)
(1)(2)(3)より、直角三角形で、斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しいので、
△ABD≡△CAE

合同な図形の対応する辺の長さは等しいのでBD=AE、AD=CE
また、AE=AD+DE
よって、BD=AE=AD+DE=CE+DE
BD=CE+DEとなるから、
BD−CE=DE


このように、直角三角形の問題では、直角でない角に○と×をつけておくとわかりやすくなる問題が多いのです。


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mathematics 平行と合同 証明の書き方(2)(よく出る問題)

「証明の書き方の基本」の続きです。

合同の証明でよく出る問題を取り上げ、上手な証明の書き方についてさらに考察します。


辺や角が等しいことを証明する問題

例題1:AD//BCの台形ABCDの辺CDの中点をEとし、AEの延長と辺BC証明1の延長との交点をFとする。このとき、AD=FCであることを証明しなさい。







解く前の準備

問題文を読んで、仮定を図に書き込んでおきます。
証明1の2この問題の仮定は、AD//BC、DE=ECです。

証明問題は結論から逆にさかのぼって考えます。

この問題の結論はAD=FCです。そのことを言うためには、その前提として三角形の合同を言わないといけません。

なぜなら、「合同な三角形の対応する辺の長さは等しい」と言う以外に、辺と辺が等しいことをいう方法がないからです。

したがって、この問題の証明で書くことの筋道を最初に決めておくと、

三角形の合同

合同な図形の対応する辺は等しい

結論のAD=FC

ということになります。


証明

△AEDと△FECにおいて、
仮定より、DE=CE・・・(1)
仮定AD//BCより、平行線の錯角は等しいから、∠ADE=∠FCE・・・(2)
対頂角は等しいから、∠AED=∠FEC・・・(3)
(1)(2)(3)より、1辺とその両端の角がそれぞれ等しいから
△AED≡△FEC
合同な図形の対応する辺は等しいから
AD=FC



知っ得(しっとく・・・知っていると得)
(1)よく、「仮定よりAD//BC」と書く人がいますが、三角形が合同であることの根拠・理由として平行は使えません。合同条件にないからです。
仮定のAD//BCは、錯角が等しいことの根拠になるだけです。

(2)三角形の合同条件は、「3辺が・・・」、「2辺と・・・」、「1辺と・・・」と最初に辺がきます。だから、合同の証明をするときにも、先に等しい辺を見つけておくべきです。
この問題でも、先に「仮定より、DE=CE・・・(1)」を見つけておきます。そうすると、合同条件「1辺とその両端の角がそれぞれ等しい」を使えばよい、そのためにはDEとCEの両端の角が等しいことを言えばよい、と見つける場所がわかってきます。

(3)この問題の証明の書き方で最も重要な場所は、下から2行目の「合同な図形の対応する辺は等しいから」の部分です。
合同な図形があって、その対応する辺だから等しいと言えるわけです。
この部分を「よって」で片づけて、「△AED≡△FEC、よってAD=FC」と書く人が多いのですが、私はよくないと思います。
くどいくらいに根拠をきちんと書くことが数学では大事だと思うからです(中学校の先生や入試問題を採点する高校の先生でも同じことをおっしゃる方が多い)。


覚え得(おぼえとく・・・覚えると得)
辺や角が等しいことを証明するには、その辺や角がふくまれる三角形の合同を言えばよい。


やや難しい合同の証明問題

例題2:△ABCの辺AB、ACをそれぞれ1辺として、三角形の外側に正方証明2形ADEB、正方形ACFGを作る。このとき、DC=BGであることを証明せよ。










解く前の準備

仮定を図に書き込むのですが、この問題だと仮定全部を書き込むことは無意味です。
この問題の仮定は、「正方形ADEB、正方形ACFG」であり、式で書くと、AD=DE=EB=BA、∠BAD=∠ADE=∠DEB=∠EBA=90度、AC=CF=FG=GA、∠GAC=∠ACF=∠CFG=∠FGA=90度」となり、これをすべて図に書きこんだら、かえってわかりにくくなるからです。

辺DC=辺BGを結論として証明したいわけですから、その前提として言わなければならないのは辺DCをふくむ三角形と辺BGをふくむ三角形の合同です。
だから、辺DC、辺BGをなぞっておいて、この2辺を含む三角形を見つけておき、その三角形に関係する部分の仮定だけを書き込みます。
証明2の2そうすると、左の図のようになります。


証明

△ADCと△ABGにおいて、
仮定より、正方形ADEBの辺だからAD=AB・・・(1)
同様に、正方形ACFGの辺だからAC=AG・・・(2)
また、∠DAC=∠DAB+∠BAC=90度+∠BAC
∠BAG=∠GAC+∠BAC=90度+∠BAC
よって(ともに90度に∠BACを加えたものだから)∠DAC=∠BAG・・・(3)
(1)(2)(3)より、2辺とその間の角がそれぞれ等しいから
△ADC≡△ABG
合同な図形の対応する辺は等しいから
DC=BG



知っ得
正方形の問題では、「正方形の角度90度+ある共通な角」で2辺の間の角が等しいことがいえる。


同じような問題として、正三角形の問題があります。ここまで学んだことを参考にチャレンジしてみてください。

例題3:左の図は、△ABCの辺ABを1辺とする正三角形ADBと、辺ACを証明31辺とする正三角形ACEを、△ABCの外側に作ったものである。このとき、∠ABE=∠ADCであることを証明せよ。







解く前の準備

証明3の2









証明

△ADCと△ABEにおいて
仮定より、正三角形ABDの辺だからAD=AB・・・(1)
同様に、正三角形ACEの辺だからAC=AE・・・(2)
また、∠DAC=∠DAB+∠BAC=60度+∠BAC
∠BAE=∠EAC+∠BAC=60度+∠BAC
ともに60度+∠BACだから∠DAC=∠BAE・・・(3)
(1)(2)(3)より、2辺とその間の角がそれぞれ等しいので
△ADC≡△ABE
合同な図形の対応する角は等しいから
∠ABE=∠ADC




mathematics 平行と合同 証明の書き方(1)(何を、どう書くか)

数学でいう証明とは、「仮定をもとにして、結論が成り立つわけを、根拠を示して説明すること」です。

例題1:左の図で、AB=CB、BDは∠ABCの二等分線である。このとき、△ABDと△CBDは合同であることを証明しなさい。
合同1
解く前の準備:

証明の習い始めは、「仮定」、「結論」、「証明」の3つを書かされます(少し慣れると、「証明」の部分しか書きません)。
「〜ならば、・・・である」の、前の〜の部分が仮定、うしろの・・・の部分が結論だと習いますが、実際の証明問題では、「〜のとき」と書いてある〜の部分が仮定、「・・・である」と書いてある・・・の部分が結論です。
仮定
結論も、できるだけ式で書くのが原則です。
この問題では、
仮定・・・AB=CB、∠ABD=∠CBD
結論・・・△ABD≡△CBD
です。

数学の問題を解くとき、問題文に戻っては読み直して解くのは一番下手な解き方です。図だけを見て解けるようにしておかないと解けません。
ですから、この問題でも、問題を読んだとき仮定と結論を図に写しておきます。

まず、仮定を図に書き込みます。
合同2左の図のような書き方が、「おすすめ」の記入の仕方です。
できるだけシンプルな、じゃまにならないような記入の仕方をします。






合同3左の図のような記入の仕方はおすすめしません。まだ、この問題は簡単なのでよいのですが、複雑な問題になると、左図のような書き込みをすると、わけがわからなくなります。






次に結論ですが、結論は「書き込む」というより、「なぞる」ようにします。仮定と区別しておくべきです。


証明の書き方

数学では、なにごとを述べるにも、必ずその根拠が必要です。「〜だから・・・」の文法を崩してはいけません。

また、この問題のように2つの三角形の合同を証明するとき、「合同だ」といえる根拠は「合同条件が成り立つ」ことです。
その合同条件が成り立つ根拠は、「合同条件にあてはまる等しい部分を見つけた」ことです。
さらに、ある部分とある部分が等しいといえるには、やはり「等しいといえる根拠・理由」が必要です。

ですから、合同の証明をするには、最後の結論の前に合同条件、合同条件の前に合同条件にあてはまる等しいもの、その前に等しいといえる根拠というように、答えの最後である結論から逆算して、書くことが決まってきます。

つまり、証明を書き始める前に、ゴールから逆算して何を書くかを決めておかないといけません(これが、解いているうちに解けてしまう計算問題との一番の相違です)。

まとめると、合同の証明で書くべきことがらは、
(1)あるものとあるものが等しいといえる根拠
(2)合同条件にあてはまる等しいもの3つ(合同では必ず3つ必要です)
(3)(2)で見つけたもので合同条件が成り立つこと
(4)合同条件が成り立つから合同だという結論
ということになります。

解答を馬鹿丁寧に書くと・・・

(解答例1)今から△ABDと△CBDが合同であることを証明します。
まず、仮定でそう決まっているから、AB=CB・・・(1)、
また、仮定の、BDが∠ABCの二等分線ということから、∠ABD=∠CBD・・・(2)、
さらに、辺BDは△ABDと△CBDのどちらにもふくまれる共通な辺だからBD=BD・・・(3)
以上(1)(2)(3)の3つより、三角形の合同条件である「2辺とその間の角がそれぞれ等しい」がいえたことになります。
合同条件が成り立っているので、△ABDと△CBDは合同です。

この書き方は、素晴らしいのですが、丁寧過ぎて時間がかかりそうです。それで、普通は次のような書き方をします。

(解答例2)△ABDと△CBDにおいて、
仮定よりAB=CB・・・(1)
同様に仮定から∠ABD=∠CBD・・・(2)
共通にふくまれるから(または、共通だから)BD=BD・・・(3)
(1)(2)(3)より、2辺とその間の角がそれぞれ等しいから
△ABD≡△CBD

例2のような書き方でもなかなか書けない人がいるので、学校の先生によっては次のような書き方をすすめる人もいます。

(解答例3)△ABDと△CBDにおいて、
AB=CB(仮定)
∠ABD=∠CBD(仮定)
BD=BD(共通)
2辺とその間の角がそれぞれ等しい
△ABD≡△CBD

私も証明の最初の授業のときだけは、

△〜と△〜において

〜=〜
〜=〜
〜=〜

合同条件

△〜≡△〜


と、これだけ書けばいいのだよ、と教えますが、解答例3の書き方はあまりおすすめしません。
数学の根本である「〜だから・・・だ」という考え方を無視した書き方であることが最大の理由ですが、何人かの高校の先生にお聞きしたとき、入試では、解答例3の書き方だとほとんど点にならないと言われたのも大きな理由です。

前にきちんと根拠・理由を書く、解答例2の書き方が一番よい書き方だと思います。
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