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国語文法

Japanese 国語文法の活用表と語幹・活用語尾

動詞・形容詞・形容動詞などの活用のある語で、活用させても変化しない部分を「語幹」、活用させたときに変化する部分を「活用語尾」といいます。

例えば、動詞「書く」の場合、「書か(ない)」「書き(ます)」「書く」「書く(とき)」「書け(ば)」「書け」「書こ(う)」「書い(た)」と活用します。
変化しない「書()」が語幹です。

変化する」「」「」「」「」「」「」「」が活用語尾です。

「ない」「う」や、「ます」「た」は、付属するおもな助動詞、「とき」は付属する名詞、「ので」や「ば」は付属する助詞であって、語幹や活用語尾を見つける手がかりにはなりますが、動詞本体ではないので、語幹にも活用語尾にも含まれません。

おもな動詞、形容詞、形容動詞の活用は、次の表のようになります。

国語活用表1
























語幹・活用語尾で注意すること

語幹と活用語尾を考えるとき、注意しないといけないポイントが2つあります。

1、ひらがな3文字以上の上一段活用の動詞「起きる」は、「起き(ない)」「起き(ます)」「起きる」「起きる(とき)」「起きれ(ば)」「起きろ」と活用します。

語幹は「変化しない部分」、活用語尾は「変化する部分」のはずです。
ところが、「起きる」では、「起()」が語幹で、「」「」「きる」「きる」「きれ」「きろ」が活用語尾です。

」の部分は変化しないのに、「」は語幹ではなくて活用語尾に含まれます。

つまり、イ段以下が、活用語尾です。

ひらがな3文字以上の下一段活用の動詞でも同じことが言えます。
答える」で、「答(こた)」の部分が語幹で、「」「」「える」「える」「えれ」「えろ」が、「」は変化していないのに「え」を含めて活用語尾です。
つまり、エ段以下が、活用語尾です。


2、ひらがな2字の上一段活用の「見る」、ひらがな2字の下一段活用の「出る」、カ行変格活用の「来る」、サ行変格活用の「する」などは、「語幹がない」とか、「語幹と活用語尾との区別ができない」と説明されます。

上一段活用の「見る」だと、語幹がなくて、「(ない)」「(ます)」「見る」「見る(とき)」「見れ(ば)」「見ろ」が活用語尾です。

下一段活用の「出る」だと、語幹がなくて、「(ない)」「(ます)」「出る」「出る(とき)」「出れ(ば)」「出ろ」が活用語尾です。

カ行変格活用の「来る」は、「」「」「くる」「くる」「くれ」「こい」は活用語尾で、語幹はありません。

サ行変格活用の「する」は、「し・せ・さ」「」「する」「する」「すれ」「しろ」は活用語尾で、語幹はありません。



疑問1:なぜ、上一段活用・下一段活用では変化していない部分も活用語尾なのか?

上一段活用の動詞「起きる」では、語幹は「変化しない部分」、活用語尾は「変化する部分」のはずなのに、「起()」が語幹で、「」「」「き」「きる」「きれ」「きろ」が活用語尾です。

」の部分は変化しないのに、「き」は語幹ではなくて活用語尾です。

下一段活用の動詞「答える」では、「答(こた)」の部分が語幹で、「」「」「える」「える」「えれ」「えろ」が、「」は変化していないのに「え」を含めて活用語尾です。

なぜでしょうか?

一つの説得力ある論は次のようなものです。

現代語の「起きる」は上一段活用ですが、古文では「起きる」ではなくて「起く」でした。
「起く」は、「起き(ず)」「起き(たり)」「起く」「起くる(とき)」「起くれ(ば)」「起き(よ)」と活用しました(「き」と「く」の二段に活用するので、古典の文法では「上二段活用」といいます)。


古典文法では、「起く」の語幹は「起(お)」で、「き」以下の「き」「き」「く」「くる」「くれ」「き」が、変化するので活用語尾です。

古文にあった、上一段活用、上二段活用の2種類の動詞が、現代国語では混ざって上一段活用になりました。
そのなごりから、「起(お)」が語幹であり、「き」以下が活用語尾である、という説明です。

また、利点として、古典文法と現代語文法との整合性を保つことができることをあげられます。


同様の理由から、下一段活用の「答える」も、「「答(こた)」の部分が語幹で、「え」「え」「える」「える」「えれ」「えろ」が、変化していない「え」を含めて活用語尾です。


疑問2:語幹のない語があってもよいのか?

上一段活用の「見る」、下一段活用の「出る」、カ行変格活用の「来る」、サ行変格活用の「する」などは、「語幹がない」とか、「語幹と活用語尾との区別ができない」と説明されます。

これも不思議です。

このことを説明する理論は次のようなものです。

私たちが学校で習う国語文法は、「学校文法」と呼ばれる特殊な「文法」なのだそうです。
国語学者の橋本進吉氏の著作を基礎に、戦後、中学校の教科書が作られ、今の教科書も橋本氏の説をほぼそのまま踏襲しています。

学校文法では、語幹と活用語尾を「ひらがな単位」で考えます。
だから、例えば、「見る」の場合、ひらがな単位だと、「み−ない」「み−ます」「みる」「みる−とき」「みれ−ば」「み−ろ」となるので、「見(み)」を語幹とすると、活用語尾がなくなってしまいます。それはおかしいので、「み」「み」「みる」「みる」「みれ」「みろ」が活用語尾だということになります。

ところが、「学校文法」は、他国の言語も視野に入れた言語学の立場からは説得力のない特殊な「文法」であって、「理屈にあっていない」のだそうです。

語幹と活用語尾を考えるときは、「学校文法」のように「ひらがな」単位で考えるのではなくて、「音」、つまり母音や子音を単位にして考えないといけません。

言語学の立場からは、五段活用の動詞や、カ行変格活用「来る」、サ行変格活用の「する」の語幹は子音で終わります。

例えば、「書く=kaku」だと、語幹が「kak」で、「u」が活用語尾です。
この立場だと、「来る」は「k+uru」、「する」は「s+uru」となって、すべての動詞に語幹と活用語尾があることになります。




どうやら、国語文法上の、語幹と活用語尾に関する、理屈に合わないようにみえるいくつかの事柄は、(1)古典文法と現代語文法との連続性や整合性、(2)「学校文法」という一種独特な文法の特殊性の、2点から説明がつくようです。


最後に、形容詞と形容動詞の語幹と活用語尾については、上述のような混乱はありません。

すべての形容詞で、「かろ」「かっ」「く」「い」「い」「けれ」が活用語尾であり、その上の部分が語幹です。
形容動詞だと、「だろ」「だっ」「で」「に」「だ」「な」「なら」が活用語尾で、その上が語幹です。




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Japanese 主語・述語・修飾語・接続語・独立語と主部・述部・修飾部・接続部・独立部

中1の国語文法では、「主語・述語・修飾語・接続語・独立語」と、「主部・述部・修飾部・接続部・独立部」の、2種類の文法用語がでてきます。

この両者は、どう区別したらよいのでしょうか。


「文節のはたらき」「文節相互の関係」

1つの文節に着目して、その文節がどんなはたらきをしているかで分類するのが「文節のはたらき」や、「文節相互の関係」です。

文節は、そのはたらきによって、主語、述語、修飾語、接続語、独立語の5種類に分類されます。

「細い道が続く。」という文で考えてみましょう。

文節に区切ると、「細い」「道が」「続く」となります。

それぞれの文節が文の中でどんなはたらきをしているかというと、「細い」は「道」を修飾する修飾語、「道が」は「が」がついているので主語、「続く」は文末なので述語です。

この場合、1つ1つの文節にまず着目して、その文節が文の中でどんなはたらきをしているかを考えて、主語、述語、修飾語と認定しています。

最初から1文節に注目し、その文節のはたらきを判断しているので、「主語・述語・修飾語・接続語・独立語」で用が足り、「主部・述部・修飾部・接続部・独立部」の語を使う余地はありません。


「文の成分」

「文の成分」というときは、まず文全体をながめます。

ある文があって、では、その文はどういう部分からできているかという順に考察を進める場合です。

その文の主体は何か(主語・主部)、文の中心は何か(述語・述部)、ただ修飾しているだけの部分はどこか(修飾語・修飾部)、接続のはたらきをしている部分はどこか(接続語・接続部)、独立している部分は何か(独立語・独立部)という順に考察していきます。

「細い道が続く。」という文だと、「細い道が」が文の主体である、「続く」がこの文の述語であるという順に判断します。

この場合、「続く」のように1文節だと何の問題もなく述語という言葉が使えるのですが、「細い道が」のように2文節以上になると、「主語」という語は使えません。
なぜなら、「主語・述語・修飾語・接続語・独立語」の語は、1文節の語にしか使えない言葉だからです。

そこで、「細い道が」のように、主語と同じはたらきをしている2文節以上の言葉を表す語として、「主部」という語をもちいることにしたのです。

つまり、「主語・述語・修飾語・接続語・独立語」は1文節のときに使う語であり、「主部・述部・修飾部・接続部・独立部」は2文節以上のときに使う語だということになります。


「〜語」と「〜部」の使い分けをまとめると

このように、「主語・述語・修飾語・接続語・独立語」と、「主部・述部・修飾部・接続部・独立部」は、「使う場面」と「文節数」の、2つの観点から区別して使わないといけません。

まず、使う場面による使い分けです。

「文節のはたらき」や「文節相互の関係」を考察するときは、「主語・述語・修飾語・接続語・独立語」しか使いません。

「文の成分」を考えるとき、初めて「主部・述部・修飾部・接続部・独立部」の語をもちいることになります。

その際、「主語・述語・修飾語・接続語・独立語」は、文の成分が1文節のときに使います。
「主部・述部・修飾部・接続部・独立部」は、文の成分が2文節以上のときに使う言葉です。

まとめると、

(1)「文節のはたらき」や「文節相互の関係」を考えるときは、1文節なので、「主語・述語・修飾語・接続語・独立語」の語しか使わない。

(2)「文の成分」を考えるときは、その成分が1文節であれば「主語・述語・修飾語・接続語・独立語」を使い、成分が2文節以上で構成されていたら「主部・述部・修飾部・接続部・独立部」のほうを使う。

ということになります。


「主部・述部・修飾部・接続部・独立部」が必要な理由

「私と妹は一緒に遊んだ。」

この例文で、主語にあたる語は何でしょうか?

1文節で主語を答えないといけないとすると、困ったことになります。
「私と」だけが主語ではありませんし、「妹は」が単独で主語だともいえません。

「私と妹は」の2文節で主語と同じはたらきをしているとしか言いようがありません。
こういうときに、2文節をまとめたものを「主部」と命名すると便利です。


「妹が笑っている。」

この文の述語も同様です。

「いる」は形式動詞(補助動詞)であり、ほとんど意味をもちません。

「笑っている」の2文節で述語と同じはたらきをしていると考えるしかありません。
このときも、2文節で「述部」を構成していると考えるほうがすっきりします。


「私と妹は」のように並立の関係にある連文節(2つ以上の文節の集合体)や、「笑っている」のように補助の関係にある連文節は、「主部・述部・修飾部・接続部・独立部」の語を使わないとうまく説明できません。

これが、「主部・述部・修飾部・接続部・独立部」の語が必要である理由です。




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Japanese 副詞の見つけ方

これも、今日の授業中の質問から。

例題:
次の各組の傍線部の語のうち、副詞はどちらですか。記号で答えなさい。

(1)
ア、家中の鏡をぴかぴかに磨く。
イ、遠くの灯台がぴかぴか光っている。

(2)
ア、今度の小説の題名を急に思いついた。
イ、この窓から眺める夕日は実に美しい。

(3)
ア、話のおおかたは理解することができた。
イ、まだ来ないとは、おおかた寝坊でもしたのだろう。

(4)
ア、あなたのよくいくお店を教えてください。
イ、今日は天気もよく気温も高いので、プール日和だ。

(5)
ア、お忙しいようなので、明日また来ますね。
イ、今日でもいいし、また明日でもいい。



(解答)
(1)「ぴかぴかに」は、「ぴかぴかだ」と活用するから形容動詞で、用言である動詞「磨く」を修飾する連用形。「ぴかぴか」は、活用しないし、動詞「光る」を修飾しているから副詞。副詞はイ。

(2)「急に」は、「急だ」と活用するから形容動詞で、動詞の「思いつく」を修飾しているので連用形。「実に」は、活用せず、用言である形容詞の「美しい」を修飾しているから副詞。副詞はイ。

(3)アの「おおかた」は、助詞の「は」がついて主語になっているから体言である名詞。イの「おおかた」は、「したのだろう」に続く、呼応の副詞。副詞はイ。

(4)アの「よく」は、動詞の「行く」を修飾する副詞。イの「よく」は、「天気もよい」だから、述語になる用言の形容詞「よい」の連用形。副詞はア。

(5)アの「また」は、動詞「来る」を修飾する副詞。イの「また」は、「今日でもいい」と「明日でもいい」をつなぐ接続詞。副詞はア。


N君の質問「他の品詞はある程度理解できるんですが、副詞がわかりません。副詞と言われたって、統一したイメージがわかないというか・・・。」

「それが普通だと思うよ。副詞にふくまれる語は種々雑多だし、一応規則らしいものはあるけど例外が多いし、わかりにくいね。解決策としては、乱暴だけど、最初は例外をすぱっと切り捨てて、まずこうだって類型化するしかないのじゃないかって、私は思ってる。」


というわけで、副詞を分類してみました。
あえて例外を無視して類型化しました。そのほうが、最初は理解しやすいからです。


副詞の基本的な性質

副詞とは、自立語で、活用がなくて、用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾する語です。

連用修飾語になるという観点から、主語になる名詞や、連体修飾語になる連体詞や、述語になる用言の動詞・形容詞・形容動詞と区別できます(例題の(3)、(4)、(5))。

また、動詞・形容詞・形容動詞の連用形は、副詞と同じように連用修飾語になりますが、副詞だけが活用しないので、動詞・形容詞・形容動詞の連用形と区別できます(例題の(1)、(2))。


状態の副詞・程度の副詞・呼応の副詞

従来から、副詞は、状態の副詞、程度の副詞、呼応の副詞の3つに分類されてきました。


(1)状態の副詞

状態(どういう様子か、どんな状況か)を表し、用言のうち、おもに動詞を修飾します。

・しっかり(+学ぶ)、はっきり(+話す)、すっかり(+終わる)、そっと(+歩く)・・・様子を表す
・しばらく(+休む)、さっそく(+とりかかる)、いきなり(+殴る)・・・時間的な状況を表す
・ときどき(+止まる)、たまに(+遅れる)、いつも(+怒る)・・・頻度(回数)を表す


(2)程度の副詞

程度(どの程度か、どれくらいか)を表し、用言のうち、おもに形容詞形容動詞を修飾します。

・たいへん(+おもしろい)、ちょっと(+悲しい)、かなり(+おかしい)・・・形容詞を修飾
・とても(+愉快だ)、ごく(+わずかだ)、ずいぶん(+大柄だ)・・・形容動詞を修飾


(3)呼応の副詞(陳述の副詞・叙述の副詞)

もっともわかりやすい副詞です。ただし、テキストによって3種の呼び方(呼応陳述叙述)があることを知っておかないといけません。

「呼応」とは、「呼ぶ」と「応(こた)える」、つまり、ある副詞があると(こちらが「呼」)、必ず後に決まった語が出現する(こちらが「応」)という意味です。

話し手の気持ちがこめられている(述べられている=陳述・叙述)ので、陳述の副詞、叙述の副詞ともいわれます。

呼応の副詞は、後にくる語とセットになっているわけですが、前の語だけが副詞であって、後ろに出てくる語は副詞ではありません。
例:「全然知らない」というとき、「全然」が呼応の副詞、「知らない」は副詞ではない(この場合は、動詞+助動詞)。

・決して(+〜ない)
・たぶん(+〜だろう)
・もし(+〜なら)
・なぜ(+〜のか)
・ぜひ(+〜してほしい)
・まるで(+〜ような)


擬態語・擬音語

特殊な副詞として、擬態語と擬音語があります。

わかりやすいのは擬音語です。「音」に「擬える(なぞらえる)」語、つまり、音を表している語だから、擬音語といいます。
「戸をドンドンたたく」の「ドンドン」、「キャアキャアさわぐ」の「キャアキャア」などが、擬音語です。

擬態語とは、感覚を音以外の表現で表す語です。
「にこにこ微笑む」の「にこにこ」、「草がぼうぼう生えている」の「ぼうぼう」、「星がきらきら輝く」の「きらきら」などが、擬態語です。

擬態語・擬音語は、ものの状態、様子を表しているので、(1)の状態の副詞にふくまれます。


例外的な副詞の用法

副詞は連用修飾語になる、動詞(動作)の様子を表す状態の副詞と、形容詞・形容動詞の程度を表す程度の副詞と、必ず決まった語をともなう呼応の副詞の3種類がある、と最初は例外を無視して副詞を理解したほうがわかりやすいし、ほとんどの問題はそれで解けます。

しかし、副詞には例外も多いので、最後に例外的な副詞の用法についてまとめておきます。

名詞を修飾する(連体修飾語になる)副詞

「やや上」の「やや」は、名詞の「上」を修飾する副詞です。
「かなり昔」の「かなり」は、名詞の「昔」を修飾する副詞です。

「突然の申し出」の「突然」は、助詞の「の」がついて名詞の「申し出」を修飾している副詞です。

述語になる副詞

副詞は、「どうも、しばらくです。」の「しばらく」のように、助動詞の「だ」や「です」がついて述語になることがあります。

副詞を修飾する副詞

「もっとゆっくり」の「もっと」は、副詞の「ゆっくり」を修飾している副詞です。

動詞を修飾する程度の副詞

程度の副詞は形容詞・形容動詞を修飾するのが原則ですが、「少し食べる」の「少し」は、動詞の「食べる」を修飾する程度の副詞です。


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Japanese 連体詞の見つけ方

これも、今日の授業中の質問から。

例題:
次の傍線の語句の品詞名を答えなさい。

(1)
体の大きい動物。
体の大きな動物。

(2)
このやり方が一番よい。
こうするのが一番よい。

(3)
ここにはいろんな動物がいる。
ここにはさまざまな動物がいる。

(4)
その本は図書館にありますか。
それは図書館にある本ですか。

(5)
空におかしな形の雲が浮かんでいる。
空に変な形の雲が浮かんでいる。


(解答)
(1)「大きい」は、「い」で終わり、他の形にも活用するから形容詞。「大きな」は、名詞「動物」を修飾し、活用しないから連体詞
(2)「この」は、名詞「やり方」を修飾する連体詞。「こう」は、動詞「する」を修飾する副詞
(3)「いろんな」は、名詞「動物」を修飾し、活用しないから連体詞、「さまざまな」は「さまざまだ」とも活用するから形容動詞
(4)「その」は、名詞「本」を修飾する連体詞。「それ」は、助詞「は」がついて主語になっているから体言の代名詞
(5)「おかしな」は、名詞「形」を修飾し、活用しないから連体詞。「変な」は、「変だ」と活用するから形容動詞


N君の質問「先生のようにすらすら区別できません。連体詞を簡単に見つけるコツのようなものはないのですか?」

「勉強をしなくても、これさえ知っていたら簡単にわかるというコツはないと思うよ。勉強を進めているうちに習得できるコツはあるんだけどな。」

ということで、連体詞について次のような説明を加えました。


文中のはたらきから連体詞を見つける

連体詞とは、「連」「体」詞、つまり、「体言(名詞・代名詞)」に「連続(続く)」する言葉です。

連体詞のあとには必ず体言である名詞(+代名詞)が続き、名詞を修飾する連体修飾語としてはたらきます。

(2)
このやり方が一番よい。
こうするのが一番よい。

似た言葉でも、「この」は、「やり方」という名詞に続き、名詞を修飾していますが、「こう」は動詞の「する」を修飾する連用修飾語であり、副詞です。

このように、体言(名詞・代名詞)を修飾するか、用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾するかで、連体詞と副詞を区別できます。

また、連体詞は必ず体言とくっついて体言を修飾します。修飾する体言なしに独立には存在できません。

(4)
その本は図書館にありますか。
それは図書館にある本ですか。

「その」は、名詞の「本」とくっついて名詞の「本」を修飾しているので連体詞です。
「それ」は、他の言葉の存在を必要とせず、助詞「は」がついて、それだけで主語になっています。だから、体言である代名詞です。

この2つの例のように、連体修飾語として体言を修飾しているかどうかで、連体詞と、副詞や名詞・代名詞を区別できます。


活用するかどうかで連体詞を見つける

連体修飾語になる言葉は、連体詞だけではありません。

活用形の中に「連体形」という言葉があることからわかることですが、活用のある自立語(用言)の動詞、形容詞、形容動詞の連体形も連体修飾語になります。

同じように連体修飾語になっている言葉が、連体形なのか、それとも動詞・形容詞・形容動詞なのかを見分ける視点は、「活用するかどうか」です。

(1)
体の大きい動物。
体の大きな動物。

「大きい」は、「大きくなる」、「大きかったら」というようにいろいろ形が変化します。そこから、活用する自立語=用言だと判断し、「い」で終わっているので形容詞と断定します。
「大きな」に、他の形はありません。活用しない語なので連体詞です。

(3)
ここにはいろんな動物がいる。
ここにはさまざまな動物がいる。

「いろんな」は、他の形は考えられません。活用しないので、連体詞です。

ところが、「さまざまな」は、「さまざまだ」と変形した言葉をすぐに思いうかべられます。活用する語です。「だ」と、「な」の両方に活用する語なので形容動詞です。

(5)
空におかしな形の雲が浮かんでいる。
空に変な形の雲が浮かんでいる。


(3)と同じです。
「おかしな」に活用する形はありません。活用しないので、連体詞です。

「変な」は、「変だ」と変形した言葉を思いうかべられます。活用する語であり、「だ」と「な」の両方に活用する語なので形容動詞です。


この3つの例からわかるように、活用があるかないかで、活用のない連体詞と、活用する動詞・形容詞・形容動詞とを区別できます。


おもな連体詞を分類して覚える

上で述べた、(1)連体修飾語だということから連体詞を見つける、(2)活用がないことから連体詞を見つける、の2つの方法は、ある程度文法がわかった人でないと、「言うは易く行うは難し(いうはやすくおこなうはかたし)」、なかなか困難です。

誰でもできる解き方として、代表的なものをいくつか覚えておいて、それに似ているかどうかで判定する方法が実は一番手っ取り早い。


3つに分類して覚える方法

私が子どもたちにすすめている分類法です。

おもな連体詞は、「この」と、「大きな」と、「あらゆる」の3つだと覚えます。
そして、この3つのどれかに似ていたら、連体詞と判断します。

(1)「この」の仲間・・・この、その、あの、どの

(2)「大きな」の仲間・・・大きな、小さな

(3)「あらゆる」の仲間・・・あらゆる、いわゆる

この分類法の長所は、覚えることが少なくてすむことと、よく出る問題は上記のものが多いので実戦的であることです。
短所は、3つのどれにも含まれない連体詞があって、あまり学問的とはいえないことです。


語尾で分類する方法

多くの文法のテキストが採用している分類法です。


今、私の手元にある1冊は、連体詞を次の4種類に分類しています。

(1)「~の」型・・・この、その、あの、どの、例の、ほんの

(2)「~る」型・・・ある、あらゆる、いかなる、いわゆる、来る(きたる)

(3)「~た(~だ)」型・・・たいした、とんだ

(4)「~な」型・・・大きな、小さな、いろんな、おかしな


別のテキストは、5種類に分類しています。

(1)「~の」の形・・・この、その、あの、どの、ほんの

(2)「~な」の形・・・大きな、小さな、おかしな、いろんな

(3)「~た、~だ」の形・・・たいした、たった、とんだ、ばかげた

(4)「~る」の形・・・ある、あらゆる、いわゆる、さる、きたる、いかなる、堂々たる

(5)「~が」の形・・・わが



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Japanese 代名詞の見つけ方

これも、今日の授業中の質問から。

例題:
次の名詞・代名詞の種類をあとのア〜オから選び、記号で答えなさい。
(1)日本
(2)教科書
(3)あなた
(4)十人

代名詞 イ固有名詞 ウ数詞 エ形式名詞 オ普通名詞



(解答)
(1)「日本」は国名。地名・人名・国名は固有名詞。だから、イ。
(2)「教科書」はなんら特殊でなく、普通の名詞だからオ。
(3)「あなた」は人称代名詞なのでア。
(4)「十人」は「十」という数字を含んでいるので数詞。答えはウ。
形式名詞は、「こと」や「もの」などの、本来の意味をほとんど失って連体修飾語とともに用いられる名詞なので、(1)〜(4)の中にはない。


T君の質問「先生、なぜ「あなた」が代名詞なんですか?代名詞と名詞と、どこが違うんですか?」

「確かに、名詞と代名詞の2つを体言といって、自立語で活用がなくて主語になる点では共通だから区別しにくいよね。テキストによっては代名詞を独立に扱わずに名詞の中に含めているものもあるよ。」

T君「僕も、そのほうが面倒じゃなくていいと思います。」

「2つを別のものとして分ける場合も多いんで、代名詞とは何かくらいは知っておいたほうがいい。ところでT君、英語の代名詞にはどんなものがあるか、知ってるよね。」

T君「Iとか、youとか、heとか、sheとか。」

「そう、それにthisやthatやitも代名詞だ。だから、英語の文法を参考にして、日本語の代名詞も、I、you、he、sheにあたる「私」、「あなた」、「彼」、「彼女」など(人称代名詞)と、this、that、itにあたる「これ」、「あれ」、「それ」の仲間(指示代名詞)だと、覚えたらいいんだよ。」

T君「日本語の文法を覚えるのに、英語の文法を参考にするなんておかしくないですか?」

「もともと日本語には文法なんてなかったらしいよ。明治になって外国の学問を取り入れたときに文法というものがあることを知って、大急ぎで日本語の文法をつくったらしい。そうだとすると、日本語の文法を理解するのに外国語の文法を参考にするのは全然おかしくないし、理にかなってると、私は思うな。」

ということで、次のような説明をつけ加えました。


英語文法と日本語文法の違い

英語だと、Iは「私」と訳しては不正確です。「私は」と訳さないといけません。英語には助詞がないので、文の構造上、そうなります。

myも、英語では「私の」と訳す代名詞ですが、日本語の「私の」は、「私」という代名詞+「の」という助詞です。

また、英語文法には、形容動詞と連体詞はありません。


代名詞の分類

日本語の代名詞は、前述のように、人称代名詞と指示代名詞に分かれます。

人称代名詞は、自称(英語の1人称にあたる)の「」、「ぼく」など、対称(英語の2人称にあたる)の「」、「あなた」など、他称(英語の3人称にあたる)の「」、「彼女」、「だれ」などに分かれます。

指示代名詞は、事物・場所・方向の順に、近称の「これ」、「ここ」、「こっち」など、中称の「それ」、「そこ」、「そっち」など、遠称の「あれ」、「あそこ」、「あっち」など、不定称の「どれ」、「どこ」、「どっち」などに分類されます。

代名詞には、上に例としてあげたものとかけ離れた、まったく異質のものは存在しません。
上の太字のものをしっかりと覚え、あとはそれに近いものを代名詞と判断すればよいだけです。


こそあど言葉と代名詞

小学生のときに、「れ」、「の」、「っち」、「れ」などの指示語(ものを指し示す言葉)のことを、その頭文字をとって「こそあど言葉」と習いました。

中学校以降の国語文法では、こそあど言葉のうち、一部は代名詞に、一部は連体詞に、一部は副詞に、一部は形容動詞に分類されます。

こそあど言葉のうち、代名詞に分類されるもの・・・「これ」、「そこ」、「あちら」、「どっち」などの、「が」や「は」をつけたら主語になるものは、体言であり、代名詞です。

こそあど言葉のうち、連体詞に分類されるもの・・・「この」、「あの」、「その」、「どの」と、「こんな」、「あんな」、「そんな」、「どんな」は、そのあとに名詞をともなって使われるので、連体修飾語になる連体詞です。

こそあど言葉のうち、副詞に分類されるもの・・・「こう」、「そう」、「ああ」、「どう」は、「こう書く」、「そう読む」とそのあとに用言をともなうので、連用修飾語になる副詞です。

こそあど言葉のうち、形容動詞に分類されるもの・・・「こんな」、「そんな」、「あんな」、「どんな」は、「こんなだ」、「そんなに」という使い方をされるときに限って、形容動詞です。ただし、「こんなな」、「そんなな」の形がない、特殊な形容動詞です。


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Japanese 動詞の音便(おんびん) イ音便・撥音便(はつおんびん)・促音便(そくおんびん)

これも、今日の授業中の質問から。

例題:
次の傍線部の動詞の活用の種類と活用形を答えなさい。
(1)そのまま前に進んでください。


(解答)
終止形は「進む」。
「進(ない)・進(う)・進(ます)・進(だ)・進・進(とき)・進(ば)・進」と、語尾が「ま・み・む・め・も」の五段に活用するから五段活用です。
「進ん」は、本来「進み」+助詞「て」であったものが音便化して「進ん」+「で(濁音化)」になったもので、連用形。
五段活用の連用形が答え。


S君の質問
「先生、音便化するのは連用形だけですか?」

「すごい高等な質問だなぁ。レベルが高い。偏差値68以上の質問だ。そう、動詞で音便化するのは連用形だけ。」

M君の質問「あのう、音便って何ですか?」

「レベルの低い質問でほっとするよ。M君、ええとこあるやん。よし、ここらでみんなのために動詞の音便について説明しておくか。」


ということで、動詞の音便についてまとめました。


音便(おんびん)

発音しやすいように(発音に「便」利なように、発音上の「便」宜(べんぎ)から)、「音」が変わるから「音便(おんびん)」といわれます。

現代語では動詞の音便はイ音便、撥音便、促音便の3種ですが、古文・古典ではウ音便を加えて4種になります。


イ音便・撥音便(はつおんびん)・促音便(そくおんびん)

サ行以外五段活用の動詞は、接続助詞の「」・「たり」と、過去を表す助動詞「」に続くとき、連用形が普通の形とは違った形になります。

例えば、動詞「書く」は、連用形は「書き(+ます)」が普通ですが、「て」や「た」に続くときの連用形は「書い(+て)」、「書い(+た)」と、『き』から『い』に変わります。『』に変わるので、イ音便といいます。

動詞「読む」だと、連用形は「読み(+ます)」が普通ですが、「て」や「た」に続くときの連用形は「読ん(+で(「て」の濁音化したもの))」、「読ん(+だ(「た」の濁音化したもの))」と、『み』から『ん』に変わります。『』に変わる音便を撥音便といいます。

動詞「言う」だと、連用形は「言い(+ます)」が普通ですが、「て」や「た」に続くときの連用形は「言っ(+て)」、「言っ(+た)」と、『い』から『っ』に変わります。『』に変わる音便を促音便といいます。


撥音便・促音便

『ん』に変わる音便が撥音便と呼ばれるのは、『ん』のことを撥音というからです(『ん』を書くとき、最後を「撥(は)ねる」ので撥音というのだそうです)。

『っ』に変わる音便が促音便と呼ばれるのは、『っ』のことを促音というからです(『っ』は単独では使われず、次に別の音が続きますが、次の音が発音しやすいように「促す」ので促音というのだそうです)。



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Japanese 活用形の連体形はどんな語に続くか

これも、今日の授業中の質問から。

例題:
次の傍線の語句の品詞名と活用形を答えなさい。
(1)
本当に美しい夕日だった。
(2)
とても簡単な問題だ。


(解答)
(1)「本当に」は形容動詞「本当だ」の連用形。
(2)「簡単な」は形容動詞「簡単だ」の連体形。


M君の質問「先生は以前、形容動詞の見つけ方として、『だ』と『な』の両方がつけば形容動詞だと言ってましたよね?」

「そうだよ。「大きな」は「大きだ」とはならないから連体詞、だけど、「見事な」だと、「見事だ」と活用するから形容動詞。形容動詞は「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」と活用するから、終止形の『だ』と連体形の『な』の両方がついたら形容動詞である証拠だ。」

M君「でも、問題の「本当に」ですが、「本当だ」となるから形容動詞だと思って答えを書いて一応正解だったんですが、「本当な」って言い方ありますか?」

「え?「本当な」?そういえば、「本当な」って・・・、ないよなあ・・・(と、ちょっとあせる)。」

M君「・・・・(この人、嘘を教えていたのかという疑いの目)。」

「ううんと・・・(汗)。あのね、「本当な」っていう形、ないって言ったけど、本当はあるんだよ。『彼の話は本当なので、皆が信じた』っていう言い方、おかしくないだろう?このときの「本当な」は、形容動詞「本当だ」の連体形なんだ。これをわかってもらうには、『連体形』についてちょっと知っておいてもらう必要があるなあ。」

ということで、次のような説明を加えました。

活用形のうちの連体形ですが、連体形とは、「連」「体」形、つまり、「体言」に「連続」する形です。
すぐ後に体言(名詞・代名詞)が続いて、その体言にかかる、体言を修飾する形なので連体形といいます。

だから、連体形かどうかを見分けるときや連体形であることを確認するとき、体言にあたる代表的な語である『とき』や『こと』をつけてみて、『とき』や『こと』がつけば、その形は連体形だと言えるわけです。

ところが、連体形のあとにくるのは、実は、体言だけではありません。
助動詞の「ようだ」、格助詞の「」、接続助詞の「ので」や「のに」に続くときも、活用形は連体形なのです。

つまり、正確に言うと、連体形とは、(1)原則として体言に続く形であり、それがほとんどですが、まれに、(2)助動詞の「ようだ」に続くときと、(3)助詞の「」、「ので」、「のに」に続くとき(あと、副助詞の「ぐらい」、「ばかり」、「だけ」に続くとき)も、活用形としては連体形です。

(なぜ、「ようだ」や、「の」に続くときも連体形なのかというと、おそらく、「ようだ」の場合は、かつては名詞であった「よう」に、「だ」がついてできたのが助動詞の「ようだ」だからでしょうし、「の」の場合は、「こと(=名詞)」に言い換えられる助詞の「の」に続くからでしょう。)


まとめると、
(1)体言に続く活用形、体言を修飾する活用形が連体形である。
(2)助動詞の「ようだ」に続くときは、体言を修飾しているわけではないが連体形である。
(3)助詞の「」、「ので」、「のに」、「ぐらい」、「ばかり」、「だけ」に続くときも、体言には続かないが連体形である。


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Japanese 名詞の見つけ方

今日の授業中の質問から。

例題:
次の傍線の語句の品詞名を答えなさい。
(1)
親しい友人との別れ
親しい友人と別れる
(2)
彼から不思議な話を聞いた。
彼の話は不思議がいっぱいだ。
(3)
今年の夏はとても暑い
今年の夏は激しい暑さだ。


(解答)
(1)「別れ」は名詞。「分かれる」は動詞。
(2)「不思議な」は形容動詞「不思議だ」の連体形。「不思議」は名詞。
(3)「暑い」は形容詞。「暑さ」は名詞。


M君の質問「『別れ』、『不思議』、『暑さ』が名詞であることは、なんとなくわかるんですが、自信をもって答えられません。なぜ、名詞だとはっきりわかるんですか。」

「名詞と代名詞をまとめて何て言うんだったっけ?」

M君「体言です。」

「じゃあ、体言の意味って何?」

M君「・・・・。」

「体言とは、活用がなくて主語になるもの、じゃあなかった?」

M君「そうです。」

「名詞=体言。そして、体言=活用がなくて主語になるもの。つまり、名詞=体言=主語になるもの。で、主語って、どんな助詞がついたっけ?」

M君「〜が、とか、〜は、とか。」

「そう。だから、『が』か『は』をつけてみて、主語になったら絶対に名詞だよ。」

M君「『別れ』は悲しい、『不思議』がいっぱいだ、『暑さ』がきびしい。あ、成り立つ。そうか、主語になるから名詞だと断言できるのか。わかりました。」

まとめると、
1、名詞体言である。
2、体言とは主語になるもののことである。
3、だから、名詞主語になる。
4、よって、「」「」をつけてみて主語になれば名詞である。



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Japanese 「で」の識別

語の識別の問題の中で一番難しいのが、「で」の識別です。

いきなり問題にあたっても見当がつきにくいので、「だ」の識別と同様、あらかじめ「で」にはどのようなものがあるかを先に知っておくべきです。


「で」の類別

(1)格助詞の「で」。体言につきます。(例:駅会う。)
格助詞の「で」は、さらに意味の違いで、場所手段材料期限原因・理由に分かれます。

(2)補助の関係を表す接続助詞」が濁音化して「で」になったもの。
動詞の音便形「い」「ん」に接続する。(例:飛んいく。泳いみる。)

ところで、形容動詞と、形容動詞型の活用をする助動詞「だ」は、「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」と活用します。
そこから、

(3)形容動詞連用形一部としての「で」。(例:素敵ある。)

(4)断定の助動詞「だ」の連用形一部である「で」。(例:我輩はねこある。)

おもなものは以上の4種類ですが、その他に、やや特殊なものとして、

(5)副詞の一部である「で」。(例:まる夢のようです。)

(6)接続詞である「で」。(例:で、その続きは。)

などがあります。

単独の一語で、活用形ではない「で」が、(1)格助詞の「で」、(2)接続助詞の「て」が濁音化した「で」、(6)接続詞の「で」の3つ、活用する語の連用形の「で」が(3)形容動詞の連用形の活用語尾の「で」、(4)断定の助動詞「だ」の連用形の「で」の2つ、そしてその他という3グループに分類できます。


格助詞「で」の類別

「で」の識別の問題がややこしいのは、品詞別に分類したら答えられる問題だけでなく、「で」のうちの一つである格助詞の「で」が、さらに意味によって5つに分かれ、その5つの意味も覚えておかないと解けない問題があるからです。

格助詞「で」は、連用修飾語をつくる助詞であり、その意味は次の5つです。

(1)場所を示す・・・例:公園遊ぶ。
(2)手段を示す・・・例:自転車通う。
(3)材料を示す・・・例:紙作る。
(4)期限を示す・・・例:1週間終わる。
(5)原因・理由を示す・・・例:風邪休む。

この5つを、ぼんやりとでもよいので覚えておかないと解けない問題があります。


例題1:
「われわれはいくつかの例それを証明することができる。」の傍線部と同じ意味・用法のものを選びなさい。

ア 写真被害の程度がわかった。
イ 仕事が午前中かたづいた。
ウ 兄は専門学校の学生ある。
エ 図書館の中は静か、とても落ち着く。


(解き方)

わかりやすいものから選んで解決していきます。

まず、ウの「学生で」の「で」は断定の助動詞「だ」の連用形です。
断定の助動詞のときは、「だ」と言い換えられるますし、言い換えても意味が変わりません。「兄は専門学校の学生だ」と言い換えてもまったく一緒なので、断定の助動詞の「だ」の連用形です。

次に、エの「静かで」の「で」は、「静かで」が「静かだ」とも「静かな」とも活用するので、形容動詞「静かだ」の連用形です。
前の言葉「静か」に「だ」と「な」をつけてみて、「静かだ」、「静かな」の両方が成り立てば、それが形容動詞であることの目印です。

例文の「いくつかの例で」の「で」は、「いくつかの例だ」とは言い換えられないので断定の助動詞ではありません。
「例な」ともならないので形容動詞の一部でもありません。
だから、一語の格助詞だと見当をつけます。

格助詞だと決めたら、今度は意味を考えます。

「いくつかの例で」+「証明することができる」なので、「例で」の「で」は、手段を示す格助詞です。

アの「写真で」+「わかった」の「で」が、手段を示しています。これが、例文と同じ意味・用法の「で」です。

イの「午前中で」+「かたづいた」は、期限を示す格助詞の「で」です。

実際に問題を解くときは以上のような思考経路をたどるのではないでしょうか。


例題2:
「滞在日数が多くなったせい、すでに夏になってしまった。」の傍線部の「で」と同じ意味・用法のものを選びなさい。

ア 港は波もおだやか、船出には絶好の日和だ。
イ 家の軒下、今年もツバメのひながかえった。
ウ 久しぶりの雨、庭の草木も生気を取り戻した。
エ 乾いた洗濯物をたたん、家事の手伝いをする。


(解き方)

例文の「多くなったせいで」+「夏になってしまった」の「で」は、原因・理由を示す格助詞の「で」です。

アの「で」は、「おだやかだ」、「おだやかな」と活用するので形容動詞の活用語尾で、違います。

イの「軒下で」の「で」は、場所を示す格助詞の「で」で、格助詞ではありますが意味が違います。

ウの「雨で」+「生気を取り戻した」の「で」が、原因・理由を示す格助詞で、これが同じ意味・用法です。

エの「たたんで」の「で」は、後半の「家事の手伝いをする」に続いていくので、接続助詞「て」が濁音化した「で」であり、違います。


例題3:
次の(1)〜(3)の語の文法的説明として最適なものを、あとのア〜エの中から選びなさい。

「葦で(1)屋根をふいた貧しい農家(2)、老人と老妻とが住ん(3)いた。」

ア 接続助詞「て」の濁音
イ 断定の助動詞の連用形
ウ 形容動詞の連用形活用語尾
エ 材料を示す格助詞

(解き方)

(1)の「葦で」の「で」は、材料を示す格助詞です。だから、(1)はエ。

(2)の「農家で」の「で」は、「農家」に、断定の助動詞「だ」の連用形がついたものです。(2)はイ。

(3)の「住んで」の「で」は、接続助詞の「て」の濁音化した「で」です。(3)はア。

断定の助動詞の「だ」は、体言に接続する助詞です。
接続助詞の「て」は、用言に接続します。
接続の仕方で、断定の助動詞「だ」の連用形の「で」か、接続助詞「て」が濁音化した「で」かを区別することができます。


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Japanese 「だ」の識別

「の」の識別は、「が」や「こと・もの」と言い換えられるかどうかで、「ない」の識別は、「ぬ」で言い換えられるかどうかで、ある程度答えがしぼられてきます。

ところが、「だ」の識別は、言い換える適当な語がありません。それで、人によっては難しく感じてしまいます。

「だ」の識別をするときは、
(1)「だ」には5種類あるので、それをあらかじめ知って覚えておく。
(2)「だ」が単独の一品詞なのか、別の語の一部なのかを考える。
(3)手がかりとして、どんな語、どういう活用形に「だ」がついているかを見分ける。
の順で解くのがベストです。

「だ」の分類

「だ」には、次の5種類があります。

(1)断定助動詞「だ」・・・おもに体言のあとにつく(例:私は中学生だ。)

(2)過去・完了の助動詞」が濁音化したもの・・・動詞音便形「」「」に続く(例:読む+「た」→読ん「だ」、急ぐ+「た」→急い「だ」)

(3)推定・たとえ・例示の助動詞ようだ」の一部

(4)様態・伝聞の助動詞そうだ」の一部

(5)形容動詞(例:「静かだ」や「穏やかだ」)の一部

(1)・(2)は、「だ」が、単独の一語の助動詞であるときです。
(3)・(4)・(5)は、「だ」が、助動詞や形容動詞の一部であるときです。

「だ」の識別をするときには、一語なのか、それとも別の語の一部なのか検討することが重要です。


例題1:
「それは見かけ上のこと。」の「だ」と同じ意味、用法のものを、次のア〜オから選びなさい。

ア 教室の中はとても静か
イ 向こうにいるのが僕の弟
ウ 明日は晴れるそう
エ 春はすぐそこまで来ているよう
オ 手に持って花のにおいをかい


(解答)

例文の「見かけ上のことだ」の「だ」は、「こと」という名詞についた単独の付属語です。体言に接続する、断定の助動詞、「だ」です。

アの、「静かだ」は、「静かな」と活用させることができますから、形容動詞です(「だ」と「な」の2つを活用語尾にとる語は、ほぼ形容動詞です)。だから、「静かだ」の「だ」は、形容動詞の一部です。

イの、「弟だ」の「だ」が、「弟」という名詞に接続している、断定の助動詞の「だ」です。これが正解になります。

ウの、「晴れるそうだ」の「だ」は、「そう」「だ」と切り離すことはできません。「そうだ」で一語であり、「だ」は伝聞の助動詞「そうだ」の一部です。

エの、「来ているようだ」の「だ」も、「よう」「だ」と切り離すことは無理です。「だ」は、推定の助動詞「ようだ」の一部です。

オの、「においをかいだ」の「だ」は、においを「かぐ」という動詞についた、単独の助動詞ですが、動詞に接続している点、断定の意味を持たない点の2つから、断定の助動詞の「だ」ではありません。
「かぐ」という動詞に過去を表す助動詞の「た」がついて「かぎた」になり、「かぎた」が言いにくいので、音便化されて「かいだ」になったものです。
つまり、もとは過去の助動詞「た」であった、「だ」です。


例題2:
次のア〜エの「だ」には、一つだけ他と性質の異なる「だ」が含まれている。それを選びなさい。

ア 新しい道具はとても便利
イ 彼は詩人
ウ 私の好きな言葉は努力
エ 子どもに必要なのは愛情


(解答)

どれも、漢字2字の名詞についた、断定の助動詞「だ」であるように見えます。

しかし、「便利だ」だけは「便利な」と活用しますが、「詩人な」、「努力な」、「愛情な」という表現はありえません。

だから、「便利だ」だけが「便利な」と活用する形容動詞であり、イ、ウ、エの「詩人だ」、「努力だ」、「愛情だ」は、名詞に、断定の助動詞「だ」を接続したものです。


例題3:
次の文の傍線を引いた「だ」の、文法的な性質を説明しなさい。

(1)あれが公園
(2)昨日、学校を休ん
(3)明日は雨が降るそう
(4)まるで夢のよう
(5)気候がおだやか


(解答)

(1)「公園だ」・・・名詞「公園」+断定の助動詞「だ」
(2)「休んだ」・・・動詞「休む」+過去の助動詞「た」→(音便化して)「休んだ」
(3)「降るそうだ」・・・動詞「降る」+伝聞の助動詞「そうだ」、「だ」は助動詞「そうだ」の一部
(4)「夢のようだ」・・・名詞「夢」+助詞「の」+比喩の助動詞「ようだ」、「だ」は助動詞「ようだ」の一部
(5)「おだやかだ」・・・「おだやかな」と活用するから、形容動詞「おだやかだ」の一語。「だ」は形容動詞「おだやかだ」の一部。


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