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圧力

science 水の圧力(水圧)のよく出る問題 (中学理科)

この稿では、水の圧力を求めるおもな問題、よく出題される問題をとりあげます。
(水の圧力(水圧)について、あらかじめ理解しておかないといけないことはこちらにまとめてあります)。

水の圧力(水圧)で理解しておかないといけない大切なこと
1、水の圧力は、あらゆる向きに、面に垂直にはたらく。
2、水の圧力は、水面からの深さ1mのとき、10000N/平方mである。
3、深さ同じとき、水の圧力は常に等しい
4、水の圧力深さ比例する。


例題1(泡の形):水の圧力と水の深さの関係を調べる実験をした。
(1)空気の泡を入れた注射器のピストンを指で押した。注射器の中の空水圧の問題2気の泡の形はア、イ、ウのどの形になるか。



問題の2の2







(解答)
「1、水の圧力は、あらゆる向きに、面に垂直にはたらく。」より、
答えはウです。


例題2(連通管):容器の底がつながった管を連通管という。連通管に水を入れると各容器の水面はどうなるか。
水圧の問題の1ア 各管の水の体積が同じになるような高さになる。
イ 各管の水の質量が同じになるような高さになる。
ウ 各管の底の面積に比例した高さになる。
エ 各管の底の面積に反比例した高さになる。
オ 各管の高さは等しくなる。





(解答)
「3、深さ同じとき、水の圧力は常に等しい。」より、
答えはオです。


例題3(とび出す水):同じ大きさの穴があいた容器に水を満たし、穴かとび出す水らとび出す水の様子を観察した。穴からとび出す水のようすを正しく表しているものはどれか。







(解答)
「4、水の圧力深さ比例する。」より、
深いほど水の圧力は大きいので、答えはウです。


例題4(ゴム膜のへこみ方):透明なパイプの両端にうすいゴム膜をはった装置を水の中に入れ、ゴム膜のへこみ方を観察した。Cのゴム膜はどのようにへこむか。図に書き込め。

問題3の1問題3の2













(解答)
「4、水の圧力深さ比例する。」より、図のようになります。
問題3の3










例題5(水の圧力を求める):底面積10平方cm、高さ20cmの容器の上の面までいっぱいに水が入っている。この容器の底の面にはたらく水の圧力の大きさ例題5はいくらか。ただし、水1立方cmの質量を1g、質量100gの物体にはたらく重力を1Nとする。






(解答)
(1)圧力の公式(N/平方m)=力(N)/面積(平方m)を使って求める方法

水の体積は、底面積×高さより、10×20=200立方cm。
水1立方cmの質量が1gだから、水の質量は200g。
100gの物体にはたらく重力が1Nだから、力(重力・重さ)は2N。

底面の面積10平方cmは、10000平方cm=1平方mより、0.001平方m。

以上より、
圧力(N/平方m)=力(N)/面積(平方m)=2/0.001=2000/1=2000N/平方m

(2)「2、水の圧力は、水面からの深さ1mのとき、10000N/平方mである。」と「4、水の圧力深さ比例する。」を使って求める方法。

深さの比、1m:20cm=100cm:20cm=5:1を利用します。

求める水の圧力をxとすると、
10000:x=5:1
5x=10000
x=2000N/平方m


例題6(円筒に入れたおもり):断面積20平方cmの円筒の下にプラスチックの板をあてて水の中に入れて、プラスチック板の上に質量100gの例題6おもりをのせた。円筒を上に持ち上げていくとき、水面から円筒の下までの深さが何cmのとき、プラスチック板がはずれておもりが下に落ちるか。
ただし、水1立方cmの質量を1g、質量100gの物体にはたらく重力を1Nとする。






(解答)
プラスチック板にはたらくおもりの圧力が、プラスチック板にはたらく水の圧力より大きいと、プラスチック板がはずれておもりは下に落ちます。

プラスチック板にはたらくおもりの圧力は、
圧力=力(N)/面積(平方m)=1/0.002=1000/2=500N/平方m。

次に、「2、水の圧力は、水面からの深さ1mのとき、10000N/平方mである。」を活用しますが、このような問題のために、

水の圧力
は、
深さ
1mのとき、10000N/平方m
深さ10cmのとき、1000N/平方m
深さ1cmのとき、100N/平方m
を、覚えておいたほうがよいと思います。

この問題では、プラスチック板にはたらくおもりの圧力は500N/平方mなので、
深さ1cmのとき100N/平方mである」ことを使って、
500N/平方mだと、深さが1cmのときの5倍だから、
答えは、円筒の下の面の深さが5cmになったとき、ということになります。





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science 水の圧力(水圧)の基礎・基本 (中学理科)

この稿では水の圧力水圧)の基礎・基本の原理をとりあげます。
(水の圧力の、よく出題される問題についてはこちらをご覧ください。)


水の圧力に入る前に、圧力全般の復習をしておきます。

圧力(圧力のくわしい説明は、こちらこちら

あるがはたらいているとき、面が力から受ける効果をあらわす量が圧力です。

圧力(Paまたは、N/平方m)=面を垂直に押すN)/力がはたらく面積平方m


力と重さ

重さとは、物体にはたらく重力の大きさのことです。
そして、重力ですから、理科では重さは同じものとして扱います。

圧力の問題を考えるときにも大事なことです。
重さと力
重さは同じものであり、力と重さは面に対して同じはたらきをします。







では、水の圧力について、大切なことをまとめます。

水による圧力(水の圧力・水圧)
の伝わり方

固体であろうが液体の水であろうが、重力がはたらき、面に対して圧力としてはたらくことは共通です。
水と圧力1






固体と液体とのちがいは、力の伝わり方です。
水と圧力2
固体にはたらく重力は、下向きにはたらくだけです。

水の場合、水は分子が自由に動き回る液体なので、水にはたらく重力は下向きだけでなくあらゆる向きに、面に垂直にはたらきをおよぼします。


水と圧力3





水の圧力(水圧)の大きさ

水の圧力は、水の重さによる圧力です。

わかりやすいように、力がはたらく面の面積1平方m、面の水面からの深さ1mとして圧力を求めてみましょう。
深さ1mの水圧
圧力がはたらく面の上にある水の体積は1m×1m×1m=1立方mです。

1立方mの質量は1t=1000kgです。

質量100gの物体にはたらく重力を1Nとすると、質量1000kg水の重さは10000Nです。

また、力がはたらく面の面積は1平方mです。

以上を、圧力を求める式にあてはめて計算すると、

圧力=力/面積=10000/1=10000N/平方mです。


面積、深さと水の圧力との関係

面積を半分の0.5平方mにして圧力を求めてみましょう。

深さが1mのとき、面の上にある水の体積は0.5×1=0.5立方mであり、その水の質量は500kgであり、その水にはたらく重力は5000Nです。

圧力=力/面積=5000/0.5=50000/5=10000N/平方m。

深さ同じであれば、力のはたらく面積がかわっても圧力等しいことがわかります。


次に、面積は1平方mのままで、深さを1mの半分の0.5mにして圧力を求めてみましょう。

水の体積は1×0.5=0.5立方mであり、その水の質量は500kgであり、その水にはたらく重力は5000Nです。

圧力=力/面積=5000/1=5000N/平方m。

深さが半分になれば、圧力も半分になることがわかります。

つまり、水の圧力深さ比例します。


水の圧力(水圧)で大切なこと

1、水の圧力は、あらゆる向きに、面に垂直にはたらく。

2、水の圧力は、水面からの深さ1mのとき、10000N/平方mである。

3、深さ同じとき、水の圧力は常に等しい

4、水の圧力深さ比例する。

以上の4点を理解し、知っていたら、水の圧力の問題は簡単に解くことができます。


水の圧力のよく出る問題についてはこちらをご覧ください。




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science 超簡単 圧力(3) 力(重さ)や面積を問う問題

よく出題される圧力の問題を簡単に解こうという試みの(その3)です。

この稿では、圧力の問題で、力の大きさや力のはたらく面積の大きさを問う問題をとりあげます。


例題1:直方体の物体を、面積が0.5平方mである面が下にくるように机の上に置いたとき、机にかかる圧力は2N/平方mだった。物体が机を押す力は何Nか。

(解き方)

圧力を求める公式は、面を垂直に押す力÷力がはたらく面積面を垂直に押す力/力がはたらく面積であり、簡単に覚えると圧力力/面積です。

圧力を求める式のように、A=C/Bとなっている式は、等式の両辺にBをかけるとA×B=Cとなります。
つまり、Cのところにあるものは、常に他の2つのものをかけたら求められます。

例えば、理科で出てくる他の公式だと、速さ=距離/時間だから、距離=速さ×時間です。
他にも、密度=質量/体積だから質量=密度×体積、電流=電圧/抵抗だから電圧=電流×抵抗など、すべての式で同じ変形ができます。

1


















圧力の式でも同様です。

圧力=力/面積だから、圧力×面積です。

したがって、この問題の場合も、2N(圧力)=力/0.5(面積)だから、力=2N(圧力)×0.5(面積)=1N。

答えは1Nです。


例題2:質量が2kgである直方体の物体を机の上に置いたら、机にかかる圧力は5N/平方mだった。この物体の底面積は何平方mか。ただし、100gの物体にはたらく重力を1Nとする。

(解き方)

A=C/Bとなっている式は、等式の両辺にBをかけるとA×B=C、そして両辺のA×B=CをAでわるとB=C/Aとなります。
つまり、分母のBのところにあるものは、常にCをAでわったら求められます。


例えば、
速さ=距離/時間だと、時間=距離/速さです。
他にも、密度=質量/体積だと、体積=質量/密度、電流=電圧/抵抗だと、抵抗=電圧/電流です。

圧力の式だと、
圧力=力/面積だから、面積力/圧力です。

この問題の場合、質量が2kgであり、100g=1Nだから、2kg=20N。これを面積=力/圧力の式にあてはめると、面積=20/5=4。

答えは、4平方mです。


理科で(算数や数学でも同様ですが)公式を習ったら、まずその公式を正確に覚えないといけません。
圧力だと、圧力=力/面積を正確に覚えます。
覚えられたら、分数で表された公式の分子の部分は必ずかけ算で(力=圧力×面積)、公式の分母の部分は必ずわり算で(面積=力/圧力)求められることも、正しく理解しておくべきです。


おまけとして、(少しだけむずかしいのですが)面白い問題を2題、つけ加えておきます。

例題3:半径1cmの1円硬貨を机に置くと、圧力が31.8N/平方mであった。1円硬貨の質量は何gか。円周率を3.14とし、四捨五入して小数第1位まで答えなさい。
ただし、100gの物体にはたらく重力を1Nとする。

(解答)

まず、1円硬貨にはたらいている力(重力)を求めます。

半径1cmの1円硬貨の机にふれている面の面積は、1cm=0.01mだから、0.01×0.01×3.14=0.000314平方mです。

圧力=力/面積より、力=圧力×面積。
よって、力
(N)=31.8(N/平方m)×0.000314(平方m)=0.0099852N。

次に、質量を求めます。

1N=100gだから、0.0099852N=0.99852g。

問題が四捨五入して小数第1位までを要求しているので、0.99852gは約1.0g。


例題4:4t(トン)のゾウが4本の足で立ったとき、地面が受ける圧力は1000hPaであった。ゾウの1本の足の裏の面積は何平方cmか。
ただし、100gの物体にはたらく重力を1Nとする。

(解答)

まず、4本の足の裏の面積の合計を求めます。

4t=4000kgであり100g=1Nだから、4t=4000kg=40000N。
また、1hPa=100Pa=100N/平方mより、1000hPa=100000Pa=100000N/平方m。

圧力=力/面積より、面積=力/圧力。
よって、面積(平方m)=40000(N)/100000(N/平方m)=0.4平方m。

問題が何平方cmかをたずねているので、1平方m=10000平方cmより、0.4平方m=4000平方cm。

4本の足の裏の面積が4000平方cmだから、1本の足の裏の面積は4000÷4=1000平方cmです。



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science 超簡単 圧力(2) 圧力の問題の解き方

よく出題される圧力の問題を簡単に解こうという試みの(その2)です。

こちらで覚えた、
圧力の意味=1平方mあたりの面を垂直に押す力
圧力を求める式=面を垂直に押す力÷力がはたらく面積
圧力の単位=N/平方m(またはPa)
を使って、圧力の問題を簡単に解く方法を考察します。


例題:図のような重さ2.4kgの直方体の物体を水平な机の上に置い例題1た。これについて、次の問いに答えなさい。ただし、100gの物体にはたらく重力を1Nとする。




(1)A面を下にして置いたときの物体が机を押す力の大きさと、C面を下にして置いたときの物体が机を押す力の大きさの関係はどうなっているか。次のア〜ウから選び、記号で答えよ。
ア A面を下にして置いたとき>C面を下にして置いたとき
イ A面を下にして置いたとき<C面を下にして置いたとき
ウ A面を下にして置いたとき=C面を下にして置いたとき

(2)机にはたらく圧力がもっとも大きくなるのは、A〜Cのどの面を下にして置いたときか。

(3)(2)のときの圧力を求めよ。

(4)机にはたらく圧力がもっとも小さくなるのは、A〜Cのどの面を下にして置いたときか。

(5)(4)のときの圧力を求めよ。

(6)圧力について述べた次の文で、正しいものをア〜エからすべて選び、記号で答えよ。
ア 面を垂直に押す力が一定なら、力がはたらく面積が大きくなるほど圧力も大きくなる。
イ 面を垂直に押す力が一定なら、力がはたらく面積が大きくなるほど圧力は小さくなる。
ウ 力がはたらく面積が一定なら、面を垂直に押す力が大きいほど圧力は小さくなる。
エ 力がはたらく面積が一定なら、面を垂直に押す力が小さいほど圧力は小さくなる。



(解き方)

(1)A面を下にして置いたときの物体が机を押す力の大きさと、C面を下にして置いたときの物体が机を押す力の大きさの関係はどうなっているか。次のア〜ウから選び、記号で答えよ。
ア A面を下にして置いたとき>C面を下にして置いたとき
イ A面を下にして置いたとき<C面を下にして置いたとき
ウ A面を下にして置いたとき=C面を下にして置いたとき


どんな問題集でも出てきて、最も簡単なのに一番まちがいの多い問題です。
ポイントは、「力」と「圧力」は違う!です。
理科では、「」=「重さ」(=「重力」)です。
だから、この問題は「力」をたずねているだけなので、「A面を下にして置いたときの物体の「重さ」と、C面を下にして置いたときの物体の「重さ」」はちがうのか?ときいている問題です。
置く面によって重さが変わるはずはないので、正解はウです。

問題をちゃんと読まないで、「圧力の問題だ!」と簡単に判断してはいけません。


(2)机にはたらく圧力がもっとも大きくなるのは、A〜Cのどの面を下にして置いたときか。

理科では、A=B÷C、つまりA=B/Cの式で表わされる式が多く出てきますが、その意味はすべて、AはBに比例し、Cに反比例するという意味です。

圧力を求める式=面を垂直に押す力÷力がはたらく面積の式で表わされているのは、圧力は、「力」(=「重さ」)に比例し、「面積」に反比例するということです。
つまり、圧力は面積が大きいほど小さく、面積が小さいほど大きいということになります。

「圧力がもっとも大きくなる」のは「面積のもっとも小さい」ときですから、答えはCです。


(3)(2)のときの圧力を求めよ。

Cの面を下にして置いたときの圧力をたずねる問題です。

理科で計算問題を解くときは、必ず公式から出発します。
圧力を求める式は、面を垂直に押す力÷力がはたらく面積(面を垂直に押す力/力がはたらく面積)であり、簡単に覚えると力/面積ですから、そこから出発します。
また、理科の単位は公式をそのまま反映したものですから、力/面積で解くということは、圧力の単位のN/平方mにそのまま当てはめるということです。

1、そこで、まずN/平方mと書いて、そこから考え始めます。

2、この問題で物体の重さは2.4kgと書いてありました。「100gの物体にはたらく重力が1N」ですから、1kgの物体にはたらく重力は100gの10倍の10N、よって2.4kgの物体にはたらく重力は24Nです。

次に、面積の単位は平方mですから、縦20cm、横40cmの長方形の面積を平方mで表わさないといけません。
方法は2通りあります。
1つは、平方mで、単位がmなので、最初からmにして面積を計算する方法です。20cm=0.2m、40cm=0.4mだから、面積は0.2×0.4=0.08平方mだと考えます。
もう1つの方法は、最初に20cm×40cmで面積を平方cmで求めたあと平方mになおすやり方です。このときは、1平方m=10000平方cmを覚えておいて、それを使います。20×40=800平方cm、10000平方cm=1平方mだから、800平方cm=0.08平方mと換算します。

こうして求めた24Nと0.08平方mを、圧力=N/平方mの式に当てはめます。

24/0.08となります。

3、次に、小学校のときに習った「分数は分母と分子に同じ数をかけても大きさは変わらない」を利用して、分数の上にも下にも100をかけます。
24/0.08=2400/8となります。

最後に2400÷8を計算して、300。

求める答えは300N/平方mです。

このように、圧力の計算問題は、
1、まずN/平方mと書く
2、100g=1Nと、100cm=1m(または10000平方cm=1平方m)を利用して、力(重さ)のNと面積の平方mを求めてN/平方mに当てはめる
3、分数の分子、分母に同じ数をかけて整数にした後計算する
の3段階を丁寧に順序よく解いていくことで正解にたどりつくことができます。


(4)机にはたらく圧力がもっとも小さくなるのは、A〜Cのどの面を下にして置いたときか。

圧力は面積に反比例する、つまり面積が大きいほど圧力は小さく、面積が小さいほど圧力は大きいから、答えは面積の一番大きいAです。


(5)(4)のときの圧力を求めよ。

1、まずN/平方mと書く。
2、100g=1Nと、100cm=1m(または10000平方cm=1平方m)を利用して、力(重さ)のNと面積の平方mを求めてN/平方mに当てはめる。

2.4kgは24N。

面積は、40cm=0.4m、50cm=0.5mだから、0.4×0.5=0.2平方m。

よって、24/0.2。

3、分数の分子、分母に同じ数をかけて整数にした後計算する

24/0.2=240/2=120N/平方m。

答えは120N/平方mです。


(6)圧力について述べた次の文で、正しいものをア〜エからすべて選び、記号で答えよ。
ア 面を垂直に押す力が一定なら、力がはたらく面積が大きくなるほど圧力も大きくなる。
イ 面を垂直に押す力が一定なら、力がはたらく面積が大きくなるほど圧力は小さくなる。
ウ 力がはたらく面積が一定なら、面を垂直に押す力が大きいほど圧力は小さくなる。
エ 力がはたらく面積が一定なら、面を垂直に押す力が小さいほど圧力は小さくなる。

圧力は、力に比例し面積に反比例する(重さが大きいほど圧力も大きい、面積が小さいほど圧力は大きい)から、正しいのはイとエ。


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science 超簡単 圧力(1) 圧力の意味

よく出題される圧力の問題を簡単に解こうという試みの(その1)です。

この稿では、圧力の意味を覚えます。

「圧力」の意味

私は一度だけ、満員電車で若い女性の後ろに立っていて、よろけた女性のハイヒールの後ろのとがったところで足の甲を踏まれたことがあります。その瞬間は何が起こったかわからず、頭の先まで激痛が走ると同時に、「あ、足にくぎを打たれた!」と思いました。
軽い体重の小柄な女性であっても狭い面積に体重がかかると大きな力を及ぼす、これが「圧力」です。

ところで、「重さ」とはその物体にはたらく「重力の大きさ」のことであり、「重力」も「」のひとつですから、「重さ」=「重力」=「」です。

「重さ」=「力」が、受ける面積によって「はたらき」が違う、それを比較するのが「圧力」です。

「圧力」を比較するには「面積」を同じにしないと比較できません。
そこで、理科では面積を1平方mに統一して圧力を比較することにしました。

圧力=1平方mあたりの面を垂直に押す力と覚えるのは、「力(=重さ)を受ける面積を1平方mにそろえて圧力を比較する」という意味です。

では、どうしたら面積を1平方mにそろえたらよいかというと、かかっている力(重さ)を面積(平方m)でわったらよいのです。

だから、圧力=面を垂直に押す力÷力がはたらく面積です(分数で記述すると、圧力=面を垂直に押す力/力がはたらく面積)。
(簡単に、圧力=力/面積と覚えてもかまいませんし、実際の問題を解くときのために「力」=「重さ」なので圧力=重さ/面積と考えてもよい)。

さらに、理科ではの単位はNであり面積の単位は平方mです。
そして、式をそのまま表わしているのが理科の単位であり、圧力を求める式は力(N)/面積(平方m)すから、圧力の単位はN/平方mです。

圧力の単位にはPa(パスカル)もあります。PaはN/平方mを言い換えただけなので、Pa=N/平方mです。

(問題によってはN/平方cmが使われることもあります。特に圧力の単位としてN/平方cmと書いてあるときは問題にしたがいます。何も書いてないときはN/平方をもちいます。)


理科の領域では、式や単位がばらばらだと不便なので、世界中で同じ式、共通の単位に決めてしまってそれを使うことにしています。

だから、
圧力の意味=1平方mあたりの面を垂直に押す力
圧力を求める式=面を垂直に押す力÷力がはたらく面積
圧力の単位=N/平方m(またはPa)
の3つは、最初にきちんと覚えて、無条件でそれを使うしかありません。

圧力









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science 大気圧・水圧・浮力

「圧力」の発展事項です。

大気圧

地球は、厚さ500〜600kmの大気に包まれています。
当然空気にも重さがあるわけで(約1.2g大気圧/リットル)、私たちは1日中、いわば500kmの厚さをもった空気の布団をかぶったまま、生きているわけです。

布団だと上から押されるだけですが、大気は横にも下にもありますから、左図のようにあらゆる向きから大気圧を受けています。
さらに、面を押す圧力の向きは、面に垂直です。

昔、トリチェリーという科学者が、大気の圧力は、高さ76cmの水銀の圧力とほぼ同じであることを発見しました。水銀の密度は13.6g/立法cmですから、1平方cmあたり13.6×76=1033.6g、これだけの圧力を大気からうけていることがわかりました。1平方cmあたり約1kgです。

これを以前から使われている気象の単位で表すと1013ミリバール、そしてミリバールとヘクトパスカルは一致しますから1013ヘクトパスカルということになります。
つまり、1気圧1013hPaです。

地球をとりまく大気から押される圧力ですから、高い山に登ると当然大気圧も小さくなります。

水圧

水の中にある物体も、水の布団をかぶっていることは大気と同じです。物体の上にある水の重さによって圧力を受けます。これを水圧といいます。
水圧
大気圧と同様、あらゆる向きから水圧を受けます。
面を押す圧力の向きが面に垂直であるのも大気圧と同じです。

水圧の大きさは、水の密度から計算で求められます。
水の密度は1g/立法cmです。10mの水深のところであれば、面積1平方cmに上にある水の重さは、1g×(1平方cm×1000cm)=1000g、つまり10mの深さのところだと、1平方cmあたりの水の圧力は1000g、1kgだということです。

ところで、圧力の単位はN/平方mPaです。
深さ1cmのところで1平方mあたりどれだけの水圧をうけているのか、考えてみます。
1平方m=10000平方cmですから、体積=底面積×高さより、10000×1=10000立法cm。10000立方cmの水の重さは密度1g/立法cmより、1×10000=10000g。
100g=1Nより、10000g=100N。

つまり、水深1cmにつき、100N/平方m(=100Pa)の水圧をうけていることになります。

深さ1cm100N/平方m(=100Pa)の水圧、覚えておくと役立ちます。

水圧は深さに比例しますから、例えば10cmの深さだと100×10=1000N/平方m、1000Paです。

浮力

なぜ重い鉄でできた船が水に浮かぶのか、なぜ空気中だと落ちてしまう人間の体が水には浮くのか、それを説明するのが「浮力」です。

浮力左図のように、底面積1平方cm、高さ1cmの物体が、上の面が水深1cmのところで水中にあるとします。高さ1cmなので、下の面の水深は2cmです。

面のすべてに、垂直な向きの水圧がかかっています。

横の面にかかっている水圧(3本ずつの矢印で表されているもの)は、左向きのものは右向きのものとそれぞれ打ち消されますから、左から押している圧力と右から押している圧力は同じです。物体は右にも左にも動きません。

しかし、上の面は水深1cmなので下向きに100N/平方mの力、下の面は水深2cmなので上向きに200N/平方mの力がくわわっています。差し引き、200-100=100N/平方mの上向きの力がこの物体にはたらいていることがわかります。
この、水による上向きに物体を押し上げようとする力、これが浮力と呼ばれるものです。

浮力の大きさ

上の問題の場合、物体の底面積は1平方cmです。
上の面と下の面の水深の差が1cmなので水圧の違いは100N/平方mでした。
1平方cmになおすと、1平方mの10000分の1だから、100÷10000=0.01Nです。
また1N=100gより、0.01N=1g。
つまり、体積1立方cmの物体が水からうける浮力は1g(0.01N)だということがわかります。

アルキメデスがこれを発見したので、アルキメデスの原理といわれます。
水中の物体は、その物体の体積と等しい水の重さの分だけ軽くなる」。
水の密度は1ですから、「体積a立法cmの物体は、水中だとagの浮力をうける」、ということです。

浮力の意味

ところで、地球上のすべての物体には重力がはたらいています。上の例であげた物体の重さが10gだったとしましょう。
水中に入れると、はたらく浮力は1gでした。
ばねはかりで測ったとしたら、空気中だと10g、物体を水中に入れるとばねはかりは10−1=9gをさします。

つまり、空気中で測った重さ−水中で測った重さ=浮力です。

ものが水に浮いているとき

浮いた物体左の図で、水に浮いている物体の重さが100gとします。

浮いているということは、物体にはたらいている重力(重さ)と浮力が等しいわけですから、このときはたらいている浮力も100g(=1N)です。

さらに、水中の物体の体積物体にはたらく浮力の数値は等しくなりますので、物体のうち水中に沈んでいる部分の体積は100立方cmということになります。


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science 突然現れる理科の難問「圧力」

以前に比べると極端にやさしくなった中学校理科、ところが時折ひょこっと難問が顔を出します。


中1だと圧力

「重さ」と「力」、「力」と「圧力」の区別や関係は教えないまま、いきなり圧力の計算問題が出てきます。
さらに困ったことに、以前習った圧力の単位、g重/平方cmだと、まだ感覚的に理解できますが(1平方cmを1gで押す感じという説明で子どもたちになんとなく実感できる)、国際単位系に従って書き改められた今の教科書だと、出てくる圧力の単位はパスカルPa(N/平方m)です。普段の実生活では全く使われないN(ニュートン)がいきなり現れたって、実感のしようがない。


圧力の問題の指導法

「重さ2kgの直方体を縦5cm、横8cmの面を下にして置いたとき、床面が受ける圧力はいくらか」という問題をどのように解かせるか、教え方に大変苦慮しています。

私の場合、
(1)圧力の単位はPa=N/平方mだとまず覚えなさい、そしてどんな問題もこの式、N/平方mにきちんと当てはめなさいというところから出発します。

(2)N/平方mのうち、まずNをきちんと求めさせます。100g=1Nである(これだけは全員がわりとすぐに覚えます)、だから2kgだと20Nになることを答えさせます。このとき、全員がすんなりと20Nが浮かんではきません。100gが1Nだから1kgは10倍の10N、1kg=10Nと覚えさせた後、2kgだから20Nとしないと解けない子がでてきます。

(3)さらに厄介なのが分母の平方mのほうです。面積は5×8=40ですがこの場合の単位はcm×cmなので平方cmであることを確認させ、小学校の復習だということで1平方m=10000平方cmを思い出させた後、さらに40平方cmが0.004平方mだと換算させなければなりません。小学生のときに習った1平方m=10000平方cmがすぐに思い浮かべられる子のほうが少ないし、さらに平方cmを平方mになおすことができない子が出てきます。

(最初から平方mを求める方法もあります。先に5cm=0.05m、8cm=0.08mと換算しておきます。0.05×0.08=0.004平方mで、1平方m=10000平方cmを使わなくても面積を平方mで求められます。公式に数値を忠実にあてはめるべきという理科の鉄則からすると、このほうが正しいやり方かもしれません。)

(4)ここまで苦労してたどりついたとして、まだ最後に関門が残っています。やっと出てきた20N/0.004平方mという分数を簡単な整数になおさなければ答えにはなりません。私は、小学6年生の、分数は分母と分子に同じ数をかけても大きさはかわらないというところに戻って、分母分子にこの場合1000をかけさせます。20000/4になって、さらにわり算をして5000、これでやっと正解に到達です。


圧力の問題には子どもの苦手な領域が詰まっている

今の子どもたちが一番苦にする、(1)公式を理屈はさておき正確に暗記する、(2)(3)単位の関係を正しく覚えていてきちんと換算できる、(4)分数の根元的な意味がわかっており正確に計算できる、これらの条件のうち一つでも欠けていると、この問題は解けません。
これは、中学生になったばかりの子どもたちにとっては、ほぼ不可能に近いことです。
定期テスト前にはなんとか練習を繰り返して点をとらせますが、ほぼ全員がすぐに忘れてしまいます。
中3になって高校入試前、圧力の問題がさっぱりわからないと泣きつかれることが非常に多い(全科目、全単元中で一番多いのではないでしょうか)。

 

理科で丸暗記はどうなんだろう?

昨日書いた数学の例と同様、基本に暗記をすえた私の教え方がまずいのではないかという反省はしています。しかし、中1のそれも最初の時期に圧力を教えるのに、「まず覚えてしまえ」以外のどんな教え方ができるのか、私にはさっぱりわかりません。

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    ・2014.1.23.龍空さんに見つけていただき、「中学英語のまとめ(14) 疑問詞」の間違いを訂正しました。
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