働きアリ

勉強をしている子どもたちが、悩み、知りたい、理解したいと思いながら、今までは調べる方法がなかった事柄を、必要かつ十分な説明でわかりやすく記述したサイトです

文章作法

Japanese 国語の表現技法(倒置・比喩・対句・体言止め・反復・省略・押韻)

強調したり、感動を高めたり、余韻を残したり、調子をととのえたりするために、特別にもちいられる文章表現の技(わざ)・工夫のことを表現技法といいます(修辞法ともいいます)。

おもな表現技法には次のものがあります。


1、倒置法(とうちほう)
定義 通常の言い方とは言葉の順序にする
例文 「もうやめろ、そんな幼稚なことは。」(「そんな幼稚なことはもうやめろ。」が通常の語順)
効果 強調する

2、比喩(ひゆ)(他のものにたとえる表現。直喩・隠喩・擬人法に分かれる。)
(1)直喩(ちょくゆ)(明諭:めいゆ)
定義〜のように」などを使い、たとえであることを明示した比喩
例文 「人生は羅針盤のない旅のようなものだ。」
効果 印象を強める

(2)隠喩(いんゆ)(暗喩:あんゆ)
定義 「〜のような」などの、たとえを明示する語を使わない比喩
例文 「人生は羅針盤のない旅だ。」
効果 印象を強める

(3)擬人法(ぎじんほう)(活諭:かつゆ)
定義 人間ではないものの様子を人間の動作のように表現する
例文 「ひまわりは太陽に恋をしている。」
効果 印象を強める

3、対句法(ついくほう)
定義 対照的な二つの言葉を同じ形で並べる
例文 「春、君に出会い、秋、君と別れる。」
効果 調子をととのえ、印象を強める

4、体言止め(たいげんどめ)
定義 文の終わりを体言(=名詞)で止める
例文 「見上げると満天の星。」
効果 余韻(よいん)を残す。

5、反復法(はんぷくほう)
定義 同じ語をくり返す
例文 「もう一度会いたい。もう一度会いたい。」
効果 調子をととのえ、感動を強める

6、省略法(しょうりゃくほう)
定義 言葉を省く
例文 「坂を越えたら、また坂が・・・。」
効果 余韻を残す

7、呼びかけ(よびかけ)
定義 人などに具体的に呼びかける
例文 「おおい、雲よ。」
効果 強く訴える

8、押韻(おういん)
定義 文の初め(頭韻)や文の終わり(脚韻)に同じおん)を並べる
例文 「今日(キョウ)は興奮(フン)、妙(ミョウ)な気分(ブン)。」
効果 調子をととのえる



注1:各表現技法の内容を覚えやすいように、できるだけ短い説明にしました。

注2:国語科では、表現技法を詩や短歌・俳句の単元で習うことが多いのですが、使われる場面は詩・短歌・俳句に限りません。

注3:「余韻を残す」とは、文を読んだあとも、読んだときの感動があとに尾を引いて残ることを言います。




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essay 「シミュレーション(simulation)」と「シュミレーション」

「模擬実験をする」、「あれこれ頭の中で試行錯誤をする」の意味にあたる言葉を書こうとして、書いている私がどっちだったっけ?と悩むのが、「シミュレーション」と「シュミレーション」です。

冷静に考えたら英語のsimulateの名詞形だからsimulationシミュレーションに決まっているのに、特にしゃべっているときなどシュミレーションと言ってしまいそうになります。

「的を射る」と「的を得る」と違って、シュミレーションは明らかな誤りであり、間違って使ってしまったらいいわけできません。


頑張るシュミレーション

グーグルで検索したとき、シミュレーションでhitする記事は3290万件、シュミレーションでhitする記事が1450万件(「もしかしてシミュレーション?(あなた間違っているんじゃないの?)」の注記があるにもかかわらず)。

このインターネットの世界に、とくとくとしてシュミレーションと書いて誤りと気づかずに記事をあげている日本人が1450万人もいるのです。
頭がくらくらしてきます(自分も、どっちだったっけ?と迷う人間なのは棚にあげて)。

ここまできたら、シュミレーション頑張れ!と言いたくなる。


見栄っ張りの言い訳

当然、私自身も思うのが、「シミュレーションって言葉、わざわざ見栄を張って使わなくていいじゃん。同じ意味の適切な日本語を使いなよ。」

ところが、シミュレーションにあたる適切な日本語が、探してもないのです。

simulateをgoo辞書でひくと、「シミュレートする、模擬実験をする」と書いてある。
simulationが研究社の新英和中辞典だと、「模擬実験、シミュレーション」とある。

私たちがシミュレーションと言いたいとき、「模擬実験」とまで意味を限定したいわけではない。
「模擬実験」でなかったら、シミュレーションの意味はシミュレーションだと辞書に断言されているわけで、またまた頭がくらくらしてきます。


混迷の犯人は大学教授と高級官僚

かくも日本国民を混迷のふちに追い込んだ犯人は、私見によると、文書にむやみやたらと新規の外来語をまぶす大学教授とキャリア官僚です。

大学の先生の文章と官庁の報告文書にけったいな外来語が最初に使われ始めて、それがいつのまにか流行になって、私たちはその言葉を使わないと時代遅れになると勘違いして、使わざるをえなくなる。

われら庶民は、「公約」を「マニフェスト(@民主党)」と言いかえられたらころっと騙され、さらに「アジェンダ(@みんなの党)」と叫ばれると嬉々として投票してしまうのです(2010年現在)。

それまでは、「頭の中でいろいろ考えてみたのですが、・・・」と言っておけば用が済んで平和だったのに、シミュレーションという言葉を聞きかじったばかりに、「いくつかシミュレーションをくりかえした結果、・・・」などと舌をもつれさせて苦労しないといけないことになってしまったのです(運がよければの話。運が悪かったら「いくつかシュミレーションをくりかえした結果」と発言して失笑をかうはめになる)。


私の提案

大学の先生や偉いお役人が、「おまえたち庶民とは違うんだよ」とばかりに外国産の新語を使いたがる心境を理解できないこともありません。
また、世の中には、外国から新しい概念が入ってきて、それを表すのにふさわしい日本語がない場合があることも承認します。

しかし、われら庶民が知ったかぶりをしたときに恥をかくような環境を国の指導者が作ってはいけない。

そこで、両者を止揚する私の提案です。

小学生や中学生が知らないレベルの外来語を使うときは、その言葉は原語のつづりで表記せよ。

「たこ焼きの焼き方についていろいろsimulationしたところ・・・」というふうに表記することを提案します。

偉い人は自尊心をさらに高級な方法で満足させられるし、読むわれら庶民は「お、またわけのわからん新しい言葉だぞ」という目印になって警戒もできるし、一石二鳥だと思いますが、如何?


追記:simulate,simulationには、もう1つ、「ふりをする(こと)」「まねをする(こと)」という意味があります。サッカーでイエローカードを出されるシミュレーションは「痛がるふり」で、こちらの意味ですね。


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essay 「的(まと)を射(い)る」と「的(まと)を得(え)る」

文を書くときに気をつけないといけない言葉に「的を得る」があります。

「的確で要点をつかんでいる」という意味で、「その意見は非常に的を得たものだ」などと書くと、すぐに、「『的を射た』が正しい用法であり、『的を得た』などと誤った表現を用いるとは不勉強もはなはだしい。」といった意見が寄せられたりします。


「的を得る」は間違いだとする人の論拠

「的を得る」は間違っていると主張する人は次のように主張します。

「的は弓で射るものであって、的を得る=的を手に入れたって意味がないのだから、「的を得る」は明らかに誤用である。」
「「道理にかなっている」という意味の『当を得る』と混同した、誤りである。」

ほとんどの辞書はこの立場で、見出し語として「的を射る」はあるが、「的を得る」はないそうです。


「的を得る」も正しい用法だとする人の論拠

こちらの立場の人はさらに二手に分かれます。

一つの立場は、文化庁が発表した「国語に関する世論調査(平成15年)」で、「的を射る」を使う人が38.8%、「的を得る」を使う人が54.3パーセントであったことなどから、「的を得る」も認めてよいとする意見です。
言葉の誤用も時代によって正しい用法に転化するという立場です。

もう一つの立場は、「的を得る」は意味的にも歴史的にも正しい用法だとする意見です。
的をただ射たって当たらないと意味がない。「正鵠(せいこく)を得る」という言葉があるが、「正」も「鵠」も弓の的の真ん中の黒星のことであり、「的を得る」は、「的を射て正鵠を得る」を語源とする正しい使い方である、と主張します。

前者の意見に対しては、「間違って使う人が多くてもそれだけで誤った使い方が正しい使い方になるわけではない」という反論が成り立ちますが、後者は論として筋が通っています。


私の立場

個人的には、「的を得る」のほうをついつい使ってしまいそうになります。「的を射る」はどうも発音しにくい。「的を射る」よりも「的を得る」を使う人のほうが多いのも、発音のしやすさにあるのではないでしょうか。

しかし、あえて「的を得る」を使おうとも思いません。
読んだ人に「この文を書いた人は無知だ」と思われるかもしれないという危険をおかしてまで使いたくない。
「的を射る」を使うか、他の言葉で同じ意味を表そうとすると思います。

作文や小論文で、子どもが「的を得る」と書いていたら書き直させます。

寛容な採点者ばかりとは限りません。「的を射る」が正しく、「的を得る」は明らかな間違いだとかたく信じている人が採点をしている可能性がないとはいえません。

あえて「火中の栗を拾う」冒険は、試験では避けなければいけません。



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Japanese 作文の書き方(3)(楽に、良い作文を書くコツ)

次にあげた「条件」は、ある年の公立高校入試問題で、作文の問題文の後につけられていたものです。

条件
1、原稿用紙を用いて、題名などは書かないで、本文を一行目から書き始めること。
2、二段落構成とし、前の段落では、自分の選んだ立場について、その根拠となる体験見聞を書き、あとの段落では、それを踏まえて自分の考えをまとめること。
3、全体が筋の通った文章になるようにすること。
4、漢字を適切に使い、原稿用紙の正しい使い方に従って、30行(300字)以内におさめること。


この条件の中に、良い作文を書くための留意点が2つ、上手に述べられています。

1つ目は、300字程度の作文であれば2段落構成が適当であること。

2つ目は、前半で自分の体験や見聞を書き、後半で自分の考えを述べればよいこと。

この2つは、この問題に限ったことではありません。作文全般に通じる普遍性を持っています。


余談:起承転結序破急

昔から言い伝えられている、どう文章を構成したらよいかを簡潔に言い表わす言葉に、『起・承・転・結』と、『序・破・急』の2つがあります。

起承転結き‐しょう‐てん‐けつ)
漢詩の構成法から生まれた言葉で、話を書き起こす()、それをさらに承(う)ける()、ところが、と話を横に転じる()、まとめて終結させる()という4段階の構成を持たせると、文章のおさまりがよいとされています。

序破急じょ-は-きゅう)
日本の芸能、雅楽(ががく)から生まれた言葉で、短めの導入部()、話題を広げ本論を述べる展開部分()、一気にまとめる終章()の、3段階で文章を構成します。

起承転結は4段階の構成、序破急は3段階の構成ということになります。

字数や時間に制限がある入試の作文や小論文の場合、起承転結は悠長に過ぎます。序破急でいくべきです。

さらに、300字程度の作文で3段落も段落分けをすると、行をかえないといけない分、文字を書けない余白の部分が多くなってしまい、よくありません。
1段落目で書出しと本論(序・破)、2段落目で結論(急)、の形にまとめるべきです。


2段落構成で書く

1段落目は自分の経験を書く

作文の課題が『挨拶』であったとします。

「挨拶は大切です。」と冒頭に書くと、後が続きません。

入試では、じっくり構想を練る時間なんかありません。考えこまなくても書けることで字数を稼がないといけません。
誰でもある程度すらすらと書けるものは何か?
それは自分が過去に体験したこと、経験したことです。きれいごと、抽象論だと、書くことはすぐに尽きてしまいますが、具体的な体験についてはいくらでも書けるはずです。

第1段落に経験を書いて8割、第2段落に意見を書いて2割が目安です。

『挨拶』という題名を見て、「挨拶」に関連して自分が実際に経験したことまず思いうかべます。

毎日の家族との挨拶、これは話を発展させにくいので避けたほうがよいかもしれません。話をそこからすぐに発展、広げていける題材を選ぶべきです。
家族でも、例えば、親から近所の人に出あったら必ず挨拶をするように躾けられたことを思いうかべられたら、近所の人とのふれあい、そのことで自分がどうかわっていったか、自分のものの考え方にどのような変化があったかと、話を広げられますので、こちらはOKです。

一番書きやすく、中学生として好印象なのは、学校生活、特にクラブ活動に関連したことでしょう。こちらもおすすめです。


具体的であるほど良い

さて、クラブ活動中の挨拶について書こうと決めたとします。

下手な人は次のように書いてしまいます。

「私は中学校でクラブ活動をしていました。練習中、よく挨拶をしました。」

なぜ下手なのか、わかりますか?

この文だと、作文を読んだ人に頭の中に、何のイメージも浮かんでこないからです。

「私は中学校に入学して、テニス部に入部しました。初日コートの横で先輩たちの練習を見学したのですが、練習を終わるとき、先輩たち全員が、「ありがとうございました。」とコートに頭を下げて礼をするのを見て、大変驚きました。」
だと、どうでしょう?

テニスコート、そこで練習する部員、コートに頭を下げて練習場を後にする部員、それを眺める中1の子と、頭に浮かんできませんか?

読んだ人に情景が浮かぶ、これが良い作文の必須条件です。

そして、情景を読者に思い浮かべてもらうには、できるだけ「具体的に」、情景を描写するしかありません。

良い作文は、体験を具体的に書いた文章であり、具体的であれば具体的であるほど好印象を与えます。


2段落目で自分の意見を書き、結論に導く

自分の経験を長く、自分の意見や考察は短くが鉄則で、前にも述べたように、「第1段落経験で全文章量の8割意見や結論を書く第2段落は全体の2割」が一応の目標です。

一応と言ったのは、本当は作文もその人の「考える力」を審査するもので、意見や考察の部分が充実していればいるほど良い作文だからです。だから、経験7割以下、意見3割以上の割合で、人をうならせるほどのものがもし書ければ、それにこしたことはありません。

しかし、よほどの識見がある人以外、それは無理です。
入試にばくちは禁物、経験8割、意見2割と思っていたら、それくらいは時間内に、それなりのものを、誰でも書けます。

婉曲話法(えんきょくわほう)を心がけよう

自分の意見、結論部分を書くに際しては、文章の上手さに3段階あることを知っておきましょう。

例えば、悲しかったと言いたいとき、
「私は悲しかったです。」は小学生以下のレベル。
「思わず涙が出てきました。」で中級、中学生だとこのレベルで充分です。
「唇をかみ、どんよりと曇った空を見上げました。」で上級です。

例題の「挨拶」だと、
「だから挨拶は大切だと思います。」では、幼稚すぎます。
「毎日コートに挨拶をすることで、私は、すべてのものに感謝する気持ちの尊さを学びました。」で、大きく合格ラインをこえます。
さらに、「私がクラブ活動を通じて学んだのは、テニスの技量だけではありません。全てのものに感謝するという謙虚な心構えがスポーツの技量を支えているのだという、強い信念です。」くらいホラを吹けるようになれば、採点者をうならせることができます。




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Japanese 作文の書き方(2)(作文についての2つの誤解)

『挨拶』という題名で作文を書け、という問題が出たとします。

半数近くの人は、次のような書出しで作文を始めてしまいます。

「私は、挨拶は大切だと思います。なぜなら、挨拶をすると自分も気持ちよくなるからです。」

こう書き始めた後、書いている人の手はぱたっと止まってしまいます。もう、書くことが何もないからです。
仕方がないので、
「また、挨拶をすると、されたほうもうれしくなります。だから、挨拶は大事です。」
などと、実は最初に書いたのと同じことを、だらだらと繰返すしかなくなってしまいます。

これが下手な作文の代表例。

その原因は、2つの大きな勘違いをしているからです。


「題名にふれて書き出さなければいけない」という誤解

1つめの誤解は、作文の「題名」についての勘違い。

作文の題名は、文章全体を要約するタイトルであって、「〜とは、・・・」と題名を意識して書き始める必要は全くありません。
題名が『挨拶』だったとして、何かしら挨拶についての文章を書けばよいわけであって、「挨拶は・・・」と書き始める必然性はないのです。

作文中に1回も「挨拶」の語が出てこなくても、「挨拶」について書いた文章であればそれで充分、題名にそった作文だと言えます。題名に引きずられて書出しを限定する必要は全くありません。


「立派なことを書かなければならない」という誤解

2つ目の大きな誤解は、作文は「何か立派なことを書かなければいけない」という勘違いです。

作文、すなわち、「文」を「作」る、それだけが与えられた課題なのに、耳に心地よいきれいごと、立派な道徳を語らなければいけないという思いこみを、なぜか子どもたちは共有しています。
『挨拶』という題名を、勝手に自分のフィルターを通して『挨拶の大切さ』と読み替えてしまっている。

だから、ほとんどの人が、「挨拶は大切だ」という似かよった文章をだらだらと書き連ねてしまいます。

高校入試で作文採点を担当される先生の、「作文の採点ほど気が滅入るものはありません。写したようにほとんど同じ内容の文章を、何百も読み続けなければならないのですから。」というぼやきをよく耳にします。
その原因は、君たちが、立派なこと、きれいごとを書くのが作文だと思っていて、だから、内容が皆、似かよったものになってしまうことにあります。

きれいごと、道徳を語り始めた段階で、その作文の内容はゼロだという烙印を押されていると思って間違いありません。


自由に文を作る

繰り返しますが、作文とは、自由に「文」を「作」ればよいだけです。

せっかく書いた作文の価値を台無しにしかねない、「題名にそって書き始めないといけない」、「道徳的に立派なことを書かなければいけない」という、2つの思いこみを、きれいさっぱり捨てることです。


では具体的にどうやったら、楽に、良い作文が書けるのか、明日は、そのコツを伝授します。




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Japanese 作文の書き方(1)(原稿用紙に書くときのきまり)

入試で作文・小論文を書くとき、守らないといけない「作文を書くときの形式上の注意点」と「原稿用紙の使い方」について。
国語の便覧などでもふれられていますが、説明が簡単すぎるか、逆に詳しすぎて、実際に作文を書くにあたって参考になりにくいもの多いので、ここにまとめておきます。


入試作文の書き方で守らないといけないこと(12か条)

1、丁寧に書く(乱雑な字は大きく減点)
大きめの字で書く
しっかりと濃く書く

2、楷書で書く
(くずし字や続け字はだめ)

3、正しい漢字を書く
(ハネやトメまで採点される)

4、漢字や送りがなの誤りは減点

5、漢字で書かないといけない語句をひらがなで書くと減点
(漢字で書ける他の表現にする)

6、主語と述語をきちんと対応させる

7、できるだけ一つの文を短く書くくせをつける

8、文末の不統一は減点
(常体「だ・である」か、敬体「です・ます」のどちらかに統一しないとだめ)

9、短いと点数を引かれる(1行1点減点、300字15行で配点が15点の問題で12行書いたとすると内容は満点でも得点は12点)
(最低でも85%以上、300字だと260字以上は書く)

10、逆に字数制限を超えるのもよくない(1字でも超えると採点してもらえない学校がある。大阪府公立高校入試だと1行オーバーは許容されるが、2行以上の超過は認めない高校が多い。)

11、10分から15分で300字を書かないと時間が足りなくなる

12、「けど」「すごい」などの若者言葉を使わない


原稿用紙の使い方のきまり(9か条+3)

1、本文の書き始めと各段落の初めは、1マス空ける。

2、会話の「」の前後はともに改行するのが正しい書き方だが、入試では改行しないほうがよい。


3、句読点(、。)カッコ(「」『』)記号類(!?)は1文字として数える。


4、句読点が行頭にくるような場合は、行頭に置かずに前の行の最後のマスに、文字と句読点をいっしょに入れる。


5、会話の終わりでは、。」をひとつのマスに入れる。


6、縦書きでは、数字は原則として漢数字で書く。


7、縦書きでは、単位は原則としてカタカナで書く。(例:センチメートル)


8、引用には「」を使う。


9、書名・作品名には『』を使う。


10、……と――はそれぞれ2マス使う。(入試ではあまり使わない方がよい)

11、! ? の次は1マス空ける。(入試ではあまり使わない方がよい)

12、英文や洋数字は横書きにし、2文字を1マスに入れる。(入試ではあまり使わない方がよい)




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Japanese どんなときに、読点( 、)をうてばよいか −その3−

−その2−で、読点をうつときの基本原則として、書く人が1個の思考のかたまりを述べている場所ごとに読点で区切る、読む人に1つの場面を思いうかべてほしい場所ごとに読点で区切る、この2つを提案しました。
 
今日は実践編です。
 
原則をそのまま子どもたちに伝えても、具体的な指針にはなりません。
子どもたちが読点をうつべきかどうか迷ったときわかりやすく指導できるように、原則に則りながら実際の用法を検討してみましょう。
 
文部省の表記指針は、読点をうってもよい場所を羅列しています。その後、消してもよいとか、省略するとか書いてあるからわかりにくいのです。
子どもたちに教えるときは「絶対読点をうつべきである」場合を教えてあげないと、子どもたちの実用にはなりません。
 
読点をうつべき場合
 
例としてあげたものは、第3の規則の最初の例を除き文部省の表記基準に載せられているものです。
 
第1の規則 別々の文に分けようとしたら分けられるとき、読点をうつ。
私の原則に言う、「1個の思考のかたまり」、「1つの場面」がこれにあたります。
 
例:父も喜び、母も喜んだ。(「父も喜んだ。母も喜んだ。」と分けられる。)
例:おや、いらつしやい。(おや。いらっしゃい。)
例:はい、さうです。(はい。そうです。)
 
第2の規則 文頭の接続詞など、場面の転換を表す語の後に読点をうつ。
文頭に置いた「時を表す副詞句」もこのグループに準ずる。
 
例:しかし、私は〜
例:また、私は〜
例:ただし、例外として〜
例:昨夜、私は〜
 
第3の規則 読み間違えられるおそれがあるとき、読み間違えられないように読点をうつ。
 
例:ははははははえるといった(母は、歯は、はえるといった。)
例:「まつ、すぎ、ひのき、けやき」もここに含みます(「まつすぎひのきけやき」では何のことかわかりません)。
 
読み間違えのおそれのある特殊な例として、分配法則ab+ac=a(b+c)が成り立つ文章構造のとき、aの後に読点をうつ(そうしないとab+cと誤解されるおそれがある)があります。
「例:真っ黒な、カラスとトビが」。この場合、読点があると真っ黒なカラス+真っ黒なトビの意ですが、「真っ黒なカラスとトビが」と書いてしまうと、真っ黒なカラス+そうでないトビと誤解されるかもしれません。
 
以上、3つの規則を仮説として提示しておきます。
たいそうな批判をし、大上段にふりかぶったわりには尻切れトンボのような気もしますが、そこはご勘弁ください。
 
書く人の個性
 
私は読点をうち過ぎる傾向があります。私の提示した原則にそって見直すと不必要なテンをいくつも使っています。
 
例えば、以前書いた「よい作品の共通点は、子ども自身が、自分の言葉で、本当に深くまで考え抜いた結果を文章にしたものであるということです。」の文は、「よい作品の共通点は子ども自身が自分の言葉で本当に深くまで考え抜いた結果を文章にしたものであるということです。」としても、おかしいとまではいえません。「子ども自身が」、「自分の言葉で」をつい強調したくて読点をうったのでしょう。
 
また、文章にはリズム感も大事です。文をタッ、タッと刻んで読んでほしいときに読点を活用することもあります。
 
読点のうちかたもまた一つの文体、その人の個性だと言えるかも知れません。

Japanese どんなときに、読点( 、)をうてばよいか −その2−

読点(とうてん・てん)のうちかたに関する唯一の公文書、文部科学省『国語表記法統一基準』ですが、昨日の−その1−で検討したことからわかるように、私たちが文章を書く際に参考になるような代物(しろもの)ではありません。

また、当該文書自体が「文部省で編修又は作成する各種の教科書や文書などの国語の表記法を統一し、その基準を示す」と述べており、国民の表記全体を統制するものでもありません。

そこで、私たちなりの国語表記法基準を考えてみましょう。

読点をうつかどうかは文章を書く人が決定します。読む人が決めるわけではない。ですから、書く人が読む人にどうしてほしくて読点をうつのかの立場から基準を考えるべきです。

その観点から読点をうつべき場所をいろいろじっくりと考察してみると、書く人が1個の思考のかたまりを述べている場所ごとに読点で区切る、書く人や読む人が1つの場面を思いうかべるごとに読点で区切る、この2者が大原則ではないかと思い始めました。

上の文でも、「私がいろいろ考察する」場面、「1つの思考ごとに区切る」という概念、「1つの場面を思いうかべるごとに」という別の概念、「2者を総合」と両方を視野に入れた場面の4つのかたまりがあり、その場所ごとに区切って読点をうっています。

比喩で言うと、映画やテレビドラマでカメラのショットが変わるたびに読点をうつ、という感じです。

頭の中にスクリーンなりテレビ画面があって、「おじいさんは山に芝刈りに、」で山へ向かうおじいさんを思いうかべる、「おばあさんは川に洗濯に、」で洗濯するおばあさんを思いうかべる、「そこへ川上からどんぶらこどんぶらこと桃が流れてきました」で流れてくる桃を思いうかべる。その場面の区切りにうつのがテン、読点です。

「おばあさんは川に洗濯に」だと、おばあさんが川に洗濯に向かう1場面、あるいは川で洗濯する1場面だけですが、「おばあさんは、川に洗濯に」とテンで区切ると、まずおばあさんのの全体像が頭のスクリーンに登場し、次に川へ向かうおばあさんの後姿にかわる、このように読点によって頭の画面が切り替わりませんか?

この原理で、読点をうつべき場所すべての説明ができそうです。

例えば、昨日の文部省が掲げる例のうち、並列の単語の間にテンをうつ(例:まつ、すぎ、ひのき、)場合、私たちは脳裏に、まつ、すぎ、ひのきを一つずつ順に思いうかべています。
また、(例:父と、母と、兄との3人で)と書かれていたら、父、母、兄が別々に順番にイメージされ、読点を省略して「父と母と兄の3人で」と書かれていれば3人のまとまった集団が最初から頭にうかんでいるはずです。

「映画やテレビドラマに例えると、ワン・シーン切り替わるごとに文章だと読点をうつ。」これが私の提案する読点のうちかたの大原則です。

この大原則だけでは、まだ実際の役には立ちません。

子どもたちに読点をうつ場所を指導する場合、どう具体的に教えてあげればよいか、それを明日、−その3−で考えてみたいと思います。



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Japanese どんなときに、読点( 、)をうてばよいか −その1−

子どもたちの書いた作文を添削指導すると、テン、読点のうちかたが人によってまちまちであることに気づきます。数多くうち過ぎていて違和感を感じてしまう作文か、逆にテンが少なくて読みにくい作文かのどちらかに偏っていて、適切に読点をうっている作文はほとんどありません。

英語だと、コンマ(,)のうちかたにはきちんとした規則があります。コンマをうたなければいけないところ、コンマをうってはいけないところが決まっています。日本語は融通無碍、英語ほどちゃんとした規則はないように思われます。

読点をうつべき場所を指示する、確固とした規準が載っている国語・作文の参考書はありません。
調べてみると、
http://www.bunka.go.jp/kokugo/pdf/kugiri.pdf#search=%27 
を、見つけることができました。
昭和21年文部省(今の文部科学省)が作成した国語表記法統一基準です。60年以上前の文書ですが、現在でもテンのうちかたに関しては唯一の有効な公文書のようです。

役所の文特有の、非常に読みにくい文章ですが、我慢して読んでみましょう。

この文書によると、読点をうつべき場合として、次の10個が挙げられています。

第1の原則 「文の中止にうつ(例:父も喜び、母も喜んだ。)」

第2の原則 「副詞的語句の前後にうつ(例:昨夜、帰宅以来、お尋ねの件について、日誌を調べてみましたところ、やはり、前に申し上げたとおりでした。)」

ただし、この後の附則がややこしい。

まず、「読点ではさんだ語句をとばして読んでも文脈が通じるように読点をうつのが、読点のうち方の最も重要な、一番多く使われる原則である」と書いてある。確かに上の例文だと、読点ではさまれたどの語句を削っても、一応意味は通じます。
でもこんなところで「最も重要な、一番多く使われる原則」を出さんといてほしいわ、それなら最初に掲げとけ!と、私はそろそろこのあたりで切れかけています。

さらに、「うった後、口調の上で不必要なものを消す」と書いてある。(例:昨夜、帰宅以来、お尋ねの件について日誌を調べてみましたところ、やはり前に申し上げたとおりでした。)
どのテンを消すかは、「それぞれの文に従い、適当に調節するのである」だそうです。「適当に調節」って、そんなテキトーな…。

そして、「接続詞(例:また、)、感嘆詞(例:おや、)、呼びかけ(例:坊や、)や返事(はい、)は副詞句に入る」、「形容詞的語句の重なりも順ずる(例:くじゃくの、長い、美しい尾)」だそうです。

第1、第2の原則と言っておいて、次からは原則の言葉は出てきません(ほんとに読みにくい文章です、今、マジでむかついています)。私が勝手に第3・4…の原則とつけることにします。

第3の原則 読み誤る場合にうつ(例:よく晴れた夜空を仰ぐ→よく晴れた夜、空を仰ぐ)

第4の原則 読みの間(ま)にうつ(例:カン、カン、カン)

第5の原則 提示した語の下にうつ(例:秋祭り、それは最も楽しい日です)

第6の原則 並列の単語の間にうつ(例:まつ、すぎ、ひのき、)

第7の原則 会話、引用文のカギ「 」の前でうつ(例:友だちが、「ここまでおいで。」と言った。)

第8の原則 会話、引用文の後を「と」で受けるとき、「と思った」はうたない、「と、花子さんはおもった」のように主格や他の語(他の語ってなんやねん?「思った」は他の語とちゃうんかい!)がくるときはうつ

第9の原則 並列の「と」をともなって主語が重なる場合はうつ(例:父と、母と、兄との3人で)が、必要でない限りは省略する(ムカあああ!省略するんかい!!)

第10の原則 数字の位取りでうつ(例:千二百三十五だと1、235)

以上です。
はああ、疲れた。外国語以上に読みにくい文書でした。自分の転記した文を何度読みかえしても、ほとんど意味不明、さっぱりわからん。

疲労困憊したので(もう、そろそろ夜明けです)、「どんなときに、読点( 、)をうてばよいか」の正解は、明日、考えてみます。

私なりに考えてみるしかなさそうです。



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Japanese 良い読書感想文、作文とは?

夏休みの恒例行事(子どもたちにとっては避けて通れない責め苦)に、読書感想文を書くことがあります。

私は、10年近く、社団法人全国学習塾協会が主催する読書作文コンクールの審査員をしていました。今日掲載するのは、何年か前、協会の会報に載せた文章です。一般の作文にも通じる話だと思っています。

『読書作文コンクール必勝法』
9月に入ってすぐの支部審査から始まって最終審査まで、読書作文コンクールの応募作品を相当数読みます。
最近は、最初の数行を読んだだけで、「これは受賞候補として最後まで残るな」「この作品は大賞をとるだろう」くらいの勘は働くようになってきました。

審査員は読み巧者ばかりです。
きれい事ばかり羅列した作品は、かえって印象を悪くします。特に、ありきたりの常套句を無反省に使っている文章は、点数が伸びません。
自分の言葉で深く考えるということをさぼってしまった作品は、いくら字が美しく内容がまとまっていても、早々と脱落してしまいます。

よい作品の共通点は、子ども自身が、自分の言葉で、本当に深くまで考え抜いた結果を文章にしたものであるということです。
大の大人である私が、作文を読み終わると、思わず涙ぐんでいることさえあります。
読書に触発されて、自分のこと、家族のこと、友人のこと、社会のことを、ぎりぎりまで深く考え抜いている作文を読むと、子どもたちの真剣さ、一生懸命さに、思わず読む私も襟を正されてしまうのです。

そんな作品に遭いますと、原稿用紙も、手書きの字も消えて、読む私は直接書き手の思考と知らぬ間に対峙しています。作文を書いた人の思いをたどっている私は、その思いの深さ、真剣さにぐいぐい引き込まれていくのです。そういう作品が必ず最後まで残り、賞をとります。

言葉は、文章は、人間の思考や感情をのせる器に過ぎないのだということを、あらためて確認させられます。

賞を獲得した作品は、実は「作品」を評価されたのではなくて、作品に表出した作者の「ものの考え方」、「思考の深さ」を審査員全員が高く評価しているのです。
読書作文で賞をとる秘訣は、読書をきっかけに深く深く考え抜くことにあり、ということです。




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    ・2014.1.23.龍空さんに見つけていただき、「中学英語のまとめ(14) 疑問詞」の間違いを訂正しました。
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