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勉強をしている子どもたちが、悩み、知りたい、理解したいと思いながら、今までは調べる方法がなかった事柄を、必要かつ十分な説明でわかりやすく記述したサイトです

気体

science アンモニアの噴水実験

アンモニアは窒素水素が結びついてできた気体です(化学式はNH3、窒素原子1個と水素原子3個でできている)。

濃いアンモニア水を加熱するか、水酸化カルシウム塩化アンモニウムを混ぜたものを加熱して、気体のアンモニアを発生させることができます。

アンモニアの性質としては、空気より軽い(空気の重さの0.6倍)、水に非常に溶けやすい(0°C、1気圧で水1cm3に1176cm3のアンモニアが溶ける)、刺激臭がある、有毒である、などがあります。

また、アンモニアが水にとけたものをアンモニア水(NH4OH)といい、アルカリ性を示します。


アンモニアの噴水実験

アンモニアの性質を確かめる興味深い実験があります。

濃いアンモニア水を加熱するか、塩化アンモニウムと水酸化カルシウムの混合物を加熱して発生させたアンモニアを、上方置換乾いた丸底フラスコに集めてゴム栓でフタをしておきます。

丸底フラスコの口を下にして、フタにしていたゴム栓をとり、水を入れたスポイトとガラス管をさしたゴム栓に交換して、スタンドに立てます。
アンモニアの噴水実験ガラス管の先は、水槽のフェノールフタレインを加えた水に入れておきます。

*乾いた丸底フラスコを使うのは、フラスコ内に水分があるとアンモニアが水に溶けてしまうからです。

*丸底フラスコの口を下に向けるのは、アンモニアは空気より軽いので口を下にしているとフラスコから外には逃げないからです。

*水にフェノールフタレインを加えておくのは、アンモニアが水に溶けてアンモニア水になったときの水溶液の性質を調べるためです(フェノールフタレイン溶液は、酸性中性のとき無色アルカリ性のとき赤色になります)。


スポイトをおしてフラスコ内にを入れます。
噴水実験の2アンモニアは非常に水に溶けやすいので、フラスコ内にあったアンモニアは、スポイトからおし出された水に溶けてしまいます(水がフラスコ内のアンモニアを吸いとってしまった状態になります)。

そうすると、それまでアンモニアで満たされていたフラスコ内は、何もなくなった状態、つまり、ほぼ真空に近い状態となります。

これは、ストローで飲み物を吸うときと同じ状態になったということです。


フラスコ内の気圧はほぼゼロで、水槽のフェノールフタレインを加えた水には気圧が加わっていますから、フェノールフタレインを加えた水は、噴水のようになって、勢いよく丸底フラスコの中に吸い込まれていきます。
噴水実験の3
ところで、気体のアンモニアは水に溶けると(アンモニア水になると)アルカリ性です。
それまで無色であったフェノールフタレイン溶液は、丸底フラスコの中で瞬時に気体のアンモニアを吸い込んでアルカリ性に変わるので、赤色の噴水になって吸い込まれていきます。

このとき、赤色に変わったフェノールフタレイン溶液が丸底フラスコ内を完全に満たすことはありません。
アンモニアを発生させて上方置換で集めたときやゴム栓を取りかえたとき、どうしても空気がフラスコ内にまぎれこんでしまいますし、水があると表面から水蒸気も発生しています。
それらがフラスコの上部に残って、噴水は止まります。


この実験で確かめられること

1、アンモニアは空気より軽い
2、アンモニアは水に非常によく溶ける
3、アンモニアは水に溶けるとアルカリ性である



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science 気体検知管(各部の名称・使い方・実験の注意・実験結果)

最近、小学校(6年生:「ものの燃え方」、「動物のからだのはたらき」)や、中学校で使われ始めた実験器具に気体検知管があります。

気体検知管は、空気中にふくまれる酸素、二酸化炭素などの気体の割合を測定する実験器具です。


気体検知管の各部の名称

気体検知管













気体検知管の使い方

、気体の種類によって、使う気体検知管を決めます。
酸素・・・青色の検知管
うすい二酸化炭素・・・黄色
こい二酸化炭素・・・赤色

(気体によって検知管が違うのは、検知管の中に入れてある試薬(しやく:調べるための薬品)が、調べようとする気体によって違うからです。)

、検知管の両端を、チップホルダで折ります。
チップホルダに差し込み、検知管をまわして切れ目を入れた後、検知管を横に倒して折ります。
両方の端を折ります。
チップホルダ
(検知管の中の試薬がもれないように、検知管はガラスで密閉されています。両端を折ることで、調べたい空気を検知管に吸い込むことができるようになります。)











、検知管の一方の端にカバーゴムを取り付けます。
Gのマークのついたほうにカバーゴムを取り付けます。
カバーゴム
(カバーゴムを取り付けるのは、折った検知管の先でけがをしないようにするためです。)






、気体採取器のハンドルがおしこまれていることを確認しておきます。

(ハンドルを外側にひいた状態だと気体を吸い込むことができません。)

気体検知管のゴムを取り付けなかったほう(気体検知管の「気体採取器」と書かれたほう)を、気体採取器に差し込みます。
気体採取器の2
(気体採取器がポンプの役目をして空気を吸い込み、調べたい空気を気体検知管に通すことができるようになります。)










、調べたい空気の入った集気びんや空気を入れた袋に気体検知管のゴムカバーを取り付けたほうを差し込み、気体採取器本体の赤い印にハンドルの赤線を合わせたあと、ハンドルを一気にひきます。
ハンドル
(赤い印にハンドルの目印を合わせるのも、一気にハンドルをひくのも、気体検知管に十分な空気を導くためです。)










、一定時間(約1分)待ったあと、気体検知管を気体採取器からはずします。

(一定時間待つのは、気体検知管が、調べている空気を完全に吸引するまで待つためです。)

、気体検知管の変色している部分の境い目が調べたい気体の濃度(割合)ですから、その目盛りを読み取ります。
目盛り
(検知管の変色部分の境い目がはっきりしているときはその部分の、境い目が斜めのときは中央の目盛りをよみます。)

、気体検知管の目盛りから、調べた空気の中にふくまれている酸素や二酸化炭素の割合)がわかります。


気体検知管を取り扱うときの注意

、気体検知管はガラスでできているので、落としてわったりしないように気をつけて取り扱う必要があります。
また、チップホルダで折った部分で手を切ったりしないように注意しないといけません。

、チップホルダで気体検知管の端を折るときにガラスの破片が飛び散ることがあります。顔などを近づけてはいけません。

、気体検知器の差し込む向きをまちがえると非常に危険です(小学校で、検知管を逆に取り付けたため気体採取器から塩化水素がもれ出て児童が病院で診察を受けた例があります。)

、酸素用の気体検知管は高温になります(約70度)。検知管を持つときはゴムカバーの部分を持ち、やけどをしないように注意しないといけません。

、気体検知管がわれたりして中の薬品にふれた場合はすぐに水で洗い落としたあと、適切な処置をしてもらう必要があります。

、測定後、検知管の中には薬品が残っています。決められた方法にしたがって処分しないといけません。


実験結果

実際に実験をして酸素や二酸化炭素の濃度を確認するべきですが、参考までにろうそくが燃えたあとの例を書いておきます。

通常の空気には、約21%の酸素と、約0.03%の二酸化炭素がふくまれています。

容器の中でろうそくを燃やしたあと、残った空気を気体検知管で調べると、酸素の割合は約17%、二酸化炭素は約4%であることが多いようです。

17%も酸素が残っているのにろうそくが消えてしまうのは、物質によって、燃えるために必要な酸素の濃度が決まっており、ろうそくは17%程度以上の酸素がないと燃えないからだそうです。

ちなみに、人が呼吸するときの「はく息(呼気)」にふくまれている酸素の量は約16%、二酸化炭素の量は約4%です。



追記

気体検知管を製造されている(株)ガステック様より、「気体検知管の使い方」の訂正前の記載のうち、
7、一定時間(約1分)待ったあと、気体検知管を気体採取器からはずします。(一定期間待つのは、気体検知管の中の試薬が反応するのを待つためです。)
について(赤字の部分)、詳しく教えてくださるコメントを寄せていただきました。以下の通りです。

『非常に詳しくわかり易く説明されており大変ありがたく思っております。一点だけ表現について付け加えさせていただきたい所がありましたので,申し上げます。
気体検知管の使い方について

7、カッコ内の説明ですが一定時間待つと言う意味はハンドルを一気に引いてから吸引(50ml)が終了するまでの目安の待ち時間,または目盛の読み取りまでに必要な時間を言います。
すなわち一気に引いても一定時間吸引していますので集気びんの中,空気を入れた袋から気体検知管を取り出してはいけません。取り出してしまうと取り出した場所の空気を吸引してしまうことになります。』


教えていただいた内容に従って、「気体検知管の中の試薬が反応するのを待つため」の部分を、「気体検知管が、調べている空気を完全に吸引するまで待つため」と訂正しました。






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