球の体積と表面積を以前は中学校で習っていたのですが、高校1年生に移行して、また今年から中1に戻ってきました。

球の半径をrとすると、球の体積を求める公式は3分の4πr3乗、球の表面積を求める公式は4πr2乗です。
球の体積


球の表面積


球の体積、表面積を求める式がどういう理屈から生まれたのかの説明は、錐体の体積が柱体の体積の3分の1になることの説明以上に難しそうですが、中1の塾生に聞かれたときのためにまとめてみました。


球の体積を求める公式

カヴァリエリの原理

長方形と平行四辺形底辺がa、高さがhの平行四辺形の面積と、横がa、縦がhの長方形の面積は等しい。

その理由を示す1つの方法として、次のように説明することができます。





長方形と平行四辺形2平行四辺形と長方形を、底辺に平行な直線でいくつかに切り分けて、横に細長い短冊形にします。
平行四辺形はその横に細長い長方形を斜めに積み上げたもの、長方形は細長い長方形をまっすぐ積み上げたものと考えることができます。

当然、2つの面積は等しいはずです。



平行線ではさまれた2つの三角形の面積がつねに等しくなること(中2で習う等積変形)も同じように説明できます。

等積変形下から、横の長さが同じで厚さも同じ薄い長方形を積み上げた図形だと考えられるので、全体の三角形の面積は等しいといえます。








この考え方を立体、空間図形にも応用したものがカヴァリエリの原理と呼ばれる原理です。

カヴァリエリの原理「1つの平面に平行な平面による切り口の面積がつねに等しいとき、2つの立体の体積等しい
同じ面積の図形を同じ高さ積み重ねたことになるから、2つの立体の体積は等しいというわけです。


カヴァリエリの原理カヴァリエリの原理を使って、半径がrである半球の体積と、底面の半径がrで高さがrの円柱から底面の半径がrで高さがrの円錐をくりぬいた立体の体積とが等しいことをいうことができます。

まず、平面(1)で横に切ったときの切り口は半球も円柱もr×r×πで等しい。

平面(3)で横に切ったときはともに面積は0になって等しい。

底面からの高さがxである平面(2)で、横に切ったとき、

半球の切り口は円になりますが、その円の半径は三平方の定理より
半径です。

したがって、半球の切り口の面積は、
球の切り口の面積







平面(2)で横に切ったとき、円柱から円錐をくりぬいた立体の切り口は半径rの円から半径xの円をひいたものになりますから、
切り口の面積


以上より、
「1つの平面に平行な平面による切り口の面積がつねに等しい」が成り立っています。

球2










同じ面積の図形を同じ高さ積み重ねたことになりますから、半径rの半球の体積は、底面の半径がrで高さがrの円柱から底面の半径がrで高さがrの円錐をくりぬいた立体の体積と等しいといってよいわけです。

円柱から円錐をくりぬいた立体の体積は、円柱の体積の公式:底面積×高さ、円錐の体積の公式:底面積×高さ×1/3から求めることができます。

円柱−円錐
円柱−円錐






したがって、半球の体積も
半球の体積




球の体積は半球の体積の2倍だから、
球の体積の公式




こうして、球の体積を求める公式を見つけることができます。


球の表面積を求める公式

球の表面積を求める公式は、球の体積の公式から導くことができます。

球の表面積を求める図球の表面に、球の表面積をn等分した面積Sをとります(球の表面積はS×nということになります)。

その面積Sを底面積とし、球の中心が
頂点になる錐体を考えます。
この錐体の高さは球の半径の長さrと一致します。

底面積がSで、高さがrの錐体の体積は、公式:底面積×高さ×1/3より、S×r×1/3です。

この錐体がn個集まったものが球ですから、S×r×1/3×nと球の体積とが等しくなります。

このことを等式にすると、
等式












球の表面積をnでわったものがSでした。だから、球の表面積はS×nです。
したがって、球の表面積は、
球の表面積


ということになります。