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勉強をしている子どもたちが、悩み、知りたい、理解したいと思いながら、今までは調べる方法がなかった事柄を、必要かつ十分な説明でわかりやすく記述したサイトです

相似

math 相似の難問を『てこの原理』を使って簡単に解く

アルキメデスが発見したとされる、『てこの原理』といわれるものがあります。
てこの原理左図のように、支点からの距離がaのところに重さAのおもり、支点からの距離がbのところに重さBのおもりをさげたとき、つねにA×a=B×b・・・(1)
の式が成り立ちます。
これがてこの原理です。

てこの原理と反比例左の図でxの値を求めたいとき、
2×10=x×20
の式を立てて、
x=1kgを求めてもよいし、

積が等しいということは反比例ですから、支点からの距離が10:20=1:2だから、おもりの重さは逆の比の2:1となり、x=1kgと求めることもできます(こちらのやり方のほうが簡単なときが多い)。


また、てこを支えている点P(支点)には、おもり2つ分、A+Bの重さがかかっていると考えることができます(てこを支えている糸はA+Bの力でひっぱられています)。・・・(2)
支点にかかる力











上記の(1)と(2)をもちいて、2種類の相似の難問を簡単に解くことができます。


例題1:図の△ABCで、点Q,Rはそれぞれ辺CA,AB上にあり、例題1AR:RB=1:3CQ:QA=1:2である。線分BQと線分CRの交点をOとし、線分AOの延長と辺BCの交点をPとする。このとき、次の線分の比を求めよ。
(1)BP:PC
(2)AO:OP







(てこの原理を利用して解く方法)

まず、ABを1つのてこと考えます。
AR:RB=1:3だから、逆の比で、点Aに3のおもり、点Bに1のおもりがぶらさがっていて、てこABの支点Rには3+1=4の重さが加わっていると考え、図にかきこみます。
例題1の2










同様に、ACも1つのてこと考え、CQ:QA=1:2より、逆の比で、おもりの例題1の3比はA:B=1:2です。ところが、点Aの重さは3とかきこまれているので、点Cの重さは6ということになります。
また、てこACの支点Qにかかっている重さは3+6=9です。
さらに、点Cの重さが6なので、てこBCの支点Pにかかっている重さは、点Bの重さ1に点Cの重さ6を加えた7ということになります。
これらをすべて図にかきこみます。

これで、準備完了です。

かきこんだ図をながめるだけで、それぞれの問題を簡単に解くことができます。

(1)BP:PC

点Bの重さが1で、点Cの重さが6だから、BP:PCは逆の比の6:1です。

(2)AO:OP


点Aの重さが3、点Pの重さが7とかきこまれているので、AO:OPは逆の比の7:3です。



例題2:図の△ABCで、点Q,Rは、辺BCの延長線上にある点Pからひいた直例題2線と辺AC、辺ABとの交点である。AR:RB=2:3BC:CP=5:2のとき、次の線分の比を求めよ。
(1)CQ:QA
(2)RQ:QP







(てこの原理を利用して解く方法)

例題1と同じように、てこの原理を利用して、点A,B,Pに重さを、支点C,Q,Rに重さの合計をかきこみます。
例題2の2












あとは、図のかきこみを見て解くだけです。

(1)CQ:QA

点Cの重さが7で、点Aの重さが3だから、CQ:QAは、逆の比の3:7です。

(2)RQ:QP

点Rの重さが5、点Pの重さが5なので、逆の比も5:5=1:1が答えです。



例題1、例題2は、相似を使っても解けますし、高校で習うチェバの定理、メネラウスの定理を使っても解けますが、2つの定理を知らなくても、てこの原理を利用することで簡単に解くことができます。
相似とてこの原理












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math 大阪府23年後期B 大問2 空間図形

平成23年度、大阪府公立高校入試後期Bの問題は、いつもの年より難しかった印象があります。
得点も低く、上位校の受験生でも、80点満点中40点を超えれば上出来だったようです。

その中でも特に解きにくかったのが大問の二、空間図形の問題でした。
この問題を見て、うんざりした受験生も多かったのではないでしょうか。


大問2:図1〜図3の立体は、点Pを中心とする半径3cmの円Pと点Qを中心とする半径3cmの円Qを底面とし、高さが9cmの円柱である。直線PQは底面に垂直である。
円周率をπとして、次の問いに答えなさい。答えが根号をふくむかたちになる場合は、その形のままでよい。

図1(1)図1、図2において、Rは線分PQ上にあって、P,Qと異なる点である。点Rを中心とする円Rは半径が3cmであり、円Rをふくむ平面は円柱の底面と平行である。四角形ABCDは、AB=DC=8cm、BC=AD=4cmの長方形である。B,Cは、円Pの周上にあって、A,Dは円Rの周上にある。Sは、長方形ABCDの対称の中心であり、線分PQ上にある。Eは、Dを通り直線PQに平行な直線と円Pとの交点である。BとEとを結ぶ。このとき、直線DEは円Pをふくむ平面と垂直であり、線分BEは円Pの直径である。

[1]図1において、

(ア)円Pと円Qを底面とする円柱の表面積を求めなさい。

(イ)線分DEの長さを求めなさい。求め方をも書くこと。必要に応じて解答欄の図を用いてもよい。





[2]図2において、Fは、辺BCの中点である。SとFとを結ぶ。Gは、Pから線分SFにひいた垂線と線分図2SFとの交点である。線分PGの長さを求めなさい。



















(2)図3において、Tは線分PQ上にあって、P,Qと異なる点である。点Tを中心とする円Tは半径が
図33cmであり、円Tをふくむ平面は円柱の底面と平行である。立体HIJ-KLMは三角柱である。△HIJは、∠JHI=90°、HJ=HI=2cmの直角二等辺形である。△HIJ≡△KLMである。四角形HKLI,JMLI,JMKHはすべて長方形であって、長方形HKLI≡四角形JMKHである。HK=8cmである。K,Mは円Pの直径上にあって、KP=MPである。H,Jは、円Tの周上にある。このとき、平面HKLIは円柱の底面に垂直である。Nは、円Tをふくむ平面と辺ILとの交点である。NとH、NとJとをそれぞれ結ぶ。このとき、△JHNは、∠JHN=90°の直角三角形である。三角すいI-JHNの体積を求めなさい。













(解き方と解答)
[1]図1において、

(ア)円Pと円Qを底面とする円柱の表面積を求めなさい。

図1の2
基本的な問題なので、きちんと正解して点をとっておかないといけません。

表面積=底面積+側面積と考えて、一つずつ落ち着いて解いていきます。

まず、底面積から求めます。
半径3cmの円が上と下に2つあるので、
(3×3×π)×2=18π
です。

次に側面積を求めます。
展開図をかいたとき、縦が9cm、横が底面の円周と等しい3×2×π=6πの長方形となりますから、
9×6π=54π
です。

よって、18π+54π=72π平方cmとなります。


(1)図1、図2において、・・・四角形ABCDは、AB=DC=8cm、BC=AD=4cmの長方形である。・・・Sは、長方形ABCDの対称の中心であり、・・・。
[1]図1において、
(イ)線分DEの長さを求めなさい。求め方をも書くこと。必要に応じて解答欄の図を用いてもよい。

図1の3

図がわかりにくいので、早合点しないで、きちんと根拠を考えながら解いていく必要があります。

まず、△DBCは∠DCB=90°の直角三角形だから、三平方の定理よりDB^2=4^2+8^2
DB^2=16+64
DB^2=80
DB>0より、
DB=4√5

次に、△DEBは∠DEB=90°の直角三角形だから、三平方の定理より
DE^2+6^2=(4√5)^2
DE^2+36=80
DE^2=44
DE>0より、
DE=2√11


[2]図2において、Fは、辺BCの中点である。SとFとを結ぶ。Gは、Pから線分SFにひいた垂線と線分図2の2SFとの交点である。線分PGの長さを求めなさい。

空間図形の問題を考える際のコツは、『求めないといけない辺がふくまれている平面見つけて、平面で考える』です。

この問題では、△SPFがその平面です。

まず、[1]で求めたDE=2√11と「Sは、長方形ABCDの対称の中心」より、SP=√11です。

同様に、AB=DC=8cmより、SF=4cmです。

以上より、△SPFは∠SPF=90°の直角三角形だから、三平方の定理より、
(√11)^2+PF^2=4^2
11+PF^2=16
PF^2=5
PF>0より、
PF=√5

そのあと、公立高校入試でしばしば出題される、『同じものの面積(または体積)を2通りの方法で表わして方程式をたてる』で解いていきます。

△SPFの面積を求める式を2通り考えます。

SFを底辺、PGを高さと見ると、△SPFの面積を求める式は、
4×PG×1/2

∠SPF=90°だから、PFを底辺、SPを高さと考えると、△SPFの面積を求める式は、
√5×√11×1/2

この2つの式は、ともに△SPFの面積を求める式で等しいから、
4×PG×1/2=√15×√11×1/2
4PG=√55
よって、PG=√55/4cm


最後に、さらにややこしい問題が待っています(私は次の問題を解くのに1週間かかりました)。

(2)・・・立体HIJ-KLMは三角柱である。△HIJは、∠JHI=90°、HJ=HI=2cmの直角二等辺 形であ図3の2る。・・・HK=8cm である。・・・KP=MPである。・・・△JHNは、∠JHN=90°の直角三角形である。三角すいI-JHNの 体積を求めなさい。

まず、△HPKは∠HKP=90°の直角三角形だから、三平方の定理より、
HP^2=1^2+8^2
HP^2=1+64
HP^2=65
HP>0より、
HP=√65

次に、点Hから底面の円Pに垂線をひき、円Pの円周との交点を点Oとします。

△HOPが∠HOPの直角三角形で、OP=3cm(半径)だから、
HO^2+3^2=(√65)2
HO^2+9=65
HO^2=56
HO>0より、
HO=2√14

次に、△HOKが、∠HOK=90°の直角三角形だから、
OK^2+(2√14)^=8^2
OK^2+56=64
OK^2=8
OK>0より、
OK=2√2

最後に、∠IHN=∠OHK=90°-∠NHK、∠HIN=HOK=90°より△HIN∽△HOKだから、
2√14:2=2√2:IN
この式を解いて、IN=2√7/7

以上より、三角すいI-JHNの体積は、
底面積×高さ×1/3
=2×2×1/2×2√7/7×1/3
=4√7/21


こんなに手間がかかるはずはないので、もっとずっと簡単な解き方があるか、私の解き方のどこかが間違っているかのどちらかだと思うのですが、どなたか教えていただければありがたいです。


10時間後の追記:自分の書いたものを見て、思いつきました。

まず、△OKPは∠OKP=90°の直角三角形だから、三平方の定理より
図の3の3OK^2+1^2=3^2
OK^2+1=9
Ok^2=8
OK>0より、
OK=2√2

次に、∠HOK=90°の直角三角形HOKで、三平方の定理より、
HO^2+(2√2)^2=8^2
HO^2+8=64
HO^2=56
HO>0より、
HO=2√14

次に、∠IHN=∠OHK=90°-∠NHK、∠HIN=HOK=90°より△HIN∽△HOKだから、
2√14:2=2√2:IN
この式を解いて、IN=2√7/7

以上より、三角すいI-JHNの体積は、
底面積×高さ×1/3
=2×2×1/2×2√7/7×1/3
=4√7/21

だいぶ「まし」になりましたが、もっといい解き方がありそうな気もします。



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math 大阪府23年後期B 大問4 平面図形

平成23年度後期B問題・平面図形の問題は、暗記カードをモデルにした問題でした(例年と同様、暗記カードであることは問題を解くのに関係ありません単語帳)。



大問4図1において、四角形ABCDはAB=6cm、AD=11cmの長方形である。Iは、辺ABの中点である。Pは、長方形ABCDの内部の点であっ図1て、Iを通り辺ABに垂直な直線上にあり、PI=2cmである。このとき、AD//IPである。線分PJと四角形EFGHとは、それぞれ線分PIと長方形ABCDとを点Pを中心として同じ向きに同じ角度だけ回転させたものである。このとき、PI=PJ、長方形ABCD≡長方形EFGHである。Gは、直線EHについてAと反対側ににあって、直線ADについてCと反対側にある。K,L,M,Nは、それぞれ辺ABと辺EF、辺ABと辺EF、辺BCと辺EF、辺ADと辺FGとの交点である。このとき、Pは直線LN上にある。
次の問いに答えなさい。答えが根号をふくむ形になる場合は、その形のままでよい。


(1)PとCとを結んでできる線分PCの長さを求めなさい。


(解き方と解答)
まず、問題を読んで必要なことを図にかき込んでおきます。
図1の2
かき込んだ図をながめて、どうやって解くかの方針を立てます。

図形の問題ですから、解くのに使う道具は『相似』か『三平方の定理』です。

図をながめると、Pから辺BCに垂線をひくことで、三平方の定理が使えることに気づきます。





三平方の定理より、PC^2=3^2+9^2
図1の3PC^2=9+81
PC^2=90
PC>0より、
PC=√90
PC=3√10


PC











(2)次の「証明」は、まず、△PIL≡△PJLであることを証明してから、IL=JLであることを示し、その後、IL=JLであることを用いて△KEL≡△MBLであることを証明したものである。次の「証明」における( )から適しているものを一つ選び、記号を書きなさい。また、「証明」における(b)の部分に△KEL≡△MBLであることの証明を書き加え、「証明」を完成させなさい。

「証明」
△PILと△PJLにおいて
PL=PL(共通)・・・(あ)
PI=PJ(仮定)・・・(い)
∠PIL=∠PJL=90°(仮定)・・・(う)
(あ)(い)(う)より、( ア 直角三角形の斜辺と他の1辺  イ 直角三角形の斜辺と一つの鋭角  ウ 2辺とその間の角 )
がそれぞれ等しいから △PIL≡△PJL
よって IL=JL
(     b     )



(解答)
図1の4
「証明」
△PILと△PJLにおいて
PL=PL(共通)・・・(あ)
PI=PJ(仮定)・・・(い)
∠PIL=∠PJL=90°(仮定)・・・(う)
(あ)(い)(う)より、( ア 直角三角形の斜辺と他の1辺  イ 直角三角形の斜辺と一つの鋭角  ウ 2辺とその間の角 )(正解はア)
がそれぞれ等しいから △PIL≡△PJL
よって IL=JL
( b △KELと△MBLにおいて、
対頂角は等しいから、∠KLE=∠MLB・・・(1)
長方形の角だから、∠KEL=∠MBL・・・(2)
また、BI=3cm、EJ=3cm
IL=JLだから、
EL=EJ-JL、BL=BI-ILより、EL=BL・・・(3)
(1)(2)(3)より、1辺とその両端の角がそれぞれ等しいから
△KEL≡△MBL


(3)EL=2cmであるときの線分ANの長さを求めなさい。求め方も書くこと。

(解き方と解答)
また、図に必要な数値をかき込みます。
図1の5
特に、求めるANにxとかき込むのが大事です。
xをかき込むことで、△LPI∽△LNAを利用できることがわかります。

(求め方)
El=2cmであり、△KEL≡△MBLだから、BL=2cm
よって、IL=1cm
IP//ANだから、IP:AN=LI:LA
2:x=1:1+3
2:x=1:4
x=8cm




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math 相似比・面積比・体積比(面積比が2乗、体積比が3乗になる証明)

相似な図形で、対応する辺の長さの比である相似比が例えば1:2であれば、面積の比はそれぞれの2乗(平方)の1:4、体積の比はそれぞれの3乗(立方)の1:8になります。
相似比と面積、体積





なぜか?と聞かれたとき、長さがa倍のとき、面積は2次元で縦×横だからa×a、体積は3次元で縦×横×高さだからa×a×aであるといえるし、だから面積の単位は平方cm、体積の単位は立方cmなんだよ、といえないこともありませんが、もう少しきちんと証明したいものです。


問題1:図の2つの長方形は相似で、長方形ABCDと長方形EFGHの図1相似比は1:kである。次のことを示せ。
(1)周の長さの比は1:kである。
(2)面積の比は1:k2乗になる。








(証明)
(1)
相似比が1:kだから、EF=ka、FG=kbである。
長方形ABCDの周の長さはa×2+b×2=2a+2b=2(a+b)
長方形EFGHの周の長さはka×2+kb×2=2ka+2kb=2k(a+b)

よって、周の長さの比は2(a+b):2k(a+b)
両辺を2(a+b)でわって、1:k

(2)
長方形ABCDの面積はa×b=ab
長方形EFGHの面積はka×kb=k2乗×ab

よって、面積の比はab:k2乗ab
両辺をabでわって、1:k2乗



問題2:図の2つの直方体は相似で、直方体ABCD-EFGHと直方体図2IJKL-MNOPの相似比は1:kである。次のことを示せ。
(1)表面積の比は1:k2乗である。
(2)体積の比は1:k3乗になる。










(証明)
(1)
相似比が1:kだから、IJ=ka、JK=kb、JN=kcである。
直方体ABCD-EFGHの表面積はa×b×2+b×c×2+a×c×2
=2ab+2bc+2ac
=2(ab+bc+ac)

直方体IJKL-MNOPの表面積はka×kb×2+kb×kc×2+ka×kc×2
3




よって、表面積の比は
4




(2)
直方体ABCD-EFGHの体積はa×b×c=abc

直方体IJKL-MNOPの体積はka×kb×kc
5




よって、体積の比は
6




以上の2問より、
相似比と面積、体積






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math 相似 相似の難問を、「ちょうちょ」と「おむすび」で簡単に解く(2)

『相似の難問を、「ちょうちょ」と「おむすび」で簡単に解く(1)』の続きです。

相似の難問を簡単な問題に変える必殺技、「ちょうちょ」を見つけて「おむすび」で解くは無敵です。


例題:図のように、△ABCの辺BCの中点をDとし、辺AB上に点Eをと例題3り、CAの延長とDEの延長との交点をFとする。AC=12cm、DE:EF=2:1のとき、FAの長さを求めよ。










(解き方)
まず、問題文に書いてあることをすべて図に記入します。
例題3の2求めるFAのところにxと記入するのを忘れないことです。

このままでは解けません。
どこにも相似の図形がないからです。

どうしたらよいでしょうか?






私なら、「「ちょうちょ」を見つけて「おむすび」で解く」を思い出します。

線を入れて、「ちょうちょ」、「おむすび」を作ることを考えます。
例題3の3
Dを通り、ACに平行な直線をひきます。











例題3の4そうすると、△AFE∽△GDEとなり、ちょうちょ形の相似な三角形ができます。







また、例題3の5△GBD∽△ABCとなって、おむすび形の相似な三角形をもちいて比の式を立てることもできます。

さらに、DがBCの中点であり、CD//ACですから、中点連結定理よりGD=6cmです。

以上より、△AFE∽△GDEで、相似比はFE:ED=1:2だから、x:6=1:2
2x=6
x=3

FAの長さは3cmです。


このように、どう解いたらよいか迷うような問題も、必殺技「「ちょうちょ」を見つけて「おむすび」で解く」を使えば、意外に簡単に解くことができます。


(別解)
この問題は、おむすび形の相似を作るだけでも解けます。
例題3の6
Dを通りABに平行な直線をひき、ACとの交点をGとします。

DがBCの中点であり、GD//ABだから、中点連結定理よりGはACの中点となります。

よってAG=6cm

x:6=1:2となるので、
2x=6
x=3

FAは3cmです。




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math 相似 相似の難問を、「ちょうちょ」と「おむすび」で簡単に解く(1)

慣れたら簡単ですが、最初はなかなか解けない相似(平行線と比)の問題に次の問題があります。

例題1:AD//EF//BCのとき、xの値を求めよ。
例題1













(解き方)
x(=EF)を一気に求めることはできません。
図の中にある台形は相似でも何でもないので、台形の横の線を一回で求めることはできません。

「相似だから、比で解ける」わけです。
だから、解くときの対象を相似な図形にしぼらないといけません。

最初は、どこに相似ができているのかを見つけるのが難しい。

相似の代表というか、相似の典型的な形は次の2つです。
1
ところで、ものには名前がないとなかなか覚えられません。

長年、左の2つの形によい名前をつけたいと思い続けてきましたが、思いつきません。


あきらめ2て、あまりぴったりとは思えませんが、「おむすび」型、「ちょうちょ」型と呼んでいます。

ほとんどの相似の問題で、相似な図形は左のどちらかの形で出てきますから、問題をながめて、おむすびかちょうちょのどちらかを見つけたら解けるわけです。



例題2の2
たいがいは、ちょうちょを見つけるのが先です。

赤線の部分がちょうちょ形の相似であることに気づきます。
そして、AD=6cm、BC=10cmですから、相似な2つの三角形、△AGDと△CGBの相似比は6:10=3:5です。

問題を解くときは、「目に見える形」にするとずっと簡単になりますから、見つけた3:5をAG、CGに書き込んでおきます。




ちょうちょを見つけて準備が終わったら、次はおむすび形の相似で解いていきます。
例題1の3△AEG∽△ABCです。
相似比はAG:AC=3:8です。

EFを一気に求めることはできないので、EG=aとします。

a:10=3:8
8a=30
a=15/4



例題1の4
次に、GF=bとします。

△CFGと△CDAがおむすび形の相似ですから、b:6=5:8
8b=30
b=15/4

EF=a+bだから、EF=15/4+15/4=30/4=15/2cm


このように、ちょうちょ形の相似を見つけて相似比を見つける、次におむすび形の相似を使って比の式を立てる、この2段階で簡単に解けるようになります。


例題2:図の平行四辺形ABCDで、AB=16、BC=21である。辺AD例題2上にAP=12となる点Pをとり、PCと対角線BDとの交点をQ、Qを通りADに平行にひいた直線とABとの交点をRとする。このとき、AR、RQの長さをそれぞれ求めよ。

(解き方)
まず、問題文に書いてあることを図に記入します。

例題2の2書いてあることだけでなく、書いてあることからわかることも書き込んでおきます(図の赤字のところです)。
「目に見える」ようにしておくことが大切なのです。
求めるARをxと記入しておくことも大事です。

おむすび形の相似である△BDA、△BQRでxを求められそうだとわかりますか?
しかし、その前にBR:RAの比を求めないといけませんね。

その手がかりになるのは、ちょうちょ型の△PQD、△CQBです。

例題2の3PD=9、CB=21より、DQ:BQ=9:21=3:7

3:7を図に記入します。

これで準備完了。

BR:RA=BQ:QDより、16-x:x=7:3
3(16-x)=7x
48-3x=7x
-10x=-48
x=4.8

AR=4.8です。

次にRQ=yとすると、おむすび形の△BQR∽△BDAより、y:21=7:7+3
y:21=7:10
10y=147
y=14.7

RQ=14.7です。


ちょうちょを見つけて比を記入→おむすびを見つけて比の式を立てる、で簡単に解けることをわかっていただけたでしょうか。

「ちょうちょ」を見つけて、「おむすび」で解く、これが相似の難問を簡単な問題に変える必殺技です。



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math 相似 直角三角形・正三角形と相似

難問を簡単に解く技である「直角三角形の問題は、直角でない角に○と×をつける」は、相似でも効果を発揮します(合同についてはこちらを参照)。

例題1:直角三角形ABCの頂点Aから斜辺BCにひいた垂線をADとす例題1る。AB=8cm、BC=10cm、CA=6cmとして、次の問いに答えよ。
(1)三角ABCと相似な三角形をすべて書け。
(2)線分AD、BDの長さを求めよ。




(解き方)
△ABCの直角でない角、∠Bと∠Cに○と×をつけます。
例題1の2
△ABCで、∠BAC=90°なので、
∠B+∠C=180°−90°=90°
つまり、
○+×=90°
です。

そうすると、△DBAで∠ADB=90°より、○+∠BAD=90°だから、∠BAD=×であることがわかります。
また、△DACで∠ADC=90°だから、×+∠DAC=90°となり、∠DAC=○であることもわかります。
例題1の3
このように○と×を記入することで、対応する角の等しいことが一目でわかるようになります。

(1)三角ABCと相似な三角形をすべて書け。


(解答)
相似条件「2組の角がそれぞれ等しい」が成り立つので、△ABC∽△DBA∽△DAC

(2)線分AD、BDの長さを求めよ。

(解答)△ABC∽△DACより、BC:AC=BA:AD
ゆえに、10:6=8:AD
10×AD=48
AD=4.8cm

△ABC∽△DBAより、BC:BA=BA:BD
ゆえに10:8=8:BD
10×BD=64
BD=6.4cm


例題2:図のように、∠A=90°の直角三角形ABCの頂点Aを通る直線例題2に、点B、Cから垂線BD、CEをひいた。
(1)△ABD∽△CAEであることを証明せよ。
(2)DB=16cm,DE=40cm,AE=12cmのとき、ECの長さを求めよ。


(解き方)
(1)△ABD∽△CAEであることを証明せよ。
例題2の2
△ABDと△CAEにおいて、
仮定より、∠BDA=∠AEC…(1)
∠DBA=△ABDの内角180°‐90°‐∠DAB
∠EAC=直線の180°‐90°‐∠DAB
ともに90°‐∠DABだから、∠DBA=∠EAC…(2)
(1)(2)より、2組の角がそれぞれ等しいので、
△ABD∽△CAE

(2)DB=16cm,DE=40cm,AE=12cmのとき、ECの長さを求めよ。
例題2の3△ABD∽△CAEを利用します。

AD=40-12=28cm

△ABD∽△CAEより、28:EC=16:12
16×EC=28×12
EC=28×12÷16
EC=21cm


例題3:左の図は、長方形ABCDの紙を頂点Aが辺BC上にくるように例題3折り返したもので、Eは頂点Aが移った点、DFは折り目の線である。
(1)△FBE∽△ECDであることを証明せよ。
(2)AD=10cm、DC=8cm、CE=6cmのとき、FEの長さを求めよ。





(解き方)
例題3の2準備として、△FBEの直角でない角に○と×をつけておきます。
また、90°である∠A、∠B、∠Cに90°であることがわかる印を、そして折り返した問題なので∠FEDにも90°の印をつけておきます。

(1)△FBE∽△ECDであることを証明せよ。

△FBEと△ECDにおいて、
長方形の角だから∠FBE=∠ECD=90°…(1)
∠BFE=△FBEの内角180°‐90°‐∠FEB
∠CED=直線の180°‐90°‐∠FEB
ともに、90°‐∠FEBだから、∠BFE=∠CED…(2)
(1)(2)より、2組の角がそれぞれ等しいので、
△FBE∽△ECD

(2)AD=10cm、DC=8cm、CE=6cmのとき、FEの長さを求めよ。
例題3の3
BE=10cm‐6cm=4cm
折り返したのでED=AD=10cm

△FBE∽△ECDより、
4:8=FE:10
8×FE=40
FE=5cm




「直角三角形の問題は、直角でない角に○と×をつける」の技は、正三角形にも応用できます。
正三角形の1つの角は60°です。
「正三角形の問題は、60°でない角に○と×をつける」ということになります。

例題4:正三角形ABCの辺AB上に点Dをとり、DとCを結ぶ。また、例題4辺BC上に点Eを∠CDE=60°となるようにとる。
(1)△ADC∽△BEDであることを証明せよ。
(2)AC=12cm、AD=4cmのとき、ECの長さを求めよ。






(解き方)

準備として、正三角形の∠Aと∠Bに60°を記入し、60°でない角に○と×をつけておきます。
例題4の2
(1)△ADC∽△BEDであることを証明せよ。

△ADCと△BEDにおいて、
正三角形だから∠CAD=∠DBE=60°…(1)
∠BED=△BEDの180°‐60°‐∠BDE
∠ADC=直線の180°‐60°‐∠BDE
ともに、120°‐∠BDEだから、∠BED=∠ADC…(2)
(1)(2)より、2組の角がそれぞれ等しいので、
△ADC∽△BED

(2)AC=12cm、AD=4cmのとき、ECの長さを求めよ。
例題4の3
△ADC∽△BEDを利用します。

BD=12-4=8cmも忘れずに記入し、また、△ADC∽△BEDを利用するのでECを求めるために先にBEを求めることを確認しておきます。

△ADC∽△BEDより、
BE:4=8:12
BE×12=32
BE=32/12=8/3cm

よって、EC=12-8/3=36/3-8/3=28/3cm




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mathematics 空間図形 よく出る三平方の定理の問題(大阪府公立・22年前期理数科)

大阪府公立高校入試、22年度前期理数科、最後の大問、空間図形の問題です。
大阪府公立高校入試でしばしば出てくる、三平方の定理を使った典型的な問題がまた顔を出しています。


3:図1、図2において、立体ABC−DEFは八つの平面で囲まれてできた立体である。平面ABCと平面DEFは平行である。△ABCと△DEFはともに1辺の長さが2cmの正三角形である。△AEF、△FBA、△BFD、△DBC、△CED、△ECAはすべて合同な二等辺三角形であり、AF=FB=BD=DC=CE=EA=4cmである。このとき、A、F、D、Cは同じ平面上にあり、四角形AFDCは長方形である。
次の問いに答えなさい。答えが根号をふくむ形になる場合は、その形のままでよい。
22年3番(1)図1において、Gは辺ACの中点であり、Hは辺FDの中点である。GとHとを結ぶ。IはBから線分GHにひいた垂線と線分GHとの交点である。
[1]BとGとを結んでできる線分BGの長さと、BとHとを結んでできる線分BHの長さをそれぞれ求めなさい。
[2]線分BIの長さを求めなさい。求め方も書くこと。

















(解く前の準備)
22年3(1)問題文中に出てきた数値は、問題を解くときに使いそうな場所にできるだけ多く(ただし、じゃまにならない場所に)書き込んでおくのがコツの1つです。


(解き方)
[1]BとGとを結んでできる線分BGの長さと、BとHとを結んでできる線分BHの長さをそれぞれ求めなさい。

22年3(1)1
△BACは正三角形なので各辺の比は1:2:√3。
よって、BG=√3。




22年3(1)2三角形BFDは二等辺三角形であり、△BFHは直角三角形だから、三平方の定理を使って、BH=√(16−1)=√15。








[2]線分BIの長さを求めなさい。求め方も書くこと。

(解き方)
[1]に続く[2]ですから、必ず[1]を使います。

22年3(1)3さらに、空間図形の問題も、解くときは平面で考えることが鉄則、△BGHを使って解いていきます。

そのことに気づけば、大阪府公立入試でよく出る、3辺の長さがわかっている三角形の高さを求める問題だと気づくことができます。

この場合、BIの長さをたずねていますが、BIを求めようとすると中学生にはやや難し過ぎます。

GIのほうをx、IHを(4−x)としてGIを求め、その後BIを求めます。

直角三角形BGIと直角三角形BIHで、三平方の定理を使ってBI2乗の長さを2通りの式で表わし、それを方程式にして解いていきます。








22年3(1)4






















さらに、直角三角形BGIで三平方の定理を使って、
22年3(1)5

















BI=√11/2です。



(2)図2において、Jは辺AE上にあってA、Eと異なる点であり、K、L、22年3(2)M、N、Oはそれぞれ辺AF、BF、BD、CD,CE上にあってAJ=AK=BL=BM=CN=COとなる点である。このとき、6点J、K、L、M、N、Oは同じ平面上にある。また、6点J、K、L、M、N、Oを結んでできる六角形JKLMNOはすべての内角の大きさが等しく、JK=LM=NO、KL=MN=OJである。AJ=xcmとし、0<x<4とするとき、六角形JKLMNOの面積をxを用いて表しなさい。

(解き方)
図をながめて、△AJK∽△AEF、△AFB∽△KFLに気づいてください。

相似を使って、JK、KLの長さを求めることができるはずです。

さらに、問題文中の「六角形JKLMNOはすべての内角の大きさが等しく」から、それぞれの内角が120度であることも使えることがわかります。





22年3(2)の2そうすると、求めたい六角形JKLMNOは左図のような、大きい正三角形から小さい正三角形を切り落とした形になるはずです。

何とか解けるめどがたったので、正確に、JK、KLの長さから求めていきましょう。

相似を使って、JK:EF=AJ:AE
JK:2=x:4
よって、JK=x/2

また、KL:AB=KF:AF
KL:2=4−x:4
よって、KL=(4ーx)/2

以上より、大きい正三角形の1辺は、x/2+2×(4−x)/2=−x/2+4

22年3(2)の3また、大きい正三角形の高さと小さい正三角形の高さは、1:2:√3を使って求めることができます。












22年3(2)の4






求める六角形の面積は、−√3/8x2乗+√3/2x+√3です。


こんな問題を解かないといけない理数科の受験生は大変ですね(私の解き方が下手なだけで、もっと簡単な方法があるのかもしれませんが、私はこの方法しか思いつきませんでした)。



mathematics 平面図形への書き込み(大阪府公立・22年前期理数科)

大阪府公立高校入試、22年度前期理数科の問題を取り上げます。
大問1で7問か8問の小問、大問2が平面図形、大問3が空間図形というのが最近の傾向です。
この稿で取り上げるのは平面図形です。

今日のテーマは「解く前の書き込みで、解けるかどうかが決まる」です。



2:
図1、図2において、四角形ABCDはAB=26cm、AD=20cmの長方形であり、四角形EFGHは1辺の長さが13cmの正方形である。E、Fはそれぞれ辺AD、AB上にあって、G、Hは長方形ABCDの内部にある。
次の問いに答えなさい。答えが根号をふくむ形になる場合は、その形のままでよい。
(1)図1において、IはGから辺ABににひいた垂線と辺ABとの交点でありJはGか22年2ら辺BCにひいた垂線と辺BCとの交点である。
[1]△EAF≡△FIGであることを証明しなさい。
[2]AF=4cmであるときの線分GJの長さを求めなさい。求め方も書くこと。必要に応じて解答欄の図を用いてもよい。















22年2の2

[1]△EAF≡△FIGであることを証明しなさい。

(解法)
解く前に必要な事項をどれだけ上手に書き込むかで解けるかどうかが決まります。

大阪府公立高校の入試問題の特徴として、
(1)問題文で与えられた数値を図の必要なところに複数書き込んでおく
(2)直角三角形があるとき、直角以外の角に丸や×の印をつけておくと解き方が見えてくる
の、2つを知っておくと得点力が違ってきます。


(証明)
△EAFと△FIGにおいて、
四角形EFGHが正方形だからEF=FG・・・(1)
長方形の角だから∠EAF=90度
仮定より∠FIG=90度
よって、∠EAF=∠FIG・・・(2)
次に、∠IFG=180度−∠AFE−∠EFG
=180度−∠AFE−90度
=90度−∠AFE
また、∠AEF=180度−∠EAF−∠AFE
=180度−90度−∠AFE
=90度−∠AFE
よって∠IFG=∠AEF・・・(3)
(1)(2)(3)より、直角三角形で斜辺と1つの鋭角が等しいから
△EAF≡△FIG

直角三角形で、丸をつけた角と×をつけた角の和が90度になることをしばしば使います。
証明が書きやすいようにあらかじめ印をつけておくと簡単に気づくことができます。


[2]AF=4cmであるときの線分GJの長さを求めなさい。求め方も書くこと。必要に応じて解答欄の図を用いてもよい。
22年2の2
(解法)
あらかじめ知っておいたほうがよい予備知識として、大阪府公立高校入試数学の大問では、(1)[1][2]、(2)[1][2]という問題構成のとき、(1)と(2)の問題の間にはほとんど連続性や関連性はありません。
逆に(1)[1][2]の[1]と[2]はつながった問題です。
よく授業中冗談で言うのですが、[1]と[2]は連続もののテレビドラマですから、[1]を見ておかないと[2]を理解できません。

この問題もまさにそうで、[1]の合同の証明を使って、[2]を解いていきます。
具体的には、AF=4cmと問題文に書いてあるのでAFに4を書き込んだ後、[1]で合同を証明したことからIGにも4と書き込んでおきます。
それさえ準備しておいたら、三平方の定理を使ってFIの長さを求められることに気づきますから、解き方が見えてきます。

(求め方)
△EAF≡△FIGより、IG=AF=4
△FIGで∠FIG=90度、IG=4、FG=13より、三平方の定理を使って
22年2(1)











AF=4、FI=3√17より、
IB=26−4−3√17
=22−3√17

∠GIB=∠GBJ=∠GIB=90度だから長方形IBJGは長方形である
よって、IB=GJ

したがって、GJ=22−3√17


(2)図2は、AF=12cmであるときの状態を示している。
22年2(2)図2において、Kは辺EF上にあってE、Fと異なる点である。Lは辺GH上にあってG、Hと異なる点である。KとLとを結ぶ。Mは、Lから辺BCにひいた垂線と辺BCとの交点である。KL//BCであって、四角形FGLKの面積が65平方cmであるとき、線分LMの長さを求めなさい。


(解法)
AF=12を書き込むだけでなく、直角三角形で5:12:13ができているのでAE=5も書き入れておきます。
EF=FG=EH=13も使う可能性があるので記入、その図をながめて、どうやって解こうかと考察します。

FG=13の書き込みから、Gを通りBCに平行な線を書き込めばそこにも5:12:13ができること、Fを通り、BCに平行な線を書き、HGとの交点をNとして、その線で四角形FGLKの面積をわけて考えたら解けるのではないかということ等を思いつきます。

最後に、求めるLM=xとおいて、やっと解き始めることができます。

(解答)
△FGNは∠FGN=90度、∠FNG=∠EFN=∠AEFより△AFEと相似。

よって、FN:EF=FG:AFだから
FN:13=13:12
FN=169/12

四角形FGLK=△FGN+四角形KFNL
=(169/12)×5×(1/2)+(169/12)×(x−5−9)

この面積が65であるから方程式にして、
(169/12)×5×(1/2)+(169/12)×(x−14)=65

22年2(2)の2すぐに筆算をしないで、計算が楽になるように工夫しながら解いていかないと、時間ばかりかかり、計算ミスも増えてしまいます。















LM=419/26です。


(最後に)
平面図形の最後の問題は、毎年一番難儀な問題です。
あることに気づき、解くための補助線を書き込まないと、まず解けません。
解き方を思いつかなかったら後回しにして、さっさと次の空間図形の問題にとりかかるべきです。

もう1つ、理数科の問題では出題される計算問題は毎年たった1問です。そのかわりに、後の関数や図形の問題で計算力を試されます。
計算力とは、暗算力や筆算力ではありません。
すぐに筆算をするのが最も愚策、工夫して式を簡単にし、速く正確に解いていかないと得点が伸びません。

mathematics 平面図形は相似と三平方にしぼる(大阪府公立・21年前期理数科)

21年度大阪府公立高校の前期入試理数科、3番の平面図形の問題です。

この稿のテーマは、「図形の問題は相似か三平方の定理にしぼって解く」です。


3、図1、図2において、四角形ABCDはAB=6cm、BC=2cmの長方形である。Eは、辺ABの中点である。Fは、辺DC上にあってDと異なる点であり、DF<AEである。四角形PQFR≡四角形AEFDである。
次の問いに答えなさい。答えが根号をふくむ形になる場合は、その形のままでよい。


(1)図1において、Qは直線DC上にあってFについてCと反対側にあり、Pは直線DCについてAと反対側にある。Sは、Pから直線BCにひいた垂線と直線BCとの交点である。線分EFの長さをxcmとし、そのときの線分CSの長さをycmとする。
3(1)

[1]次の文中(ア)、(イ)に入れるのに適している数をそれぞれ書きなさい。

xの変域は(ア)<x<(イ)である。

[2]yをxの式で表しなさい。求め方も書くこと。必要に応じて解答欄の図を用いてもよい。









(解いてみる)
問題文を読んで、解く前に書き込みをしておいたのが下の図です。問題文に書いてあることだけでなく、書いてあることからわかることも書き込みをしておきます。
3(1)の1

[1]
DF<AEという条件にあてはまるようにxを考えます。

xが一番小さくなるのは、点Fが点Eのほぼ右にきたときです。それより下だとDF<AEの条件に反します。
このとき、xは2に近づきます。

xが一番大きくなるのは、点Fが点Dに重なる直前です。
このときのxは線分DEの長さから求められます。
△AEDが直角三角形なので、三平方の定理よりDE=√13。

以上より、2<x<√13。

(ア)は2、(イ)が√13です。

[2]
3(1)の2
もともとのxとyはずいぶん離れた場所にあって両者の関連性を見い出さないので、すぐに
式をつくることはできません。x、yと等しい場所を他に見つける必要があります。

問題文に「四角形PQFR≡四角形AEFD」とあるので、QF=xを書き込んでおきます。

図形の問題を解くのに使える道具は『相似』と『三平方』です。
使える道具が限られているので、
私なら、「相似か三平方を使うにはどうしたらよいか」の観点から考えます。
さらに、相似にしろ三平方の定理にしろ、使える図形は三角形しかありません。

この問題でも、おそらくQF=xを使うであろう、だからQFを含む三角形で考えてみよう、このような発想で解いていきます。

そう考えて、Fを通りRPに平行な線分を書き込み、長さの2を書き入れます。
そうすると、Pを通り下のCSに平行な直線をかいてもう一つ三角形を作図し、yと記入したら解けるのではないかと思いつくことができます。

2つの三角形は、∠FQPが共通で、ともに90度の角をもつので、2組の角がそれぞれ等しい相似です。

ここまできたらもう解けたも同然、相似な図形の対応する辺の比は等しいので、QF:QP=2:y
x:3=2:y
xy=6
y=6/x


(別の解き方)
3(1)の3
府教育委員会の模範解答は違う解き方をしています。

私と同じ書き込みに加えて、さらにFとPを結ぶ線を書き込んで、△QFPの面積を2通りの方法で表して等式(方程式)を立てています。
底辺をQFと見ると、面積はx×y×1/2、底辺をQPと見ると面積は3×2×1/2、
xy=6
y=x/6
と解いています。

解答を見ると、「ああ、そうか」と思えますし、よく出る「面積を2通りに表して方程式を立てる」という解法ではありますが、私が受験生だったとして、FPを結ぶ線を思いつくかどうか、自信がありません。


(解いた後の感想)
[1]
DF<AEという条件から、xの変域を導く問題です。三平方の定理を使いますが、数学というより国語やクイズに近い感じがします。

[2]私は運良く相似な三角形の組をすぐに見つけ出せたので難しい印象を持ちませんでしたが、同じ私が別の機会に解くことがあるとして、同じ解法を思いつけるかどうか、自信がありません。
やさしいのか、難しいのか、よくわからない問題です。


(2)図2は、図1中の四角形PQFRをFを中心とし回転させた状態を示している。
3(2)図 2において、Qは直線EFについてCと反対側にある。EとQとを結んでできる△FQEの内角∠QEFの大きさをaとし、0<a<90とする。CとRを結ん でできる△FCRの内角∠RFCの大きさをaを用いて表しなさい。求め方も書くこと。必要に応じて解答欄の図を用いてもよい。










(解いてみる)
しばらく考えてみましたが、解き方を思いつきませんでした。私が受験生なら、いったんあきらめてさっさと次の問題に向かいます(後で、あらためて戻ってくると、別の観点から問題を眺めることができてあっさり解けることがあります)。

3(2)の2
四角形PQFR≡四角形AEFDなので、FQ=FEを使いそうだということはわかります。
△FQEが二等辺三角形なので、∠FEQも∠FQEもaです。

四角形PQFR≡四角形AEFDなので、∠DFEと∠RFQも等しい。
だから、∠QFE=∠DFE−∠QFD
∠DFR=∠RFQ−∠QFDより
∠QFE=∠DFR(図の太い赤線の角どうし)

これを使うことを思いつきませんでした。

∠QFE=180度−2aなので∠DFR=180度−2a

∠DFC=180度だから、∠RFC=180−(180−2a)
よって∠RFC=2a

(解いた後の感想)
私が受験生なら、この問題は運が悪いと時間内に解けなかったかもしれません。移動した図形の、等しくなる辺や角度を利用する問題は、どこに目をつけて解いたらよいのかを見つけにくいことが多く、気づくと簡単、気がつかないと時間切れになってしまいます。
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