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勉強をしている子どもたちが、悩み、知りたい、理解したいと思いながら、今までは調べる方法がなかった事柄を、必要かつ十分な説明でわかりやすく記述したサイトです

立体

math 見取り図と展開図の関係 (小学算数)

塾生にはいつも偉そうに教えていますが、私にも苦手な問題がいくつかあります。展開図の問題もその一つです。


例題1:左の立方体の見取り図の3つの面に書かれたA、B、Cのアルファベッ見取図トを、下の展開図の正しい場所に、向きも考えて正しく書き入れなさい。
展開図の1









(解き方と解答)
見取り図の頂点に自分で記号をつけておくと、確信をもって正解にたどりつくことができます。
見取図の2
見取図に記号を書き込んだら、見取図を参考に、展開図のAが書かれた面に記号を記入していきます。
(1)展開図の1文字Aの上側がアエ、左がアイ、下がイウ、右がエウです。

次に、見取図のBの書かれている面の上の辺がイウであることを参考に、展開図のBの書かれているであろう面に記号を記入していきます。
このとき、文字Aの下がイウで、そのイウが文字Bの上であることと、見取図の文字Bの左がイカ、右がウキであることが参考になります。


(1)展開図の2








最後に、見取図で記号イウが文字Bの上であることを確認して、展開図に文字Bを記入します。
(1)展開図の3












同じように、見取図でCの書かれている面の上の部分がウエであることを(1)展開図の4手がかりに展開図上でCの面を見つけて、その面に記号ウキクエを書き込み、その記号を参考にCを記入します。










(2)も同じように、見取図に書き込んだ記号を参考に、展開図に記号を記入していくと、(2)展開図正解に到達できます。











例題2:図は立方体の見取図とその展開図です。辺ABの真ん中の点を立方体M、辺BCの真ん中の点をNとし、3点M、N、Fを結ぶとき、この線を展開図に書き入れなさい。


展開図
立方体展開図
















(解き方と解答)
やはり見取図を参考に、先に展開図にA〜Hの記号を記入してから考えます。
このとき使える技は、同じ面向かい合う辺に注目することです。
まず、BCの向かい合う辺であるFGを記入します。
立方体展開図の2
そうすると、CGと向かい合うDHを記入できます。

さらにそのDHの向かい合う辺であるAE、GHと向かい合う辺であるFE、そして最後にFEと向かい合う辺BAというふうに、見取図を見て同じ面の向かい合う辺に着目すると、すべての頂点に正確に記号を記入することができます。





立方体展開図の3
















展開図にA〜Hの記号が記入できたら、問題に合わせて、ABの真ん中にM(2か所)、BCの真ん中にNを記入して準備完了です。
立方体展開図の4

















見取図を参考に、MとN、MとF、NとFを結びます。
立方体展開図の5





















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math 回転体の体積・表面積とパップス・ギュルダンの定理

今から2300年も前にエジプトのパップスが発見し、16世紀にギュルダンが再発見した、『パップス・ギュルダンの定理』といわれるものがあります。

回転体と、回転する図形の重心との間に成り立つ定理です。

回転体・・・平面図形を、同一平面上の一つの直線のまわりに1回転させたときにできる立体のこと。円柱、円錐、球などが代表的な回転体です。

重心・・・ある物体を1点で支えられるとき、その点を重心といいます。素朴に言うと、ある図形の真ん中が重心です。
点対称の図形では対称の中心が重心になります。
三角形の重心については、こちらを参照。


パップス・ギュルダンの定理とは

回転体の体積=回転する図形の面積×重心の移動距離

一例として、一辺を軸として長方形を回転させる場合をとりあげます。
円柱1











円柱ができます。
円柱2この円柱の体積は、体積を求める公式
底面積×高さ
で、求めることができます。
2×2×π×5=20π
です。

パップス・ギュルダンの定理
回転体の体積=回転する図形の面積×重心の移動距離
を使うと、
回転する図形の面積は、長方形の面積である5×2=10であり、
重心の移動距離は、半径1cmの円周になりますから1×2×π=2πですから、
回転する図形の面積×重心の移動距離=10×2π=20π
ということになります。


パップス・ギュルダンの定理を使うと簡単に体積が求められる問題

例題1:図のような底辺2cm、高さ3cmの平行四辺形を、1つの頂点を通る直線のまわりに回転させたとき、できる図形の体積を求めよ。
円錐台1











円錐台2左図の、円錐台から円錐をくりぬいた形ができます。

大きい円錐の体積を求めて、上の小さい円錐の体積と、くりぬいた円錐の体積をひいても求められますが、計算がやや煩雑です。
4×4×π×6×1/3-2×2×π×3×1/3-2×2×π×3×1/3
=32π-4π-4π
=24π




円錐台3パップス・ギュルダンの定理をもちいると、簡単に答えが出ます。

平行四辺形の対角線の交点が重心です。

回転体の体積
=回転する図形の面積×重心の移動距離

=(2×3)×(2×2×π)
=24π




パップス・ギュルダンの定理を使わないと中学生には体積が求めらない問題

例題2:図のような半径2cmの円を、円周から2cmの距離にある直線のまわりに回転させたとき、できる図形の体積を求めよ。

トーラス1









左図のような、ドーナツ形(トーラスといいます)ができます。
トーラス2小学生、中学生範囲では、体積を求めることはできません。

パップス・ギュルダンの定理を使うと求められます。

円の中心が重心です。

回転体の体積
=回転する図形の面積×重心の移動距離

=(2×2×π)×(4×2×π)
=4π×8π
=32π^2
(32π2乗)


パップス・ギュルダンの定理と表面積

パップス・ギュルダンの定理は、表面積にも応用することができます。

円柱の側面積を、パップス・ギュルダンの定理を使って求めてみましょう。

円柱側面1長さ4cmの線分を、2cm離れた直線を軸にして回転します。

線分には「長さ」しかありませんが、線分が回転したときの回転体の面積を、うすっぺらい図形が回転したときの「体積」だとみなします。





円柱側面2軸に平行な線分を回転させると、円柱の側面になります。

回転体の面積を、円柱の側面積だと考えると、
4×(2×2×π)
=16π
です。



パップス・ギュルダンの定理を応用すると、
回転する図形の面積は4cmの線分の長さの4、重心の移動距離は半径2cmの円周だということになります。

回転体の体積(この場合は、線分が回転したときの面積ですが)
=回転する図形の面積×重心の移動距離

=4×(2×2×π)
=16π
です。

このように、パップス・ギュルダンの定理は、表面積を求めるときにも使えることがわかります。


軸に斜めの線分が回転する場合を考えてみましょう。
円錐側面1







円錐側面2底面の半径が4cmの円錐の側面積になります。
重心の、軸との距離は2cmです。

回転体の体積(この場合は、線分が回転したときの面積です)
=回転する図形の面積×重心の移動距離

=4×(2×2×π)
=16π


円錐の側面積は、母線×半径×πで求められますが(こちらを参照)、パップス・ギュルダンの定理を使って、同じ式を導くことができるわけです。




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math 円柱、内接する球、円錐の体積と表面積

円柱の側面積と、円柱に内接する球の表面積

円柱の側面積と、円柱に内接する球の表面積との間にはおもしろい関係が成り立っています。

円柱の球の表面積底面の半径がrcm、高さが2rcmの円柱に、半径rcmの球が内接しています。

球の表面積は、4πr^2です。

円柱の側面積はどうなるでしょうか。

円柱の側面の面積は、縦が2rcm、横が底面の円の周と等しいのでr×2×πの長方形の面積と等しくなります。
よって、円柱の側面積は2r×2πr=4πr^2です。

つまり、円柱側面積と、その円柱の底面と側面に内接する表面積とは等しいということがわかります。



円柱と、円柱に内接する円錐と、円柱に内接する球の体積の関係

円柱と、円柱の底面と側面に内接すると、円柱の上下の底面に内接する円錐体積の間にもおもしろい関係が成り立っています。

円柱・円錐・球の体積円錐の体積は、底面積×高さ×1/3の公式より、r×r×π×2r×1/3=2/3πr^3です。

球の体積は、4/3πr^3です。

円柱の体積は、底面積×高さの公式より、r×r×π×2r=2πr^3です。

よって、円錐の体積:の体積:円柱の体積の比は、
2/3πr^3:4/3πr^3:2πr^3
=2/3:4/3:2
=2:4:6
=123

円錐の体積:球の体積:円柱の体積=1:2:3となっていることがわかります。




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math 正多面体(正四面体・正六面体・正八面体・正十二面体・正二十面体)

平面だけで囲まれた立体を多面体といいます。
三角柱・三角錐・四角柱・四角錐・・・・などが多面体であり、円柱や円錐は平面と曲面で囲まれているので多面体ではありません。

多面体のうち、(1)どの面も合同正多角形で、(2)どの頂点にも同じ数が集まり、(3)へこみのないものを正多面体といいます。

正多面体は、正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体の5つです。
正多面体








正四面体
正四面体底面も側面も正三角形の正三角錐のことです。
1つの頂点に3個正三角形が集まっています。





正六面体
正六面体底面も側面も正方形の正四角柱立方体のことです。
1つの頂点に3個の正四角形(正方形)が集まっています。




正八面体
正八面体側面が正三角形の正四角錘を上下にくっつけた形です。
1つの頂点に4個正三角形が集まっています。
図の赤線の部分は正方形です。




正十二面体
正十二面体1つの頂点に3個正五角形が集まっています。
サッカーボールに似た正多面体です。





正二十面体
正二十面体1つの頂点に5個正三角形が集まった正多面体です。
図の赤線の部分は正五角形です。






正多面体は5つしかない

正多面体は5つしかありません。
なぜでしょうか?

正多面体を構成している正多角形(正三角形・正方形・正五角形)の1つの内角の大きさと、1つの頂点に集まっている面の数を考えてみればわかります。

まず、正六角形でできた正多面体はありません。
正六角形の1つの内角の大きさは120°です。
1つの頂点には最低3つの面が集まらないと立体にはなりません。
正六角形を3つ集めると120×3=360°
ちょうど1つの平面になってしまって、立体にはなりません。
だから、正六角形でできた正多面体はないとわかります。

正七角形以上のものの1つの内角は120°を超えてしまい、3つ集めると360°を超えてしまうので、へこんでしまいます。

以上より、正六角形以上の面で正多角形をつくることはできないことがわかります。


次に、正三角形で何種類の正多面体ができるかを考えてみましょう。
正三角形の1つの内角の大きさは60°です。

面が3つ集まっても180°、これが正四面体です。

面が4つ集まっても240°、これが正八面体です。

面が5つ集まっても300°、これが正二十面体です。

面が6つ集まったら360°になってしまい、立体にならないので、正三角形が6つ以上1つの頂点に集まる正多面体はありません。


次に正方形でできている正多面体を考えます。
正方形の1つの内角は90°です。
面が3つ集まっても270°、これが正六面体です。
面を4つ集めると360°になり、立体にならないので、正方形でできる正六面体以外の正多面体はありません。

最後に正五角形でできている正多面体です。
正五角形の1つの内角は108°です。
面が3つ集まっても324°、これが正十二面体です。
面を4つ集めると360°を超えてしまうので、正五角形でできる正十二面体以外の正多面体はありません。

以上より、正多面体は5つ、正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体だけしかないことがわかります。


面の数、辺の数、頂点の数

それぞれの正多面体は、いくつの面、何本の辺、何個の頂点からできているのでしょうか?

正四面体
正四面体面の数は、正「四」面体ですから当然4面です。
辺の数は底面に3本、その上に3本で計6本です。
頂点は底面に3個、それに頂点を加えて4個です。




正六面体
正六面体面の数は、さいころ形だから6面です。
辺の数は上の底面に4本、間に4本、下の底面に4本で計12本です。
頂点は上と下の底面に4個ずつで8個です。



正八面体
正八面体(2)面の数は8面
辺の数は、上に4本、中の四角形に4本、下に4本で12本
頂点は上に1個、下に1個、中に4個で6個




正十二面体
正十二面体面の数は12面です。

辺の数ですが、そろそろ数えるのがむずかしくなってきます。
計算で求める方法を考えてみましょう。

正十二面体の一つの面は正五角形です。だから辺の数は5本
面が十二面あるから、5×12=60本という式ができます。
ところが、1つの辺は2つの面の境目であり、1つの辺を2つの面で2回だぶって数えたことになります。だから、2でわって、60÷2=30本
これが、正十二面体の辺の本数です。

頂点も同じように、式で求めてみましょう。
正五角形だから、頂点の数は5個。面が12あるから5×12=60個。
ところが、1つの頂点に面が3つ集まっています。つまり、1つの頂点を3つの面で共有しています。3回だぶって数えたことになるから60÷3=20個。
頂点の個数は20個です。


正二十面体
正20面体(2)面の数は20面です。

辺の数を計算で求めます。
正三角形×20面÷だぶって数えた2で、3×20÷2=30本

頂点の数も計算で求めます。
正三角形×20面÷1つの頂点に5つの面が集まっているから5。
3×20÷5=12個です。


オイラーの定理

18世紀の数学者オイラーが発見した定理に、オイラーの多面体定理とよばれる定理があります。

すべての多面体(正多面体だけではありません)の面と辺と頂点の個数の間に、
の数+頂点の数-の数=
の式が成り立つ、これがオイラーの多面体定理です。



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math 平面と垂直な辺

どんなときに、平面と直線は垂直だといえるのでしょうか?

平面と垂直











平面と垂直の2左の図のように、一つの方向から見たら平面Pと直線Lが垂直であるように見えたとしても、別の方向から見たら垂直ではないとき、「平面と直線は垂直である」とは言えません。

そこで、数学では、『平面Pと直線Lとの交点をOとするとき、点Oを通る平面上の2本の直線m、nとLが垂直であれば、平面Pと直線Lは垂直である』とします。
平面と垂直の3
左の図で、直線L⊥直線m、直線L⊥直線mのとき、直線L⊥平面Pなのです。

これは、空間図形ではとても重要な定理です。

やさしい問題では「直線L⊥直線m、直線L⊥直線mのとき、直線L⊥平面P」 をことさら意識しないで問題を解いても大丈夫ですが、レベルの高い問題だと、知識として知っておかないと解けないことがあります。


例題:図の直方体ABCD-EFGHについて、面ABCDと垂直な辺をすべていえ。
直方体
(解答)
長方形の辺だからAB⊥BF、BC⊥BF
だから、面ABCD⊥BF。

同様に考えて、面ABCDと垂直な辺はCG、DH、AE。

答えは、辺BF、辺CG、辺DH、辺AEです。


ところで、この例題は小学校でも出てくる簡単な問題なのですが、「面ABCDと垂直であるのは辺AB、BC、CD、DAである」とまちがえる人がよくいます。

もう一度、図で面ABCDと垂直になっている辺を見てください。
テーブル
これって、何かの形に似ていませんか?

私には、テーブルに見えます。

だから、面に垂直な辺をなかなか見つけられない人には、「テーブルが、面に垂直な辺なんだよ」、「面をテーブルとしたとき、テーブルの脚にあたる辺が、面に垂直な辺なんだ」と、見つけ方を指示しています。


(補足)

重要事項の1

空間の2直線の位置関係は、「平行」・「交わる」・「ねじれの位置」の3つです。
そして、「平行」と「交わる」のとき、2本の直線は同一平面上にあります。
ねじれの位置」は、2つの直線が同一平面上にないとき、です。

「垂直」は、「交わる」の一種であり、特に直角に交わるときを「垂直」といいます。


重要事項の2

「交わる」かどうか、「垂直」であるかどうかは、図で実際に交わっているかどうかだけで判断してはいけません。

平面と垂直の補足
左の図で、辺BEと面P、辺CFと平面Pは、見た目では交わっていませんが、数学では「垂直」です。

つまり、「交わる」、「垂直」のうちには、延長すると「交わる」もの、延長すると「垂直」に交わるものもふくみます。

問題を解くときによく見落とすので、注意が必要です。







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math 積み重ねた立方体の表面積

数え間違いをしやすい問題の一つに、積み重ねた立方体の表面積を求める問題があります。

例題:
図は、1辺が2cmの立方体を積み重ねたものである。
表面積を求めなさい。


1












(正確に求めるコツ)

立体(空間図形)の問題を考えるとき、役にたつ発想の一つが、『6つの方向から眺める』です。

2最も基本的な立体は立方体です。

そして、さいころが6面でできているように、立方体は6つの面でできています。

だから、左の図のように、上と、下と、側面の4方向の、計6つの向きから眺めると、立体のすべての面を眺めることができます。

この考え方を用いて、例題1の積み重ねた立方体の、外に見えている正方形の面を、6つの方向から眺めて数えると、数え落としや重複をしないで、表に表れている面の個数を正確に見つけることができます。

では、例題1の積み重ねた図形の、表面に出ている面の数を数えていきましょう。

まず、上から眺めます。

3上から見たとき、正方形の面が9個見えていることがわかります。

次に、ちょっと考えると、下から眺めたときも、同じ数の正方形の面があることがわかります。

上から見て9個、下から見て9個、この段階で正方形の面が18個、見えています。・・・(1)








次に、左と右から、見えている正方形の面を数えてみましょう。

4右から見たら、正方形の面が8個、見えていることがわかります。

さらに、上下と同様に、左から見たときの面の数も、右から見たときと同数の8個であることが、図からわかります。

以上より、左右から見える正方形の面の数は8×2=16個です。・・・(2)

最後に、手前からと向こう側からと、残った2方向から眺めて、正方形の面の個数を数えてみましょう。

5手前から眺めて、見えている正方形の面の数は10個です。

そして、これまでと同様に、向こう側からも見たときも同数の10個、正方形を見ることができます。

この2つの方向から数えることができる正方形の面の数は、10×2=20個です。・・・(3)







以上、(1)(2)(3)より、表に表れている正方形の面の数は、18+16+20=54個。

これで、この図形の表面積を正確に求めることができます。

まず、1辺が2cmの立方体を積み重ねたものであるから、1つの正方形の面の面積は2×2=4平方cm。

その正方形の面が54面、表に出ているわけだから、表面積は、4平方cm×54面=216平方cm。



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mathematics 立体の切断(高校入試に出る難しい問題)

立体の切断の問題はレベルの高い高校の入試問題としてよく出題されます。
解き方に慣れておく必要があります。


垂直な辺から底面と高さを見つけて解く問題

例題1:左の図は、AB=4cm、BC=4cm、AD=6cm、∠ABC=90度の三角柱である。こ例題1の立体を、3点B、D、Fを通る平面で切る。頂点Aをふくむ立体の体積を求めよ。














(考え方)
切り取ったほうと残ったほうの両方をながめて、解きやすいほうを選ぶのが鉄則です。
この問題の場合、どう見ても三角錐B-DEFのほうが単純な立体なので、そちらの体積を最初に求め、全体からその体積をひくと求める立体の体積を求められます。

このとき、見かけに騙されて底面が△BDFの三角錐と思わないことです。

角錐の体積の公式は、底面積×高さ×1/3ですが、その裏の意味は、底面積高さがわかる立体しか体積は求められないということです。
この問題の場合、まず△DEFを底面積と見ると底面積を一番求めやすくなります。
また、△DEFを底面積と見たら、BEがこの三角錐の高さだということも出てきます。
高さある辺と面が垂直であるといえるには、面上の2本の直線とその辺とが垂直だといえることが必要です。
この問題だと、側面が長方形なので、BE⊥DE、BE⊥EFより、辺BFは面DEFに対して垂直です。

以上の考察より、三角錐B-DEFの体積は、
底面積×高さ×1/3
=△DEFの面積×高さBE×1/3
=4×4×1/2×6×1/3
=16

よって、求める頂点Aをふくむ立体の体積は、
三角柱−三角錐
=4×4×1/2×6−16
=48−16
=32


知っ得:角錐の体積の公式は、底面積×高さ×1/3だが、その裏の意味は、底面積高さがわかる立体しか体積は求められない、ということ



角柱と角錐にして体積を求める問題

例題2:左の図は、AB=6cm、BC=8cm、AD=4cm、∠ABC=90度の三例題2角柱で、点M、Nは辺AC、BCの中点である。この三角柱を、3点MDEを通る平面で切るとき、頂点Aをふくむほうの立体の体積を求めよ。










(考え方)
頂点Aをふくむ立体の体積をこのままで直接求めることはできません。
そこで思い浮かべてほしいのが、「習ったものしか入試には出ない」という鉄則です。
(球を除くと、)中学生が習った体積の公式は、円柱と角柱と円錐と角錐だけです。
この問題では円柱、円錐は考慮しなくてよいので、結局、自分たちが体積を求めることができるのは角柱と角錐だけです。
だから、角柱と角錐に分けてみようと考えます。

例題2の2そうすると、左の図のように区切ったら、体積を求めたい立体が三角柱と四角錐に分けられることに気づくことができます。
三角柱MGH-NBEと四角錐M-ADHGです。
区切るときの目安は、例題1と同様、高さにあたる辺を見つけられる切り方を考えることです。Mが頂点である四角錐と考えたら、MG⊥面ADHGになってくれます。

三角柱MGH-NBEの体積は底面積×高さ
=△NBE×高さGB
=4×4×1/2×3
=24

四角錐M-ADHGの体積は底面積×高さ×1/3
=底面ADHG×高さMG×1/3
=3×4×4×1/3
=16

よって、24+16=40


知っ得:(球を除くと)角柱と角錐、円柱と円錐の体積しか求められない。



同じ種類の問題で、さらにやや複雑な問題をもう1問。

例題3:左の図は、底面の1辺が12cm、高さが10cmの正四角錐である。点例題3E、F、G、Hはそれぞれ辺OA、OB、BC、ADの中点で、EF=6cmである。この四角錐を、4点E、F、G、Hを通る平面で切るとき、頂点Aをふくむほうの立体の体積を求めよ。










(考え方)例題2とまったく同様です。
(1)角柱と角錐しか体積は求められないから、角柱と角錐に分ける。
(2)高さが求められるかどうかを基準に立体を見つけていく。


例題3の2(1)(2)を念頭において切断する方法を考えます。

角錐の頂点(その点に各辺が集まる)を真っ先に見つけるのがコツです。

この問題だと、点Eと点Fから底面に垂直に切り分けて、左の四角錐と真ん中の三角柱と右の四角錐に切り分けます(左の四角錐と右の四角錐は合同な立体です)。

左の四角錐の体積は、
底面積×高さ×1/3
=底面HAIL×高さは四角錐0-ABCDの半分×1/3
=3×6×5×1/3
=30

真ん中の三角柱の体積は、
底面積△FJK×高さの辺EF
=6×5×1/2×6
=90

右の四角錐は左の四角錐と同じ体積で30

以上より、求める立体の体積は30+90+30=150



延長して角錐の一部であることを見つて解く問題(相似の利用)

例題4:左の図は、1辺が6cmの立方体で、点M、Nはそれぞれ辺AB、例題4ADの中点である。この立方体を4点M、F、H、Nを通る平面で切る。頂点Aをふくむほうの立体の体積を求めよ。












(考え方)
この問題で、求めたい部分を直接切断するのは難しそうです。

視点をかえて、辺AE、MF、NHを上に伸ばしたら、三角錐ができるのではないかと考えます。
例題4の2三角錐I-EFHから、三角錐I-AMNをひいたらAをふくむ立体の体積が求められます。

三角錐I-EFHの体積は、
底面積×高さ×1/3
=底面△EFH×高さIE×1/3
=6×6×1/2×12×1/3
=72

三角錐I-AMNの体積は、
底面△AMN×高さIA×1/3
=3×3×1/2×6×1/3
=9

求める体積は72−9=63
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