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homeroom 数学の入試問題を解くとき大切なこと 正しい入り口から入らないと問題は解けない(場合の数・確率)

入試問題を解くとき、その問題を解くための入り口は決まっており、正しい入り口から入らないと問題は解けません。

並び方(順列)の問題は、わくを書いて解きます。


並び方(順列)の問題の入り口・・・わくを書いて場合の数を書き込み、計算で求める

例題:A,B,C,D,Eの5人を長いすに横一列に座らせます。次の問いに答えよ。
(1)5人の並び方は全部で何通りあるか。
(2)B,Cの2人がとなり合わせになる並び方は何通りあるか。
(3)A,Bが長いすの両端に座る確率を求めよ。
(4)B,Cの2人がとなり合わせにならない確率を求めよ。


(正しい入り口から入る)
(1)5人の並び方は全部で何通りあるか。
樹形図左端をAと決めると、左から2番目にはB,C,D,Eの4通りが座る可能性があります。
2番目がBと決まると左から3番目に座る可能性があるのはC,D,Eの3通り、
A,B,Cと座ると4番目はD,Eの2通り、
最後にA,B,C,Dが座ると右端はEだけの1つです。

そして、左端に座る可能性があるのはAと、B,C,D,Eの5通りです。

左端が5通り、その1つについて左から2番目が4通りずつ、3番目が3通りずつ、4番目が2通りずつ、右端が1通りです。
これを式に書くと、
5×4×3×2×1となります。

以上の理屈を理解した上で、問題を解くときは、5人の座るいすをそれぞれ1つのわくと考え、わくの中にすわる可能性のある人数を書き込んでいきます。

順列5人の並び方は、5×4×3×2×1=120通りです。




(2)B,Cの2人がとなり合わせになる並び方は何通りあるか。
B,Cの2人がとなり合わせなので、B,Cをくっついた1つの組、(BC)と考えて、A,(BC),D,Eの4つの並び方を考えます。
順列の2
並び方は4×3×2×1=24通りです。

ところが、「B,Cの2人がとなり合わせ」というとき、B,Cの順に並んでいるとは限りません。
C,Bの並び方もあります。
上で求めた24通りはB,Cと並んだときなので、同じ個数だけあるはずのC,Bと並んだときも考慮しないといけません。

以上より、B,Cの2人がとなり合わせになる並び方は、
24×2=48通りです。


(3)A,Bが長いすの両端に座る確率を求めよ。
Aを左端、Bを右端と決めてわくを書いてみます。
順列の3Aが左端、Bが右端と決めたので、残ったのはC,D,Eの3人です。
だから、座り方は3×2×1=6通り。

ところが、Bが左端でAが右端の場合も同じ個数だけあるから、「A,Bが長いすの両端に座る」並び方は、6×2=12通りだということになります。

最後に、(1)で求めた5人の並び方の120通り、A,Bが両端に座る12通りを、確率の式「ある場合の数/すべての場合の数」にあてはめて、
12/120=1/10

答えは1/10です。


場合の数・確率の問題の入り口・・・「ならない」場合の数は、全体や1から「なる」場合をひく

(4)B,Cの2人がとなり合わせにならない確率を求めよ。
正直に「となり合わせにならない」場合を数えるのは大変です。

場合の数や確率の問題では、「ない」=「全体-なる場合」、「ない確率」=「1-なる確率」で求めればよいという法則があります。

(解き方1)
5人の並び方は120通り、2人が「となり合う」並び方は48通りでした。
だから、「となり合わせにならない」並び方は、120-48=72通りです。

確率の式「ある場合の数/すべての場合の数」にあてはめて、72/120=3/5、「B,Cの2人がとなり合わせにならない確率」は3/5です。

(解き方2)
5人の並び方は120通り、2人が「となり合う」並び方は48通りでした。
だから、B,Cの2人が「となり合う」確率は48/120=2/5です。

「となり合う」確率が2/5だから、「となり合わせにならない」確率は、1-2/5=3/5です。



この稿のまとめ

1、並び方順列)の問題の入り口・・・わくを書いて場合の数を書き込み、計算で求める

2、ならない」場合の数・確率の問題の入り口・・・「ならない」場合の数は、全体1から「なる」場合をひく



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homeroom 数学の入試問題を解くとき大切なこと 正しい入り口から入らないと問題は解けない(空間図形・三平方の定理)

入試問題を解くとき、その問題を解くための入り口は決まっており、正しい入り口から入らないと問題は解けません。

空間図形の応用問題は、三平方の定理相似をもちいて解きます。


空間図形(三平方の定理)の問題の入り口・・・平面を見つけて、平面を書き出し、平面を使って解く

例題:1辺の長さが8cmの正四面体O-ABCがあり、BCの中点をM、OD=DMとなるOA上の点をD、MからOAにひいた垂線とOAとの交点をNとする。このとき、次の問いに答えよ。
三平方(1)MNの長さを求めよ。
(2)点DからAMにひいた垂線とAMとの交点をHとするとき、DHの長さを求めよ。












(正しい入り口から入る)
求めたい線分がふくまれている平面を見つけてその平面を書き出し、書き出した平面の図を使って解きます。

(1)MNの長さを求めよ。
三平方の2MNをふくんでいる平面は△OAMです。
平面である△OAMで考えますが、辺OM、辺AMの長さを先に求めておかないといけません。

そこで、まず、辺の長さがわかっている正三角形△OBCか△ABCを使って、OMかAMの長さを先に求めます。

どちらでもよいのですが、△OBCを使ってOMの長さを求めましょう。

このとき、さっと平面OBCを書き出して解くほうが正確に解けます。
三平方の3
△OBCは1辺が8cmの正三角形です。
1つの角が60°だから、BM:OB:OMは1:2:√3です。
BM=4だから、OM=4√3。

OMもAMも長さは4√3です。

OM、AMの長さがわかったので、次に△OAMを書き出して、その平面を使ってMNの長さを求めます。



三平方の4AN=4、AM=4√3、∠ANM=90°より、直角三角形AMNで三平方の定理をもちいて式を立てます。
三平方の5












(2)点DからAMにひいた垂線とAMとの交点をHとするとき、DHの長さを求めよ。
三平方の2難しい問題になるほど、平面で解かないと解きにくくなります。

DHが含まれる平面も△OAMですから、これまでにわかった長さを記入し、もう一度△OAMを書き出して考えていきます。







三平方の6DHの長さを求める前に、ADやODの長さがわかっていないので、まずそちらを先に求めないといけません。

問題文中のOD=DMがヒントになります。
OD=DM=xとすると、
直角三角形NDMで、DM=x、DN=x-4、MN=4√2。
三平方の定理をもちいて式を作ります。
三平方の7










わかった、DM=6cm、DN=2cmをさらに書き込んで、やっとDHの長さを求めることができます。
三平方の8
DA=2、DM=6、AM=4√3と、3辺の長さがわかっているので、AHを先に求めないと解くのに時間がかかります。

AH=yとすると、HM=4√3-y。
直角三角形DAHと直角三角形DHMで三平方の定理を使ってDHの2乗を2通りの方法で表わせることを使って方程式を立てます。
三平方の9












最後に直角三角形DAHでもう一度三平方の定理を使います。
三平方の10






















三平方の定理も相似も、習うときはまず平面図形の問題として学習します。また、試験の答案用紙も平面です。
私たちの目と頭は、ものごとを考えるとき、平面で考える癖があるのです。

だから、空間図形の問題も平面の問題として考えるほうがずっと解きやすいし、間違いも少なくなります。



この稿のまとめ

空間図形(三平方の定理)の問題の入り口・・・平面を見つけて、平面を書き出し、平面を使って解く




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homeroom 数学の入試問題を解くとき大切なこと 正しい入り口から入らないと問題は解けない(平面図形・相似)

入試問題を解くとき、その問題を解くための入り口は決まっており、正しい入り口から入らないと問題は解けません。

平面図形の応用問題は、相似三平方の定理をもちいて解きます。


平面図形(相似)の問題の入り口・・・ちょうちょ型の相似を見つけて比を書き込み、おむすび型の相似を使って解く

例題:
AD//BC、AD=3cm、BC=6cmの台形ABCDがある。対角線相似AC、BDの交点をEとし、Eを通り、BCに平行な直線と辺CDの交点をFとする。次の問いに答えなさい。
(1)EFの長さを求めよ。
(2)△DBFの面積は、台形ABCDの面積の何倍かを求めよ。








(正しい入り口から入る)
ちょうちょ型相似を見つけてを書き込み、おむすび型相似を使って解きます。

相似の2
まず、ちょうちょ型の相似を見つけます。
△AED∽△CEBです。

次に、相似比を見つけて、それを書き込みます。
AD:BC=3cm:6cmだから、
AD:BC=1:2
見つけた相似比を、DE:EBに書き込んでおきます。




次に、おむすび型の相似を見つけて、求める長さにxと書き込み、比を使って方程式を立てると、答えを求めることができます。
相似の3
△DEF∽△DBCで、相似比は1:1+2=1:3です。

比の方程式を作ると、
x:6=1:3
この方程式を解いて、
3x=6
x=2

EFの長さは2cmです。



面積を比べる問題の入り口・・・高さが等しい三角形を見つけて、底辺の比を使って面積の比を求める

(2)△DBFの面積は、台形ABCDの面積の何倍かを求めよ。
相似の4
(面積の比を求める問題の入り口)
高さが等しい三角形を見つけて、底辺の比を使って面積の比を求めます。










まず、△ABDと△DBCは高さが同じです。
相似の5
底辺の比はAD:BC=3:6=1:2です。

高さが等しく、底辺の比が1:2であれば、面積の比は1:2になるはずです。
△ABD:△DBC=1:2

また、△ABDの比が1で、△DBCの比が2であれば、台形ABCDの面積の比は3です。

ゆえに、△DBCの面積は台形ABCDの2/3です。


次に、△DBFと△FBCは、DFとFCを底辺とみれば、高さが等しい三角形です。
相似の6
(1)より、DE:EB=1:2だから、DF:FC=1:2です。

底辺の比が1:2だから、△DBFと△FBCの面積の比も1:2であり、△DBCの面積の比は3です。
ゆえに、△DBFの面積は△DBCの面積の1/3です。

△DBCの面積が台形ABCDの面積の2/3であり、
さらに△DBFの面積が△DBCの面積の1/3だから、
△DBFの面積は台形ABCDの面積の2/3×1/3=2/9。

△DBFの面積は台形ABCDの面積の2/9倍です。


この稿のまとめ

1、平面図形(相似)の問題の入り口・・・ちょうちょ型の相似を見つけてを書き込み、おむすび型の相似を使って解く

2、面積を比べる問題の入り口・・・高さが等しい三角形を見つけて、底辺を使って面積を求める



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homeroom 数学の入試問題を解くとき大切なこと 正しい入り口から入らないと問題は解けない(関数)

家には、必ず決まった「入り口」「玄関」があります。
そこから入らないと家には入れません。

同じように、入試問題を解くときも、その問題を解くための入り口は決まっており、正しい入り口から入らないと問題は解けません。


関数の問題の入り口・・・式と座標を書き込んで、座標を使って方程式を立てる

例題:2点A(0,10)、B(-10,0)を通る直線y=x+10がある。また、点関数Aとx軸上の点C(5,0)を通る直線Lがある。
いま、線分AB上に点P、線分AC上に点Qをとり、2点P、Qからx軸にひいた垂線とx軸との交点をそれぞれR、Sとし、四角形PRSQをつくる。
四角形PRSQが正方形になるとき、点Sのx座標を求めよ。





(正しい入り口から入る)
座標を書き込み、座標を使って方程式を立てます。

方程式を立てる準備として、求める点Sのx座標をtとして書き込みます(通常、求めるものをxとしますが、関数の問題では先にxが使われているのでtを使います)。
関数の2これで、正しい入り口から入ったことになります。
あとは安心して解けばよいだけです。

(解き方)
とにかく、座標を使って方程式を立てるのが目標ですから、S以外の点、Q、P、Rの座標を、tを使って書き込んでいきます。

この際、わかっている一方の座標を見つけ、その点を通っている式に代入して、もう一方の座標を書き込みます。
(重要)わかっている座標代入→もう一つの座標を書き込む

まず、点Qです。
点Sの真上なので、x座標はt。
点Qを通る直線Lの式がわかっていないので、まず、直線Lの式を求めておきます。
直線LがA(0,10)、C(5,0)を通っているので、傾きは-2(右へ5進み、下に10進んでいるので)、そして切片は10。
よって、直線Lの式は、y=-2x+10。
わかっている点Sのx座標のtを直線Lの式に代入して、点Qのy座標は、
-2t+10。
以上より、点Q(t,-2t+10)。
関数の3
次に点Pです。
点Qの真横にあるので、y座標は点Qと同じ-2t+10。
点Pを通る直線の式がy=x+10だから、その式のyにy座標の-2t+10を代入して、
-2t+10=x+10
-x=10+2t-10
-x=2t
x=-2t
これで、点Pの座標(-2t,-2t+10)がわかったので書き込みます。

さらに、点Rが点Pの真下にあることから、点Rの座標が(-2t,0)であることもわかります。

(方程式を立てる)
これで、座標を書き込むことができたので、あとは問題文をよく見て、方程式を作るだけです。
問題文の「四角形PRSQが正方形になる」が、方程式を作ることができる部分です。

方程式とは等式だから、等しいものを見つけて等式を作ったら方程式になります。
そして、「正方形」とは、縦と横の長さが等しい四角形です。

縦QS=横RSだから、
-2t+10=3t

注意)点Rのx座標は-2tですが、-2t負の数であり、長さ正の数になおさないといけないので、座標は-2tでも、長さは、符号を入れかえた、正の数の、2tです。
だから、RSの長さは2t+tの3tです。

最後に、作った方程式を解いて終わりです。
-2t+10=3t
-2t-3t=-10
-5t=-10
t=2

求める点Sの座標は、(2,0)です。


この稿のまとめ

関数の問題の入り口・・・座標を書き込んで、座標を使って方程式を立てる




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homeroom 数学の入試問題を解くとき大切なこと 正しい入り口から入らないと問題は解けない(規則性)

家には、必ず決まった「入り口」「玄関」があります。
そこから入らないと家には入れません。

同じように、入試問題を解くときも、その問題を解くための入り口は決まっており、正しい入り口から入らないと問題は解けません。


規則性の問題の入り口・・・表を書いて規則を見つける

題:1辺10cmの正方形の紙を規則的に並べ、左右対称の階段状の図形規則性をつくっていく。
このとき、図形の順番をxとし、xの変化にともなって変わる量をyとする。x番目のいちばん下の段にある折り紙の枚数をy枚として、yxの式で表せ。


(正しい入り口から入る)
xとyの関係をに書いて、規則を見つけます。
規則性の表の21番目の下の段の枚数は1、2番目の下の段は3、3番目の下の段は5、4番目の下の段は7、…、2ずつ増えていることがわかります。

これで、正しい入り口から入ったことになります。
あとはじっくりと考えて解くだけです。

(解き方1)
yは、最初の数が1で、それから2ずつ増えています。
xが2番目のとき、yは、1+2×1
xが3番目のとき、yは、1+2×2
xが4番目のとき、yは、1+2×3

ここで、xがn番目のとき、yを表す式が1+2×(n-1)であることに気づいてください。

答えは、
y=1+2(x-1)
=1+2x-2
=2x-1
です。

(解き方2)
規則性の表の22ずつ増えていることから、増える量(=変化の割合)が一定だから、yはxの一次関数だと考えます。

一次関数で、その式は、y=2x+bであることがわかります。
あとは、bが何であるかを見つけるだけです。

x=1のときy=1なので、y=2x+bの式に代入して、
1=2×1+b
1=2+b
-b=2-1
-b=1
b=-1

よって、答えは、y=2x-1です。


この稿のまとめ

規則性の問題の入り口・・・を書いて規則を見つける




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math おうぎ形の面積を求める3つの方法と子どもの発達段階

おうぎ形の面積は、円の面積(半径×半径×3.14)をもとに、おうぎ形が円のどれだけにあたるか考えて求めます。

そのとき、6年生の解き方は3種類に分かれます。

半径が6cm、
おうぎ形中心角が60°のおうぎ形の面積を求める式を考えてみます。








(1)整数で発想する方法と(2)分数で考える方法

(1)1つの考え方は、整数で考える方法です。

おうぎ形が円のどれだけにあたるかを整数で考えます。
円とおうぎ形
円の中心角が360°で、おうぎ形の中心角が60°なので、360÷60=6
おうぎ形が円の6分の1であることがわかります。

(面積を求める式)
360÷60=6
6×6×3.14÷6=18.84




(2)もう1つの考え方は、最初から分数で考える方法です。

円の中心角が360°で、おうぎ形の中心角が60°だから、60÷360=1/6
おうぎ形が円の6分の1であることを、最初から分数で求めます。

(面積を求める式)
60÷360=1/6
6×6×3.14×1/6=18.84


(1)も(2)も、小学校「算数」の考え方ですが、6年生の多くは、(2)の分数より(1)の整数を使うほうがわかりやすいようで、(1)の発想法を好みます。


(3)公式化して、中学数学と同じように解く方法

中学数学では、おうぎ形が円のどれだけにあたるかは中心角/360°で求められることを当然の前提として、おうぎ形の面積を求める式を「公式」として最初に覚えます。

おうぎ形の面積を求める公式=半径×半径×3.14×中心角/360
(中学では、3.14のかわりにπを使いますが…。)

この公式に機械的にあてはめて解く方法が3番目の解き方です。 
おうぎ形
(面積を求める式)
6×6×3.14×60/360=6×6×3.14×1/6=6×3.14=18.84





小学6年生はどの考え方で解くべきか?

円の面積の問題は小学校6年生で習いますが、6年生はおうぎ形の面積を求めるのに、上記3つの方法のうち、どの方法で解くべきでしょうか?

私は、小学生はできるだけ抽象的な思考を避けて、具体的なイメージを頭にうかべながら物事を考えるほうがその発達段階にふさわしいのではないかと思っています。

小学生はできるだけ具体的に考える、中学生は具体性を引きずりながら少しだけ抽象的思考に慣れる、高校生以上になると純粋に抽象的な思考ができるようになる、と段階を踏むのが理想的です。

また、具体的ではあっても、整数でないとイメージがわかないようでは少し幼稚過ぎます。
6年生ともなれば、いちいち整数に還元しないで、直接、小数や分数で考えられないといけません。

以上より、6年生におすすめの方法は(2)だということになります。


問題:次のおうぎ形の面積を求めなさい。
問題1
(おすすめの解き方)
45÷360=45/360=1/8
8×8×3.14×1/8=8×3.14=25.12





問題2(おすすめの解き方)
150÷360=150/360=5/12
6×6×3.14×5/12=3×3.14×5=47.1

整数でしか考えられない人は、左の問題だとどう解いたらよいか困ってしまいます。

中心角÷360°の式を使い、おうぎ形が円のどれだけにあたるかを分数で表すやり方に慣れるべきです。


まとめ

おうぎ形の面積を求めるときのおすすめの方法・・・

まず、中心角÷360=分数
次に、おうぎ形は円の一部だから、半径×半径×3.14×分数
注意点として、約分できるときは必ず約分を先にする



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math わる数は分数の下(分母)に(「なぜ、そうなるのか」の大切さ)

中1の一次方程式、次の計算の、どこがまちがいかすぐに指摘できますか?

分数の計算ミス








方程式の計算ミスで最も多いのがこのまちがいです。

2÷3は?と聞くと、2/3と答えます。
ところが方程式だと、同じ人が3/2とやってしまう。


まちがえる人の思考回路


5x+2=2x+4・・・xは左辺に、数字は右辺に
5x-2x=4-2・・・両辺をそれぞれ計算して
3x=2・・・最後はわり算
x=3/2・・・わりきれないときは分数


「文字の項は左辺に、数字だけの項は右辺に」、「それぞれの辺を計算して」、「最後はわる」、「わりきれないときは分数に」の、『しなければならないこと』、『このときはこうするという指示』だけは身についているわけです。

不足しているのは、『なぜ、そうなるのか』です。

3x=2だと、最後は2÷3だから2/3になる、その「2÷3だから」が、意識できていないのです。


指導の仕方で悩む

方程式の計算問題だけではありません。

勉強はしているのにテストの点数が伸びない人の共通点は、『このときはこうするという指示』は覚えているのに、『なぜ、そうなるのか』を意識できていない、に尽きます。

この、『なぜ、そうなるのか』を常に意識できる段階にまで成長してもらうのが一番むずかしい。

『なぜ、そうなるのか』にこだわる授業は、面白くないし、すぐに効果が出てくるようなものではありません。

「2÷3だから2/3」と教えるより、「最後、分数になるときは左の数字が右に移って分数の下!」と指示するほうが、子どもたちは聞く耳を持ちますし、まずは「有効」なのです。


「成長する」、「大人になる」ということ

中1の一次方程式の解き方は1つです。
中2の連立方程式になると加減法・代入法と解き方が2種類になって、どちらを選ぶかを選択する必要がでてきます。
中3の二次方程式だと、因数分解・平方完成・解の公式とさらに解き方が複雑に増えて、解く人は問題に応じて最適な解き方を選ばないといけません。

成長する、大人になるということは、複雑な現実を分析できて、その複雑な現実から最適な解を選べるようになるということです。

『このときはこうするという指示』を覚えるのが勉強だと思っている人、『なぜそうなるのか』を考えることをウザイと感じてしまう人は、成長できません。

そこを子どもたちにわかってもらうのがむずかしい。



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math マイナス(−)は大きくはっきりと(計算まちがいをなくすコツ)

中学生の計算まちがいのほとんどは符号のミスです。

そして、符号まちがいをする人のほぼ共通する特徴は、−(マイナス)を薄く、小さく書くことです。


まず、ミスをする原因を知る

自分の欠点を知った人、ミスをする理由がわかった人だけが、欠点をなおすことができます。

まず、−(マイナス)を薄く小さく書く人は、自分がよくミスをする原因が何かをわかっていません。
だから、同じような符号まちがいを何度もしてしまいます。

教える者は、ミスの多い人の失敗の原因が符号まちがいであることを指摘してあげることが必要です。


次に、ミスをなおす具体策を徹底する

ミスをするな、符号まちがいをしないように注意しなさい、というだけではミスはなくなりません。
誰も、ミスをしたくてしているわけではないのです。

符号まちがいをなくそうと思えば、マイナスを大きく、濃く書く癖をつけることです。

−(マイナス)を薄く小さく書く人は、薄く小さく書くから、符号を意識できません(いわゆる、「考えないで計算をしている」状態です)。

マイナスを濃く大きく書く癖さえつけば、マイナスを濃く大きく書くたびに符号を(符号が正しいかどうかを)意識できますから、必然的に計算まちがいは激減します。


実際には、すぐに符号を濃く、大きく書けるようにはなりません。
一度ついた悪い癖はなかなか治りません。

教える者は、正しい癖がつくまで、あきらめないで辛抱強く指摘してあげることが必要です。

私の経験では、−(マイナス)を濃く大きく書くようになった人は、1人の例外なく符号まちがいをしないようになります。




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Japanese 国語の成績を上げるただ一つのコツ

なかなか国語の成績が上がらない人の共通点は何でしょうか?

読書量が足りない、でしょうか?
漢字が読めない書けない、でしょうか?
問題練習が足りない、でしょうか?
知識や一般常識が不足している、でしょうか?

私は、どれも絶対的な決め手ではないと思っています。

私が経験上気づいた、国語の成績が上がらない人の唯一の共通点は、「国語の成績が伸びない子は、自分でわからないと判断すると解答を空白のままにする」です。


どんな問題で解答欄が空白であることが多いか

今、手元にある問題集の適当なページをぱっと開いたら、本文のあとに出ている問題は次のようなものでした。
問題の配列例としてはもっとも一般的なものです。

1、傍線部A〜Eのカタカナを漢字に改めて書きなさい。(漢字の問題)
2、傍線部「新しい」が直接修飾する言葉を次から一つ選び、記号で答えなさい。(文法の問題)
3、文章中の二つのカッコには同じ言葉が入る。次から一つ選び、記号で答えなさい。(文脈から適語を選ぶ問題)
4、文章中の「自然の時空と人間の時空が共振する」とはどういうことか。次から最も適切なものを一つ選び、記号で答えなさい。(文脈の理解を問う問題)
5、傍線部「様々な人々の中で模索がはじまっている」のはなぜか。後半の段落の内容を踏まえて、六十字以内で書きなさい。(記述の問題)


1、の漢字の問題ですが、意外に個人差はありません。書ける漢字はほとんどの人が書いているし、難しい漢字だとほとんどの人が間違うか空けています。
2、の文法問題を空白にする人はほとんどいません(合っているかどうかは別にして)。
3、4、の記号選択問題も、解答欄を空白にする人はまずいません。

問題練習をさせたとき、答えを書くことを断念して解答欄を空ける人が多いのは最後の5番の問題です。

この5番の問題を、頑張って解答欄を埋めようとするか、簡単にあきらめて空白のままで平気かで、国語の成績が伸びるかどうかが決まります。
空白
私は授業中、解答欄に空白がある間は終了と認めない、何か書かないと次に進ませないことがよくあります。

そのかわりに、頑張って何か書いてくれたら、合っているか微妙な問題でも、「よし」と誉めて次に進ませます。



なぜ解答欄を空白のままにしておいてはいけないのか

授業中は次のように言うことが多い。

「解答欄に何も書かないと最初から0点だ。何か書いてあれば、部分点は絶対にある。その差は大きい。空けたままにしないで、とにかくなんでもいいからまず書く癖を今からつけておかないと、実際の入試では書けないよ。」

しかし、本当の理由は入試の些細な損得ではありません。

解答欄を空白のままにしておいてはいけない理由はもっとシンプルなものです。

問題練習は、自転車に乗れない子が自転車に乗る練習をするのと同じです。

初めて自転車に乗るときは、誰でもいやなものです。怖いし、何度か転ぶから痛い。
うちの子もそうでしたが、ほとんどすべての子が最初はいやだと泣き叫びます。

乗るのをあきらめた子は、当たり前のことですが、絶対に自転車に乗れるようにはなりません。

覚悟を決めて乗って、何度か転んで痛い目にあった子だけが上手に乗れるようになる。

転ぶ痛さを経験する人だけが、どうして転ぶのかを本能的に察知しますから、転ばないコツを身につけることができるのです。

解答欄を埋めようと素直に努力できる「自転車に乗ろうとする」人だけが、知らないうちに国語ができるようになっていきます。


どうしたら解答欄を埋められるようになるか

まず、嘘でもいいから、大間違いでもよいから、とにかく書いてみるという心構えが必要です。

最初から満点の、欠点のない解答を書こうとするから書けないのです。
できない人ほどプライドが高い。

できる人は謙虚です。
最初から簡単にできるほど甘いものではないということを知っています。
自分にできる精一杯の答えを書いて、そのあとで自分の欠点を治そうとします。


答え合わせするときに大切なこと

答え合わせにもコツがあります。

記述問題では、答え合わせをするときは最大限自分に甘く採点します。
これが大事です。

模範解答と照らし合わせてみて、ちょっとでも「かすっていたら」、模範解答と同じ趣旨のことがわずかでも書いてあったら、すべて「丸」にします。

ないがしろにしてはいけないのは解答の最後だけです。

上に挙げた問題の5番だと、解答として要求している「なぜか」の部分、ここだけは要求に絶対に従わないといけません。

「なぜか」と聞かれているのだから、解答の最後は「〜だから。」や「〜なので。」以外は認められません。
国語ですから、最後の最後に句点「。」がないのも無効です。

最後の「〜だから。」さえ書いてあったら、自分に大甘に採点するのが書けるようになるコツです。


絶対に解答欄を空白のままにしないという心構え

本当は、「すぐにあきらめて解答欄をあけたままにしない」は、国語以外の科目でも大切な心構えかもしれません。

自分には荷が重いと思われる困難に出会ったときに、簡単にあきらめるのか、自分なりに精一杯の努力をするのか。

そこに、勉強に限らない人生の分岐点があるような気がします。





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essay 「勉強」はピラミッド型の三層構造 (「勉強」の中身を分類することの利点)

一言で「勉強」と言いますが、特に受験勉強では「勉強の内容はピラミッド型である」と意識したら、何を、どのように、勉強すればよいかを具体的にイメージできます。

勉強の内容は、A.定期テストレベル、B.実力テストレベル、C.入試レベルの3つに分かれます。

A.定期テスト
勉強のピラミッドレベルは、小学生であれば学校の単元別テスト中学生であれば学校の定期テストレベルで90点以上とるために必要な勉強のレベルです。

B.実力テストレベルは、外部の模擬テストや中学3年生の実力テストで7〜8割以上得点するために必要な勉強のレベルです。

C.入試レベルは、文字通り、実際の入試で合格ラインを
楽々超えるために必要な勉強のレベルです。


A. 定期テストレベル


小学校の算数であれば、「計算が正確にできる」、「速さや割合や面積の公式がちゃんと使える」など。
中学校数学だと、「計算方程式は完璧にできる」、「グラフの式を求められる」など、英語だと「英単語を間違いなく書ける」、「疑問文否定文を正しく作ることができる」などがこの領域に含まれます。

このレベルの勉強ができている人は、学校では「よくできる人」です。
小学校の低学年からきちんと勉強している人は、それだけでこのレベルはクリアできます。

しかし、受験となると、このレベルの問題が出題されることはほとんどありませんから、まだ入試での得点力はありません。


B. 実力テストレベル

小学校の算数だと、「分配法則で式を簡単にしてから計算する」、「斜線部分の面積は全体から不要な部分をひく」、「旅人算だと、最初の差を、二者の差や和でわる」などをきちんと理解できていること。
中学校数学だと、「グラフでx座標がわかっているときは、グラフの式に代入してy座標を求める」、「面積を二等分する問題は中点を求める」、「円錐の側面積は母線×半径×πで求められる」など、英語だと、「おもな連語はほとんど覚えている」、「like+to〜をbe fond of+〜ingで書き換えられる」などを理解できていることがこの段階になります。

いわゆる「受験のテクニック」と呼ばれるものの多くが、このレベルで習得しておかないといけない代表的なものになります。
学校の勉強だけではどうしても見逃しがちで、塾などで練習して覚え込むことで身につくことが多い事柄です。

ただし、この段階で満足してしまっていては、実際の入試ではまだ得点力はそう高くありません。
入試問題(特に進学校と言われる学校の入試問題)は、このレベルのことは受験生全員が熟知していることを前提に、その応用問題が出題されるからです。


C. 入試レベル

この段階で要求される主なものは、「正確な読解力」、「高度な思考力」、そして「ひらめき」です。

教えてもらって覚える入試テクニックを超えた、いわば個人の努力知識の量に大きく依存する領域です。

そして、「正確な読解力」、「高度な思考力」、「ひらめき」の3つのうち、一番必要とされるのは、意外に思われるかもしれませんが、実は「ひらめき」です。
なぜなら、「読解力」や「思考力」は、A.定期テストレベルや、B.実力テストレベルをクリアしている人であれば既にほぼ全員が修得できているからです。

ここでいう「ひらめき」とは、根拠のないあてずっぽうのヤマカンではありません。
問題を解くときに必要な「ひらめき」とは、「根拠のある推測」のことです。
頭がすばらしくよい人」というのは、「根拠のある推測」ができて、それがいつもズバッと当たる人のことです。


では、この「ひらめき」がある人は、どうやって「ひらめく」力を修得できたのでしょうか?

私の答えはこうです。

何もしないで、生まれつき「ひらめく」ほど、神様から愛されている人などいるはずがありません。
「ひらめく」人とは、多くの骨のある問題を解き、頭の賢い使い方を自分の中に蓄積している人のことです。
多くの問題を解いて訓練を積んだ人は、自分では意識しないで、頭の中に蓄積した情報を瞬時に組み合わせて、正しい解法にたどりつくことができるのです。

したことがある問題だから解けるわけではありません。
蓄積したいくつかの解決法が自然に組み合わされて、出された問題を正しく解くことができるのです。
人から見ると、それが「ひらめいている」ように見えるだけです。

人から教えられるだけではいけない、自分で勉強をし続けないといけないのは、自分だけで多くの問題を解かないといけないのは、そうしないと「ひらめき」のもとになる大切な「なにものか」が頭に集積されないからです。



「勉強」を三層構造のピラミッドと理解することの利点

通常、勉強をする人も、勉強を教える側の人も、勉強の中身を分類して意識することはほとんどありません。

そのことが、多くの「勉強」の「やりそこない」を生じさせます。

例えば、入試直前にA.定期テストレベルの勉強をいくら長時間必死にやっても、ほとんど入試の得点にはつながりません。

また、A.定期テストレベルの学力もおぼつかない人が、C.入試レベルの学習指導に特化したバリバリの進学塾に入ってしまったら、塾通いはその人を傷つけるだけです。

「勉強」の中身を分類することで、今、自分に必要な勉強は何なのかを初めて正確に把握することができるのです。




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