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勉強をしている子どもたちが、悩み、知りたい、理解したいと思いながら、今までは調べる方法がなかった事柄を、必要かつ十分な説明でわかりやすく記述したサイトです

電流

science 電力量と熱量、水の温度上昇、J(ジュール)とcal(カロリー)

電流の単元で、電流によって発生する熱量を求めたり、その熱によって上昇する水の温度を求める問題があります。

電流の単元で熱や水の温度変化が出てくるのはあまりにも唐突(とうとつ)ですが、それには次のような理由があります。


電力量と熱量の関係

熱は、物理学では重要な一分野ですが、中学では熱を単独で取り扱わないので、電流の単元で「ついでに」扱います。

ついでに扱ってよい根拠が、エネルギー保存の法則あるエネルギーが別のエネルギーに変わってもエネルギーの総量は変化しないという物理学の法則)です。

電流によって消費されたエネルギーは、熱のエネルギーに変わることがあります。
そして、エネルギー保存の法則により、電流の消費した電気エネルギーと、電流によって発生した熱エネルギーとは等しい量であると考えてよいのです。

つまり、電力量(電気エネルギー)=熱量(熱エネルギー)

電流によって消費された電気エネルギー=電力量(単位はJ(ジュール))=電力(W)×(s)

だから、電流によって発生した熱エネルギー=熱量(単位はJ(ジュール))=電力量=電力(W)×(s)


例題1:電熱線に2Vの電圧を加えたところ、3Aの電流が流れた。この電熱線に1分間電流を流した。
(1)このときの電力量はいくらか。
(2)このとき発生する熱量はいくらか。



(解答)

(1)電力(W)=電圧(V)×電流(A)、そして、電力量(J)=電力(W)×(s)より、
電力量=(2×3)×60=360J

(2)熱量(J)=電力量(J)=電力(W)×(s)より、6×60=360J


電力量と熱量と水の温度上昇の関係

さらに、電流の単元なのに、突然、水の温度上昇をたずねる問題が出てきます。

その理由は、熱の発生は、温度の上昇によって確かめられ、温度の上昇を調べる方法としては、水を使うのが一番わかりやすいからです(温度、摂氏(セ氏)(℃)自体が水をもとにして決められた単位です)。

そして、1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量は4.2Jであることがわかっています(実験によって求められた数値です)。

1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量が4.2Jであるということは、例えば、100gの水の温度を20℃上昇させるのに必要な熱量は、1gのときの100倍のさらに1℃のときの20倍ですから、4.2×100×20で求められることになります。

これを公式化すると、
が得た熱量(J)=4.2×水の質量(g)×水の上昇温度(℃)

水の温度上昇の問題では、この公式を使います。


例題2:14Ωの電熱線を20℃の水300gの中に入れて42Vの電圧を5分間加えた。
(1)電熱線に流れる電流は何Aか。
(2)水が得た熱量は何Jか。
(3)水の温度は何℃になったか。


(解答)

(1)オームの法則、電流(I)=電圧(V)/抵抗(R)より、42/14=3A

(2)熱量(J)=電力量=電力(W)×秒(s)より、42×3×300=37800J

(3)1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量は4.2Jであり、
が得た熱量(J)=4.2×水の質量(g)×水の上昇温度(℃)
の公式が成り立ちます。

この問題で水が得た熱量は、(2)より37800Jでした。

4.2×水の質量×水の上昇温度=37800だから、
4.2×300×上昇温度=37800
上昇温度=37800÷(4.2×300)
上昇温度=30℃

もとの温度が20℃だったので、水の温度は20+30=50℃になったわけです。
水と熱








J(ジュール)とcal(カロリー)の関係

さらにこの単元では、突然、calカロリー)なる単位が顔を出します。
そのわけは、次のようなものです。

現在の教科書は、エネルギー保存の法則を一貫させた単位系である国際単位系(SI)に準拠して書かれています。
国際単位系では、熱量の単位はJ(ジュール)です。
ところが、以前は熱量の単位としてcal(カロリー)を使っていました(現在でも栄養学ではcalが使われます)。

今の教科書でcalを使う必然性はないのですが、以前の「なごり」から、calが顔を出すことがあるのです。

では、cal(カロリー)とはいかなる単位かと言うと、水1gの温度を1℃上昇させるのに必要な熱の量を1calと定義したものがcal(カロリー)です(つまり、1calは、「そう、決めた」だけです)。

このことから、
水が得た熱量(cal)=1×水の質量(g)×水の上昇温度(℃)
という公式が導かれます。

また、
水が得た熱量(cal)=1×水の質量(g)×水の上昇温度(℃)
であり、
が得た熱量J)=4.2×水の質量(g)×水の上昇温度(℃)
だから、
1cal=4.2J
です。

さらに、1÷4.2=0.238…となるので、
1J=0.24cal
です。
この式は、1Jの熱量で、水1gの温度が1秒で0.24℃上昇することを表わしています。


例題3:抵抗が4Ωの電熱線に6Vの電圧を3分間加えて、電熱線で発生する熱量を調べた。このとき、電熱線で発生した熱量は何Jか。また、この水が3分間に得た熱量は何calか。

(解答)

まず、熱量(J)=電力量(J)=電力(W)×(s)の公式を使います。

オームの法則、電流(I)=電圧(V)/抵抗(R)より、電流=6/4=1.5A

熱量(J)=電力(W)×(s)
=(6×1.5)×(60×3)
=9×180
=1620

電熱線で発生した熱量は1620Jです。

次に、何calであるかを求めます。

このとき、もっとも簡便な方法は、1cal=4.2Jを使って、比の式を作るやり方です。

求めるcalをxとすると、
1:4.2=x:1620
4.2x=1620
x=385.7…

答えは386calです。





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science 中学理科とJ(ジュール)…電力量・熱量・仕事・位置エネルギー

平成24年度以降、中学理科の教科書では、電力量熱量仕事エネルギーの単位として、J(ジュール)が使われます。

中学2年では、電流の単元で、電力量熱量の単位としてJジュール)をもちいます。

中学3年では、運動とエネルギーの単元で、仕事エネルギーの単位としてJジュール)をもちいます。


電力量

電気器具の能力を表わす量が電力であるといわれますが、電気器具が1秒間消費する電気の量電力だという定義のほうがわかりやすい。

電力直列つなぎの乾電池を思いうかべてください。乾電池電力2が多いほど、電圧は大きく、流れる電流も大きいので、豆電球は明るく光ります。
私たちは、「電気の量」を「豆電球の明るさ」で意識します。
この「電気の量」が電力ですから、電力は電圧と電流で表わされます。
つまり、電力(W)=電圧(V)×電流(A)です。



そして、消費された電力総量電力量であり、電力量を表わす単位がJジュール)です。

1秒間という瞬間の電気の量が電力であり、電気をある時間使ったときに消費された電気の総量が電力量です。
電力量
電力量2










だから、電力は、(電圧×電流)×秒、つまり、電力×秒で表わされます。
電力量(J)=電力(W)×(s)


また、Jジュール)は、エネルギーの量を示す単位であり、電力量は、消費された電力の総量を表わすと同時に、消費された電力によって発生した電気エネルギーの量も表わしています。


熱量

電流の持つエネルギーは、他のエネルギーに変わることがあります。
電気エネルギーから他のエネルギーに変わるものとして、熱、光、音、運動などのエネルギーをあげることができます。

そのうちの熱エネルギーの量を、熱量といいます。
熱量の単位も、エネルギーなのでJジュール)です。

エネルギー保存の法則(あるエネルギーが別のエネルギーに変わってもエネルギーの総量は変化しないという物理学の法則)により、電気エネルギーが熱エネルギーに変わってもエネルギーの量は同じです。

だから、電気エネルギーがすべて熱エネルギーにかわったとすると、
熱エネルギー熱量
=電気エネルギー
=電力量
=電力×秒
となります。

つまり、電流によって発生する熱エネルギーの量、つまり熱量も、
熱量=電力量=電力×秒の式で求めることができます。

熱量J=電力(W)×(s)


また、実験で、質量1gの温度を1度上昇させるのに必要な熱エネルギーの量、熱量は、4.2Jであることがわかっています。

このことから、
熱量(J)=4.2×水の質量(g)×上昇温度(°C)
の式が成り立ちます。


仕事

物体に力を加えて、加えた力の向きに物体を動かしたとき、理科では、力は物体に仕事をしたといいます。

仕事の量もエネルギーの量で表わします。

仕事J)=の大きさ(N)×力の向きに動いた距離(m)

物を、ある高さまで持ち上げるときには、物体にはたらく重力と同じ大きさの力で持ち上げないといけないので、
仕事J)=重力の大きさ(N)×持ち上げた高さ(m)
となります。

物体を横にひっぱって動かすときは、物体にはたらいている摩擦力と同じ大きさの力でひっぱらないといけないので、
仕事J)=摩擦力の大きさ(N)×力の向きに動いた距離(m)
となります。

電力量(J)と熱量(J)と仕事(J)とは、エネルギーを表わす量としては同じ量ですから、1Jの電力量は1Jの仕事をするということになります。


仕事率

1秒間にする仕事の大きさが仕事率です。

仕事率W)=仕事J)÷s


ところで、電力量(J)=電力(W)×秒(s)でした。
この式を変形して、電力(W)=電力量(J)÷秒(s)

このことから、電力と仕事率とは同じ、つまり、電力は電気による仕事率を表わしていたということがわかります。


位置エネルギー

基準面からある高さにある物体が持っている、仕事をできる能力が位置エネルギーです。

位置エネルギーの大きさも、エネルギーなのでJ(ジュール)で表わします。
位置エネルギーある質量を持ち、ある高さにある物体は、同じ質量を持つ物体を同じ高さにまで持ち上げることができる、つまり、仕事をすることができるはずです。

位置エネルギーの大きさは、するとしたらできるであろう仕事の量と等しくなります。




だから、
位置エネルギーJ)=その物体にはたらく重力N)×基準面からの高さm
となります。


まとめ

J(ジュール)は、中学理科では4つのものを表わします。

電力量J)=電力(W)×(s)

熱量J=電力(W)×(s)

仕事J)=の大きさ(N)×力の向きに動いた距離(m)

位置エネルギーJ)=その物体にはたらく重力N)×基準面からの高さm

電力量は電気のエネルギー量、熱量は熱のエネルギー量、仕事は仕事のエネルギー量、位置エネルギーは高い位置にある物体が持つエネルギー量を表わしています。



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science 電流回路の計算問題(4) グラフの問題

電流回路の計算問題のうち、この稿では受験生からよく質問を受けるグラフの問題をとりあげます。

むずかしい問題ほど基礎・基本が決め手になります。

電流回路の計算問題を考えるときの基礎・基本

1、(解く前の準備)
問題文に書いてあること、わかったことを図にかき込まないと解けない。

2、(言葉の定義)
電圧とは、電流を流そうとするはたらきである。
抵抗とは、電流の流れにくさ(電流が流れるのをさまたげる量)である。

3、(回路の性質)
(1)直列回路は電流が等しい
(2)並列回路は電圧が等しい
(3)並列回路の全抵抗は各抵抗より小さい。

4、(オームの法則)

オームの法則1オームの法則2








例題1:
3本の電熱線A、B、Cそれぞれについて、両端に加える電圧をいろいろと変え、そのとき流れる電流の強さを調べる実験を行った。図は、その結果をグラフに表わしたものである。次の各問いに答えなさい。
図1(1)グラフの傾きは、電熱線の何を表わしているか。
(2)電圧の大きさを一定にしたとき、電熱線Aを流れる電流の強さは、電熱線Cを流れる電流の強さの何倍か。
(3)電流の強さを一定にしたとき、電熱線Bにかかる電圧は、電熱線Cにかかる電圧の何倍か。
(4)電熱線A、B、Cを抵抗の大きい順に並べ、記号で答えよ。
(5)電熱線A、B、Cの抵抗の大きさの比をもっとも簡単な整数の比で答えよ。

(6)電熱線Aに12.6Vの電圧をかけたとき、電熱線Aには何Aの電流が流れるか。


(解説・解答)

(1)グラフの傾きは、電熱線の何を表わしているか。
図1の2グラフの問題では、グラフのうち縦線と横線の交わっている場所(格子点といいます)を通っているところを見つけて、そこを使って問題を解いていきます。
AとBの両方が格子点を通っているのは電圧が3Vのところです。電圧が3Vのとき、Aは5Aの電流、Bは2Aの電流が流れています。
同じ3Vの電圧で、AのほうがBより大きい電流が流れている、傾きが大きいので、グラフの傾きは電流の流れやすさを表わしていることがわかります。
答えは「電流の流れやすさ」です。



(2)電圧の大きさを一定にしたとき、電熱線Aを流れる電流の強さは、電熱線Cを流れる電流の強さの何倍か。
図1の3やはり格子点(グラフのうち縦線と横線の交わっている場所)を通っているところ見つけて、そこを使って問題を解いていきます。
電圧が3Vのとき、電熱線Aは5Aの電流、電熱線Cは1Aの電流が流れています。
よって、5÷1=5で、5倍です。






(3)電流の強さを一定にしたとき、電熱線Bにかかる電圧は、電熱線Cにかかる電圧の何倍か。
図1の4
今度は電流が2AのときにB、Cのグラフが格子点を通っているので、電流2Aの横線を右に見ていきます。
電流が2Aのとき、電熱線Bの電圧は3V、電熱線Cの電圧は6Vです。
よって、3÷6=0.5倍







(4)電熱線A、B、Cを抵抗の大きい順に並べ、記号で答えよ。
図1の5頭の中で用語の意味を再確認しておくと簡単になります。
抵抗とは「電流の流れにくさ」です。
次に、同じ電圧で、それぞれの電熱線を流れている電流を比べられる格子点とそれを含む縦線を見つけます。
電圧が3Vのとき、Aは5A、Bは2A、Cは1Aの電流が流れていることがわかります。
抵抗は「電流の流れにくさ」ですから、抵抗の一番大きいのは電流が一番流れていないCで、次に抵抗の大きいのはBだとわかります。
よって、抵抗の大きい順に並べるとC、B、Aということになります。


(5)電熱線A、B、Cの抵抗の大きさの比をもっとも簡単な整数の比で答えよ。
オームの法則をもちいて抵抗の値を求めるほうがはやく解けるかもしれません。
(4)で見つけた格子点の数値を使います。
Aの抵抗はR=V/Iより3/5=0.6Ω。
Bの抵抗は3/2=1.5Ω。
Cの抵抗は3/1=3Ω。
よって、A:B:C=0.6:1.5:3=6:15:30=2:5:10。

オームの法則を使わないで、抵抗=「電流の流れにくさ」だけで見つけることもできます。
電圧が3Vのとき、Aを流れている電流が5AでBを流れている電流が2Aなので電流の流れやすさは5:2、ということは電流の流れにくさである抵抗は2:5。
次にAとCの比を求めると、Aの電流が5Aに対してCの抵抗は1Aだから電流は5:1、ということは抵抗は1:5。
A:B=2:5、A:C=1:5だから、Aを2にそろえてやるとA:C=1:5=2:10。
よって、A:B:C=2:5:10。

(6)電熱線Aに12.6Vの電圧をかけたとき、電熱線Aには何Aの電流が流れるか。
理科の計算問題では、「比が使えるときは比を利用する」のが一番簡単です。
電圧が3Vのとき、電熱線Aを流れる電流は5Aでした。
電流は電圧に比例します。
電圧12.6Vのときに電熱線Aを流れる電流をxAとすると、3:5=12.6:xという比例式をたてることができます。
3:5=12.6:x
3x=63
x=21
答えは21Aです。


例題2:
電熱線A、Bのそれぞれについて、両端に加えた電圧とそのとき流れた電流との関係を調べると、図1のグラフの結果になった。この2種類の電熱線を使って、図2、3のような回路をつくった。

図2


図2の2
















(1)図2でP点を流れる電流が0.2Aのとき、電源の電圧は何Vか。
(2)電熱線Aと電熱線Bの抵抗の大きさの比を、もっとも簡単な整数の比で答えよ。
(3)図3で、電熱線Aと電熱線Bを流れる電流の比を、もっとも簡単な整数の比で答えよ。
(4)図3で、電源の電圧が6Vのとき、Q点を流れる電流は何Aか。
(5)図3で、Q点を流れる電流が0.5Aのとき、電源の電圧は何Vか。



(解説・解答)

(1)図2でP点を流れる電流が0.2Aのとき、電源の電圧は何Vか。


図2の6図2の4P点を流れる電流が0.2Aのとき、直列回路なので、Aの電熱線にもBの電熱線にも0.2Aの電流が流れます。
それに気がついたら、グラフの0.2Aのところを横に見ていきます。
グラフのAでは、0.2Aの電流が流れるときの電圧は2Vです。グラフのBでは、0.2Aの電流が流れるときの電圧は8Vです。
よって、電源の電圧は、2+8=10Vです。


(2)電熱線Aと電熱線Bの抵抗の大きさの比を、もっとも簡単な整数の比で答えよ。

図2の7グラフの格子点を利用します。
例えば、電圧が4Vのとき、電熱線Aには400mA、Bには100mAの電流が流れています。
つまり、同じ電圧のとき、流れる電流の比は4:1です。
ところで、抵抗とは「電流の流れにくさ」でした。
流れる電流が4:1ということは、電流の流れにくさは逆の1:4ということです。
つまり、AとBの抵抗の比は1:4です。


(3)図3で、電熱線Aと電熱線Bを流れる電流の比を、もっとも簡単な整数の比で答えよ。

図3は並列回路です。
並列回路のポイントは、どこも電圧が等しいことです。つまり、電熱線AにもBにも同じ電圧がかかっています。
よって、(2)と同じ格子点を使って解くことができます。
電圧が4Vのとき、Aを流れる電流は400mA、Bを流れる電流は100mAだから、電流の比は4:1です。

(4)図3で、電源の電圧が6Vのとき、Q点を流れる電流は何Aか。

図3は並列回路だから、電源の電圧が6Vのとき電熱線Aにかかる電圧もBにかかる電圧も6Vです。
図1のグラフで図2の8電圧が6Vのところを上に見ていくと、電熱線Aを流れる電流は600mA、Bを流れる電流は150mAだとわかります。
図3は並列回路なので、点Qを流れていた電流が2つに分かれてAとBを流れています。
分かれた後、Aに600mA=0.6A、Bに150mA=0.15Aの電流が流れていたので、分かれる前に点Qを流れていた電流は0.6+0.15=0.75Aです。



(5)図3で、Q点を流れる電流が0.5Aのとき、電源の電圧は何Vか。

図2の9
点Qを流れていた電流が、並列回路なので、電熱線Aと電熱線Bに分かれて流れるわけです。
また、並列回路なので、それぞれの電熱線にかかる電圧は等しい。
そう考えたら、同じ電圧で、流れる電流の和が0.5A=500mAになるところをグラフで見つけたらよいことに気づきます。
電圧が4Vのとき、Aを流れる電流は400mA、Bを流れる電流は100mAなので、その和は500mA=0.5Aです。
よって、答えは4Vです。




例題2の(1)〜(5)を解くのに、オームの法則はまったく使わずに、直列回路と並列回路の性質と電圧や電流や抵抗の意味を考えたら、あとはグラフを上手に読み取るだけですべての問題を解くことができました。

実は電流の計算問題は、あえてオームの法則を使わなくてもそれぞれの言葉の定義をはっきりさせて回路の性質を考えたら解ける問題が多いのです。

理科の問題は、解法が1つだと限定しないほうが賢明です。
いろいろな解き方があり、理屈さえ合っていればさまざまなやり方で解くことができます。
あれこれ考えながら、楽しみながら解くくらいの感覚で問題にあたると、理科の計算問題をおもしろく解けるようになります。


(別解)

もちろん、オームの法則を活用しながら解くこともできます。例題2を、オームの法則を最初から使って解いたらどのように解けるかを最後に書いておきます。
図2の3
最初にオームの法則を使って抵抗を求めておきます。
電圧が4Vのとき、電熱線Aを流れる電流は0.4A。Aの抵抗は、R=V/Iより、R=4/0.4=40/4=10Ω
電圧が4Vのとき、電熱線Bを流れる電流は0.1A。Bの抵抗はR=V/I=4/0.1=40/1=40Ω




(1)図2でP点を流れる電流が0.2Aのとき、電源の電圧は何Vか。

図2は直列回路なので回路の全抵抗は10Ω+40Ω=50Ω。
よって電圧V=R×I=50×0.2=10V。

(2)電熱線Aと電熱線Bの抵抗の大きさの比を、もっとも簡単な整数の比で答えよ。

10Ωと40Ωなので10:40=1:4。

(3)図3で、電熱線Aと電熱線Bを流れる電流の比を、もっとも簡単な整数の比で答えよ。

図3は並列回路であり、電圧が等しい。電圧が等しいとき、抵抗が大きいほど流れる電流は小さい。
抵抗が1:4なので、電流は逆の4:1。

(4)図3で、電源の電圧が6Vのとき、Q点を流れる電流は何Aか。

並列回路なので電熱線AとBに加わる電圧も等しく6V。
Aの電流I=V/R=6/10=0.6A。
Bの電流I=V/R=6/40=0.15A。
よって、Q点を流れる電流は0.6+0.15=0.75A。

(5)図3で、Q点を流れる電流が0.5Aのとき、電源の電圧は何Vか。


並列回路の全抵抗を求める式
10




より1/R=1/10+1/40=4/40+1/40=5/40=1/8。
よって全抵抗R=8/1=8Ω。
電源の電圧V=R×I=8×0.5=4V。




電流回路の計算問題(1)直列・並列回路と電流・電圧・抵抗
電流回路の計算問題(2)オームの法則 基本問題
電流回路の計算問題(3)オームの法則 標準問題
電流回路の計算問題(4)グラフの問題


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science 電流回路の計算問題(3)オームの法則 標準問題

電流回路の計算問題(1)電流回路の計算問題(2)の続きです。
この稿では、標準的な計算問題を取り上げます。

問題を解くときに注意することは、

1、オームの法則V=IR、I=V/R、R=V/Iを使う前に、回路の性質である
(1)直列回路は電流が等しい、
(2)並列回路は電圧が等しい、
(3)並列回路の全抵抗は各抵抗より小さい、
の3つを先に考える。

2、オームの法則の3つの式をまちがえないように使うために、問題を解くときは次の図を覚えて、かいておく。

オームの法則1オームの法則2







3、理科では、問題文に書いてあること、わかったことを図にかき込んでから解く。


例題4:次の回路について、各問いに答えなさい。
例題4(1)BG間の抵抗の大きさは何Ωか。
(2)回路全体の抵抗の大きさは何Ωか。
(3)A点を流れる電流の大きさは何Aか。
(4)C点を流れる電流の大きさは何Aか。
(5)AB間の電圧の大きさは何Vか。
(6)EF間の電圧の大きさは何Vか。




(解答)
(1)BG間の抵抗の大きさは何Ωか。
BG間にある2つの抵抗がともに4Ωであることから、解くことができます。
同じ値の抵抗2つで並列になっているとき、2つを合わせた全体の抵抗はもとの抵抗の半分になります。
道が2倍に広がったので電流はそれだけ流れやすくなった、抵抗は半分になったと考えます。
よって、2Ω。
(2)回路全体の抵抗の大きさは何Ωか。
AB間の抵抗が3ΩでBG間の抵抗が2Ωであり、相互は直列になっていると考えて、3+2=5Ω。
求めた数値はすぐに図にかきこんでおきます。
(3)A点を流れる電流の大きさは何Aか。
例題4の2(2)より、回路全体の抵抗が5Ω、回路全体にかかっている電圧(電源の電圧)が6Vなので、回路を流れている電流はI=V/Rより、I=6/5=1.2A。
この問題のように、電流回路の標準的な問題では前の問題で求めた数値をもちいて後の問題を解いていきます。だから、後で解く問題のために、求めた数値をすぐに図にかいておかないといけないのです。




(4)C点を流れる電流の大きさは何Aか。
この問題を解くには2つの方例題4の3法があります。
まず、1つ目の方法。Aを流れている電流は1.2Aでした。それが並列になったところから2つに分かれて流れることになります。ところが、並列の部分の抵抗が4Ωどうしで等しいので、流れる電流も等しい、つまり二等分されて流れるということになります。よって、C点を流れる電流は1.2A÷2=0.6A。
もう1つの方法は、A点を流れる電流が1.2Aで、それが3Ωの抵抗を流れることからAB間の電圧を求めて、それを利用して解く方法です。AB間の電圧は、V=1.2×3=3.6V。すると、BG間の電圧は全電圧から3.6Vをひいた6−3.6=2.4V。CD間、EF間の電圧は並列回路だからBG間の電圧と等しいので2.4V。以上より、I=V/R=2.4/4=0.6A。
(5)AB間の電圧の大きさは何Vか。
V=IRより、1.2×3=3.6V。
(6)EF間の電圧の大きさは何Vか。
AB間の電圧が3.6Vで全体の電圧が6Vだから、6−3.6=2.4V。
または、Eを流れている電流も0.6A。V=IRより、0.6×4=2.4V


例題5:
図のように、電気抵抗4Ω、6Ω、3Ω、2Ωの電熱線P、Q、R、Sをつないだ回路をつくり、6Vの電圧をかけたところ、電流計は0.75Aを、電圧計は1.5Vを示した。これについて、次の各問いに答えなさい。
例題5(1)同じ大きさの電流が流れている電熱線はどれとどれか。次のア〜エから1つ選び、その記号を書け。
ア PとQ  イ RとS  ウ QとR  エ PとS
(2)電熱線Pにかかっている電圧は何Vか。
(3)電熱線Sにかかっている電圧は何Vか。
(4)電熱線Qに流れている電流は何Aか。
(5)電熱線Rに流れている電流は何Aか。




(解答)
解き始める前に、問題に書いてあった数値で図にかいてないものをかき写しておきます。
例題5の2(1)同じ大きさの電流が流れている電熱線はどれとどれか。次のア〜エから1つ選び、その記号を書け。
ア PとQ  イ RとS  ウ QとR  エ PとS
Pを流れていた電流がQとRに分かれた後、再び合わさってSを流れるので、答えはエです。
(2)電熱線Pにかかっている電圧は何Vか。
V=IRより、0.75×4=3V。
(3)電熱線Sにかかっている電圧は何Vか。
(1)よりSを流れる電流は0.75Aだから、V=IRより、0.75×2=1.5V。
または、全体の電圧が6Vで、Pの両端の電圧が3V、電圧計の電圧が1.5Vだから、6−3−1.5=1.5V。
例題5の3
(4)電熱線Qに流れている電流は何Aか。
電圧計が1.5Vだから、並列部分のQもRも両端にかかる電圧は同じく1.5V。
I=V/Rより、1.5/6=0.25A。
または、0.75Aの電流が分かれてQとRに流れ、抵抗はQ:R=6:3=2:1だから、逆に流れる電流はQ:R=1:2。0.75を1:2で分けた1のほうだから0.75×1/3=0.25A。
(5)電熱線R
に流れている電流は何Aか。
I=V/Rより1.5/3=0.5A。
または、0.75−0.25=0.5A。
または、0.75Aを1:2に分けた2のほうだから0.75×2/3=0.5A。




電流回路の計算問題(1)直列・並列回路と電流・電圧・抵抗
電流回路の計算問題(2)オームの法則 基本問題
電流回路の計算問題(3)オームの法則 標準問題
電流回路の計算問題(4)グラフの問題


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science 電流回路の計算問題(2)オームの法則 基本問題

電流回路の計算問題(1)直列・並列回路と電流・電圧・抵抗の続きです。

電流回路の計算問題(1)の要点をまとめておきます。

1、直列回路

直列電流電流は等しい
(I1=I2=I3)




直列電圧
電圧+電圧=全電圧
(V1=V2+V3=V4)





直列抵抗
抵抗+抵抗=全抵抗
(R1+R2=R3)




2、並列回路

並列電流電流+電流=全電流
(I1=I2+I3=I4)





並列電圧
電圧は等しい
(V1=V2=V3=V4)







並列抵抗
全抵抗は各抵抗より小さい
(R1>R3、R2>R3)

10





オームの法則

回路を流れる電流は加えた電圧比例します(オームの法則)。

また、抵抗は「電流の流れにくさ」なので、電圧は電流と抵抗に比例します(多くの電流を流すには大きい電圧が必要で、抵抗が大きいほど同じ電流を流すには大きい電圧が必要)。

電流を(the Intensity of electric current)、電圧をVoltage)、抵抗を(electric Resistance)とすると、

V=IR
式を変形すると、I=V/R
また、R=V/I

この3つの式をまちがえないように使うために、問題を解くときは次の図を覚えて、かいておきます。

オームの法則1オームの法則2







電流回路の計算問題を解くには

以上で準備完了、電流回路の計算問題を解くことができます。

問題を解くときは、

1、オームの法則V=IR、I=V/R、R=V/Iを使う前に、回路の性質である、
(1)直列回路は電流が等しい、
(2)並列回路は電圧が等しい、
(3)並列回路の全抵抗は各抵抗より小さい、
の3つを先に考えないといけないことが多い。

2、理科では(数学と同様に)、問題文に書いてあること、わかったことを図にかき込んでから解く。

以上の2点に注意すること。


例題1(直列回路):次の回路について、各問いに答えなさい。
例題1(1)R2を流れる電流は何Aか。
(2)R2にかかる電圧は何Vか。
(3)R1の抵抗の大きさは何Ωか。
(4)R2の抵抗の大きさは何Ωか。







(解答)
(1)R2を流れる電流は何Aか。
直列回路だから、電流はどこでも同じ。答えは200mAだが、「何Aか」ときいているので、1000mA=1Aより0.2A。
(2)R2にかかる電圧は何Vか。
直列回路だから、電圧+電圧=全電圧。6V−4Vより、2V。
(1)、(2)で求めた数値をすぐに図にかきこんでおく。
例題1の2(3)R1の抵抗の大きさは何Ωか。
オームの法則より、抵抗R=V/I=4/0.2=40/2=20Ω。
オームの法則を使うときはmA→Aにすること。
(4)R2の抵抗の大きさは何Ωか。
オームの法則より、抵抗R=V/I=2/0.2=20/2=10Ω。




例題2(並列回路):次の回路について、各問いに答えなさい。
例題2(1)R1にかかる電圧は何Vか。
(2)R2にかかる電圧は何Vか。
(3)R1の抵抗の大きさは何Ωか。
(4)R2の抵抗の大きさは何Ωか。








(解答)
(1)R1にかかる電圧は何Vか。
並列回路だから、電圧はすべて等しい。よって、6V。
(2)R2にかかる電圧は何Vか。
並列回路だから、電圧はすべて等しい。よって、6V。
(1)、(2)で求めた数値をすぐに図にかきこんでおく。
例題2の2(3)R1の抵抗の大きさは何Ωか。
オームの法則より、抵抗R=V/I=6/3=2Ω。
(4)R2の抵抗の大きさは何Ωか。

オームの法則より、抵抗R=V/I=6/1=6Ω。









例題3:次の回路について、各問いに答えなさい。
例題3(1)点アを流れる電流は何Aか。
(2)イの電圧は何Vか。
(3)R1の抵抗の大きさは何Ωか。
(4)R2の抵抗の大きさは何Ωか。
(5)R3の抵抗の大きさは何Ωか。







(解答)
(1)点アを流れる電流は何Aか。
R1まで4Aで流れてきた電流が並列にわかれたところからR2とR3にわかれて流れるので4−1=3A。
(2)イの電圧は何Vか。
並列の部分、R2とR3の電圧は等しい。そして、R2とR3をあわせた全体の電圧も等しく、その電圧とR1の3Vとの和が6V。よって、6−3=3より、R2もR3も両端にかかる電圧は3V。
(1)、(2)で求めた数値をすぐに図にかきこんでおく。
(3)R1の抵抗の大きさは何Ωか。
オームの法則より、抵抗R=V/I=3/4=0.75Ω。
(4)R2の抵抗の大きさは何Ωか。
オームの法則より、抵抗R=V/I=3/1=3Ω。
(5)R3の抵抗の大きさは何Ωか。
オームの法則より、抵抗R=V/I=3/3=1Ω。




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science 電流回路の計算問題(1)直列・並列回路と電流・電圧・抵抗

誰でも簡単に電流回路の計算問題を解けるようになる方法を考察します。

計算問題を解くときに使う道具は、「電流の性質」、「電圧の性質」、「抵抗の性質」、「オームの法則」ですが、この稿では「電流の性質」、「電圧の性質」、「抵抗の性質」の3つについてまとめます。
3









電流の性質

「電池の+極から流れ出た電流はそのまま−極にもどってくる」と考えます。

直列回路の場合

「電池の+極から流れ出た電流はそのまま−極にもどってくる」ので、1本道の直列回路の場合、どの場所で測定しても電流は等しい。

1左図のA点で電流が1.6Aだとすると、B点も、C点も、電流は1.6Aです。





並列回路の場合

「電池の+極から流れ出た電流はそのまま−極にもどってくる」ことは同じですが、途中で枝分かれする並列回路の場合、分かれる前の電流と、分かれた後の電流の和と、再び合流した後の電流が等しくなります。

2左図のD点で1.6Aの電流が流れていたとします。
その1.6Aの電流が分かれてE点とF点に流れます。したがって、E点に1.2Aの電流が流れていたとすると、F点を流れる電流は0.4Aです。
そして、再び合流した後、G点を流れる電流は1.6Aです。



電圧の性質

電流を流そうとするはたらき」が電圧です。

回路の途中にある豆電球や電気抵抗は電流の流れをさまたげるものです。
豆電球や抵抗がなければ、何もしないでも電流は流れます。

豆電球や抵抗があると、そこに電流を流すには力を加えて電流を押してやらないといけません。この、電流を流そうと押す力が電圧です。

3








直列回路の場合

4例として、電流を流すために0.8Vの電圧が必要な抵抗と、0.7Vの電圧が必要な抵抗があるとすると、合わせて1.5Vの電圧で押す必要があります。
そのためには、電池が1.5Vの電圧で電流を押し出さないといけません。

つまり、電源の電圧は、各抵抗に必要な電圧の和になります。

抵抗が何もない回路の部分では、電流は何もしないでも流れるので、電圧は0Vです。


並列回路の場合

5並列回路の場合、左図の下の2つの抵抗に電気を流すのに必要な力で、電池は電流を押し出さないといけません。
例えば、電池から1.5Vの電圧で電流が押し出されると、2つの抵抗のどちらにも同じ電圧の1.5Vがかかります。

同じ電圧なので、もし2つの抵抗の大きさがちがえば、抵抗の小さいほうにたくさんの電流が流れ、抵抗の大きいほうに少ない電流が流れることになります(同じ抵抗なら、同じ量の電流が流れます)。

重要なことは、並列回路では、各抵抗にかかる電圧と、回路電圧にかかっている電圧と、電池の電圧とが、すべて等しいことです。

並列回路では、すべての電圧等しい」、これは直感ではわかりにくいので、特に意識しておく必要があります。


抵抗の性質

抵抗(電気抵抗)とは、「電流の流れにくさ」のことです。

豆電球も抵抗の1つですが、特に抵抗というときは電熱線や抵抗器のことを抵抗といいます。

抵抗とは、電流の流れるのをさまたげようとするもののことであり、「電流の流れにくさ」を抵抗の値と定義します。

直列回路の場合

6直列回路だと、電流の流れるのをじゃまする抵抗が2つ続くことになります。

それだけ電流は流れにくくなるので、全体の抵抗の値は大きくなります。






8例えば、Aの抵抗が8ΩでBの抵抗が7Ωだと、全体の抵抗は15Ωになります。

抵抗のない部分、Cの抵抗は0Ωです。




並列回路の場合

常識に反する結果になるように見えるのが並列回路の抵抗です。
並列回路だと、全体の抵抗はそれぞれ1つ1つの抵抗の値より小さくなります。

9
例えば、左の回路図で、Dの抵抗が12Ω、Eの抵抗が18Ωだと、全体の抵抗は7.2Ωになります。

なぜでしょうか?





下の図のように理解すると納得できます。
7
抵抗が並列に並ぶことで、回路の道幅が広くなっています。

せまい道だから流れるのをじゃまされていた電流が、道が広がったことによって流れやすくなるのです。




並列回路だと、全体の抵抗はそれぞれ1つ1つの抵抗の値より小さくなる」、これも非常に重要です。


(参考)
今の教科書では使いませんが、並列回路の抵抗の間には次の公式が成り立ちます。
10




抵抗は「電流の流れにくさ」ですから、抵抗が大きくなると流れる電流は小さくなります。例えば、抵抗が2倍になると、2倍流れにくくなるので流れる電流は1/2になります。反比例です。
つまり、抵抗がR倍になると、流れる電流は1/Rになるのです。上の式はそのことを表しています。

9左の回路図で全体の抵抗が7.2Ωになるのはそれでです。

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science 電力・電力量・熱量

中学2年生の電気の単元で、オームの法則と磁界については教える技の蓄積もあるのですが、電力は、エアポケットというか、指導要領が変わるたびに教科書の内容も変わるし、やや難儀な単元です。今日は、教える自分自身のためにも、一度きちんとまとめをしておくことにしました。

電力

電気の「能力」を表す量。単位はW(ワット)

電力を求める公式は、電力=電圧×電流(W=V×A)
1Vの電圧で1Aの電流が流れたときの電力を1Wと決めた。だから、例えば3Vで2Aの電流が流れたら、(1V×3倍)×(1A×2倍)=6W。電力=電圧×電流の式はそれを公式化したもの。

消費電力
電気器具に100V−800Wと表示してあるとき、表示してある800Wを「消費電力」という。
100Vの電圧(一般家庭にきている電気の電圧)をかけると800Wの電力を消費するという意味。

ところで、100V−800Wと書かれている電気器具の場合、電圧×電流=電力だから、100V×電流=800Wで、この場合、流れている電流は800÷100、つまり8Aということになる。よく出題される。

電力量

電力時間をかけたもの。大きい電力で長時間使うほど電気料金は高くなる。単位はWh(ワット時)

電力量を求める公式は、電力量=電力×時間(Wh=W×時間)
1W1時間電気器具を使ったときの電力量を1Whと決めた。だから、例えば3Wで2時間電気を使用すれば、(1W×3倍)×(1時間×2倍)=6W時。電力量=電力×時間の式はこれを公式化したもの。

Whは英語のhour、つまり1時間、2時間の時間である。したがって、4Wで30分使用したときの電力量は、4×0,5=2Wh

追記(2011.6.28):24年度からもちいる新しい教科書では、電力量としてj(ジュール)が加わりました。
電力量(J)=電力量(Ws)=電力(W)×秒(s)
つまり、電力量として、
電力量J)=電力(W)×(s)
電力量Wh)=電力(W)×時間(h)
の2つがあることになります。


熱量

電熱線に電流を流したときに発生するの量。単位はJ(ジュール)

熱量を求める公式は、熱量=電力×秒(J=W×秒)
熱量も、1Wの電力で1秒間電流を流したときに発生する熱量を1Jと決めたに過ぎない。だから、例えば5Wで1分間(60秒)電流を電熱線に流したら発生する熱量は(1W×5倍)×(1秒×60倍)=300J。熱量=電力×秒は、このことを公式化したものである。

電力量の時間の単位は「時間」であり、熱量の時間の単位は「」であることが重要。


J(ジュール)とcal(カロリー)

以前は、を基準にした単位cal(カロリー)で熱量を表していた。1gの水の温度を1度上昇させるのに必要な温度が1cal。例えば、100gの水の温度を2度上昇させるのに必要な熱量は1cal×100倍×2倍で200calということになる。公式化して、cal=水の質量×温度変化


J(ジュール)とcal(カロリー)の関係

電熱線で水の温度を上昇させるとき、J(ジュール)とcal(カロリー)の関係が問題になる。
測定の結果から、1cal=4、2Jであることがわかっている(1cal=4、2Jは実験による測定値だから、理屈抜きで覚えてしまうしかない)。
逆にcalをJに換算すると、1÷4、2=約0、24より1J=0、24cal(これも、覚えるしかない)。

次のような、やや難しい問題が出題される。

問題1、電熱線の入ったビーカーに100gの水を入れて5分間電流を流したところ、水の温度は5度上昇した。いくらの電力(W)が発生したか。
解き方:電圧も電流も不明だから電力=電圧×電流の式は使えない。cal=水の質量×温度変化の式を使って、まず発生したcalを求める。100×5=500cal。
ところで1cal=4、2J。
比例式を使うのが一番わかりやすい。
求めるJをxとして、
1:4、2=500:x
内項の積と外項の積は等しいから
1x=2100
x=2100J
次に、電力を求める。
熱量(J)=電力×秒より、まず5分を秒になおすと300秒。2100=電力×300の式ができる。
電力=2100÷300
よって、電力は7W

ポイント:
1、の問題では、水の質量×温度変化で先にcalを求める。
2、1cal=4、2Jを暗記しておき、1:4、2=求めたcal:求めたいJ、の比例式をたてる



オームの法則と電力との関係

オームの法則より、回路を流れる電流電圧比例する。つまり、電圧を2倍にすると、流れる電流は2倍になる。
電力=電圧×電流で、電圧を2倍にすると電流も2倍になり、電力=電圧×2×電流×2、つまり、電圧を2倍にすると電力は2の2乗の4倍になる。

次に、電力=電圧×電流の式に、オームの法則の電流=電圧/抵抗を代入すると電力=電圧×電圧/抵抗。
抵抗が分母にきたので、電圧一定なら電力抵抗反比例することになる(反比例の式はy=a/xだから)。
電圧が一定の回路は並列回路だから、並列回路では電力抵抗反比例する。

また、電力=電圧×電流の式に電圧=電流×抵抗の式を代入すると、電力=電流×電流×抵抗。
電流
一定なら、電力抵抗比例する(比例の式、y=axの形になったから)。
電流が一定の回路は直列回路であり、直列回路では電力抵抗比例する。


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science 左手の法則でフレミングになり損ねた話

磁界の中にある導線に電流が流れたとき、導線がどちら向きの力を受けるかを説明する方法に、フレミングの左手の法則があります。

左手の法則左手の中指を+極から−極に向かう電流の向きに合わせ、人差し指をN極からS極に向かう磁界の向きに合わせると、親指の向きの力が生じ、導線は親指の指す向きにふれることがわかります。

(左の図は、日本で一番手が美しいといわれているTさんの写真をお借りしました。)

指の覚え方

私は、中指・人差し指・親指の順に下から、「電・磁・力(でん・じ・りょく)」、電流・磁界・力と覚えたらよいと言っています。「原子力」と語呂が似ていて覚えやすいと思うからです。

フレミングの左手の法則の短所

左手を使うことと各指の分担を覚えても、実際の問題を解くときにはどうも使い勝手がわるい。指を合わせにくかったり、ひどいときは指をぐねったりする子も出てきます。

自分流の「左手の法則」を発見

何とかならないものかと日夜研究を続け、ついにある日、日々の研鑽が実って解決策を発見しました。

自分が電流になって、N極を頭上に、歩いてみる。そうすると導線は左手の方向に動く!
人と左手の法則左の図をご覧ください。

フレミングなんかよりずっと簡単だし、イメージがすぐに浮かんでくるし、指をぐねる必要もない。

完璧です。

これで人類の教科書は書き換えられる!と興奮し、眠られぬ夜を過ごしたのですが・・・






いつもの私のパターンです。重大な欠陥が見つかりました。

人物失敗左の図のようにN極が図で下になったら、間違いではないのですが、きわめて頭にイメージが浮かびにくい。




これでは使い物になりません。


学校の先生の軍門に下る

中学校の先生方も、フレミングの左手の法則についてはひそかな不満を抱かれているようです。先生方で集まって、指導法を研究しているグループもある。

私の放った有能なスパイが(と言ったって、学校の授業を真面目に聞いている中学生のことですが)、ある日、重要な情報を仕入れてきました。

左手2使うのはやはり左手です。

左図のように、左手の手のひらをN極に向けて、親指以外の4本の指先を電流の流れていく向きに合わせます。
そうすると、左手の親指の向きに導線は動きます。

これは使えます。

ちっ、負けちまったぜ。


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science 直列・並列回路の電流・電圧

理科で大切な、「なぜ、そうなるのか」ですが、回路と電流・電圧の関係を考えるとき、目に見えない電気が相手ということもあってなかなか難しい。

電流の単元で最初に習うこと

直列回路とは、途中で枝分かれしていない1本道の回路です。
直列回路
回路のどこで測っても、流れる電流の大きさは同じです。
また、2個の電球の両端にかかる電圧をそれぞれ測定すると、その和は電源の電圧と等しくなります。



並列回路とは、途中で枝分かれした回路です。
並列回路
それぞれの電球を流れている電流の和が電源から流れ出て電源に戻る電流の大きさと等しくなります。
わかりにくいのが並列回路の電圧です。それぞれの電球にかかる電圧は等しく、さらに電源の両端にかかる電圧も同じ大きさです。「並列回路ではすべての電圧が等しい」、後でオームの法則を使うときにも大切になってきます。

なぜか?

上記のようになる理由、その説明に難儀します。
やっとなんとか、わかりやすく説明できそうな図を書くことができましたので今日はそれを載せておきます。

電流について考えるときは、電「流」という名から、電気の流れを水の流れと同じように考えるのが普通です。
電球は一つの抵抗(「電流の流れにくさ」と定義される)であり、いわば水の流れを妨げる「じゃま」と考えることができます。
じゃまを排して電流を流すには、電流を押し出す力が必要です。これが電圧です。

電流を水にたとえると、水は高いところから低いところへ流れます。
電球(抵抗)は、電流の流れる川で、高くなったところと考えてください。
その、高くなったところへ水を流そうと思えば、水を高いところへ持ち上げなければなりません。その持ち上げる仕事を担当しているのが電源である電池です。持ち上げる力の大きさを表しているのが電圧です。

直列回路
直列回路左図で、矢印は流れている電流を表しています。

直列回路は1本道ですから、流れる電流は最初から最後まで同じ量です。だから、I=I1=I2、回路のどこで測定しても電流の大きさは同じです。これはわかりやすい。

次に、図のように、電球・抵抗が2つあるとき、そこに電流を流すには2つ分を足した高さまで水を持ち上げなければなりません。赤字で表した部分が、電池が水を頑張って上げないといけない高さを表しています。これが電池の電圧です。電源の電圧E=E1+E2であることが、図を見たら納得できます。

並列回路
並列回路並列回路は、左の絵のように途中に仕切りがあって、そこで電流が2つに分かれて流れていると考えることができます。

電流がI=I1+I2になることは見ただけでわかります。

次に、並列で流れている水の量が違っても、並列の2つの部分で持ち上げないといけない高さのE1とE2は同じです。また、その高さは、図のように、電池が水を上げないといけない赤字の部分の高さEとも一致します。これでE=E1=E2となることが無理なく説明できます。
並列回路ではどこを測っても電圧は同じ、しっかりと覚えておいてください。

以上の説明を思いつくのに、20年以上かかりました。


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