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勉強をしている子どもたちが、悩み、知りたい、理解したいと思いながら、今までは調べる方法がなかった事柄を、必要かつ十分な説明でわかりやすく記述したサイトです

1次関数

mathematics 1次関数(7)(応用問題の解き方(2):動点の問題)

1次関数の利用の問題のうち、入試に最もよく出る問題の一つが動点の問題点が動く問題)です。
最初はわかりにくいのですが、何度か練習してコツがわかると、誰でもできるようになります。

ポイントは2つ。
(1)問題に合わせた図を書いて、図に大事なことを書き込んで、図を見て解く(数学の問題は、「頭」ではなく、「手」と「目」を使って解く)。
(2)動点の問題では、点が進んだ部分の長さをxを使って表わし、図に書き込む

基本的な問題から初めて、いくつか練習してみましょう。


1、長方形ABCDで、点PはAを出発して、辺上を毎秒1cmの速さでD、Cを通ってBまで動く。点PがAを出発してからx秒後の△ABPの面積をy平方cmとするとき、次の問いに答えなさい。
動点1(1)0≦x≦5のとき、yをxの式で表わしなさい。
(2)5≦x≦9のとき、yをxの式で表わしなさい。
(3)9≦x≦14のとき、yをxの式で表わしなさい。
(4)点PがAを出発してからBに着くまでのxとyの関係をグラフに表わしなさい。





解き方

(1)0≦x≦5のとき
Aを出発した点Pが進んだ距離をxを使って表わし、それを必ず図に書き込む。それだけで、動点の問題は簡単に解けます。

この問題の場合、毎秒1cmでx秒進むわけですから、点Pの進んだ距離は1×x、つまりxです(もし、毎秒2cmで動く点であれば、進んだ距離は2xになります)。これを図に書き込みます(左図の赤線)。
動点2

この書き込みさえできたら、図を見れば簡単に問題は解けます。

yは△ABPの面積ですから、三角形の面積の公式、底辺×高さ÷2より、底辺がx、高さが4cmと考えて、y=x×4÷2=2x、

つまりy=2xが答えです。



(2)5≦x≦9のとき
やはり、図を書き、点Pが進んだ距離をxを使って図に書き込んでおきます。
動点3

図を見て気づかないといけないのは、点Pが辺DC上のどこにあろうが、△ABPの高さは図の点線の部分であり、点が動いた距離xとは関係がないことです。点Pに関係なく、△ABPの高さは5cmです。

このことに気づけば、△ABPの面積y=底辺4cm×高さ5cm÷2、つまり、
求める式は、y=10です。

(3)9≦x≦14のとき
最後のこの場面だけ、少しむずかしい。

やはり、条件に合った図を書きます。
動点4
△ABPの底辺は、図の「?」の部分です。この部分の長さはいくらなのでしょうか?
問題は、「yをxの式で表わせ」なので、xを使って表わさないといけません。
最初、多くの人が、5−xとしてしまいますが、まちがいです。
短い5cmから長いxを引いたらマイナスになってしまい、辺の長さとしてはおかしい。

動点5
この図を見たら、見当がつきませんか?
そうです、「?」の部分の長さは、14−xです。

点PがAからD、Cを通ってBまでの長さは14cm。そのうち、点Pの進んだ距離はxですから、求めたかった底辺の長さは14−xとなります。
ここさえ理解できたら後は簡単、△ABP=(14−x)×4÷2より、y=−2x+28です。

(4)最後にグラフです。

この問題の場合、変域によって式が異なるので、グラフも変域ごとに分けて書かないといけません。
動点6
0≦x≦5のときは、y=2xのグラフです。点PがAを出発した瞬間の△ABPの面積は0であり、x=5をy=2xの式に代入するとy=10ですから、原点と点(5,10)を結んだ直線になります。

5≦x≦9のときの式は、y=10でした。xに関係なく常にy=10、つまりx軸に平行な、真横の直線になります。
座標(5,10)と(9,10)を結びます。

9≦x≦14のときは、y=−2x+28のグラフです。
時々、「先生、切片の28をどうやって見つけたらいいのですか?」と塾生から聞かれます。「無理です!解答欄をはみ出てしまいます。」

1つの考え方は、△ABPの面積は連続しているはず。だから、グラフは点(9,10)からの続きになります。
その後、傾きが−2だから、(9,10)から右へ1進んで下に2下がったところに点を打っていきます。点(14,0)で点PがBに到達するので、そこで終了という発想でグラフを書きます。

別の考え方として、9秒後の面積は10だから(9,10)の点をとり、14秒後に面積は0になるから(14,0)の点を見つけ、2つの点を結ぶとグラフが書ける、でもよい。

これで完成です。


本当に理解できたかどうか、少しだけ難しくした類題を解いてみましょう。

2、(類題)長方形ABCDがあり、点Pは頂点Bを出発して、毎秒2cmの速さで辺上をC、D、Aの順に頂点Aまで動く。点Pが頂点Bを出発してからx秒後の△ABPの面積をy平方cmとして、次の問いに答えよ。

動点2の1(1)点Pが辺BC上を動くとき、xの変域を求め、yをxの式で表わせ。
(2)点Pが辺CD上を動くとき、xの変域を求め、yをxの式で表わせ。
(3)点Pが辺DA上を動くとき、xの変域を求め、yをxの式で表わせ。
(4)点Pが、頂点Bから頂点Aまで動くときのxとyとの関係をグラフに表わせ。
(5)△ABPの面積が18平方cmになるのは、点Pが頂点Bを出発してから何秒後か。


解き方

大切なことは前の問題と全く同じです。それぞれの場合に分けて、しっかりと図を書いて考える。特に点Pが動いた距離をxを使って表わし、図に書き込んで、図を見て考えるようにします。

前の問題との違いはただ1つ、点Pの動く速さが毎秒2cmであることです。

(1)BCの長さが8cmで、点Pの速さは毎秒2cmなので、点PはBを出発してから4秒でCに到達します。
よって、xの変域は0≦x≦4
動点2の2
注意すべきは点Pの進んだ距離です。
毎秒2cmなので、距離は2×x秒、つまり2xとなります。

したがって、△ABPの面積は、底辺2x、高さが6cmだから、y=2x×6÷2=6x、
y=6xです。




(2)点Pが辺CD上にあるとき、点Pは4秒後に点Cに達した後、毎秒2cmだから、6÷2=3秒、4秒+3秒で7秒後に点Dまで動きます。
よって、xの変域は4≦x≦7
動点2の3
このとき、点Pが辺CD上のどこにあろうが、△ABPの高さは図の点線の長さ、8cmのままで、変わりません。

したがって、面積y=6×8÷2=24

式は、y=24



(3)点PがDからAに向かうとき、点Dに7秒で到達した後、8÷2=4秒でAに着くので、
xの変域は、7≦x≦11

動点2の4△ABPの底辺にあたるAPの長さ(図中の「?」)を慎重に求めなければなりません。
点Pが進む距離は、全部で8+6+8の22cmです。図の状態まで、点Pが進んだ距離は2x、だから、AP=22−2xと気づいてください。

よって、面積yは、(22−2x)×6÷2、つまり−6x+66だとわかります。

y=−6x+66です。

(4)グラフは、変域ごとに場合分けして、直線が連続するように書いていきます。

動点2の50≦x≦4のとき、y=6x
x=4のとき、y=24なので、原点と点(4,24)を結びます。

4≦x≦7のとき、y=24
x軸に平行な、真横の直線です。
(4,24)から始まり、(7,24)までです。

7≦x≦11のとき、y=−6x+66
点(7,24)からの続きになることと、そこから傾き−6であること、または11秒後に面積が0になることから、(11,0)を見つけて、2点を結びます。

(5)おまけの問題です。

面積を表わす3つの式が、y=6x、y=24、y=−6x+66であったこと、yが面積であることを、もう一度確認しておきます。

y=6xのyに18を代入して18=6x、この1次方程式を解いてx=3
y=−6x+66のyに18を代入して18=−6x+66、これを解いてx=8

3秒後と8秒後が答えです。

mathematics 1次関数(6)(応用問題の解き方(1):1次関数と図形)

1次関数の利用の問題のうち、図形のからんだ問題を楽に確実に解ける方法について、説明します。

重要なポイントは、(1)グラフに座標を書き込めば絶対解ける、(2)交点→連立、x軸→y=0、y軸→x=0、中点の公式を使いこなす、(3)どんな難問も必ず解ける、ある技がある、の3つです。

関数と面積

直線lは関数y=−x+9のグラフ、直線mは関数y=3x−3のグラフである。直線lとy軸、直線m、x軸との交点をそれぞれA、B、Cとし、直線mとy軸、x軸との交点をそれぞれD、Eとする。
関数と面積(1)△ADBの面積を求めなさい。
(2)△BECの面積を求めなさい。













問題を解く前に

与えられたグラフに、まず、「直線の式」を記入します。応用問題ほど、「手」と「目」を使って解いていきます。「頭」を使うようでは解けません。グラフや図に式が書いていないとき、問題をさっと読んだ段階で式を記入しておきます。

(グラフの問題に関わらず、問題文を何度も読み直すようでは応用問題は解けません。問題文に書いてあることはすべて図やグラフに書き写しておいて、図やグラフだけを見て解くようにしないと、応用問題は永遠に解けません。)

(1)の解き方

1次関数のグラフを使った応用問題は、「座標」さえ書き込んでおけば絶対に解けます。(1)では、点A、B、Dが出てきました。この3点の座標をグラフに書き込んでいきます。
点Aは、直線lと、y軸との交点です。「y軸との交点」と気がつけば、直線lの式にx=0を代入します。なぜなら、y軸上の点は、(0,1)、(0,2)・・・と、すべてx座標は0だからです。
y=−x+9に、x=0を代入してy=9
だから点Aの座標は(0,9)です。

点Dも同様に、直線mとy軸との交点ですから、mの式y=3x−3にx=0を代入します。そうすると、y=−3
よって、点Dの座標は(0,−3)とわかります。

重要:「y軸との交点」を求めるときは、x=0を式に代入する


最後に点Bの座標を求めます。
点Bが、直線lと直線mとの交点であることに気づかないといけません。そして、習ったように、直線の交点の座標は2つの式を連立方程式として解いたときの解となる。たびたび出てきますから、「交点」=「連立」と頭にたたき込んでおきます。

重要:交点と気づけば連立方程式をたてて解く

直線l:y=−x+9、直線m:y=3x−3、この連立方程式を解いて、点Bの座標を求めます。

交点の座標













左図より、点B(3,6)



この段階で、問題の図、グラフには、式と座標の書込みができていないといけません

関数と面積2あとは、自分の書き込んだ座標を見て、答えを求めるだけです。
△ADBの面積ですから、底辺はADの長さで書き込んだグラフより9+3=12、高さはBのx座標にあたるので3、よって、面積は12×3÷2=18








重要:座標をグラフに書き込むと、簡単に解ける

(2)の解き方

1次関数のグラフを使った応用問題は、「座標」さえ書き込んでおけば絶対に解けます。(2)では、点C、Eが出てきたので、この2点の座標を求めて、グラフに書き込んでいきます。

C、Eは、直線とx軸との交点です。x軸上の点はすべて、(1,0)、(2,0)・・・というふうに、y座標が0です。つまり、「x軸との交点」は、すべてy=0なので、式にy=0を代入すればよいことになります。

直線lの式にy=0を代入すると、0=−x+9
この方程式を解いて、x=9
よって、Cの座標は(9,0)

直線mの式にy=0を代入して、0=3x−3
この方程式を解いて、x=1
よって、Eの座標は(1,0)

重要:「x軸との交点」を求めるときは、y=0を式に代入する

関数と面積3△BECの底辺はECで8、高さは点Bのy座標で6
よって、面積は8×6÷2=24













面積を2等分する直線の問題

3点A(0,8)、B(−3,2)、C(5,6)を頂点とする△ABCがある。点Aを通り、△ABCの面積を2等分する直線lの式を求めなさい。

問題を解く前に

グラフに「座標」を書き込んで、グラフだけを見て解くようにします。

二等分解き方

直線の式を求める問題ですが、やはり、その前に座標を求めて書き込みます。「座標」さえ書き込んでおけば、どんな問題でも解けます。







ここでは、さらに「面積を2等分」という問題のやり方を知っておかないといけません。
「面積を2等分」の問題の場合、三角形の面積を求めてそれを半分にする問題もないことはありませんが、きわめて例外です。

二等分は中点図を見たらわかるように、面積を求めなくても、底辺の中点を通る直線で三角形の面積は2等分されます。面積を二等分する直線の問題は、実は、「中点」を求める問題なのです。

重要:面積を二等分する問題は、中点を求める問題である






ですから、この問題も、BとCの中点を考えてそれをMとし、点Mの座標を求めればよいのです。

では、中点の座標はどうやって求めればよいのでしょう?

中点とは、2つの点の真ん中です。真ん中とは、2つのものの平均のことです。例えば、1と5の真ん中は3です。式は(1+5)÷2。1と5の平均値です。
座標でも同様、2つの点の真ん中、平均をとれば、それが中点です。ただし、座標はx座標とy座標に分かれますから、それぞれの真ん中、平均だということになります。
中点のx座標は、2つの点のx座標の平均、(一方のx座標+他方のx座標)÷2、y座標も、(一方のy座標+他方のy座標)÷2で求められます。
x座標は、2点のx座標をたして2で割る、y座標は、2点のy座標をたして2で割る、と覚えておきましょう。

中点の公式






中点を求める公式より、点Mのx座標は、B、Cのx座標をたして2で割って(−3+5)÷2=1、
点Mのy座標は、B、Cのy座標をたして2で割って(2+6)÷2=4
ゆえに、M(1,4)となります。

二等分2点Mの座標(1,4)を書き込むと、直線lは、2点A(0,8)、M(1,4)を通っています。
2点さえわかれば、直線の式は求められます。

この2点の座標を1次関数y=ax+bの式に代入して、
8=b
4=a+b
この連立方程式を解いて、a=−4、b=8

だから、直線lの式はy=−4x+8


発展問題は、たった1つの技ですべて解ける

1次関数の入試問題、発展問題は何種類もあるように見えますが、実はたった1種類しかありません。「ある点の座標の一方がわかれば、その点を通る直線の式から他方の座標を見つける」、これで、すべて解けます。
そのことを見ていきましょう。

直線lは関数y=2x+1のグラフ、直線mは関数y=−x−2のグラフである。点P(t,0)を通りy軸に平行な直線と直線l、mの交点をそれぞれQ、Rとする。QR=15のとき、tの値を求めなさい。ただし、t≧0とする。
発展問題1
解くための最優先事項はこれまでと同じです。
問題に関係のあるすべての座標をグラフ中に書き込む」です。













この問題では、点Qと点Rの座標も書き込まないと解けません。それに気づけば解けたも同様です。

点Qから考えます。

x座標は点Pと同じになるはずですからtです。

問題はy座標です。どこにもヒントがないように見えます。しかし、ヒントのない数学の問題はありません。
この場合のヒントは、点Qを直線lが通っていることです。
直線lの式はy=2x+1ですが、その意味は、「直線l上の点はすべて、y=2x+1の関係が成り立つ」、つまり、「直線l上の点は、y座標=2×x座標+1になっている」ということです。
ですから、点Qのy座標はy=2x+1のxにtを代入して、2×t+1

これで、点Q(t,2t+1)と書き込めます。

点Rも同様です。

まず、x座標はt。

y座標は、通っている直線の式、y=−x−2より、x=tを代入してy=−t−2。
よって、点R(t,−t−2)

発展問題2あとは、座標を見て、問題に合った方程式をしっかりとつくるだけです。

QPの長さは、Qのy座標だから2t+1。

特に要注意なのは、PRの長さです。

Rのy座標が−t−2だからといって、PRの長さを−t−2とすると誤りです。
なぜなら、点Rのy座標は「負の数」だからです。
もし、点Rの座標が(1,−3)だったとしたら、PRの長さは−3ではありません。長さは常に「正の数」であり、−3の長さはただの3です。
ですから、点Rのy座標が−t−2であれば、長さは正負を入れかえた−(−t−2)にしないといけません。

以上より、QP=2t+1、PR=−(−t−2)=t+2
よってQR=QP+PR=2t+1+t+2

方程式はQR=15より
2t+1+t+2=15
3t=12
t=4

重要:座標が(t,?)のとき、その点を通る式を見つけてx=tを代入すれば、y座標(?の部分)がわかる(これが、すべての発展問題を解くための武器です)

重要:座標が負の数であれば、その長さ−(負の数)にしないといけない



もう1問、やや難しくなりますが同じやり方で解ける問題で復習してみましょう。

直線lは関数y=2xのグラフであり、直線mは関数y=−x+15のグラフである。2つの直線の交点をA、OA上の点をP、点Pを通りx軸に平行な直線とmとの交点をQ、点Pを通りy軸に平行な直線とx軸との交点をR、点Qを通りy軸と平行な直線とx軸との交点をSとする。長方形PQRSが正方形になるとき、点Pの座標を求めなさい。

解き方

座標さえ入れていけば、絶対に解けるはずです。

発展問題3問題の最後に、「点Pの座標を求めなさい」とあるので、点Pのx座標をtと決めてしまいます。直線l、y=2xが点Pを通っているので、x=tを代入してy=2t
このように、点Pの座標を、(t,2t)と入れてしまいます。

ここで、PRの長さは2tと表せます。

正方形なので、PQも2t。そうすると。点Qの座標は、x座標がt+2tの3t、y座標はPRの長さと同じで2tです。

点Qは、(3t,2t)と表せる。

ところが、その点Qを直線mが通っています。ということは、y=−x+15が成り立ちますから、この式に、点Qの座標のx=3t、y=2tを代入して、
2t=−3t+15

この方程式を解いて、t=3

よって、点Pの座標は、(t,2t)にt=3を入れて、(3,6)


しつこくまとめ

(1)グラフに式と座標、特に座標書き込めば絶対解ける

(2)交点は連立、x軸はy=0、y軸はx=0、中点の公式を使いこなす

(3)どんな難問も必ず解ける、ある技がある


その技とは・・・

関数の応用はこれだけ

mathematics 1次関数(5)(できない問題を簡単にする小さな工夫)

1次関数の単元で、子どもたちが最初、よく点数を落としてしまう問題に次のような問題があります。

子どもたちが苦手な問題

(1)1次関数y=3x−1で、xの値が2から6まで増加するとき、yの値はどのように変化しますか。
(2)1次関数y=−4x+1について、xの値が−4から2まで増加したときのyの増加量を求めよ。
(3)1次関数y=2x+1で、xが1から3まで増加したとき、変化の割合を求めなさい。
(4)1次関数y=−2x+1で、xの変域が−1≦x<3のときのyの変域を求めなさい。
(5)1次関数y=ax+6で、xの変域が0≦x≦3のとき、yの変域が3≦y≦6である。aの値を求めなさい。

数学の得意な子にしてみれば簡単な問題ですが、普通の子は、やり方を思い出せなかったり、わからなくて解答欄を空白にしたりする問題群です。

苦手な問題には共通点があった

実は、上の5問は、皆同じ種類の問題です。「xの値が2つ、出てくること」、「式にxの値を代入してyを求めなければならないことを子どもたちが気づきにくいこと」、が共通しています。

正解率を大きく高める小さな工夫

このグループの問題が楽にできるようになる、ちょっとした工夫を思いつきました。
それは、「xが2つ出てきたら、xの下にyの値を書き込んでおく」ことです。


(1)1次関数y=3x−1で、xの値が2から6まで増加するとき、yの値はどのように変化しますか。


(1)


と、x=2のときのyの値5、x=6のときのyの値17を、xの下に書くくせをつけておきます。
そうすると、「5から17まで増加する」と簡単に答えはわかってしまいます。

(2)1次関数y=−4x+1について、xの値が−4から2まで増加したときのyの増加量を求めよ。

(2)



こう書いておけば、x=−4のときy=17、x=2のときy=−7で、yの増加量だから−7−17=−24と頭にうかんできやすくなります。

(3)1次関数y=2x+1で、xが1から3まで増加したとき、変化の割合を求めなさい。

(3)



このときも、変化の割合の公式

1


に、すうっとあてはめやすくなります。

(4)1次関数y=−2x+1で、xの変域が−1≦x<3のときのyの変域を求めなさい。

(4)



子どもたちがやり方をよく忘れる問題ですが、xの真下に数字が書いてあればさすがに忘れないでしょう。
−5<y≦3という正解がすっと出やすくなります。

見た目で判断できるので、数の大きさを見落として3≦y<−5と書いたり、不等号の違いに気づかずに−5≦y≦3とやったりする間違いも大幅に減るはずです。

ちょっとした応用問題、
(5)1次関数y=ax+6で、xの変域が0≦x≦3のとき、yの変域が3≦y≦6である。aの値を求めなさい。

(5)



と書いておけば、下の6とyの変域の6が共通であることから、3a+6=3の式を思いつきやすくなり、a=−1という正解を楽に求められるようになります。


私は今まで、馬鹿正直にx=2のとき、式に代入してy=5、x=6のときy=17、「yの値がどう変化したか」をたずねている問題だから「5から17に増加した」と答えるとか、変化の割合の問題だと、xの増加量、yの増加量を記入した表を作らせたりとかして、教えていました。

早めの時期に、「xの値が2つ出てきたらその真下にyの値も書き込んでおけ」と徹底させておけば、子どもたちは迷わずに、「本能」にしたがって(つまり、あれこれ考えることなく)、無理なく正解にたどりつけるということにやっと気づきました。

増加量と値

もう一つ、子どもたちがよくやってしまう、

(1)y=3x+1でxの値が2のときのyの値…正解はx=2を代入してy=7、

(2)y=3x+1でxの増加量が2のときのyの増加量…正解は、変化の割合3×2で6

の2つの問題のかんちがい・混同も、「増加量」と書いてあれば変化の割合の問題、「」と書いてあれば必ず代入、と徹底させたら、ほとんどなくなります。


2つの工夫

1次関数の応用問題、発展問題に入る前に子どもたちがよく間違えて定期テストで足を引っ張るこれらの問題は、上記2つのこと、

「xの値が2つ出てきたらその真下にyの値を書き込んでおく」

「増加量」と書いてあれば変化の割合の問題、「値」と書いてあれば代入

を徹底すれば、相当正解率が上がるはずです。

mathematics 1次関数(4)(1次関数の式を求める問題)

「1次関数の式を求めなさい」、「直線の式を求めなさい」、「1次関数で、yをxの式で表わしなさい」と問われる問題の特集・まとめです。

このグループの問題は、中学生にとっては難しく感じられ、いろいろな問題が雑多にあるように見えますが、実は、たった2種類の問題しかありません。解き方もたった2種類です。
今日は、それをしっかりと頭に入れてください。

たった2種類とは、y=ax+bから出発し、1.変化の割合(傾き)がわかっている問題のグループと、2.連立方程式を使って解ける問題のグループ、この2つです。


1.変化の割合がわかっている問題(2段階に分けて式をたてる問題)

例題1、次の条件をみたす1次関数の式を求めなさい。
(1)変化の割合が−3で、x=−2のときy=10である。
(2)グラフが傾き−2の直線で、点(6,−2)を通る。
(3)グラフが点(4,5)を通り、直線y=−x+4に平行である。
(4)x=−3のときy=−1で、xが2増加するときyは4増加する。

順に説明します。

(1)変化の割合が−3で、x=−2のときy=10である。

解き方

1次関数の式は必ずy=ax+bの形になること、これがすべての問題の出発点です。

変化の割合、つまりy=ax+bのが−3だから、まずaに−3を代入し、y=−3x+b

次に、x=−2のときy=10をこのy=−3x+bの式に代入し、10=−3×(−2)+b

10=−3×(−2)+bを解く。
10=6+b
−b=−4
b=4

変化の割合aが−3で、bが4とわかったから、答えの式はy=−3x+4


次に、(2)、(3)、(4)の問題を解いてみましょう。すべての問題が、上の(1)と全く同じ問題であることに気づくのがここで一番大切なテーマです。


(2)グラフが傾き−2の直線で、点(6,−2)を通る。

1次関数y=ax+bのaのことを、「変化の割合」といい、グラフでは「傾き」といいます。つまり、変化の割合が−2というのも、傾きが−2というのも実は一緒、a=−2ということです。

また、点(6,−2)、これはグラフ上の座標を表わしていますが、前の6はx座標、後の−2はy座標ですからx=6のとき、y=−2であると言っているのと全く同様です、

つまり、この(2)は、書き方こそ違っていますが、書いてある内容は(1)と同じことを言っているだけです。

解き方

まず、y=ax+b

傾き−2だから、aに−2を代入してy=−2x+b

点(6,−2)を通ることから、x=6、y=−2を代入して
−2=−2×6+b
−b=−12+2
−b=−10
b=10

よって答えは、y=−2x+10


(3)グラフが点(4,5)を通り、直線y=−x+4に平行である。

2つの直線が平行であるとき、切片は違いますが傾きは同じです。つまり、「平行」と書いてあれば、「傾き」が同じと教えてくれているのです。

平行=傾き平行傾きが同じ、よく出る、重要な言い換えです。














解き方


1次関数だから、y=ax+b

次に、「直線y=−x+4と平行」だから、傾きもy=−x+4と同じ、つまり傾きa=−1、
よってy=−x+b

点(4,5)を通るから、x=4、y=5を代入して、
5=−4+b
−b=−4−5
b=9

よって答えは、y=−x+9


(4)x=−3のときy=−1で、xが2増加するときyは4増加する。

最初、皆さんが一番間違える問題です。

増加」という言葉が出てきたら、「変化の割合」の問題だ、ということを徹底しておきましょう(逆に、「」という言葉が出てきたら、「代入」しろということです)。

したがって、この問題の場合、「xが2増加するときyは4増加」とは、変化の割合の公式
1
より、変化の割合、すなわちが2ということです。

または、頭に1次関数のグラフを思いうかべて、「xが2増加するときyは4増加する」、つまり右へ2進んだら上に4上がる、傾きは2だ、と見つけてもかまいません。

解き方

まず、y=ax+b

変化の割合傾きが2だから、y=2x+b

x=−3のときy=−1を代入して、
−1=2×(−3)+b
−b=−6+1
b=5

答えは、y=2x+5


2.連立方程式を使って解ける問題(2点の座標から連立方程式をたてる問題)

例題2、次の条件をみたす1次関数の式を求めなさい。
(1)x=1のときy=4、x=3のときy=8である。
(2)グラフが2点(5,2)、(3,6)を通る直線である。

(1)x=1のときy=4、x=3のときy=8である。

1次関数の式を求める問題ですから、まず、y=ax+bを思いうかべることは1.のグループと同じです。

2つの数の組があるので、y=ax+bに代入して、連立方程式をたてることができます。

4=a+b
8=3a+b

加減法で引いて、
−4=−2a
2a=4
a=2

4=a+bに代入して、
4=2+b
−b=−2
b=2

よって、答えはy=2x+2


(2)グラフが2点(5,2)、(3,6)を通る直線である。

ある座標を「通る」と書いてあれば、x座標をxに、y座標をyに代入せよということです。

やはり、出発点は、y=ax+bです。

(5,2)を代入して、2=5a+b
(3,6)を代入して、6=3a+b

連立方程式ができました。

加減法で引いて、
−4=2a
−2a=4
a=−2

2=5a+bに代入して、
2=5×(−2)+b
2=−10+b
−b=−12
b=12

答えは、y=−2x+12


この(1)(2)の問題は、変化の割合を求める公式を用いて、1.の問題群と同じやり方で解くこともできます。しかし、連立方程式にしたほうが速いので、連立方程式をたてて解くのがおすすめです。

この、2.の問題群は、あっさりしていて非常に簡単です。
ところが、皆さんの超苦手な1次関数の応用問題を解くとき、この問題が使えることを覚えておくと、とても役に立ちます。


1次関数の応用問題に活用する

2点の座標がわかれば、連立方程式をたてて、すぐに1次関数の式を求めることができる、この技を使いこなせたら、応用問題をとても楽に解くことができます。
練習をしてみましょう。

(1)地上10kmくらいまでの気温は、高度が上昇することに一定の割合で低くなっていく。地上2kmの高さの気温が8度、地上4kmの高さの気温が−4度のとき、地上xkmの高さの気温をy度として、yをxの式で表しなさい。

解き方

「地上10kmくらいまでの気温は、高度が上昇することに一定の割合で低くなっていく」の部分は、「一定の割合で」、つまり、「変化の割合」が一定ですよ、1次関数ですよ、と言っているに過ぎません。

さらに、「地上2kmの高さの気温が8度、地上4kmの高さの気温が−4度のとき」とは、「地上xkmの高さの気温をy度として」ですから、x=2のときy=8、x=4のときy=−4という意味です。

つまり、皆さんが悩むこの問題は、「x=2のときy=8、x=4のときy=−4である1次関数の式を求めなさい」という、とても簡単な問題に言い換えられるわけです。

それに気づきさえすれば、y=ax+bに代入して、
8=2a+b
−4=4a+b
という連立方程式をすぐにたてることができます。

これを解いて、a=−6、b=20

答えはy=−6x+20です。


さらに皆さんが苦しむ、次の問題はどうでしょうか?

1次関数(2)Aさんは、家から10000m離れた図書館に行き、用事をすませて家に帰った。また、兄は、Aさんが家を出発してから10分後に、同じ道を通って図書館に行った。左の図は、Aさんが出発してからx分後に、家からymの地点にいるとして、Aさんと兄のようすをグラフに表したものである。このとき、次の問いに答えなさい。

・Aさんが図書館を出発してから家に帰るまでのようすを表すグラフ(80≦x≦130)について、yをxの式で表しなさい。

・また、兄のようすを表すグラフ(10≦x≦160)について、yをxの式で表しなさい。


どう解いたらよいか、わかりますか?

2点の座標さえ書き込めたら、どんな難問もすぐに解ける

グラフの問題を解く最も有効なコツは、グラフに座標を書き込むことです。

1次関数2左の図のように、座標さえ書き込めば、解き方がうかんできませんか?


Aさんのグラフは、2点(80,10000)、(130,0)を通っています。
だから、y=ax+bに代入して連立方程式をつくることができます。

10000=80a+b
0=130a+b

これを解いて、a=−200、b=26000

答えはy=−200x+26000


兄も同様です。(10,0)、(160,10000)を通っているから、y=ax+bに代入して、

0=10a+b
10000=160a+b

この連立方程式を解いて、a=200/3、b=−2000/3です。

よって、答えは、y=200/3x−2000/3


2点さえわかればどんなグラフでも連立方程式をたてて式を求めることができる、これは重要です。

この技を駆使するために、グラフの問題を解くときは座標を書き込むくせをつけておくことです。

mathematics 1次関数(3)(1次関数のグラフ)

今日は1次関数のグラフの書き方について考えてみます。

(1)1次関数はy=ax+bという式で表される
(2)axが1増えたときのyの増える量bx=0のときのyの量

を、もう一度思い出しておいて、今日の勉強に入ります。


y=2x+4のグラフを書く

まず、1次関数y=2x+4のグラフはどのようなグラフになるでしょうか。
y=2x+4は、最初が4で、変化の割合が2、つまり2ずつ増えていく1次関数です。
正確に言い直します。xが0のときyは4で、xが1増えるごとにyは2増えます。

ですから、まず、xが0のときyは4、つまり座標(0,4)の点を先に見つけて、それから、xが1増える(グラフでは右に1進む)ごとにyが2増える(グラフでは上に2上がる)点を次に見つけたらよいということがわかります。

この2点を通る直線を書けば、それがy=2x+4のグラフです。
y=2x+4

1次関数のグラフだと、y=ax+bの式で、aを「傾き」、bを「切片」と言います。

y=2x+4のグラフだと、傾きが2、切片が4ということになります。
グラフの書き方をまとめると、まずy軸上に切片4をとり、その点から右に1進んで上に2上がる点をとり、この2点を通る直線を書く、ということです。

y=−x+2のグラフを書く

傾きが−1、切片が2のグラフを書くことになります。

まず、xが0のときyは2、つまり座標(0,2)の点を先に見つける。それから、xが1増える(グラフでは右に1進む)ごとにyは1減る、言い換えれば−1増える(グラフでは下に1下がる)点を次に見つけたらよいわけですから、簡単ですね。

y=-x+2


y=1/3x−2のグラフを書く

傾きが分数の1/3、切片が−2のグラフです。

まず、xが0のときyは−2、つまり座標(0,−2)の点を先に見つける、これは今までと同様です。

傾きの分数、1/3をどうしたらよいかという問題が出てきます。
xが1増える(グラフでは右に1進む)ごとにyは1/3増えると考えてもよいのですが、分数なので正確な点をとりにくくなってしまいます。
1右へ進んで上に1/3ということは、次のちゃんとした整数の点はどこでしょうか?比の、1:1/3の両方を3倍して、1:1/3=3:1、つまり右へ3行って上へ1上がった点をとればよいということに気づいてください。

つまり、傾きが分数のときは、分母の数字だけ切片から右へ進み、分子の数字の分、上へ(−のときは下へ)進めばよいということです。
この場合、切片から右に3進み、上へ1上がったところに2つ目の点をとるということになります。

1次関数分数のグラフ


y=2/3x+1/3のグラフを書く

最後に、切片が分数のときのグラフの書き方を考えてみましょう。

書き方は2通りあります。

1つ目は今までと同じ方法です。
まず、xが0のときyは1/3、つまり座標(0,1/3)の点を先に見つける。それから、xが1増える(グラフでは右に1進む)ごとにyは2/3増えることをxが3増えたらyは2増えると考えて2つ目の点を見つけます

今までのグラフとの違いは、2つの点がグラフの格子(縦線と横線の交わったところ)を通らないことです。目分量というか、だいたいこのあたりと思えるところに点を打つことになります。

切片も分数1

この1番目の方法は、このあたりであろうという場所に点を打つ方法なので、学校の先生によっては間違いであるという人もいます。

2つ目の、誰からも文句の出ない方法は、次のようなやり方です。

グラフを書くとき、xもyも整数になる点を見つけます。
x=1から順に式に代入して、yも整数になる場合を見つけていきます。

この式だと、x=1のとき、y=1になります。
x=2のとき、yは分数になるからだめ。
x=3のときもyは分数でだめ。
x=4のとき、y=3になってくれます。

これで2点、(1,1)と(4,3)が見つかりました。
この2点を通る直線を書けば正解です。

切片も分数2


2点さえ見つかればグラフが書けることを確認して、今日の学習は終わりです。

mathematics 1次関数(2)(変化の割合)

「1次関数とは何か」で理解した、
(1)最初にある数量があり、そこから決まった割合で増えたり減ったりしているものを1次関数という
(2)1次関数はy=ax+bという式で表される
(3)aは決まった割合で増えたり減ったりしている量(xが1増えたときのyの増える量)、bは最初に存在する数量(x=0のときのyの量)である
の続きです。


「変化の割合」の意味

1次関数y=ax+bのa、「決まった割合で増えたり減ったりしている量」、「xが1増えたときのyの増える量」を、数学では『変化の割合』と呼びます。

例えば、y=3x+2だと、y=ax+bでa=3のときですから、この関数は「3ずつ増えていく」、さらに厳密に言うと「xが1増えるとyは3増える」、つまり変化の割合は3であるということです。

では、y=3x+2でxが4増加するとyはいくら増加するかと聞かれたら、3ずつ増えるものの4倍だから3×4の12だということになります。

別の例でもう一度確認しておきます。y=−2x−3だと、2ずつ減る、つまり−2ずつ変わるから変化の割合は−2です。
もしxが5増加したときyはいくら増加するかと聞かれたら、−2の5倍、すなわち−2×5の−10増加する、が答えです。

ここまでのまとめ
1次関数y=ax+bで、aにあてはまる数を「変化の割合」という
「変化の割合」の意味は、xが1増えたらyはa増えるという意味である
だから、1次関数y=ax+bでxがn増えたら、yはa×n増える



「変化の割合」を求める公式

では、xが3増えたとき、yは12増えることがわかっている1次関数があるとします。このときの変化の割合はいくらになるでしょうか。

「変化の割合」とは、「いくらずつ増えるか」さらに詳しく言うと、「xが1増えたら」+「yはいくらずつ増えるか」ということです。xが3増えて、そのときyは12増えたわけですから、xの1増加分にあたるyの量は4のはずですね。

このときの式が肝心で、なぜ4という数が出てきたかといえば12÷3で4だったからです。
xが3増えたときyは12増えた、xの増加量のときyの増加量12であった、このとき変化の割合を求める式は12÷3、つまり変化の割合yの増えた量÷xの増えた量、すなわち変化の割合yの増加量÷xの増加量
以上より、変化の割合を求める公式ができました。
変化の割合=yの増加量÷xの増加量

1


です。

以上、ここまで、ほとんどわかりにくいことは出てこなかったと思います。ところが、実際の問題を解く段になると、非常に出来が悪くなります。教えるほうもなかなか上に書いたように詳しく説明する時間の余裕がない、問題を解く中学生もきちんと意味をわかったうえで問題に取りかかる心の余裕がない。
もう一度、上で説明したことを見直してみてください。見直せたら、次のような問題を考えてみましょう。


問題1
1次関数y=−6x+1の変化の割合はいくらか。

解答
1次関数y=ax+bで変化の割合はaのことですから、答えは−6です。


問題2
1次関数y=2x+7でxの増加量が6のとき、yの増加量はいくらか。

解答
yは2ずつ増える、xが1増えるごとにyは2ずつ増えるわけですから、xが6増えたらyは2の6倍、2×6=12、増えるはずです。答えは12。


問題3(変化の割合とは関係ない問題)
1次関数y=2x+7でxの値が6のとき、yの値はいくらか。

解答
皆さんが問題2と混同して間違える問題です。
「増加量」と「値」では全く問題の意味が違います。この問題では単純に「xの値が6」と言っているだけですから、y=2x+7のxのところにx=6を代入するだけです。答えはy=2×6+7でy=19となります。
「数学の問題文ではすべての言葉に意味がある」、「値」と「増加量」をしっかりと区別してください。


問題4
y=ax+1で、xの値が3増加するときyの値が15増加した。aの値を求めなさい。

解答
1次関数y=ax+bのa、変化の割合を尋ねる問題です。

変化の割合とは、xが1増えるごとにyがいくらずつ増えるかと言う意味である、xが3増えたらyが15増えたということは、xが1増えるときのyの増加量は5のはず、だから変化の割合は5、よってa=5ということになります。式は15÷3=5です。

あるいは、変化の割合=yの増加量÷xの増加量、

1


の公式を覚えていたら、

2

と求めることもできます。

最後にまとめの問題です。


問題5
1次関数y=2x−3で、xが1から4まで増加するとき
(1)xの増加量を求めよ
(2)そのときのyの増加量を求めよ
(3)変化の割合を求めよ

解答
(1)
xの「増加量」という言葉で困惑する人が出てきます。「増加量」でびびらないように。
要するに、「増加量」=「いくら増えたか」です。1から4までで「いくら増えたか」と言われたら、誰だって3とわかります。答えは3です。

複雑な数字が出てきても簡単に解けるように、公式化しておきましょう。
1から4になったわけだから答えは3ですが、どういう式だったのでしょうか。当然、4−1=3ですね。後で出てきた4から、先に書いてあった1を引いたわけです。
先に出てきたxだからそのxを
3


と表します。
後に出てきたx、2番目に出てきたxは
4


です。
ここで、
5

と、公式をしっかりと覚えておきます。

(2)
xのときと同じように考えなければいけません。

ところがyはどこにもまだ書いてありません。だからyがいくらからいくらになったのか、求める必要が出てきます。
手がかりは、式のy=2x−3と、「xが1から4まで増加する」という語句のみです。yがいくらになったかを知りたいわけですからy=2x−3に代入するしかありません。
代入するのは、「xが1から4まで増加する」と書いてあるので、x=1と、次にx=4です。

y=2x−3にx=1を代入して、y=2×1−3=−1、
y=2x−3にx=4を代入して、y=2×4−3=5
これで、yが−1から5になったことがわかりました。

「yの増加量」はいくらか、つまり、yは「いくら増えたか」、−1から5になったのだから6とわかりますが、やはり後々のために公式化しておきます。

先に出てきたyを
6


後の2番目に出てきたyを
7


ここで式は
8

5−(−1)、すなわち6
よって6です。

(3)
頭脳明晰な人は次のように考えます。
変化の割合」とは、y=ax+bのaのことである。式がy=2x−3だからaにあたる数は2、答えは2。

あっさりしすぎですね。こんなに簡単でいいのだろうかという疑いもわいてきます。しかし、もちろんこれで正解です。(1次関数では、この問いのように、ちゃんと言葉の意味をしっかりと理解しておけば難なく解けるということがよくあります。)

しかし、もう一つの解き方もできないといけません。
上で出てきた、
9

を使う解き方です。
10


この問題5が一番重要ですから、類似問題でわかったかどうか確認してください。


問題6
1次関数y=0.5x−4で、xが1から4まで増加するとき
(1)xの増加量を求めよ
(2)そのときのyの増加量を求めよ
(3)変化の割合を求めよ

解答
(1)4−1=3
(2)x=1のときy=−3.5、x=4のときy=−2、
−2−(−3.5)=1.5
(3)
9

より、
11

よって1/2または0.5

または、変化の割合はy=ax+bのaのこと。y=0.5x−4でaにあたる数は0.5、だから0.5。

mathematics 1次関数とは何か(1)(1次関数を本当にわかるために)

中学校の数学で、最も重要で、しかも子どもたちにとってわかりにくい単元は、1次関数です。入試でも必ず大問として応用問題が出題されます。

わかりにくい単元ほど、最初に、「なぜそうなるのか」の部分が理解できていないと、応用問題は解けません。逆に、1次関数とはどんなものなのか、初めにしっかりと概念、基礎が理解できていたら、難しそうに見える発展問題も案外簡単に解けてしまいます。

今日は1次関数の基礎の基礎、「1次関数とは何なのか」を考察します。

比例と1次関数

比例最初何も入っていない水そうに、1分間に3リットルずつ水を入れていきます。
x分後の水そう内の水の量をyリットルとします。
yをxを使った式で表すと
y=3x
y=axの形になったので、これは中1で習った比例です。

1次関数水そう最初に5リットルの水が入っている水そうに、1分間に3リットルずつ水を入れていきます。
x分後の水そう内の水の量をyリットルとします。
yをxを使った式で表すと、最初に5リットル入っていてそこから3リットルずつ増えていくので
y=5+3xとなるはずですが、文字の項を先に書いて
y=3x+5
これが1次関数です。

最初が0で、そこから決まった割合で増えていくのが比例、最初に既にいくらかの量があって、そこから決まった量ずつ増えていくのが1次関数です。

このとき、式は、最初に存在している数b決まった割合で増える量aとして、y=ax+bの形になります。
これが1次関数の一般式(どんな1次関数でもこの形になる)といわれるものです。

1次関数ろうそく長さ10cmのろうそくがあります。このろうそくは1分間に0.5cmずつ燃えて短くなっていきます。x分後のろうそくの長さをycmとすると、yはどんな式で表されるでしょうか?

最初にある数量があって(10cm)、そこから決まった割合で(0.5ずつ)減っているから
y=10−0.5x
文字の項を前に出して
y=−0.5x+10
となることが容易にわかると思います。

この場合も、最初にある数量が存在し、そのあと決まった量ずつ増えたり減ったりする関係が成り立っているから1次関数であり、y=ax+bでa=−0.5、b=10にあたる1次関数といえます。

これまでのまとめ
(1)最初にある数量があり、そこから決まった割合で増えたり減ったりしているものを1次関数という
(2)
1次関数はy=ax+bという式で表される
(3)a
は決まった割合で増えたり減ったりしている量、bは最初に存在する数量である


表で考える1次関数

1次関数表�左の表で表された関数の式を考えてみましょう。
最初、xが0のときy=−2であり、xが1増えるごとにyは3ずつ増えています。
最初に決まった量の−2があり、その後同じ割合で3ずつ増えているから、bが−2、aが3の1次関数といえます。
したがって、式はy=3x−2です。

1次関数表�左の表だと、式はどうなるでしょうか。

今まで、「最初の数量」という言い方をしてきましたが、この表で最初の数はy=1ではありません。実は、今まで「最初に存在する」と言ってきたのは、4つの例すべて、「x=0のとき」です。
この場合、最初に存在する量にあたるのは、x=0のときのy=3です。

さらに、この表のyは1ずつ増えていますが、だからといって「決まった割合で増える量」が1だとは言えません。xを見てください。xが2増えるごとにyが1増えています。
今までの例で、決まった割合で増える量とは、すべてxが1増えるごとにyがいくら増えているかを表していました。だからこの表でも、xが2増えるごとにyが1増えているということは、xが1増えるときのyの増える量は1/2、つまり0.5だということになります。

したがって、この表のxとyの関係を表す式は、b=3で、a=1/2、
つまりy=1/2x+3ということになります。

次のように修正しておきましょう。

(1)1次関数はy=ax+bという式で表される
(2)aは決まった割合で増えたり減ったりしている量(xが1増えたときのyの増える量)、bは最初に存在する数量(x=0のときのyの量)である


1次関数表�では、左の表ではx、yの関係はどんな式で表されるでしょうか。
x=0のとき、y=1ですから、最初の量、bは1です。
次に、xが2増えるごとに、yは4ずつ減っています。ということは、xが1増えるごとにyは2ずつ減っている(言い方をかえれば−2ずつ増えている)ことになりますから、決まった割合で増える量、aは−2ということになります。

答えは、y=−2x+1です。


以上が、1次関数の基礎の基礎、これから1次関数を学ぶにあたり、すべての問題の基礎になっていきます。
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