3ヶ月点検2013年 アルテモーダ

September 11, 2009

道徳の授業

FAMILY 022昭和45年11月25日、4時間目の道徳の授業が始まろうとしたそのとき、先生が「今大変なことが起きている」と私たちに話してくれたことを今でも鮮明に覚えている。
当時小学5年生だった私は三島由紀夫の名を知っていても、彼の小説を読んだこともなく、ただ先生が言う三島が国を憂いて市谷の自衛隊駐屯地を占拠したその事実を知らされるのみだった。なぜ私たちのような年端のいかない子供たちにこのような話をしたのか、その後恩師を囲む機会はあったものの、その真意を確かめることなく師は鬼籍に入ってしまった。しかし三島の死後、道徳の授業は明らかに変わった。それまで行ってきた、文部省推薦図書を題材にした議論はなくなり、その代わりに師の右手にはいつも「葉隠」があった。山本常朝の説く「武士道というは、死ぬことと見つけたり」この有名な一句が戦中政治的に利用されたことがこの書の不幸であったが、師はこの句が象徴する逆説的な意味をていねいに私たちに説いてくれた。それはまさに美しく生きるための授業であり、紳士、淑女たることを初めて意識するものだった。改めてこの場でこの書の解説をしないが、学校、社会、政治の場、あらゆる場面においてモラルを問われる中、「葉隠」の意味する本当の道徳観を改めて見直す機会が来ているのではないかと思う。そして今まさに品性を必要とする民主党のニューリーダー、彼らにこそこの書を読んで欲しい。

artemoda at 23:37│Comments(0)TrackBack(0)

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