すっかり更新が遅くなってしまいました。なにしろ26日(木)のアドリアーナ・カルカニョット+モレーノ+ドメニコ+カシン公演の後、27日(金)の朝、苗場に移動してFUJI ROCKの初日、27日(土)の午後に帰京して夜は日比谷野音で「細野晴臣と地球の仲間たち」コンサートを観戦。今日は3日ぶりに出社して日曜返上で雑務に明け暮れております。

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●26日(木)アドリアーナ・カルカニョット+モレーノ+ドメニコ+カシン 東京公演2日目

正式なセット・リストはラティーナのサイトに発表されると思うので、ここでは流れに添って簡単なフォロー・メモを。(*30日追記:Latina blogに25日、26日ともアップされました)

まず冒頭の3曲でアドリアーナの転機となったアルバム『Cantada』の世界を表現。2曲目の「Programa」はモレーノ+ドメニコ+カシンとのレコーディング初共演となった曲(当時はモレーノ+2名義)。続いてモレーノが自作の「Para Xo」をアドリアーナとデュエットしたところで、お待ちかねのアドリアーナの大ヒット曲「Vambora」。さらに大ヒット曲が続く。初日のプログラムには入っていなかった「Devolva-Me」をアドリアーナが弾き語りして『Publico』の世界を再現。

『Adriana Partimpin』収録の「Borboleta」(ドメニコ作)では、『Adriana Partimpin - o Show』のライヴDVDでも見ることが出来た、アドリアーナがカエルの玩具と戯れて最後にキッスする場面も。
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アドリアーナとカシンが共作した「Quando Nara Ri」では、ローディーのジョルジが特別参加(?)してベースを演奏。カシンの新曲「Um Dia Desses」、モレーノがガル・コスタに提供した「Hoje」と来て、モレーノがフランス語で歌った「Dans Ton Ile」ではアドリアーナがリンゴをかじって効果音を。そして初日にやらなかった新曲「O Surfista(サーファー)」。これは2年前、Percpanのステージでも披露した曲で、そのときと同じくモレーノがサーファー姿のパフォーマンスを披露。
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「Vai Saber?」はアドリアーナがマリーザ・モンチに提供した曲(『Universo ao Meu Redor』収録)。マリーザの来日公演では聴くことが出来なかったので、個人的にはこれがいちばん嬉しかった。歌詞の中に 某合臭国の癌細胞である "茂み野郎" の名前が飛び出して客席が沸いたカシンの「Tranquilo」、アドリアーナがスペイン語をまじえて歌った「Resistire」と続き、「Deixa o Verao」ではアドリアーナが途中で歌いやめ "Sorry" と一言発して最初からやり直すハプニング。それまでは "不思議の国の住人" 然としていた彼女のスの表情が垣間見え、思わずニヤリ。

モレーノが強烈なアコギのカッティングを披露した「Rio Longe」でヴォルテージが最高潮に達したところで、アドリアーナがモレーノとドメニコのツイン・パンデイロをバックに歌った曲は、なんとセウ・ジョルジの「Tive Razao」。これが今回の選曲中、最大のサプライズ。そして本編のシメは、待ってました!の「Fico Assim Sem Voce」(クラウヂーニョ&ブシェシャのカヴァー)。『Adriana Partimpim』からの大ヒット・トラックだ。

アンコールは、アドリアーナの弾き語り、モレーノが歌うオロドゥンの名曲「Deusa do Amor」(ドメニコはサンドペーパーを演奏)、前日に続いてドメニコがMPCと悪戦苦闘(?)した「Aeroporto 77」。

2度目のアンコールでは、まずモレーノがメキシコのボレロの名曲「Perfidia」を歌い、続いてアドリアーナの弾き語りでジョビン=ヴィニシウスのマスターピース「Eu Sei Que Vou Te Amar」。映画『Vinicius』の中で彼女が歌った曲で、ちなみに近日公開の映画『This is BOSSA NOVA(原題:Coisa Mais Linda)』では、この曲をジョイスが歌っている。

スペイン4カ所と東京、計6回のショーがこれで終了。アドリアーナのクール・ビューティーなオーラを体感するには『Publico』のようなソロ・パフォーマンスも良いのだけれど、彼女の繊細なアート感覚と意外に無防備なイノセント・ワールドが、通常の "バック・バンド" ではなく彼女と同じ周波数のアンテナを備えた曲者たち(MDK)と組むことによって、初めて重層的に表現できていた。

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こちらは開演前の楽屋で。アドリアーナが持っているのは、ヴィニシウスの詩に基づいて自らイラストを描いた絵本『O Poeta Aprendiz』(この曲を歌っているCDつき)。アドリアーナのインタビューは8月12日か19日のJ-WAVE 「NOEVIR SAUDE! SAUDADE...」で放送。正式な放送日が決まったらお知らせします。

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●27日(金)akiko+モレーノ+ドメニコ+カシン+2 @ FUJI ROCK '07

二日酔いのまま上越新幹線に飛び乗り、FUJI ROCKへ。台風の中で行なわれ2日目が中止になってしまった富士天神平での第1回、都内で開催された第2回には行ってたが、苗場に移ってからは初参加。

いや〜、話には聞いていたけれど会場が広い。宿舎の苗場プリンスからいちばん奥のステージ「オレンジ・コート」まで、歩いて優に45分。でも面白いぐらい次々に、知り合いに会う、会う、会う。

そのオレンジ・コートでは、懐かしやセンチメンタル・シティ・ロマンスに続いて午後3時40分から、akiko+Moreno+Domenico+Kassin+2(金子雄太:key,organ. 高野寛:gt, bass)が出演。akikoさんがリオ録音の新作『Vida』で彼らと共演したのが縁で実現したパフォーマンスだ。『Vida』収録曲だけでなく、モレーノが歌うサンバの名曲「Sem Compromisso」(オルケストラ・インペリアルのレパートリー)あり、東京ではおとなしく音のまとめ役に徹していたカシンがフロントに立ってロックする『Futurismo』収録曲もありで、ブラジル勢3人の見せ場、聴かせどころもたっぷり。モレーノの歌手としての成長ぶりは東京で実証済みだったが、カシンも去年に比べたら格段に歌がウマくなった。一方、この日はドラマーに徹したドメニコ、ロックやってもサンバのグルーヴがぶりぶりハジけ出るファットなドラミングは圧巻で、東京でも何曲かはドラムス叩いてほしかったなあ、というのが本音。

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終演後のバックステージで、メンバー6人とエンジニアのダニエル

夕方以降は、渋谷のPOPOPEKU、7th FLOORなど、知人が出店しているフードコートをめぐって腹をふくらませつつ、ひたすら歩き回りながら広い山中に点在するあちこちのステージをハシゴ。楽しみにしていたアイルランドのシンガー/ソングライター、ダミアン・ライス(アナ・カロリーナ&セウ・ジョルジの大ヒット曲「E Isso Ai」の原曲「The Blower's Doughter」の作者)の出演がキャンセルになったのは残念だったが、出演時間帯がかぶっていたマニー・マークを聴けたので良しとしよう。

巨大フードコート近くのレッド・マーキーでは深夜0時近くに、ブラジル南部出身のDJ Chernobylのパフォーマンス。コムニダーヂ・ニンジュツやボンヂ・ド・ホレーのプロデュースも手がけた彼の音楽の基本はファンキ。と言ってもファンキをネタ使いしているだけの印象で、ふだん聴き親しんでいるファンキ・カリオカのような、音楽の背後から否応なしに立ちこめてくるリアリティが感じられない。まあ、踊って盛り上がる分には十分楽しめるだけのクォリティを備えてはいるのだが。

深夜2時頃、不夜城のごとく盛り上がる会場を後にホテルに向かって歩いていたら、ベーグルをほうばるモレーノとカシンにバッタリ。彼らは28日(土)も滞在してフェス三昧を決めこむそうだ。

「文化」として定着したFUJI ROCK。こういう場に来年以降、もっともっと大勢のブラジル人アーティスト/グループが出演することを心から願う。フードコートにも1軒ぐらいはブラジル料理の店があっていい、と言うかそうあるべき。

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●28日(土)細野晴臣と地球の仲間たち〜空飛ぶ円盤飛来60周年!夏の音楽祭〜 @ 日比谷野音

本当はもう1日ぐらい滞在したかったFUJI ROCKだが、昼過ぎの新幹線に乗って東京に戻り、午後6時から日比谷野音で表題のコンサート。もちろん超満員。これまた次々、知り合いに会う、会う、会う。

竹中直人が狂言回しをつとめ、いきなりヴァン・ダイク・パークスが登場してオーケストラを指揮し、第1部は細野さんへのトリビュート・アルバムに参加したメンバーが1曲ごとに登場、紅白歌合戦並みの出入りの激しさで細野楽曲を歌うという豪華なプログラム。出演者の中には、前日のFUJI ROCKから日帰りした高野寛さん、一昨日のADMKライヴにも来ていた小山田圭吾さんと嶺川貴子さんもいて、なんだか大きな川の流れがずっと続いている感あり。畠山美由紀さんとボファーナの山田里香ちゃん&小池龍平君はスリー・ディグリーズの「Midnight Train」を歌い、ボファーナの良次君、ハンズ・オブ・クリエイションのBICもサポート。

第2部は細野さんの現在のバンド、WORLD SHYNESSがたっぷりと演奏。2年前の九段会館でのコンサートでは「今日は中南米の音楽のコンサートにようこそ」などと冗談まじりに話していた細野さん、今日は「60歳になったので、これからはカントリーをやります。もうテクノはやりません」。で、ホントにカントリー寄りのアレンジのライヴ・パフォーマンスで途中、幸宏氏や坂本教授も登場するも、YMOのYの匂いもナシ。それがかえって新鮮だった。アンコールの最後は全員が登場して「さよならアメリカ さよならニッポン」。

とくに第1部を聴いていて、しみじみと実感したことがある。細野さんよりもはるかに若い世代の歌手/ミュージシャンたち、そして彼らのパフォーマンスに聴きいるオーディエンス、彼らの音楽に対するチャンネルって、アドリアーナ+モレーノ+ドメニコ+カシン、そして彼らの音楽を楽しめる人たちのそれと、実はとても近いということだ。