アレクシア・ボンテンポとピエール・アデルニ夫妻のデュオ・ユニット、Doces Cariocas(ドーシス・カリオカス)。

16日(金)の東京公演@Cayは、4月とは思えないほどの寒さとみぞれまじりの悪天候にもかかわらず、立ち見が出る大盛況。17日(土)の山形公演@山寺・風雅の国も、前夜に激しく降った雪が残り真冬並みの寒さながら、仙台など近県からも大勢の来場者が集まる盛況だった。

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ライヴはドーシス・カリオカスのレパートリー、アレクシアとピエールのソロ・アルバムのレパートリーを中心に、デュエットと各々のソロを交えたプログラムで、時としてエヴリシング・バット・ザ・ガールやフランスのリリキューブに共通する肌触りも伝わってくる。

レパートリーの大半を占めるピエールのオリジナル曲(共作を含む)を生で聴いて、彼のソングライティングのセンス、とくに詩の素晴らしさを再認識した。

5年前に出会ったアレクシアへの熱い想いをつづり、ガブリエル・モウラとセウ・ジョルジが曲をつけて完成した「Mina do Condominio」は、ピエールがセカンド・ソロ作『アウト・マール』で録音したのに続いてセウ・ジョルジが『America Brasil O Disco』で録音し、昨年ブラジルで大ヒットした曲。

山形で初披露した新曲「Yamagata」は、今回のツアーで山形に行くことが決まったのを受けて、ピエールがネットで検索した銀山温泉の写真と、ツアーの勧進元であるインパートメントの稲葉さんからの情報をもとに、イマジネーションをふくらませて作詩作曲した切ないラヴ・ソング。

今年で25歳になるアレクシア。もちろん可憐で愛らしいのだけれど、歌手としての輝きもステージでの立ち居振る舞いも、すでに確固たる自分の世界に到達している。今後の伸びしろも十分にあり、プロデュース心を大いにかきたてる逸材だ。

現在、録音中のアレクシアのセカンド・アルバムは、カエターノ・ヴェローゾが英語で作詞した、主にロンドン亡命期の曲を集めたソングブック。ライヴでは、その中から僕も大好きな曲「You Don't Know Me」(カエターノの『Transa』収録)を披露した。

USA生まれで最初に覚えた言語も英語だったというアレクシアは山形の打ち上げの席で、自ら英語で作詞作曲した未発表のオリジナル曲をギターで弾き語り(写真下)。マルー・マガリャンイス、ティオゴ・イヨルク、ホドリーゴ・デル・アルクなどに通じる方向性もありそうだ。

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18日(日)。ピエールとアレクシアは山ブラの石郷岡会長夫妻のガイドで、天童の蕎麦の名店「吉里吉里」〜山形の日本酒蔵元「六根浄」〜最上川沿いのカフェ「エスプレッソ」の黄金コースを満喫。「六根浄」の店内には、早くもこんな張り紙が。

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帰京して18日の夜は、ディスクユニオンのブラジル新譜試聴会が行なわれていた渋谷のBar Blen blen blenに集合。DJタイムが始まって間もなくアレクシアとピエールが到着、その後も店内は人であふれ定員オーヴァーの大混雑の中、奥のソファでピエールが熱く語り始めた。彼らと交流がある新世代のアーティストたちを巻き込んだ壮大なプロジェクト案、ブラジル音楽における詩の歴史と重要性などなど。アレクシアも、自身の二大ルーツであるUSAとブラジルの文化を今後、音楽を通じてどのように表現していくか、熱く語った。2人とも自分が、そして世の中が、とてもよく見えている人たちだ。

最後はCDに合わせて2人が自分たちの曲を歌い、宴のフィナーレ。リオでの再会を約し、アレクシアとピエールは今日、次の公演地であるニューヨークへと旅立った。

ピエール、アレクシア、ドーシス・カリオカスのCDをリリースし、来日公演を企画し成功へと導いた、インパートメントの稲葉昌太さんにリスペクトを。