2010年12月29日
中原仁の2010年ブラジル・ディスク大賞
今年で15回目を迎えたブラジル音楽のアルバム・ベスト10「2010年ブラジル・ディスク大賞」。
一般投票のベスト10は、J-WAVE SAUDE! SAUDADE...のホームページ(こちら)および月刊ラティーナ2011年1月号に掲載されている。関係者投票のベスト10も1月号に掲載。
以下、中原仁が選んだ2010年のベスト10です。タイトル(欧文)の右のカッコ内は、該当作の関係者投票総合順位です。
1位:セウ・ジョルジ&アルマズ/セウ・ジョルジ&アルマズ
SEU JORGE & ALMAZ / SEU JORGE & ALMAZ(関係者投票総合3位)

初めて聴いた瞬間に1位を確信。今年リリースされたアルバムの中では数少ない、ブラジル音楽の枠を越えて鋭敏なアンテナを備えた音楽ファンに広くアピールできた作品だと思う。コメントは当ブログの7月26日付を参照して下さい。
ところで、このユニット結成のきっかけは、日本でも2008年の「第9回東京フィルメックス」で初上映された『リーニャ・ヂ・パッシ』。映画のオリジナル・スコアの一部をアントニオ・ピント、マルコス・スザーノ、ナサォン・ズンビのルシオ・マイアとプピーロが手がけ、エンドテーマ曲「Juizo Final」(ネルソン・カヴァキーニョ作)をセウ・ジョルジが彼らをバックに歌っていた。そこからスザーノを除く4人が集まってALMAZを作った、というわけ。
なお、一般投票で2位にランクインしたセウ・ジョルジの『AMERICA BRASIL O DISCO』は2008年の作品で、日本盤が今年ようやくリリースされたためリエントリーした。僕は2008年度の関係者投票で3位に選んでいる。
2位:マルセロ・D2/カンタ・ベゼーハ・ダ・シルヴァ
MARCELO D2 CANTA BEZERRA DA SILVA(関係者投票総合4位)

前年度の4位に選んだ『A ARTE DO BARULHO』から一転、まさかあのD2がラップを封印してサンバを "歌う" とは! しかし内容が "ベゼーハ・ダ・シルヴァを歌う" と来れば納得だ。
80年代後半のパゴーヂ大旋風(フンド・ヂ・キンタル、アルミール・ギネト、ゼカ・パゴヂーニョ、ジョヴェリーナ他)が巻き起こる前からブラジルでは大人気だった、筋金入りのマランドロのサンビスタ、故ベゼーハ・ダ・シルヴァの音楽には、本人はそんなこと全く意識してなかっただろうが結果的にヒップホップに相通じる精神性、ストリート魂がみなぎっていた。そこにD2が着目したのも本能の成せる技だろう。本来は歌手ではないD2が "歌う" ことで、ベゼーハのシャベクリ芸めいた味をみごと自分流に咀嚼している。
しかもプロデューサーのレアンドロ・サプカイは、マリア・ヒタをサンバ・カリオカの泉に導いて『SAMBA MEU』を産んだ仕掛人であり、自らも『CANTANDO ROBERTO RIBEIRO』を発表(これを僕は前年度の7位に選んだ)。まさに鉄板コンビだ。聴けば聴くほど味わい深く、これを機に、日本ではあまり知られていなかったベゼーハのサンバが再認識されますように。
3位:ネイ・マトグロッソ/ベイジョ・バンヂード
NEY MATOGROSSO / BEIJO BANDIDO(関係者投票総合12位)

2011年で70歳を迎えるというのに全く衰えを知らない、圧倒的な表現力と妖艶な歌声のネイ様は、ブラジルの陰陽師と呼べるかも。近年の作品はいずれも素晴らしい内容で、特に今回は選曲にシビれた。ショーロ、サンバ・カンサォン、ホベルト・カルロス&エラズモ・カルロスの作品、シコ・ブアルキ&エドゥ・ロボの作品、80's B-ROCK世代の作品、北東部(ジェラルド・アゼヴェド&ゼー・ハマーリョ)から南部(ヴィトル・ハミル)、さらにピアソラ、そして元はフランスの名曲「FASCINACAO」まで。
ネイ様の歌には余計な言葉は不要、ただただ酔いしれるのみ。同世代(MPB黄金世代)の男性アーティストのほとんどがシンガー/ソングライターであるのに対し、彼はずっと "歌" に徹している。それは誰も侵すことの出来ない聖域だ。
4位:ホベルタ・サー&トリオ・マデイラ・ブラジル/クアンド・オ・カント・エ・ヘーザ
ROBERTA SA & TRIO MADEIRA BRASIL / QUANDO O CANTO E REZA(関係者投票総合1位)

ホベルタ・サーについては、もはや多くを語るまでもないだろう。今までの彼女のアルバムとは異なる企画盤で、バイーアのヘコンカヴォ(トードス・オス・サントス湾の沿岸地域)の風土に根ざしたサンバ人、ホッキ・フェヘイラの作品集。彼の音楽には、サンバ・ヂ・ホーダやシューラからマラカトゥまで多彩なスタイルがあるが、それらすべてをひとつにする海のような包容力がある。ホベルタの歌とトリオ・マデイラ・ブラジルの演奏とのコンビネーションは、川の流れを思わせる。海と川を結ぶものは水。すべての生命の営みに欠かせない、水。月刊ラティーナ2010年11月号に書いた特集記事「バイーアのサンバ」もご参照下さい。
5位:フィーノ・コレチーヴォ/コパカバーナ
FINO COLETIVO / COPACABANA(関係者投票総合6位)

21C世代のカリオカ・ポップ! 彼らの音楽が生み出すヴァイブ、もろにカリオカなんだけど東京で生活している人間でもごく自然に共有できて、友達感覚で聴けるアルバムだ。ジョアン・ドナートの息子ドナチーニョ(キーボード)が新加入、音がさらにカラフルになった。ヴォーカリストの一人、アルヴィーニョ・ランセロッチはドメニコの弟。メンバーのオリジナル曲も秀逸だがノヴォス・バイアーノスの「SWING DE CAMPO GRANDE」のカヴァーにハマり、今年の下半期、DJやるときにかけまくった。
6位:ホドリーゴ・マラニャゥン/パサジェイロ
RODRIGO MARANHAO / PASSAGEIRO(関係者投票総合5位)

クソ暑かった今年の夏、夜更けに聴く機会が最も多かったアルバム。ペドロ・ルイス&ア・パレーヂの義兄弟バンド、バンガラフメンガではイケイケのストリート・パワーもふりまいているホドリーゴだが、ソロ作は対照的に静のたたずまい。でも、内に秘めた情熱がグイグイ迫ってくる。コンポーザーとしての才能はもちろんのこと、歌声も深く心に染み入る。私事になるがマルコス・スザーノをはじめ、ナンド・ドゥアルチ(7弦ギター)、マルセロ・カルヂ(アコーディオン)、アンドレア・エルネスト・ヂアス(ピフィ、フルート)、シバ(ハベッカ)など、今までに仕事させてもらったことがある素晴らしき名手たちが大勢参加しているのも嬉しい。
7位:ニーナ・ベッカー/アズール
NINA BECKER / AZUL(関係者投票総合14位タイ)

オルケストラ・インペリアルで知ったニーナ・ベッカーの歌声が大好きになり、ナンド・ドゥアルチがアレンジと音楽監督をつとめた無印良品の『BGM13』ではノエル・ホーザの作品を2曲、歌ってもらった。待望のソロ作は2タイトル同時発売で、この『AZUL(=青)』がクール、『VERMELHO(=赤)』がホット、甲乙つけがたい。こちらはミニマルな編成で、隙間を生かした中にニーナの歌声の清楚な色気が映える。モレーノ・ヴェローゾ(チェロも演奏)やドメニコの曲も。80年代前半のクレプスキュールやファクトリーといったレーベルの音をチラッと思い出したりもして、ふと胸キュン。
8位:モンボジョー/アミーゴ・ド・テンポ
MONBOJO / AMIGO DO TEMPO(関係者投票総合7位)

ポスト・マンギビート世代のポスト・ロック。"+2" をはじめとするリオのバイショ・ガヴェア勢のレシーフェ版。勢い余ってトーレ・ヨハンソンやマチュー・ボガートのブラジル版、なんて例えは強引すぎる? そういえば何年か前にアート・リンゼイが「モンボジョーはイケてるよ」と話していた。ユルキャラなふりしてるけれど人を食ったところもある確信犯バンド。
ベスト10を選んでいる段階では気づかなかったけれど、これ、7位のニーナ、6位のホドリーゴ、さらに1位のALMAZ、いずれも "隙間感" という共通点がある。結果的にこれが自分にとって、2010年のキーワードのひとつだったのかもしれない。
でも9位と10位はガラリと変わって・・.
9位:カズアリーナ/MTVアプレゼンタ
MTV APRESENTA CASUARINA(順位なし)

基本的にライヴ盤は、どんなに良い内容でもスタジオ盤より下位に配置する方針なのでこの順位になったが、これは昨年末に入手して以来、ずっとハマりにハマりまくっている "裏1位"。ラパ新世代の筆頭格、知的な肉食系バンド、カズアリーナのケレン味のないサンバには、今どきの歌謡パゴーヂよりもずっと "今" を感じる。選曲も最高で、5位のフィーノ・コレチーヴォの項で触れた「SWING DE CAMPO GRANDE」を彼らもやってる。アリーナの中央にステージを組んでメンバーが内側を向いて座り、その周囲をオーディエンスが囲むセッティングもパゴーヂの醍醐味。同時発売のDVDを講座などのイヴェントで紹介したら、毎回アツい反応が返ってきた。なのでCDもイイけどDVDをオススメ。
10位:パランゴレー/ヂナスチア・パランゴレイラ
PARANGOLE / DINASTIA PARANGOLEIRA(関係者投票総合27位タイ)

これぞ肉食系の極致! やっぱりバイーアはこうでなくちゃね。現代のバイーアを象徴するダンス・ミュージック、パゴダォンの代表的バンドのライヴ盤(DVDもあり)。こういう "血管切れちゃう感" には年をとっても無条件で野獣の本能が反応する。カーニヴァルで大ヒットした「REBOLATION」(スタジオ録音のボーナストラック)は、年間を通じてDJやるときに最も数多くかけた曲だった。ところでパゴダォンのサウンドの生命線と言えばバクリーニャ(ヘピニーキの変型)の独得の響き、そのルーツをたどるとカルリーニョス・ブラウンの脳内に行き着くのだ。ブラウン偉大!
★DVD大賞
カエターノ・ヴェローゾ/コラサォン・ヴァガブンド
CAETANO VELOSO / CORACAO VAGABUNDO

当ブログの1月4日付で詳しく紹介した。これは音楽DVDではなくドキュメンタリー映画のDVD化なので、選んだのは反則だったかもしれない。でもDISC-2に、サンパウロのホテルで行なったポケット・ショーのライヴ映像が60分以上も収録されていて、しかも他では見られない貴重なメンバーでのライヴ、ということで音楽DVDとしてとらえてもイイんじゃないだろうか。
★過去の「中原仁のブラジル・ディスク大賞」アーカイヴ
2009年
2008年
★一般投票のベスト10と総評、関係者投票のベスト10総合順位と各選者の投票内容&コメントが掲載されている月刊ラティーナ2011年1月号もマストでチェック!

一般投票のベスト10は、J-WAVE SAUDE! SAUDADE...のホームページ(こちら)および月刊ラティーナ2011年1月号に掲載されている。関係者投票のベスト10も1月号に掲載。
以下、中原仁が選んだ2010年のベスト10です。タイトル(欧文)の右のカッコ内は、該当作の関係者投票総合順位です。
1位:セウ・ジョルジ&アルマズ/セウ・ジョルジ&アルマズ
SEU JORGE & ALMAZ / SEU JORGE & ALMAZ(関係者投票総合3位)

初めて聴いた瞬間に1位を確信。今年リリースされたアルバムの中では数少ない、ブラジル音楽の枠を越えて鋭敏なアンテナを備えた音楽ファンに広くアピールできた作品だと思う。コメントは当ブログの7月26日付を参照して下さい。
ところで、このユニット結成のきっかけは、日本でも2008年の「第9回東京フィルメックス」で初上映された『リーニャ・ヂ・パッシ』。映画のオリジナル・スコアの一部をアントニオ・ピント、マルコス・スザーノ、ナサォン・ズンビのルシオ・マイアとプピーロが手がけ、エンドテーマ曲「Juizo Final」(ネルソン・カヴァキーニョ作)をセウ・ジョルジが彼らをバックに歌っていた。そこからスザーノを除く4人が集まってALMAZを作った、というわけ。
なお、一般投票で2位にランクインしたセウ・ジョルジの『AMERICA BRASIL O DISCO』は2008年の作品で、日本盤が今年ようやくリリースされたためリエントリーした。僕は2008年度の関係者投票で3位に選んでいる。
2位:マルセロ・D2/カンタ・ベゼーハ・ダ・シルヴァ
MARCELO D2 CANTA BEZERRA DA SILVA(関係者投票総合4位)

前年度の4位に選んだ『A ARTE DO BARULHO』から一転、まさかあのD2がラップを封印してサンバを "歌う" とは! しかし内容が "ベゼーハ・ダ・シルヴァを歌う" と来れば納得だ。
80年代後半のパゴーヂ大旋風(フンド・ヂ・キンタル、アルミール・ギネト、ゼカ・パゴヂーニョ、ジョヴェリーナ他)が巻き起こる前からブラジルでは大人気だった、筋金入りのマランドロのサンビスタ、故ベゼーハ・ダ・シルヴァの音楽には、本人はそんなこと全く意識してなかっただろうが結果的にヒップホップに相通じる精神性、ストリート魂がみなぎっていた。そこにD2が着目したのも本能の成せる技だろう。本来は歌手ではないD2が "歌う" ことで、ベゼーハのシャベクリ芸めいた味をみごと自分流に咀嚼している。
しかもプロデューサーのレアンドロ・サプカイは、マリア・ヒタをサンバ・カリオカの泉に導いて『SAMBA MEU』を産んだ仕掛人であり、自らも『CANTANDO ROBERTO RIBEIRO』を発表(これを僕は前年度の7位に選んだ)。まさに鉄板コンビだ。聴けば聴くほど味わい深く、これを機に、日本ではあまり知られていなかったベゼーハのサンバが再認識されますように。
3位:ネイ・マトグロッソ/ベイジョ・バンヂード
NEY MATOGROSSO / BEIJO BANDIDO(関係者投票総合12位)

2011年で70歳を迎えるというのに全く衰えを知らない、圧倒的な表現力と妖艶な歌声のネイ様は、ブラジルの陰陽師と呼べるかも。近年の作品はいずれも素晴らしい内容で、特に今回は選曲にシビれた。ショーロ、サンバ・カンサォン、ホベルト・カルロス&エラズモ・カルロスの作品、シコ・ブアルキ&エドゥ・ロボの作品、80's B-ROCK世代の作品、北東部(ジェラルド・アゼヴェド&ゼー・ハマーリョ)から南部(ヴィトル・ハミル)、さらにピアソラ、そして元はフランスの名曲「FASCINACAO」まで。
ネイ様の歌には余計な言葉は不要、ただただ酔いしれるのみ。同世代(MPB黄金世代)の男性アーティストのほとんどがシンガー/ソングライターであるのに対し、彼はずっと "歌" に徹している。それは誰も侵すことの出来ない聖域だ。
4位:ホベルタ・サー&トリオ・マデイラ・ブラジル/クアンド・オ・カント・エ・ヘーザ
ROBERTA SA & TRIO MADEIRA BRASIL / QUANDO O CANTO E REZA(関係者投票総合1位)

ホベルタ・サーについては、もはや多くを語るまでもないだろう。今までの彼女のアルバムとは異なる企画盤で、バイーアのヘコンカヴォ(トードス・オス・サントス湾の沿岸地域)の風土に根ざしたサンバ人、ホッキ・フェヘイラの作品集。彼の音楽には、サンバ・ヂ・ホーダやシューラからマラカトゥまで多彩なスタイルがあるが、それらすべてをひとつにする海のような包容力がある。ホベルタの歌とトリオ・マデイラ・ブラジルの演奏とのコンビネーションは、川の流れを思わせる。海と川を結ぶものは水。すべての生命の営みに欠かせない、水。月刊ラティーナ2010年11月号に書いた特集記事「バイーアのサンバ」もご参照下さい。
5位:フィーノ・コレチーヴォ/コパカバーナ
FINO COLETIVO / COPACABANA(関係者投票総合6位)

21C世代のカリオカ・ポップ! 彼らの音楽が生み出すヴァイブ、もろにカリオカなんだけど東京で生活している人間でもごく自然に共有できて、友達感覚で聴けるアルバムだ。ジョアン・ドナートの息子ドナチーニョ(キーボード)が新加入、音がさらにカラフルになった。ヴォーカリストの一人、アルヴィーニョ・ランセロッチはドメニコの弟。メンバーのオリジナル曲も秀逸だがノヴォス・バイアーノスの「SWING DE CAMPO GRANDE」のカヴァーにハマり、今年の下半期、DJやるときにかけまくった。
6位:ホドリーゴ・マラニャゥン/パサジェイロ
RODRIGO MARANHAO / PASSAGEIRO(関係者投票総合5位)

クソ暑かった今年の夏、夜更けに聴く機会が最も多かったアルバム。ペドロ・ルイス&ア・パレーヂの義兄弟バンド、バンガラフメンガではイケイケのストリート・パワーもふりまいているホドリーゴだが、ソロ作は対照的に静のたたずまい。でも、内に秘めた情熱がグイグイ迫ってくる。コンポーザーとしての才能はもちろんのこと、歌声も深く心に染み入る。私事になるがマルコス・スザーノをはじめ、ナンド・ドゥアルチ(7弦ギター)、マルセロ・カルヂ(アコーディオン)、アンドレア・エルネスト・ヂアス(ピフィ、フルート)、シバ(ハベッカ)など、今までに仕事させてもらったことがある素晴らしき名手たちが大勢参加しているのも嬉しい。
7位:ニーナ・ベッカー/アズール
NINA BECKER / AZUL(関係者投票総合14位タイ)

オルケストラ・インペリアルで知ったニーナ・ベッカーの歌声が大好きになり、ナンド・ドゥアルチがアレンジと音楽監督をつとめた無印良品の『BGM13』ではノエル・ホーザの作品を2曲、歌ってもらった。待望のソロ作は2タイトル同時発売で、この『AZUL(=青)』がクール、『VERMELHO(=赤)』がホット、甲乙つけがたい。こちらはミニマルな編成で、隙間を生かした中にニーナの歌声の清楚な色気が映える。モレーノ・ヴェローゾ(チェロも演奏)やドメニコの曲も。80年代前半のクレプスキュールやファクトリーといったレーベルの音をチラッと思い出したりもして、ふと胸キュン。
8位:モンボジョー/アミーゴ・ド・テンポ
MONBOJO / AMIGO DO TEMPO(関係者投票総合7位)

ポスト・マンギビート世代のポスト・ロック。"+2" をはじめとするリオのバイショ・ガヴェア勢のレシーフェ版。勢い余ってトーレ・ヨハンソンやマチュー・ボガートのブラジル版、なんて例えは強引すぎる? そういえば何年か前にアート・リンゼイが「モンボジョーはイケてるよ」と話していた。ユルキャラなふりしてるけれど人を食ったところもある確信犯バンド。
ベスト10を選んでいる段階では気づかなかったけれど、これ、7位のニーナ、6位のホドリーゴ、さらに1位のALMAZ、いずれも "隙間感" という共通点がある。結果的にこれが自分にとって、2010年のキーワードのひとつだったのかもしれない。
でも9位と10位はガラリと変わって・・.
9位:カズアリーナ/MTVアプレゼンタ
MTV APRESENTA CASUARINA(順位なし)

基本的にライヴ盤は、どんなに良い内容でもスタジオ盤より下位に配置する方針なのでこの順位になったが、これは昨年末に入手して以来、ずっとハマりにハマりまくっている "裏1位"。ラパ新世代の筆頭格、知的な肉食系バンド、カズアリーナのケレン味のないサンバには、今どきの歌謡パゴーヂよりもずっと "今" を感じる。選曲も最高で、5位のフィーノ・コレチーヴォの項で触れた「SWING DE CAMPO GRANDE」を彼らもやってる。アリーナの中央にステージを組んでメンバーが内側を向いて座り、その周囲をオーディエンスが囲むセッティングもパゴーヂの醍醐味。同時発売のDVDを講座などのイヴェントで紹介したら、毎回アツい反応が返ってきた。なのでCDもイイけどDVDをオススメ。
10位:パランゴレー/ヂナスチア・パランゴレイラ
PARANGOLE / DINASTIA PARANGOLEIRA(関係者投票総合27位タイ)

これぞ肉食系の極致! やっぱりバイーアはこうでなくちゃね。現代のバイーアを象徴するダンス・ミュージック、パゴダォンの代表的バンドのライヴ盤(DVDもあり)。こういう "血管切れちゃう感" には年をとっても無条件で野獣の本能が反応する。カーニヴァルで大ヒットした「REBOLATION」(スタジオ録音のボーナストラック)は、年間を通じてDJやるときに最も数多くかけた曲だった。ところでパゴダォンのサウンドの生命線と言えばバクリーニャ(ヘピニーキの変型)の独得の響き、そのルーツをたどるとカルリーニョス・ブラウンの脳内に行き着くのだ。ブラウン偉大!
★DVD大賞
カエターノ・ヴェローゾ/コラサォン・ヴァガブンド
CAETANO VELOSO / CORACAO VAGABUNDO

当ブログの1月4日付で詳しく紹介した。これは音楽DVDではなくドキュメンタリー映画のDVD化なので、選んだのは反則だったかもしれない。でもDISC-2に、サンパウロのホテルで行なったポケット・ショーのライヴ映像が60分以上も収録されていて、しかも他では見られない貴重なメンバーでのライヴ、ということで音楽DVDとしてとらえてもイイんじゃないだろうか。
★過去の「中原仁のブラジル・ディスク大賞」アーカイヴ
2009年
2008年
★一般投票のベスト10と総評、関係者投票のベスト10総合順位と各選者の投票内容&コメントが掲載されている月刊ラティーナ2011年1月号もマストでチェック!

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この記事へのコメント
1. Posted by 中安亜都子 2010年12月29日 21:35
ブラジル・ディスク大賞のベスト10、CDスリーヴのデザインだけでもスゴイ!カッコイイ!躍動するブラジルの現在が伝わってきますね!
恥ずかしながらほとんど未聴なんですが、このベスト10を参考に購入に走ります!カエターノのDVD、知りませんでした(恥の上塗り)。なんとか手に入れたいです!先日は家人の誕生日へのコメント、ありがとうございました。どうぞ良いお年を!
恥ずかしながらほとんど未聴なんですが、このベスト10を参考に購入に走ります!カエターノのDVD、知りませんでした(恥の上塗り)。なんとか手に入れたいです!先日は家人の誕生日へのコメント、ありがとうございました。どうぞ良いお年を!
2. Posted by Jin 2011年01月05日 19:20
>中安亜都子さん
コメントありがとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。