2019年2月11日(月祝)。通算23回目を迎えた【30th J-WAVE NIPPON EXPRESS SAUDE! SAUDADE... CARNAVAL 2019】(渋谷クラブクアトロ)。

予報では雪になるかも、とのことだったが、雪は午前中にほんのちょっとパラついただけにとどまり、フタを開ければ入場者数は歴代3番目となる大入り満員の大盛況で、気温も熱気も外の寒さが嘘のようなアツさ! ご来場くださった皆様、ありがとうございました!

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クラブクアトロのエントランス・フロアには今年も横浜のブラジリアン・ダイニング・バー、barracao(バハカォン)が出店し、ブラジル料理を販売。会場のオープンと同時に行列が。

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午後5時、カルナヴァルの開宴。MCは7年連続でカンタス村田(村田匠)

●Bophana(ボファーナ)

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左から織原良次(fletless bass, chorus)Lica(vocal)小池龍平(guitar,vocal)

ボファーナは人気絶頂だった2008年、惜しまれながら活動休止を宣言したが、近年は不定期ながら年に1回ぐらいのペースでライヴ活動を再開している。

今年のカルナヴァルは「歌とリズムの祭典」をテーマに据えたので、打楽器隊がいないシンプルな編成でブラジル音楽の豊かな歌心を表現できるバンドは彼らしかいないと思い、早い時期に出演を打診、快諾してもらった。サウージ!サウダージのカルナヴァルには、Copa Tokyoで開催していた2006年以来、実に13年ぶり3回目の出演。

1. Corrida de Jangada
2. Coracao Leviano
3. パンデイロ通り
4. Um Calo de Estimacao〜Feira de Mangaio
5. Coisinha do Pai
6. Odara
7. O Mundo e' um Moinho
8. Quero Alegria

サンバと北東部の名曲を中心に、日本語オリジナル曲もまじえた鉄板のプログラム。キャリアや知名度を考えればイヴェントの後半に出演してもらうのが筋だが、無色のフロアーを彼らの色にジンワリと染めてもらうほうがグッとくるのではと考え、メンバーとも相談して敢えてトップで出演してもらったのが大正解だった。

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久々のボファーナを待ちわびていたお客さんも多く、広いフロアー内は早くも大盛況。静かにライヴに聴き入るお客さんの集中力もハンパなく、これまでのカルナヴァルとは異なる種類の "気" が場内に立ち込めた。

素晴らしいライヴ・パフォーマンスに感謝! メンバーは現在、それぞれに活躍しているが、この3人にしか表現できない音楽が確かにあるので、これを機に再び、ボファーナの活動のペースをアップしていってほしいと思う。

●Banda Girassol(バンダ・ジラソウ)

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ボファーナのライヴで場内がジンワリと暖まったところで、シーンは一転、灼熱のバイーア! アフロ・バイーアのリズム、サンバヘギ(Samba Reggae)を演奏する女性限定の打楽器隊+歌のバンドが3年連続、通算6度目の出演。

1. Danca Voce
2. Batucada (inst)
3. Poeira
4. Obrigado Axe'
5. Xaxado〜Na Baixa do Sapateiro
6. Sina

サンバヘギの名曲に加え、アリ・ハホーゾの古典「Na Baixa do Sapateiro」やジャヴァンの「Sina」をサンバヘギのリズムにアレンジするなど多彩なレパートリー。

持ち前の華やかなパフォーマンスは言うまでもない魅力だが、最近、来日したオロドゥンの打楽器ディレクターのワークショップを受けた成果もあったのだろう、演奏の底力がアップしてダイナミック・レンジも一気に広がった。この表現が適切かどうか分からないが、"ドスの効いた" 演奏が圧巻で、新たな次元に踏みこんだ手応えがあった。

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ゲスト・ダンサーも登場! 今年のゲストはマンゲイラのパシスタ(ソロ・ダンサー)としてリオのカーニヴァルにも出場しているSaaya Sugaさんと、ジャズ、ハウス、アフリカン、サンバなど多岐にわたって活躍しているHieiさん。

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「Sina」が終わったところで全員がステージからフロアーに降りて、生音バトゥカーダとダンスのパフォーマンスを披露。すでにフロアーがギッシリ満員だったので空間が取れるかどうか不安だったが、お客さんが自主的にスペースを作ってくれて、大観衆に囲まれてのパフォーマンスとなった。場内の熱気も最高潮、まさにバイーアのストリート・カーニヴァル!

結成15周年を迎えるバンダ・ジラソウ。ぜひ、ジラソウ presents でバイーア祭りイヴェントを企画してほしい、その際には全面的に手伝います!とメンバーに宣言した。

●Orquestra Mulata(オルケストラ・ムラータ)

MCのカンタス村田(村田匠)がこのイヴェントのためにカーニヴァル期間限定で結成した、11人編成のスペシャル・バンド。カンタス村田とサンバマシーンズ〜カルナバケーションから通算すると、3年ぶり通算6度目の出演。思い思いに仮装したメンバーもおり、気分はリオのオルケストラ・インペリアル。持ち前のエンタテイナー精神が全開のパフォーマンスとなった。

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1. Na Palma
2. 憧れのブラジル航路
3. Ai Ai Amigo
4. 好きさカリオカ
5. 2月の夏は
6. リオは良いトコ一度はおいで
7. SAUDE! SAUDADE...

レパートリーは全てカンタス村田の日本語オリジナル曲。しかもM1、M3、M4、M5はカンタスが書き下ろした、この日が初演となる新曲。M2、M6は、このイヴェントには欠かせない、カンタス村田とサンバマシーンズ時代の人気曲。

バンド編成は、ドラムス、ベース、キーボード、ホーン3人、パーカッション2人。フロントに工藤めぐみ(vo, chorus)、カンタス村田(vo, guitar)、仲啓志(cavaquinho, vo)。

仲くんとカンタスは、2009年、mocidade vagabunda bateria nota 1000がカルナヴァルに初出演したときのタンボリン隊のメンバーで、当時、仲くんはサンパウロ留学からの帰国後、カンタスもまだ現役の学生だった。

そういえば仲くんが本格的にブラジル音楽を歌い演奏しようと思ったきっかけのひとつが、学生時代にボファーナを聴いたことだったという。いろんなところに歴史の縁があり、縁は、歴史は、めぐる・・。

工藤めぐみさんは、カルナヴァルには初出演。神戸出身で9歳からクラシックバレエとサンバのダンスを始め、今世紀に入ってからはリオの名門エスコーラ・ヂ・サンバ、サルゲイロのパシスタ(ソロ・ダンサー)としてリオのカーニヴァルに何度も出演してきた。

神戸のサンバチーム、フェジョン・プレットのダンス・リーダーもつとめている。

2016年には「情熱大陸」で彼女にフォーカスした番組が放映され、同年のリオデジャネイロ・オリンピック開会式のセレモニーにもダンサーとして出演するなど、実は有名人なのだ。

そんな彼女が今宵、なんと・・・  

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歌手デビュー! 

コーラスだけでなく、「2月の夏」でソロ・ヴォーカルをつとめた。人前で公式に歌うのが初めてとは思えない堂に入った歌声で、オルケストラ・インペリアルで言えばニーナ・ベッケルのポジション。カンタスの無茶振り、いや鋭いディレクション力にも敬服。

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そしてフィナーレの「SAUDE! SAUDADE...」。これはカンタスがカルナヴァルで "歌う司会者" をつとめた数年前に書き下ろし、弾き語りで披露してくれた曲で、バンドでは今日が初演。Bloco Quer Swingar Vem Pra Caのパーカッション隊から5人が特別参加した。

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バンドと一緒に大合唱してくれたお客様、ありがとうございました!

そしてオルケストラ・ムラータの終演後、間髪を入れずに・・・

●Quer Swingar Vem Pra Ca(ケール・スウィンガール・ヴェン・プラ・カ)

リオの名門エスコーラ・ヂ・サンバ、ウニードス・ヂ・ヴィラ・イザベルのパーカッション隊のメンバーとして何度もリオのカーニヴァルに出演してきた宮澤摩周が、ヴィラ・イザベルのパーカッション隊のノウハウを日本に直輸入したサンバのパーカッション・グループ、総勢30名近くがフロアーで演奏。

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毎週、欠かさず練習しているだけあって、鉄壁のアンサンブル。しかも打楽器だけのバトゥカーダでありながら、よく耳を澄ますと背後から「うた」が聞こえてくるのだ。そこまで表現できる日本のサンバ隊はめったにない。

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ケール・スウィンガール・ヴェン・プラ・カは昨年に続いて今年も2月末に10数名でリオに向かい、カーニヴァル期間中の3月3日、ヴィラ・イザベル地区の公園で開催されるストリート・カーニヴァルで演奏する。もちろんこれもカーニヴァルの公式プログラム。地球の反対側からエールを贈りましょう!

●Saigenji(サイゲンジ) 

カルナヴァルのヘッドライナーは、もちろんこの人。今年で17年連続出演となるSaigenji。 

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左から右に、小美濃悠太(bass)斉藤良(drums)Saigenji(vocal, guitar)南條レオ(percussion)。

2011年以来9年連続となる斉藤良は、主にオルタナティヴなジャズの分野で活躍を続けているほか、最近は小野リサのバンドにも参加している。

ブラジル生まれの南條レオ(3年連続)は、J-POP、サルサ、アフロビートなど多彩な分野で活躍しており、Saigenjiのバンドが彼のブラジル・オリエンテッドな演奏を聴ける貴重な機会。

北欧ジャズをベースとする小美濃悠太は、昨年のカルナヴァルでSaigenjiと初共演。その時のリハーサルと本番を通じてSaigenjiが大きな手応えを感じたことで、昨年の6年ぶりのニューアルバム「Compass」の録音へとつながった。 

1. J-WAVE Jingle〜走り出すように *SAUDE! SAUDADE...昔のオープニングテーマ曲
2. Dance of nomad 
3. Heartbeat
4. Sunflower ("J"inga) *SAUDE! SAUDADE...現在のオープニングテーマ曲
5. Garota de Ipanema
6. Magalenha
7. 弧動
8. Music Junkie
encore:Mamima 

M5、M6(カルリーニョス・ブラウン作)を除き全てSaigenjiのオリジナル曲で、M2、M3、M4が「Compass」収録曲。

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このバンド、新作の録音を経てさらに熟成され、自由度もアップしていて、まさに変幻自在。でも出たとこ勝負ではなく、ぶっとい柱が通っている。

「歌」を満場のオーディエンスと共有し、4人編成のバンドでもダイナミックこの上ない「リズムの祭典」を繰り広げる底力に、あらためて敬服。今年のカルナヴァルのテーマにも据えた「歌とリズムの祭典」を完璧な形で体現してくれた。

なんといってもひとたび演奏が始まった瞬間、すべてを心置きなく委ねられる安心感! これは制作側からすると何者にも代えがたい。

★Saigenji 9th Album「Compass」発売記念ライヴ

3月29日(金)@ Motion Blue Yokohama
MORE INFO(Motion Blue Yokohama HP内)

この日のメンバーに加え、新作にも参加したスミレディ(keyboard)を迎えた5人編成でのライヴ。これは聴き逃せない!

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ちなみにこの写真は自分の出番の前、バックステージ階段の踊り場で、Saigenjiが近年の日課としているフラメンコ・ギターを演奏している図。

以下、「Compass」の発売にあたって行なったSaigenjiへのインタビュー(月刊ラティーナ2月号)から引用する。彼の現在の充実ぶりがうかがえると思う。

この6年の間にいろんなことが変わって、まず大きかったのが、趣味でフラメンコ・ギターを始めたことなんです。

それまではジャズとかブラジル音楽とか、今までの自分のアルバムの文脈の中の音楽を家で弾いていたんだけど、フラメンコを弾くようになって、自分の生活の中に音楽の芯が出来た部分があって。

と言うのは、フラメンコはスゴくストイックでハードルが高くて、ギタリストは常に、自分のフレーズを弾くのと同時にトラディショナルなフレーズを必ず混ぜないとフラメンコじゃない、というジャンルなんですよ。

逆にブラジル音楽はスーパー自由な音楽だから、これをやらなきゃいけないという要素はない。

ここが大きな差で、ブラジル音楽をベースにしている限りは創作の自由度を完全に守れる。自分がブラジル音楽をチョイスしたのも多分そこに理由があると思うんだけど、その対極にあるフラメンコを趣味として始めたことによって、フィジカリティの部分がスゴく充実してきたんですよ。体のバランスも良くなって、自信を持って人前でパフォーマンス出来るようになってきたので、多分そういう部分が反映されてるんじゃないかな、声に。

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 長時間にわたって熱く盛り上げてくださった満場のお客様、ありがとうございました。また来年!

下の動画はブラジル情報満載のポータルサイト、BRARIO(ブラリオ)より。