少し前にPS VITAでプレイできる名作FF9のアーカイブズをプレイしてみました。
きっかけはJAGMOの『この刃に懸けて』を聞き、それを聞きたくて序盤やってみて
そのまま進めていたらはまってしまい一気にクリアという感じでした。
物語のあらすじ
盗賊団 タンタラスに所属する青年ジタンとその仲間達は劇団を装いアレクサンドロス城で
『君の小鳥になりたい』という悲恋の舞台を演じる、だが本当の目的は王女、ガーネットティル
アレクサンドロスの誘拐であった。
そして、舞台が終演後目当てであったガーネットを発見、誘拐しようと目論むもガーネットから
出た言葉は『わたくしを誘拐してくださらない?』だった。(ガーネットは王妃の最近の様子が
おかしくまた外の世界を体験したかったために盗賊に誘拐を依頼する。)予想外の展開に戸惑うジタン
だったがこれを引き受け王女と盗賊の奇妙な旅が始まったのであった。
この物語は主人公であり盗賊のジタン 王女ガーネット(偽名がダガー) そして演劇を見に来ていた
黒魔道士の少年ビビ、それぞれの視点で歩んでいく運命が互いに影響を及ぼしあって進んでいく。
物語の序盤はアレクサンドロスからガーネットを誘拐しそこから深い森を抜けて
国境を超える所からスタートする。そして、途中で立ち寄る村で謎の黒魔道士を生成する
装置を発見する。
黒魔道士の少年ビビは何故か自分とそっくりな人たちが機械で出来ており話しかけても
返事がなかったりすることにおかしく思い、この装置は何のためにあるのか
何故自分とよく似た人たちは何も語らずに作業だけするのか不思議に思う。
物語の中盤でその黒魔道士は戦争をするための兵器であり、人殺しのための
道具として作られて用が済んだら自動で機能を停止し廃棄されるという事を知る。
後半から終盤にかけて、黒魔道士兵を使って戦争をし他国を侵入しようと目論む
ガーネットの母ブラネ女王とブラネ女王を戦争に駆り立てるために
裏で画作をしているクジャという男の存在を知る。
物語の終盤にクジャの目的、クジャとジタンの関係性等が明らかになりジタンの出生の秘密
と生きる意味について考え、クジャと決着をつけたところで物語が終わるという構成。
あらすじ おしまい
感想
中学校の時初めてプレイして15年以上経つ作品だけど未だに色あせない
傑作だなと思いました。
二週目をしてみて、中学の時プレイしたときでは気づかなかった色々なシーンがあって
これは大人になって再度プレイして良かったと心底思う作品でした。
例えばジタンはガーネットの事が大好きで『添い寝してやってもいいんだぜ』とか言うと
『わたしはそんな年じゃありませんわ』というと『わかってるからそういってるんだけど・・・』とか
隙あれば落としたいと狙ってる感じだけど四六時中ガーネットの事だけ考えていて、どうしたら
彼女をものにできるかなぁって事ばかり考えてるようなキャラじゃなかったということ。
2週目をやってみてあらためて気づいたのは他のビビとかエーコ サラマンダーに
対しての愛情が描写されててその部分が印象的でした。
特にビビはスタート時は9歳ぐらいの男の子で演劇がある日にお城に来た男の子と
だけわかっていたのですが途中、自分そっくりの黒魔道士兵が出てきて何故あの人は
自分と同じようなかっこうで・・・と迷い始めて
終盤ではビビは『プロトタイプは通常よりも
長持ちする』という衝撃的なお話を受け入れなくてはいけないのですがそのビビに対する
気遣いなどが至る所で描かれていたところが印象的でした。
ビビの中で僕は普通の男の子 あれっ似ている人がいるの?似ている人って悪い人なの?
僕は普通の人みたいに長く生きて大人になったりしないの?
最終的に駆動する時間が通常よりも長いという事実を受け入れなければならなかったビビに
ジタンは『ビビ・・・・オレたちがどんな過去を背負い、どんな悩み希望を持ってたとしてもできることと
言ったら行動するかしないか選ぶくらいなんだ』『千差万別の悩みに対してできることは二通りだけって
ことなんだぜ?頭抱えて当然ってことさ!』『ビビ、気晴らしすいい方法を教えてやろうか』
『気晴らしに古来より伝わる男同士の友情を確認する儀式さ』(ジョー 立ちションの事だったw)
とかその時々でビビを励ましていて
最初であって間もない時も『男の価値は見かけじゃないんだ!ハートの熱さと夢の大きさで
勝負だぜ!』っていう最高にかっこいいでも、見かけが小さかったり黒魔導士としての容姿
そんなことじゃなくて自分の中の心と夢の大きさが価値なんだよだから気にしなくていいんだよ
って教えてあげたり
ついうっかりガーネットが『あの黒魔導士兵、ビビに似て・・・あっ』『おいガーネット、今その話は
やめよう』って言って一番年下で弱い仲間の心が傷つかないように傷つかないようにずっと
気遣ってたところがすごい印象的でした。
このやりとりとか見ていて少し思い出したのが中学の時に授業中に見せられたmy friend foreverという
映画 エイズになってしまった男の子と少し年上の男の子の友情物語です。
エイズの特効薬があると聞いて川を下って 大丈夫 死なないよって言い聞かせながら二人で
旅をするという映画
(これ自体は実は主人公たちが幼く無知であるがゆえに残酷であって抵抗力が弱くなっている
子供を連れまわして薬になるかもとチョコ食べさせまくるとか本当は怖いとかそういう
見解もあるのですが、それはとりあえずおいておいて通じると思ったところは下の子が普通よりも
命が短いけど支えながら一緒に旅をするところが共通していると感じたということです。)
このゲームのテーマは命で、普通の人より命が短くいつか終わりが来てしまうテイシして
しまう時が来るという事を知るビビとそれを理解して励ますジタンが作品の一つの柱の
ように感じました。
命というテーマではガーネット王女にもあって、途中で暴走したブラネ王女が最後は自分の召喚した
バハムートが制御不可能になって逆に炎を吐かれて
目の前で息を引き取りそれを乗り越えなくてはいけないというシーンそしてそのあと色々と
重なりFFシリーズのヒロインの中では初めてな失声症にかかるというところも印象的でした。
本当にキャラクターだけどお母さんが死んじゃった・・・王国は私がしっかりしないと・・・
とかいろいろなプレッシャーやショックが重なって近くに来ても声が出ずに仲間も
最初はそれが信じられないとかゲームだけど魅せる演出が多かったです。
(ちなみに仲間キャラクターという観点から考えると大幅な戦力ダウンでメンバー選ばないと
いけないときに連れてきて操作不能になったときは置いておけば良かった・・・・と同時に思ってしまったw)
そのあとガーネットはいままでの自分と決別するため偽名の由来になったダガーで髪を切るのですけど
過去との決別と新たな決意という重要なシーンでした。
でも俺はロングの方が良かったよガーネット!
また、他強く心に残ったのはスタイナーやベアトリクスというアレクサンドロス側近の騎士たち
最初ジタンがガーネットをさらったときは盗賊風情が王女様をさらうなどとんでもない!
この騎士団長のスタイナーが成敗してくれるという感じだったのに旅をするなかで少しずつ
ジタンの人柄などを知っていって信頼しジタンに対する心がはっきりと変わったことがわかるのが
アレクサンドロス城内部での逃亡劇の時
ガーネットが敵の宮廷道化師に捕まり召喚獣の力をむりやり引き出されて消耗している
これ以上やるとこの子の命に関わると言われても『ガーネットの命がなくなっても良い
召喚獣の力を取り出せ!』と命令して、敵として何度も対峙してきたベアトリクスでも
ブラネ様はおかしい、ガーネット様を殺してもいいなどいう等、ブラネ様に従ってきていた
自分は間違っていたのかと思いなおして、ジタン達の味方になり竜騎士のフライヤとともに
敵の進行を食い止めて、その隙にジタン達がガーネットを連れて逃亡するところで
道中でスタイナーがぽつりと言います。
『ジタンおぬしに頼みがある!』
『アレクサンドロスを無事脱出し、姫さまをトット先生のもとへ送り届けてはくれぬか
トット先生なら、この荒んだアレクサンドロスを救う手立てを考えてくれるはずだ・・・』
スタイナーは王宮騎士でこの人の生きる意味はガーネットを何があっても守り抜くことに
あるのでその一番大事な任務をジタンに任せるということは、ここまで一緒に旅を
してきてあいつならガーネット様をトット先生のところまで送り届けてくれるだろうと
信頼をしたという証ですね。
そして、スタイナーは防戦している二人のもとへかけつけて
『プルート隊 アデルバート スタイナー 誉ある御両名に加勢いたしたく、ただいまはせ参じました!』
と言う
もうこの台詞一つ一つが別格すぎて、『助けに来たぞ!』とか『お前だけにいいかっこさせるかって』とか
そんな表現じゃなくて誉ある御両名に加勢いたしたくはせ参じました。って言い回しがなんかもう
やっぱこれは別格だなと思ってしまいました。
そのしばらくあとでのアレクサンドロス城防衛戦の時のベアトリクスのセリフも最高
『今宵この命が露と消えようとも一向にかまいません!』とか
やっぱ違う 全然違う これがかっこよさなんだよねw
見た目がイケメンとか美少女とか大勢のプレイヤーが好きになりそうなキャラクターを
作るとかそういう感じじゃなくて物語だけど騎士隊長としてアレクサンドロスの人々を守って
ここで死ぬっていう覚悟から来ている台詞がもうね、こういうなんかその人間が生き様みたいな
ものが見えるかっこよさが昔のFFにはたくさんあったんですよね。 それがかっこよかったんだけど
最近は美男子 美少女がたくさん登場するゲームに変わりつつあるような気がして、その容姿に
みんな心を打たれたんじゃないんだよって言いたくなります。
あと印象深かったのはエーコ
ここはたまたまプレイ時期が重なって感想や感動を共有できたゲームオーケストラのJAGMO
創設者の泉志谷忠和さんにこの場面が良かったよねという話になったのですが
エーコとモグの関係性
ガーネットと一緒で召喚士の力をもって生まれたがために宮廷道化師に狙われて同じように
無理やり力を抜かれそうになったときのモーグリ
エーコを殺してもいいから力を奪い取れと言われてジタン達がかけつけも
一歩遅かった・・・という時。隠れていたモーグリが現れエーコにお別れの言葉を言います
『エーコいままでありがとう いつでもエーコと一緒クポ・・・』そう言って
モーグリは召喚獣に姿を変えて敵を退けます。
泉志谷さんは孤児院で育った二人の関係性を思うとこのシーンがぐっとくるとおっしゃっていて
兄弟のように育ってずっとかわいい妖精の姿をしたままでいたかったけど、エーコの命に
関わる危機だから自分の持っている真の姿を見せてエーコを守るというのがやばかったですね。
もう本当にこういう感動するシーンが連続で来て物語に引き込まれ冒険での葛藤や挑戦が
各々の価値観を成熟させて密度がすごい作品なんですよね泉志谷さん談(とツイッタでのやりとりでほんの数分
考えてさらっとこういう言葉が出てくるところがやっぱすげーwすっごい賢いこの人と思っちゃいましたw
各々の価値観を成熟させて密度が濃い・・・俺の頭からはこの表現は出てこない笑)
本当に大人になって再度プレイして良かったです。
そして、FF9最大の見せ場イベント 独りじゃない
中学校の時も感動しました。
ジタンがショック受けたからみんな来てくれた感動~ってその時も素直に思ったけど
このシーンも再度やり直すと新しい印象を受けて
物語終盤でジタンがずっと故郷を探し求めてまだ見ぬ両親を探していたジタンが
テラで謎の培養液と装置を見せられたあと。おまえはここで生まれて、生まれてきた理由は
ガーネットたちの生きている星を壊すためにおまえは存在してるんだと告げられるシーン
途中までビビを励ましていたときはこの子は普通とは違う運命をもってきつい状況を受け入れなければ
いけない子だからできる限り優しく接しようとしていたけど、旅の終着駅で待ってたのは
謎の装置と培養液と人格を持たない人でどこかで生きているはずのお父さんお母さんなども
存在しておらずガーネット達の仲間どころか本来はガーネット達を滅ぼすために生きているというのが
おまえの生きている理由なんだと告げられてジタンがショックを受けるところ
止めようとするビビにガキにはわからねえ大人の世界ってもんがあるんだよ
と言い放ってパーティを去っていこうというするジタン
独りでモンスターと戦っているとき仲間が一人一人現れてジタンを支えようとするシーン
やっぱりこのシーンは何度見ても感動ですね。
特にそれまでのビビとのやりとり、パーティ抜けて一人でダンジョンにいるサラマンダーを
助けに行くシーン、声を失ったガーネットの心を守ろうとしていたいままでがあったから
いざ自分が一番おかしな危険な存在で同じ人間じゃないよと言われたときに
それまで支えられていた人たちが支えに来てくれるというここが本当に良かった。
もし、それまでガーネットの事は大好きだけどビビがどうなってもそれは気にも留めない
という感じだったらここでみんな来なかったかもしれないけれど、それまでがあったから
ここでみんな来てくれるんですよね
ゲームだから戦闘に加勢に来てくれた感じだけど、本当に戦っていたのは
モンスターじゃなくて自分自身の心だったのだろうと思います。
そんな感じでいよいよラスト
強大な力を持ったクジャに打ち勝ち帰ろうとするところに
ジタンがまだクジャは生きているということに気づきます。
あんなやつどうなったっていいじゃんっていうまわりに対してこのまま放っておくわけにいかないと
一人で森に駆けていくジタン
ガーネットには『あなたを誘拐させていただくのもここまでです』と言って別れを告げます。
そうして、瀕死のクジャに言うジタンの有名台詞
『だれかを助けるのに理由がいるかい?』かっこいいよ!ジタン!うっうっ
でも森に駆けて行ったあと行方知らずなのでパーティメンバはジタンはもう・・・って思います。
それで時は流れて序盤と同じく演劇団がアレクサンドロスを訪れて『君の小鳥になりたい』
を演じます。
そして、主役のマーカスが謎のフードをかぶった男が演じていて
『会わせてくれ!愛しのガーネットに!』と叫んでフードを取るとそこにはジタンが!!
驚きと感動で駆け寄ってくガーネットを抱きしめて Fin
ただ、同時にビビが『僕の記憶を空に預けに行くよ』と言っていてビビの時間が停止してしまい
でもビビの子供がアレクサンドロスを歩いているという、命は誰でも最後は終わってしまうけれども
でも引き継がれていくんだよという感じえのエンディング
戦闘が済んだら機能が停止する黒魔導士 限りある生で意思もなかった彼らが
チョコボの雛をかえすシーンも印象的でした。(ホオズキさんお気に入りシーン)
もう最初から最後まで完璧で最高傑作だったなと思いました。
これをやっちゃうとなんかナンバリングの最新作も9と比べちゃうと・・・ってつい言いたくなっちゃうん
ですよね。
15年ぶりぐらいにやったFF9まったく色あせておらず最高傑作でした。
また、FF9の感想で感動を共有できた泉志谷さんはNHKのJAGMOの公演を
最後に引退しまた別のジャンルで活躍されるようなので『この刃に駆けて』の演奏
で感動をくれたJAGMOをプロデュースされた泉志谷さんに敬意を表するとともに
今後のご活躍を期待させていただきます。
という事でFF9最高でした。またこういう感動をくれるRPGに出会いたいですということで
おしまい。(思ったまま書いたので構成とか変だったらすみません。)