2018年02月27日

桜とウヰスキーの頃

7b2b6c1d31c3ed7c5da25b21bbede91f    フォーク者イサジ式のセカンドアルバム「桜とウヰスキーの頃」を車で聴いている。さまざまなことが頭のなかを巡る。締め切りが終わってほっと一息ついていたら、イサジ式が編集室に顔を見せた。珍しいワインとたまり漬けのチーズで、ゆったりとした夕暮れのひとときを過ごした。そして「クウカイ」に繰り出した。

 イサジ式の歌は決して、声を張り上げない。心に燃えさかる怒りや悲しみをグッと奥にしまいこんで、淡々と歌い上げる。はしゃがず騒がず、心象風景や思いを伝える。だから時間はかかるが、聴けば聴くほどしっかりと心に届く。 

  デビュー作「いつか来た道」に続くセカンドアルバム。表題作を含め、11曲が入っている。根底には東日本大震災があり、東北、そして生まれ育った小名浜があり、仲間たちへの思いがある。照れ屋のイサジ式はそれを直接的に表現しない。だから優しく温かいのだと思う。こんな歌詞がある。

 笑われてもあきらめず
 しなやかに
  したたかに
 倒されてもあきらめず
 しなやかに
   したたかに
        (小さな歌)

  行く人も来る人も酒と共にあれ
 さあ遊べさあ遊べ
 巡り会う喜びを
 エイイーヤー…
  雨の朝雪の夜
 重ねた時を背負って行く
 まつろわぬ民の誇り
 声を上げ石に刻め
                 (オクノホソミチ) 

 「フォーク」のほんとうの意味にこだわるイサジ式らしい言葉だ。反骨精神と土着性、そしてオリジナリティー。それがフォークの魂であり、人から人へ直接伝えることこそが、純度を高めながらしっかり手渡せる道だと、信じているのだろう。前作同様、踏みにじられながらも、しなやかにしたたかに生きている人たちに思いを寄せる。政治や原発を揶揄し、片隅にあるささやかな日々に目を向ける。その言葉1つひとつは決して声高ではないが、メロディに乗って静脈に浸みていく。

  前作同用、仲間のミュージシャンがしっかりとバックを支え、ジャケットのイラスト・デザインはイサジ式本人が担当している。