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厩舎コメントの解読方法を教えます!

掟破りの金になる話とは赴きが少々異なるが・・・・・・
それでも「予想の役に立つ」という意味ではあながち的は外れていない。

小生が20数年以上前から競馬予想の参考にさせて頂いている、高崎武大氏の著書から競馬予想に役に立つ話を幾つか抜粋して記載してみる。
御一読あれ。

競馬新聞に載っている競馬村の住人(調教師、調教助手、厩務員、手等も含む)たちのコメントは、一般競馬ファンの馬券検討においては重要なファクターでもあると思うし、関係者の思惑を感じ取ることのできる数少ない情報の1つとも言える。

しかし、その中には確かに本音もある。

が、嘘もある。

調教師にしてみれば全然自信のない馬でも馬主の手前「今回は全然ダメ」とも言えない。

以前、美浦のK氏が「ここでは荷が重い。だいたい勝負になるほど強い馬じゃないよ。まあ今回に関しては無事に回ってきてくれたらいい」と本音通りに新聞記者に話したら、まだ経験の少ない若い担当が「こんなところで勝負になるほど強い馬じゃ無い。今回は走ってくるだけ」と、ほぼそのままに掲載してしまった。

記事を読んだ馬主は大激怒。すぐにK氏に電話が入る。

そして「3000万以上も出して高い馬を買わせたのはオマエだろうが~。よくもまぁぬけぬけとあんなこと言いやがって。お前のとこには金輪際預けないからな!」と絶縁宣言をされてしまった。

このような前例もあるだけに、今はコメント1つするにも慎重になる。

馬の調子が悪くても、いいことを言っておいた方がいい。

自分に火の粉がかからないようにするのが得策だと学習したのである。

新聞のコメントには本音もあるが・・・・本音であろうはずがないものまで含まれている。

だからあまり鵜呑みにしない方が良い。

それでも彼らの「本音」はコメントの中になんとなく見え隠れしている。

ならば、それを読み取る術を学ぼうではないか!

【評価◎】「この相手でもヒケは取らない」

状態に上積みのないときにはまず使わないコメント。前回を70~80%のデキとすれば、今回は限りなく100%に近い状態であり、格上とされる馬相手でも展開1つで逆転可能と言う意味。

とにかくデキに関して自信がある時(ピーク)にしか使わないコメントと言える。
ただし絶対能力の差についてはこのコメントだけでは比較できない。

【評価◎】「ここは当然勝ち負け」

コメントとしては最も信用したくなる響き。だけど「どの馬にとっても競馬なんて勝ち敗けなんじゃないの?」と素朴な疑問をぶつけてみたくもなる言葉である。どうも占いの「当たるも八卦、外れるのも八卦」的なイメージで使われるようになったらしいが、意味不明の競馬用語の1つといえよう。

しかし「勝ち負け」と言うコメントが出ていたら「もはや講釈はいらない!」と同意語と思って良い。

特にいつも強気なコメントを吐く調教師は負ける時は色々と講釈を垂れているものだが、勝った時は素直に「勝ち負け」を強調していたりする。勝てるときはアッサリとコメントし、負ける時ほどコメントがいろいろ増えるというのが偽らざる調教師の真理なのだ。

【評価〇】「牧場でも乗っていたから太目は無い」


新聞を開くと必ず目にするコメントの1つ。
休み明けの馬に対してのコメントとしては脈有りの部類である。

このコメントの後に「気性的にもポン駆けする」とか「今週の動きからも楽しみ」などのプラスαの材料があれば本音は「充電完了!いざ勝負!」と言う感じだろう。

【評価〇】「前回は2走ボケ」


休み明け初戦では好走したにも関わらず、2戦目に凡走してしまったケースで使われるコメント。

休み明け初戦で走りすぎた場合は、反動を気遣って少し楽をさせる傾向にあるのが調教師の性。しかし楽をさせたことで『気だるさ』や『筋肉疲労』を引き起こし、これが2走ボケの原因になる。しかし叩き3戦目でこのコメントが出ていたら要注意。

さらに調教師自ら「2走ボケ」を認めている場合は、3走目に極限の仕上げをしてきていると判断してもいい。

逆に「敗因がわからない」などのコメントは「こんなもんなのかコイツは…」と言うのが本音。

【評価〇】「競馬センスが良い」

新馬やまだ若い馬を評してたびたび使われるのがこのコメント。
一口に競馬センスといっても、調教師によって多少理想の競馬観が違うので一概には言えない点も多い。

だが、ほとんどの場合に含まれているのが「好位につける脚がある」と「流れに乗れる(折り合いに不安がない)素直さがある」。つまり悪い意味で使うコメントではないってことだ。
世話をする方から見れば手が掛からない馬って意味もあるらしい。

【評価〇】「動ける状態にある」

ファンに対して微妙なニュアンスを持ちながら、かなり頻繁に使われているコメントの1つ。調教師の性格によっても違うがこのコメントが出ているときは仕上げとしては満足できるレベルと判断できる相当の期待感があるときに使われる。

【評価〇】「今回から着用し〇〇の効果に期待」

ブリンカー、シャドーロール、メンコ、チークピーシズ、着用効果がもっとも顕著に出るのは初回である。「今回から」と言うコメントは、前走の着順を度外視しての買い材材にもなる。

以前栗東のO氏は「お飾り(強制馬具)と言うのは、レース前に必ず調教で試す。いきなり競馬で使うなんて事はありえへんな。効果を把握した上で着用させてるよ。馬も慣れっこになったら大幅な激変は望めへんけど、初回に関してはどの馬にも何らかの効果はあるもんやからな」と言っていた。

つまりプラス材料がなければ使ってないってこと。馬具を使う馬と言うのは「まともに走れば勝てる可能性がある馬」と捉えてもいいそうだ。

【評価△】「攻め馬は走るんだけど競馬にいってサッパリ」


攻め馬ではオープン馬に先着する下級条件馬も結構いるが、管理している調教師にとって1番歯がゆいタイプの馬となる。
そもそも能力がなければ攻め馬で走れるわけもなく、能力を持ちながら結果が出せないのは調教師の責任と取られやすい。

しかし原因は馬のほうにある場合が多く「ある条件さえ満たせば走るんだけど…」と言うのが調教師の本音。

ある条件と言うのは『外枠』『少頭数』『ブリンカー着脱』など。

【評価△】「このメンバーでも見せ場は作れるよ」

これは調教師にも判断できない時に使う必殺キーワード。希望的要素が強く「期待はしているが次に繋がるものをレースで見せてくれればいい」と言うのが本音だろう。
コメント欄にこのようなコメントがあれば、調教師がその馬の能力の全容が掌握できていないと言う証拠であり、今回よりも次回に期待していると言う事でもある。

ただし馬の能力が思ったより高かった場合はアッサリ勝たれてしまうので非常に厄介だ。

【評価△】「水準レベルの能力はある」

水準レベルと言われても、一般的にはどこが水準なのかは誰にもわからない。ただし、厩舎関係者の間では『水準=500万下』という感じが強いようだ。

つまりこのコメントが出た場合は「500万下でもソコソコ競馬になる馬だよ」と言う意味だと考えられる。更に、同じコメントがもっと上のクラスで使われている場合は「可も無く不可もない」と言う意味だと思ってもらっていい。

【評価△】「トモに力がない」または「トモが甘い」

このコメントの出る馬は共通して「スタート時にダッシュがつきにくい」とか「勝負どころで追い出すと姿勢が高くなってくる(頭をあげる)」という特徴あり。手応えの割に追って伸びない「馬也で一杯」のパターンの馬だ。

こんなタイプには負担を軽減させるため減量騎手を起用したり、返し馬を強くしなかったり、装鞍をできるだけ遅めにして、トモに負担をかけないといった一連の努力をする。

馬が激変するパターンとしては、トモに疲れが溜まっていない休み明け初戦や、中間に障害練習などを取り入れた時。

栗東のS氏によると「障害飛ばせると、トモの輪郭が変わってくる。内股に力が付くのは障害でこそなんや。それと障害飛ばせることで首を巧く使えるようになったりもする。ただ障害練習をすると言うたら馬主が嫌がるんでな。効果はあるんやけど難しいとこやねん」ということらしい。
コメント欄に「中間に障害練習をした」と言うのを見つけた場合は「買い」になる。

【評価△】「いく分急仕上げだが攻め馬の動きは悪くない」

これは結論から言うと、調教の絶対量が足らないので、息がもつかどうかが不安ということの裏返し。もし展開がゆっくりで息が入るような競馬であれば好走してもおかしくない、という仕上げの場合のコメント。

【評価△】「前走は着順ほど負けてない」

0.4秒差の8着などという大接戦の末に負けた馬のことを言っているのだが、次で変わるかというと、そうでもなく、結果としては次走でも惜敗をしている馬を多く見かける。
要はクラスの壁が存在していて、勝ち切れないということ。
つまりこのコメントが出る馬は、堅実な上位争いは期待できても突き抜けるまで難しいと考えられる。

【評価△】「この馬なりに調子は良い」

この馬なりに、と言うコメントが出る時は、既に相手馬を上と見ている場合が多い。
調教師の本音としては「展開の助けが欲しい」とか「時計が掛かって欲しい」などプラス材料がないと厳しいと言うこと。

【評価✕】「まだクラス慣れが必要評価」

昇級後のレース内容がダラしない場合に使うコメント。変わって欲しいけど、正直能力の限界を感じた時に使う常套句。裏返せば馬主への配慮を感じるコメントってことでもある。

「もうこれ以上は無理です!」とは言えないから、まだ将来に希望を持たせる程度にごまかす。

【評価✕】「若干ソエ気味」

ソエとは管骨瘤(かんこつりゅう)のことで、脚元がまだ固まっていない若い馬に出る症状。
人間に例えるとちょうどスネの辺りがボワ~ッと腫れた状態のこと。
以前、北海道大学の獣医が研究していたのが馬はどの程度ソエを気にしているかということ。
実際調べたところ「針で刺すようなチクチク痛みの山が何度も訪れる」というのがわかったそうだ。
さらに馬の精神状態も「情緒不安定になる」と言う。

調教師はソエの馬は使いたくないのが本音だろうが、それでも軽度であれば馬主のためにも厩舎経営上の理由からも使ってしまう場合もあるようで、馬券を買う対象から外して考えたほうがよさそうだ。


以上、高橋武大氏の著書から抜粋して何点か記載させて頂いた。
明日のセントライト記念のコメントを見れば思わぬヒントが隠れているかも。


ということで振り返れば・・・・・・もうかれこれ十数年も前になろうか、芝の1200m~1600mを使い大敗。
だからという訳では無いだろうが、2000m以上の長距離を数戦使ったかと思えば、いきなりダートの短距離を使い、最後には障害戦まで使った調教師がいた。

で、その調教師曰く「適性がよく解らないから取り敢えずいろんな条件を使ってみれば適性が解るかと思って・・・・・」な~んて悪びれること無く公然とコメントするくらいだから・・・・・・調教師は自分の管理馬を把握するのに四苦八苦しているのが現実のようで、陣営コメントなんてものはあまりアテにできない事も確かだ。

いずれにしても物事には表と裏/本音と建て前があり、真実は見えない所に隠されているもの。
まあまあ参考程度に頭の片隅に置いて頂ければ有り難い。

以上!

御参考まで!!

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