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邪魅の雫(じゃみのしずく)

京極夏彦氏の「京極堂」シリーズ最新作です。前作の「陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)」から3年、ようやく出ましたね。相も変わらずのページ数で、ノベルス本で800ページ以上と、読むのに結構労力がいりました。私の場合は「京極堂」シリーズを読む場合、他の趣味等は基本的に一時中断します。そうしないと内容を把握しきれない事があるもので・・・。

江戸川・大磯・平塚と連鎖するような毒殺死体事件が発生するんですが、死因がつながっても、被害者達の関係がつながらないという、不可解な連鎖殺人事件。無論、警察の捜査は難航します。正直、ページ数の半分くらいまでは捜査に進展がないので、読んでいてツラくなりますね。でも、中盤からラストにかけての展開は問題ないですけど。

今回の主人公はシリーズの主要人物(京極堂・榎木津・関口・木場)ではなく、探偵・榎木津の助手(下僕)の益田と木場の元部下の刑事・青木だったと言っていいでしょうね。キャラクター構成で言えば「脇役のさらに脇役」の立場の二人です。読んでいても、この二人では荷が重いなあ、と思っていましたが、その辺はやっぱり最後に京極堂と榎木津がしっかりとケツを持った感じで締めてくれます。とはいえ、主人公もそうですが、今までの作品の中で言えば、やっぱり異色ですね。京極堂は最後までほとんど出番は無いし、「憑き物落し」の時や、話の途中に出る「妖怪ウンチク」はほぼ無し。榎木津も暴れるどころか、今回は静かに物語の幕を降ろします。

まあ、それも榎木津を巡る「色恋沙汰」がカギを握る話(ちょいネタバレ)だから、仕方無いかなと。今回は言わば京極堂版「昼ドラのドロドロ恋愛劇」という感じですかね。